JP3135042B2 - 焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理法および装置 - Google Patents
焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理法および装置Info
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Description
らの人工岩石合成処理法および装置に係り、詳しくは、
生活ごみや産業廃棄物の焼却灰または下水汚泥乾燥粉等
を溶融し、焼却灰等に含まれる重金属類や還元可能な酸
化物を溶融還元して除去すると共にSiO2 等の鉱物質
を主成分とする溶融スラグを生成する技術であって、特
に溶融スラグから有害金属を可及的に含まない天然岩石
に極めて近い組成のコンクリート用人工骨材として供す
ることができる人工岩石を製造する方法および装置に関
するものである。
れ下水汚泥等は乾燥粉とされることによって減容化さ
れ、埋立地等に廃棄される。しかし、投棄地の容量にも
限界があり、より一層の減容化や再資源化の努力が払わ
れるようになってきている。最近では、資源のリサイク
ル化の観点に立った研究が進み、堆肥化や有価物の回収
といったことも行われる。このような再資源化には無害
化処理が重要であるが、特に注目を浴びるようになって
きているごみ焼却灰や下水汚泥乾燥粉、産業廃棄物焼却
灰等(以下焼却灰という)の溶融スラグから建築資材等
を再生する場合も同様である。
ると、焼却灰中の可燃物が燃焼しダイオキシンは完全に
分解されること、重金属類はガラス質のスラグ中に閉じ
込められること、焼却灰を1/3以下に減容できること
などの利点が挙げられる。これは、焼却灰中の無機分も
溶けて融液となり、それを冷却すると固化したスラグと
することができるからである。
木用骨材として使用されたり、成形することによってタ
イルや装飾品に加工することができる。いずれにおいて
も、無害化や化学的安定性が要求されることは言うまで
もないが、そのような溶融スラグを生成させて人工骨材
を製造する方法や装置が種々提案されている。溶融スラ
グを生成する代表的なものとして、旋回溶融法,電気溶
融法,コークス燃焼還元溶融法,表面溶融法といったも
のが採用されている。
O・2SiO2 ・Al2 O3 の結晶が析出しやすい組成
に成分調整し、旋回炉を用いて焼却灰を1,400℃な
いし1,450℃の雰囲気で溶融させ、それを急冷して
ガラスとし、その非晶質なスラグを再加熱してアノルサ
イトを均一に析出させ、石材化する方法である。これ
は、焼却灰に含まれている鉄分と硫黄分から硫化鉄を生
成させ、それを結晶核形成物質として利用している。
の主成分はCaO,SiO2 ,Al2 O3 ,FeO,M
gOである。FeOおよびMgOは比較的少ないのでス
ラグをCaO−SiO2 −Al2 O3 の三元系とみなす
と、Al2 O3 の多い焼却灰ではスラグ融点が非常に高
くなりまた粘性も増大する。したがって、流動性の良い
スラグの生成は妨げられ、炉からの出滓が困難となりま
た組成分の結晶化も得られにくい。
低下させかつ流動性を改善するようにしたものが、特開
平4−354575号公報や特開平4−358584号
公報に記載されている。これは、金属溶湯上に焼却灰を
投入してアーク加熱により溶融するが、溶融スラグの粘
度が高くなるから、前者では溶融スラグにFeOを添加
している。また、後者では金属溶湯の表面および溶融ス
ラグの表面を酸化性雰囲気にすることによって、溶融ス
ラグ中にFeOが生成されるようにしている。このよう
な操作によれば、スラグに残存する5%ないし20%の
FeOによってCaO−SiO2 −Al2 O3 −FeO
系を形成させることができ、スラグ融点は低下し、スラ
グの流動性も改善される。
開平4−132642号公報に記載された結晶化スラグ
の製造法がある。溶融炉で溶融させたスラグに石灰また
は珪酸分の多い砕石を添加し、ガラス化を経ることな
く、Al2 O3 が10%ないし22%、CaOが24%
ないし44%、Fe2 O3 が2%ないし20%、SiO
2 が28%ないし45%の組成をなすようにした結晶化
スラグを直接生成させることができるようにしている。
量比)が低くすぎると溶融スラグの粘性は高くなって結
晶化が進みにくくなり、高すぎるとスラグ融点が高くな
って溶融処理のためのエネルギ消費は増大する。したが
って、上記の溶融炉中のスラグの塩基度が低いときには
CaOを添加し、高いときにはSiO2 を添加して塩基
度が0.6ないし1.5となるように調整される。
処理する際に有機物が熱分解して燃焼するときのエネル
ギを使用することにより無機物を溶融させている。炉頂
に燃焼装置を備えた垂直軸回りに回転する炉体と、焼却
灰が装入された炉体の上方を覆うアーチ形反射天蓋とを
備える竪型回転炉が使用され、その天蓋を上下させて炉
負荷が調整されるようになっている。炉体の下方には二
次燃焼炉があり、排出された溶融スラグはさらに加熱さ
れる。このような表面溶融炉においては、可燃物の燃焼
によって発生する熱を利用するので、低燃費の操業が実
現される。
は焼却灰に予熱空気を吹き込んで旋回させ、ガスやオイ
ルの燃焼によって加熱するようにしている。酸化性雰囲
気で焼却灰を溶融するのでスラグにはFeOが混入し、
それを急冷させるとガラス状になる。また、生成された
スラグには気泡が混じり、そのまま固化させると多孔質
なスラグとなりやすい。そのため、溶融スラグを脱泡処
理した後に熱処理しなければならず、スラグ生成設備は
複雑化する。しかも、ガラス状スラグを再結晶させるた
めには1,200℃以上の雰囲気に保持する必要があ
り、結晶化炉において多大のエネルギ消費を伴う。な
お、ガラス化したスラグは熱伝導性が極めて低く、それ
ゆえ結晶化のエネルギ節減を図るため固化スラグを小粒
化しておく必要があり、コンクリート用骨材として要求
される粒の大きい石材を得ることができない。
る溶融スラグ中のFeOが6%ないし15%と高いので
炉床部や出滓部近傍の耐火物は侵蝕されやすく、炉の寿
命が短くなる。また、FeOを添加してCaO−SiO
2 −Al2 O3 の三元系のスラグを四元系に改質しスラ
グ融点を低下させているが、溶融スラグを水砕した場合
には粒状水砕スラグとなって非常に脆弱な非晶質となる
一方、徐冷した場合はスラグ中のFeOが再結晶化を阻
み、天然岩石からかけ離れたスラグ塊となる。それのみ
ならず、スラグにFe等の重金属が残留することにな
り、それらをスラグに固定させることができるといえど
も、いずれは溶出する不安定さが残る。
に投入したコークスによって形成されるコークスベッド
中で焼却灰を溶融還元するので、溶融スラグ中のFeO
は減少する。しかし、コークス灰中のAl2 O3 が溶融
スラグに溶解し、Al2 O3の含有率は高くなってCa
O−SiO2 −Al2 O3 系のスラグ融点が高くなりま
たスラグの流動性も悪化し、炉体からのスラグ排出は円
滑とならず操業が阻害される。そこで、この還元溶融法
においては、スラグ融点が高くならない範囲で石灰石を
添加し、流動性を改善している。しかし、この成分調整
によって生成されたスラグはCaOの含有量が多くなる
ことから消化しやすくなり、長期にわたる性状の安定や
機械的強度の維持が要求されるコンクリート用人工骨材
として使用するためには不適当である。
電気溶融法と同様にFeOを焼却灰に添加して、溶融ス
ラグの流動性の向上が促されるが、溶融スラグ中に金属
酸化物を残留させることになる。その結果、溶融スラグ
を徐冷しても組成分の結晶化が十分に進まず、重金属類
の溶出は不可避であって、コンクリート用人工骨材にふ
さわしい天然岩石とはかけ離れた石材となる。
の各種溶融法は、焼却灰の組成を是認して溶融処理し石
材としての利用を実現するものである。すなわち、スラ
グ中に有害物質や金属成分の封じ込めを図って安全性を
確保しようとしている。しかし、固化スラグ中に重金属
類が含有されるのでそれらがいずれは溶出する可能性が
あって、スラグの無害化は十分でない。それのみなら
ず、焼却灰中の金属資源の回収がなされず、焼却灰の完
全な再資源化が阻まれる。
組成分を可及的完全に再結晶させる処理が施されておら
ず、天然岩石からはほど遠い非晶質な部分を残した石材
となる。これは、溶融スラグの流動性を向上させるため
にFeOやCaOを添加したり、スラグ融点の低下を促
進するためにSiO2 を配合する結果、多元系相平衡状
態における共晶凝固現象を考慮した熱処理をすることが
できなくなることに基因している。したがって、このよ
うな固化スラグは建築資材としての良質なコンクリート
用人工骨材とはなり難く、非晶質(ガラス質)のままで
使用することが可能な路盤材や緑農地化の資材として利
用できるにすぎない。
には、連続した金型に溶融スラグを鋳込み、移送しなが
ら外気温により徐冷してスラグブロックを成形させるよ
うにした装置が記載されている。しかし、コンベアによ
る搬送中には溶融スラグがメタル面に接触するときの初
期冷却速度を制御することが困難であり、結局は急激に
冷却されるために非晶質化し、方向性のある脆い組織と
なることは避けられない。
で、その目的は、焼却灰の溶融に投入したエネルギの放
散を少なくして溶融スラグの結晶化に要するエネルギの
節減を図ることができること、溶融スラグ中の還元容易
な金属分を分離してその再利用を可能にすると共に、有
害物質の含有を可及的に少なくして安全性が高く、天然
岩石に極めて近い硬質な塊状の建設資材を製造できるこ
と、を実現した焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処
理法および装置を提供することである。
下水汚泥乾燥粉,産業廃棄物焼却灰等の溶融スラグから
人工岩石を合成する処理法に適用される。その特徴とす
るところは、まず、還元剤を用いることにより焼却灰を
還元溶融して溶融スラグを生成する際もしくはそれに先
だち、その溶融スラグのMgO含有量が5%ないし20
%までの範囲における目標%もしくはそれに極めて近似
した含有%となるようにMgOを含有する冶金滓または
天然鉱物類を焼却灰に添加し、可及的に低融点となりか
つ共晶凝固する組成を有した溶融スラグが得られるよう
に成分調整する。次に、成分調整された焼却灰を還元溶
融することにより焼却灰中のFe系酸化物を還元して生
成された溶融銑鉄を滞留させ、他の重金属類および還元
可能な酸化物類を還元して生じた元素を溶融銑鉄中に溶
解させると共に、ガス含有率が極めて低く重金属類等を
可及的に含まない溶融スラグを生成して溶融銑鉄の上部
に滞留させる。溶融スラグを溶融銑鉄とは独立して出滓
した後に、溶融スラグを徐冷した状態で共晶凝固現象に
基づいて一次再結晶させる。そして、一次再結晶した鋳
造スラグを900℃ないし1,200℃の温度雰囲気に
保持することにより、その鋳造スラグ中に残留する非晶
質部分を二次再結晶させると共に残留内部歪を除去し、
溶融スラグからガス含有率の極めて低い、組織の緻密な
再結晶した人工岩石を生成させることである。
結晶させる熱処理工程とに代えて、前記溶融スラグを前
記溶融銑鉄とは独立して出滓した後に900℃ないし
1,200℃の温度雰囲気に保持し、共晶凝固現象に基
づいて溶融スラグを一次再結晶させ、かつ、残留する非
晶質部分を二次再結晶させると共に残留内部歪を除去す
る鋳造熱処理工程としてもよい。
図1を参照して、還元剤を用いることにより焼却灰を還
元溶融し焼却灰中のFe系酸化物を還元して生成された
溶融銑鉄2に、他の重金属類および還元可能な酸化物類
を元素に還元して溶解させることができるように溶湯を
貯溜すると共に溶湯を排出する出銑口3aを有して炉床
に形成される溶湯溜め部3と、ガス含有率が極めて低く
重金属類等を可及的に含まない溶融スラグ4を溶湯上に
滞留させると共にその溶融スラグ4を排出する出滓口5
aを有した溶融スラグ溜め部5とを備える還元溶融炉1
と、出滓口5aから排出された溶融スラグ4が鋳込ま
れ、共晶凝固現象に基づいてスラグを一次再結晶させる
ための断熱性耐火物により形成されたスラグブロック成
形鋳型10と、スラグブロック成形鋳型10から脱型さ
れた鋳造スラグ4Aが投入される炉体15とその炉体内
の保温を図る加熱手段16とを有し、保温作用と炉体内
に堆積する鋳造スラグ4Aの内部からの復熱作用とによ
って残留非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内部
歪を除去し、組織の緻密な再結晶した人工岩石24を生
成する熱処理炉14とを備えることである。
脱型した鋳造スラグ4Aが投入される熱処理炉14に代
えて、図5に示すように、溶融スラグ4が鋳込まれたス
ラグブロック成形鋳型10を通過させる炉体61Aとそ
の炉体内の保温を図る加熱手段63とを有し、共晶凝固
現象に基づいてスラグを一次再結晶させると共に、加熱
手段63による保温作用とスラグブロック成形鋳型10
に鋳込まれて一次再結晶した鋳造スラグ4Aの内部から
の復熱作用とによって残留非晶質部分を二次再結晶させ
ると共に残留内部歪を除去し、組織の緻密な再結晶した
人工岩石24を生成する鋳造熱処理炉61としてもよ
い。
照)や竪型シャフト炉1B(図3を参照)を採用するこ
とができる。
から脱型された鋳造スラグ4Aが投入される回転炉体1
5Aと、その回転炉体の裏張り耐火壁15aおよび堆積
する鋳造スラグ4Aを加温する加熱バーナ16Aとを有
し、炉体の回転により堆積する鋳造スラグ4Aの下方へ
回り込んだ耐火壁15aによる加温作用と鋳造スラグ4
A内部からの復熱作用とによって残留非晶質部分を二次
再結晶させると共に残留内部歪を除去する回転炉14A
としておくことができる。また、スラグブロック成形鋳
型10から脱型された鋳造スラグ4Aが投入される裏張
り耐火壁を備えた炉体51Aと、その炉体内で堆積する
鋳造スラグ4Aを加温する熱ガス発生装置55とを有
し、鋳造スラグ内部からの復熱作用によって残留非晶質
部分を二次再結晶させると共に残留内部歪を除去する竪
型シャフト炉51としておいてもよい。
りFe系酸化物ならびにその他の重金属類や還元可能な
酸化物類を含まず、また、CaO−SiO2 −Al2 O
3 の三元系の限られた共晶点の範囲をMgOを添加した
四元系に改質することにより拡大し、四元系相平衡状態
で共晶凝固可能な溶融スラグを生成しやすくすることが
できる。共晶凝固した一次再結晶スラグを熱処理によっ
て僅かな残余非晶質部分をさらに二次再結晶させるか
ら、天然岩石に極めて近似した人造石材を得ることがで
きる。その際、一次再結晶に消費したエネルギの大部分
は二次再結晶に利用され、固化スラグを小粒化しておか
なくても、エネルギ消費を可及的に低減することができ
る。
溶融スラグが炉床部や出滓部近傍の耐火物を侵蝕させる
こともなく、炉寿命は長く保たれる。そして、焼却灰中
のFe系酸化物を還元し、他の重金属類および還元可能
な酸化物類も除去され、ガス含有率の極めて低い溶融ス
ラグが得られる。還元によって生成された溶融銑鉄は回
収して再資源化も可能である一方、重金属類の溶出しな
いまでに無害化されたコンクリート用人工骨材を得るこ
とができる。焼却灰にMgOを添加することによって溶
融スラグの流動性も改善され、CaOを過剰に添加する
必要もなくスラグ融点の低下にも寄与する。したがっ
て、溶融スラグから人工岩石を合成するための工程にお
ける取り扱いが容易となる。生成された合成岩石は消化
性を伴うことなく長期間の性状安定や機械的強度が確保
される。鋳造工程と該鋳造工程に続く熱処理工程とに代
えて鋳造熱処理工程とすれば、岩石合成処理工程が少な
くなり、そのための装置も簡素化することができる。
スラグからの人工岩石合成処理法および装置を、その実
施の形態を表した図面をもとに詳細に説明する。図1
は、ごみ焼却灰や下水汚泥乾燥粉または産業廃棄物焼却
灰等(以下焼却灰という)の溶融スラグをコンクリート
用人工骨材とするための人工岩石合成処理装置の例であ
り、その主たる構成は還元溶融炉1,スラグブロック成
形鋳型10,熱処理炉14とからなる。
部分および溶融スラグを滞留させる部分を確保した炉体
を備えるもので、図の例では、比重の大きい溶融銑鉄2
を貯溜する溶湯溜め部3、生成された溶融スラグ4を溶
融銑鉄2上に滞留させる溶融スラグ溜め部5、溶融スラ
グ4の上方空間であって焼却灰が堆積する原料収容部6
を備えた電気溶融炉1Aが採用されている。
炉もしくは直流の電気炉のいずれのタイプでもよいが、
図では簡略化して描かれたサブマージドアーク直流抵抗
炉の例となっている。その原料収容部6には、焼却灰に
予めコークスブリーズや造滓材としての副資材を配合し
た粉粒状の原料7が投入され、後述するサブマージドア
ーク電気溶融法により時間をかけて還元溶融されるよう
になっている。
極8が配置される。炉体1bには溶湯溜め部3の溶融銑
鉄2を意図的に少し残して排出する出銑口3aが設けら
れる一方、溶融銑鉄2の上部に滞留した溶融スラグ4を
排出する出滓口5aも設けられ、出滓栓5bを抜いて後
述する工程で必要な量を短時間のうちに流出させること
ができる。なお、出滓栓5bにガス供給孔5cを設け
て、溶融処理中に出滓口5aの近傍の溶融スラグ4を攪
拌するためのガスを送り、出滓時のスラグ閉塞を防止す
るようにしておくこともできる。
のFe系酸化物が還元され溶融銑鉄2を生成して溶湯溜
め部3に貯溜すると共に、他の重金属類Cr,Ni,C
o,Cu,Mn,Mo等および還元可能なP2 O5 やA
s酸化物等を還元して生じた元素P,As等を溶融銑鉄
2に溶解させることができるようになっている。同時
に、上記の重金属類等を可及的に含まない溶融スラグ4
を生成して溶融銑鉄2の上部に滞留させ、その滞留時間
を十分に確保して脱泡し、ガス含有率が極めて低い溶融
スラグ4とする。
iO2 ,CaO,Al2 O3 を主成分とする溶融スラグ
が生成されるが、その溶融スラグ4のMgO含有量が5
重量%ないし20重量%(以下%と表示する)までの範
囲における目標%もしくはそれに極めて近似した含有%
となるように、MgOを含有する冶金滓や天然鉱物類が
焼却灰に副資材として添加される。これによって、Ca
O−SiO2 −Al2O3 −MgOの四元系とみなすこ
とができるスラグが得られる。そして、四元系相平衡状
態における共晶点に可及的に近似した成分組成に調整す
れば、溶融スラグ4の融点は最も低下しかつ共晶凝固現
象を呈しやすくなる。すなわち、CaO−SiO2 −A
l2 O3 の三元系にMgOを添加すると、該三元系の限
られた共晶点の発生領域を拡大することが可能となる。
は、高炉滓,製鋼滓,フェロニッケル製錬滓やCu製錬
滓等の非鉄冶金滓などであり、天然鉱物類としてはMg
Oの含有率が34%と高い橄欖石(Mg・Fe)2 Si
O4 ,蛇紋岩およびこれらの焼成品が使用される。な
お、MgOを添加するという意味からは、54%前後の
SiO2 を含有するが36%前後のMgOを含有しそれ
らが一旦溶融したフェロニッケル製錬滓が最も好まし
く、その製錬滓の再利用の途も図られて都合がよい。ち
なみに、必要に応じて石灰石CaCO3 やドロマイトC
aCO3 ・MgCO3またはそれらの焼成物などが添加
される。
ら2時間ないし3時間ごとに間歇的に排出された溶融ス
ラグ4を受けるスラグ受け樋9が配置され、それを介し
て熱放散を抑制すべく短時間のうちに溶融スラグ4が鋳
込まれるスラグブロック成形鋳型10が多数配列され
る。この鋳型10はスラグ内に共晶凝固現象に基づいた
一次再結晶を図るためのものであり、断熱性耐火物によ
り形成され、溶融スラグ4が内部まで急速に凝固しない
ように保温してブロック状の鋳造スラグ4Aを成形させ
るような大きさとなっている。すなわち、急冷による非
晶質の発生を抑制したりスラグの内部保有熱の消散を可
及的に少なくすることができればよいので鋳型は金属製
でもよいが、鋳込み面は断熱材耐火物などで覆われ、徐
冷作用の有するものが採用される。
4の排出量に見あった数が必要であり、しかも、スラグ
受け樋9から流下する溶融スラグ4を連続して鋳込まな
ければならない。そのため、各鋳型10はコンベア11
に一列に配置して固定されている。コンベア11は成形
鋳型10を搬送する間に所定量の溶融スラグ4を鋳込む
ことができると共に、共晶凝固させかつその一次再結晶
が完了した直後の鋳造スラグ4Aを脱型させることがで
きる長さに選定される。
に示すように、所望するサイズの鋳造スラグを成形する
に必要な大きさの器であり、(b)示すように、隣りあ
う鋳型10の端部とは重なりあって連続している。各鋳
型10は、その底面に固定されるブラケット10aに取
り付けた無端状チェーン12によって移動される。コン
ベア11の一端まで搬送された鋳型10はチェーン12
が反転する際に図1のごとく転倒姿勢となり、鋳造スラ
グ4Aは成形鋳型10からシュート13上に落とされる
ようになっている。
が設置されている。これは、成形鋳型10から脱型され
た鋳造スラグ4Aが投入される炉体15とその炉体15
内の保温を図る加熱手段16とを有している。そして、
加熱手段16による保温作用と鋳造スラグ4Aの内部か
らの復熱作用とによって残留非晶質部分を二次再結晶さ
せると共に、鋳造による残留内部歪を除去して固化した
スラグの脆弱性を回避し、ガス含有率が極めて低く組織
の緻密な再結晶した人工岩石を生成させるようになって
いる。
であり、成形鋳型10から脱型された800℃ないし
1,200℃の鋳造スラグ4Aを収容する回転炉体15
Aと、鋳造スラグ4Aを保温するための加熱バーナ16
Aとを有している。そして、一次再結晶している鋳造ス
ラグ4Aは、二次再結晶のために900℃ないし1,2
00℃の温度雰囲気に1時間ないし2時間保持される。
は外周を前後のタイヤ15tによって支持され、ギヤー
15m,リングギヤー15nを介して炉体の軸線回りに
矢印17のように例えば1rpm程度で回転される。加
熱バーナ16Aは大きい火炎16aを発生させ、炉体の
裏張り耐火壁15aおよび鋳造スラグ4Aの堆積する表
層を加温するものであり、空気供給管を伴って炉体15
Aの軸線上の炉底部に設置される。炉体は通常水平な姿
勢であるが、鋳造スラグ4Aの装入や二次再結晶の完了
した固化スラグを排出するために、仮想線で示したトラ
ニオン軸15bを中心に破線のごとく傾動できるように
なっている。
て、焼却灰を還元溶融しまた共晶凝固による一次再結晶
ならびに非晶質部分の熱処理による二次再結晶により、
ガス含有率の極めて低い組織の緻密な良質のコンクリー
ト用人工骨材としての人工岩石を合成することができ
る。
合した粉粒状の原料7を、炉蓋1aの装入孔(図示せ
ず)から炉体1bに降ろされた可動電極8を覆うように
供給する。焼却灰を還元溶融精錬すればSiO2 ,Ca
O,Al2 O3 を主成分とする溶融スラグが生成される
が、MgOが5%ないし20%までの範囲における目標
%もしくはそれに極めて近似した含有%の溶融スラグと
なるようにして共晶凝固現象を発現させやすくすべく、
フェロニッケル製錬滓もしくは橄欖石等が、その他の造
滓材と共に焼却灰に添加される。
0%の範囲としているのは、5%以下であるとMgOを
添加する余地が少なく成分調整の範囲に限りが生じるか
らであり、20%を越えるとスラグの溶融温度が高くな
り、溶解エネルギが増大するからである。また、必要に
応じて若干量の石灰石等も加えられ、CaO−SiO2
−Al2 O3 −MgOの四元系相平衡状態における共晶
点もしくはそれに可及的に近似した状態で共晶凝固させ
ることができる組成を有した溶融スラグが得られように
成分調整する。
ブマージドアーク電気溶融により2時間ないし3時間を
かけて溶融還元する。このときの約1,500℃の熱に
より可燃物が燃焼しダイオキシンは分解されまた有害な
Zn等の低沸点物質はガス化して排出される。焼却灰の
粉粒体は比重が小さくかつ電気伝導度も低いが、原料中
にコークスブリーズが配合されているので、そのカーボ
ンが原料7の導電性を向上させて焼却灰が溶融される。
て溶融銑鉄2が生成され、溶湯溜め部3に滞留する。他
の重金属類および還元可能な酸化物類を還元して生じた
元素は溶融銑鉄2中に溶解すると共に、溶融スラグ4が
溶融銑鉄2上に生成される。還元反応によって発生する
COガスは、スラグのフォーミングを促進する。溶融ス
ラグ4上にフォーミングスラグ18が形成され、それと
原料層との境界にカーボン浮遊層19が発生する。
はカーボン浮遊層19で覆われたフォーミングスラグ1
8に臨むように制御され、かつ、アークは常時原料7や
フォーミングスラグ18に覆われたサブマージドの状態
となる。カーボン浮遊層19で発生するアークにより原
料7の加熱のみならず、フォーミングスラグ18から溶
融銑鉄2に至る間での電気抵抗ジュール熱による効率よ
い溶融も実現される。このフォーミングスラグ18の生
成によりアークの発生は極めて少なく、電気抵抗ジュー
ル熱による電力伝達効率の飛躍的に高い値を示す溶融製
錬が可能となるので、電力原単位の低減も図られる。
アーク状態を維持させるべく、原料7が炉蓋1aを経て
可動電極8の周囲に分布するよう逐次追加供給される。
炉床に溜まった溶融銑鉄2は意図的に少量を残し、出銑
口3aから1日ないし2日ごとに溶湯受鍋23に出湯さ
れる。その溶融銑鉄2は、鉄源材として別途利用され
る。
成分等を含まず、その主成分がSiO2 ,Al2 O3 ,
CaO,MgOとなり、サブマージドアーク溶融法の採
用により溶融銑鉄2上に時間を掛けて滞留させることに
よって、ガスをほとんど含まない状態となる。したがっ
て、爾後的に脱泡処理を施す必要もなくなる。溶融スラ
グ4は出滓口5aから排出されるが、出滓栓5bを抜い
て例えば2時間ごとに20分という短時間のうちに排出
される。それゆえ、生成された溶融スラグを少しずつ連
続的に排出する場合に比較して、出滓時の溶融スラグ4
からの熱エネルギの放散量も可及的に抑制される。
るスラグブロック成形鋳型10に、高い熱エネルギを保
有した溶融スラグ4がスラグ受け樋9から熱放散を抑制
すべく短時間のうちに注入される。成形鋳型10は断熱
性耐火物で構成されており、移動している間の溶融スラ
グの急激な冷却は防止され、CaO−SiO2 −Al2
O3 −MgOの四元系相平衡状態における共晶点もしく
はそれに可及的に近似した状態で共晶凝固した鋳造スラ
グ4Aが鋳造される。
O2 が38%ないし55%、Al2O3 が10%ないし
25%、MgOが5%ないし20%であれば、その共晶
点は1,300℃以下である。1,500℃以上の溶融
スラグはスラグブロック成形鋳型10内において1,3
00℃以下まで液状で降温するが、共晶点の温度になる
と一斉に析出を開始し、「相律」に基づいて全組成が再
結晶するまで温度がおのずと保持される。スラグの温度
が低下することのない再結晶中の時間帯は鋳型10が移
動しているコンベア11上にある。再結晶が完了して降
温しはじめた時点で鋳型10が反転部位に到達するよう
にコンベア11の移動速度および搬送距離が定められて
いるので、一次再結晶した鋳造スラグ4Aは脱型された
時点でも高温を保っている。
固しているとはいえ、現実には95%ないし97%の再
結晶となっている。残余は非晶質であって細かいガラス
が点在するので、比較的小さな力を掛けるだけで砕け、
その破片は尖ったものとなりやすい。そこで、成形鋳型
10から脱型された鋳造スラグ4Aはシュート13を経
て直ちに二点鎖線のように持ち上げられた炉体15Aに
装入される。
て予め加熱された状態にあり、鋳造スラグ4Aが所定量
投入されるとシュート13が退避し、回転炉体15Aが
実線の位置に降ろされて1rpm程度の速度でゆっくり
と回転する。加熱バーナ16Aから火炎16aを発生さ
せ、耐火壁15aおよび鋳造スラグ4Aの堆積表層が加
温される。炉体15Aの回転により堆積した鋳造スラグ
4Aの下方へ回り込んだ加熱されている耐火壁15aに
触れたり火炎に直接触れた鋳造スラグ4Aは、例えば9
00℃の均一な温度雰囲気に2時間または1,200℃
の温度雰囲気に1時間保持される。
るとき、その表層が800℃ないし900℃程度まで降
温していても内部は1,100℃ないし1,200℃の
高温であり、加熱バーナ16Aによる1,000℃の保
温中に内部熱が外表に向けて復熱し、表層部に至るまで
残余の非晶質部分の再結晶が図られる。このようにして
二次再結晶の際に鋳造時に生じた内部歪も除去され、ガ
ス含有率の極めて低い組織の緻密な再結晶した人工岩石
が生成される。
を止めて、回転炉体15Aを破線のように持ち上げてト
ラニオン軸15bを中心に傾動し、装入口15cを下方
に向ければ、天然岩石に極めて近い固化スラグ24が排
出される。非晶質を含まない固化スラグは極めて硬く、
破砕しても角が余り立たず表面に凹凸を呈する均質なも
のとなる。なお、コンクリート用人工骨材として使用す
る場合には、適当なサイズに破砕される。
電気溶融炉1Aにおいて還元容易な金属分が除去されて
おり、しかも、ガス含有量が極めて少なくなっている。
電気溶融炉で溶融スラグに付与された熱エネルギは、
「相律」による温度保持作用もあいまって途中での消失
が少ない状態で熱処理工程まで迅速に持ち込まれ、再結
晶のための熱エネルギ消費量も大幅に低減される。
還元溶融することによって溶融銑鉄と溶融スラグを生成
し、その溶融スラグにはFe系酸化物ならびにその他の
重金属類や還元可能な酸化物類が可及的に少なくなり、
重金属類の溶出しないまでに無害化された良質のコンク
リート用人工骨材を製造することができる。その際に生
成した溶融銑鉄は別途利用できるので、金属資源の回収
が図られる。
元系の限られた共晶点の範囲がMgOを添加した四元系
に改質することにより拡大され、四元系相平衡状態で共
晶凝固可能な溶融スラグを生成することができる。Mg
Oを添加することによって溶融スラグの流動性も改善さ
れ、CaOを過剰に添加する必要もなくスラグ融点の低
下にも寄与させることができる。したがって、溶融スラ
グから人工岩石を合成するための後続工程における取り
扱いが容易となり、生成された合成岩石は消化性を伴う
ことなく長期間の性状安定や機械的強度が確保される。
共晶凝固した一次再結晶スラグを熱処理によって僅かな
残余非晶質部分をさらに二次再結晶させるので、天然岩
石に極めて近似した人工岩石を合成することができる。
原料の導電性が高くなって溶融化が促進され、また、カ
ーボンによる還元が実現される。焼却灰は還元性雰囲気
で溶融されるので、溶融スラグが炉床部や出滓部近傍の
耐火物を侵蝕させることもなく、炉寿命は長く保たれ
る。それのみならず、フォーミングスラグの発生を促し
て電力伝達効率の向上による電力原単位の低減に大きく
寄与する。溶融スラグは溶融銑鉄上に時間を掛けて滞留
されるので、その間の脱泡作用によりガス含有率が極め
て低くなり、溶融スラグの爾後的な脱泡操作も不要とな
る。
間出滓と迅速な移行形態により、その間での保有熱エネ
ルギの消散が可及的に抑制される。一次再結晶に消費し
たエネルギの大部分は二次再結晶に利用される。それゆ
え、固化スラグを小粒化しておかなくても、エネルギ消
費を可及的に低減することができ、再結晶のための加熱
エネルギの低減も図られる。
に予めコークスブリーズを配合した粉粒状の原料を電気
溶融炉に装入しているが、焼却灰は極めて細かい粉体で
あることが多い。そこで、MgOが5%ないし20%含
有するまでの範囲における目標%もしくはそれに極めて
近似した含有%の溶融スラグとなるように粉状のフェロ
ニッケル製錬滓もしくは橄欖石等や他の副原料を混入さ
せた後にペレタイザーを用いてペレット状原料としてお
けば、装入時の取扱が容易となり都合がよい。このよう
に、その造粒操作の段階でCaO−SiO2 −Al2 O
3 −MgOの四元系相平衡状態における共晶点もしくは
それに可及的に近似した状態で共晶凝固させることがで
きる組成を有した溶融スラグが得られように成分調整し
ておいてもよいことは述べるまでもない。
却灰をすでに溶融してスラグ化したものであれば、それ
を電気溶融炉で還元溶融するに先立ち、焼却灰の固化ス
ラグと共にコークスブリーズやMgO増補材ならびに副
原料を電気溶融炉に装入したり、予め焼却灰の固化スラ
グにコークスブリーズ,MgO増補材,副原料を配合し
ておいたうえで装入するか、それらをペレット化した後
に装入するというような装入形態を採ることもできる。
アーク抵抗炉であれば三相または単相交流形や直流形の
いずれの形式を採用してもよい。しかし、三相交流形は
電極間でアークの発生する方向に偏りが生じたり、原料
の堆積表層のみを加熱する傾向がある。すなわち、各電
極下で形成される溶融ゾーンのバランスが悪くなり、と
りわけ比重の小さい電気伝導度の低い粉粒状原料の場合
に要求される穏やかな還元溶融は実現されがたく、その
結果、均一な加熱状態を得ることができなくなる。ま
た、単相交流形では常に交流電力が往復するので、原料
の加熱が局部的となる。そこで、炉の構造が簡単で制御
しやすく、また、後述する理由によって電気エネルギの
供給が最も安定する直流電気炉を採用するのが最適であ
る。
に適したサブマージドアーク直流抵抗炉を簡略化して描
いたものであり、炉体1bには可動電極8が挿入される
が、装入される焼却灰にはFe系酸化物等の還元すべき
酸化物の含有量が少ないのが一般的であり、電極の消耗
量は少ない。そこで、人造黒鉛電極よりも操作が容易で
安価な他の種の電極が採用される。なお、炉底にも図示
しない電極が配置されることは言うまでもない。
の電極から給電されて可動電極8との間に印加される電
圧が炉床部にかかり、焼却灰に配合されたコークスブリ
ーズによる導電効果と、比重が小さい電気伝導度の低い
粉粒状焼却灰の還元溶融に必要な静かな加熱溶融作用と
により、原料の溶融が実現される。もちろん、前述した
フォーミングスラグの形成による電力伝達効率の向上に
基因して電力消費も著しく低減する。
図3に示す竪型シャフト炉1Bを採用してもよい。本発
明は、コークス燃焼還元溶融法と同様に、還元剤を用い
て焼却灰を還元溶融して溶融スラグを生成することがで
きればよいからであり、電気溶融炉に比べれば大型化さ
せることが容易であり、溶融スラグ4を連続出滓するこ
ともできるようになる。しかし、従来技術のところで述
べたコークス燃焼還元法において使用される竪型シャフ
ト炉の場合とは異なり、少なくとも、溶湯を貯溜する溶
湯溜め部3と、生成した溶融スラグ4を溶湯上部に滞留
させる溶融スラグ溜め部5とを備えた構造にしておく必
要がある。
ラグ4を溶融銑鉄2とは独立して排出しなければなら
ず、出銑口3aの上方となるように出滓口5aが設けら
れている。副資材を添加したペレット状の原料7やコー
クス塊40はベル41が仮想線のように下げられた状態
で炉体上方から投入され、コークス塊と原料が堆積する
コークスベッド42が形成される。上方部は乾燥・予熱
ゾーン43であり、耐火壁44に開口する空気供給口4
5の近傍は原料の分解・燃焼ゾーン46および溶融ゾー
ン47が上下に形成される。なお、運転中はベル41に
よって炉上部が閉止され、排ガスはダクト48を経て排
出されるようになっている。
溶融スラグ中のFe系酸化物は減少し、溶融銑鉄2は溶
湯溜め部3に溜まる一方、溶融スラグ4は溶融銑鉄2上
で脱泡されるに十分な時間滞留する。電気溶融炉の場合
と同様に副原料としてフェロニッケル製錬滓等が原料7
に混入されるので溶融スラグ4中のMgOが増加し、た
とえコークス中のAl2 O3 が溶融スラグ4に溶解して
も、スラグの流動性の低下は抑制される。すなわち、石
灰石を過剰に添加する必要がなく、それゆえ、出滓した
溶融スラグを上記したように鋳造し熱処理して人工岩石
としても、消化性のない長期にわたって性状の安定した
機械的強度の高い石材とすることができる。
回転炉14Aを採用しているが、それに代えて図4に示
す公知の竪型シャフト炉51を採用することもできる。
スラグブロック成形鋳型から脱型された鋳造スラグ4A
は、内面の全てが裏張り耐火壁で覆われた炉体51Aに
装入シュート52を用いて天井から装入され、熱処理後
の固化スラグ24は炉底部の排出口に設けたクラムシェ
ル式の開閉蓋53を仮想線のように開いて適宜の量が取
り出される。鋳造スラグ4Aの収容量は回転炉の場合よ
りも多くすることが容易であり、それに伴って炉内へ持
ち込まれる熱エネルギも多くなるので、加熱量を節減す
ることができる。
同様に、鋳造スラグ4A内部からの復熱作用によって非
晶質部分の二次再結晶が可能となる。竪型シャフト炉5
1は可動部材がないので大型化が容易であり、処理量を
多くしたり処理時間を長くとることができる。炉内を火
炎で加熱してもよいが鋳造スラグ4Aは堆積状態にある
ので、炉体51Aを取り巻く下部環状通路54から熱ガ
ス発生装置55で発生させた高温ガス56を供給するよ
うにしてもよい。排ガスは上部環状通路57を経て熱ガ
ス発生装置55等へ戻される。
14,51はスラグブロック成形鋳型から脱型した鋳造
スラグが投入されるが、図5に示すような鋳造熱処理炉
61を採用し、鋳造工程と熱処理工程とを一つの保温炉
において行わせることもできる。これは、溶融スラグが
鋳込まれたスラグブロック成形鋳型10をコンベア62
によって通過させるトンネル状の炉体61Aと、炉体内
の保温を図る多数の加熱バーナ63とを有する。そし
て、加熱バーナ63によって生じた900℃ないし1,
200℃の雰囲気での保温作用とスラグブロック成形鋳
型10に鋳込まれて一次再結晶した鋳造スラグ4Aの内
部からの復熱作用とによって残留非晶質部分を二次再結
晶させると共に残留内部歪を除去し、組織の緻密な再結
晶した人工岩石24を生成させることができる。もちろ
ん、炉体61Aやコンベア62の長さやコンベア62の
矢印64方向への移動速度は、溶融スラグ4を一次再結
晶させて鋳造スラグ4Aとし、鋳型10に入れたまま二
次再結晶を完了させることができるように決定される。
主成分とする溶融スラグを生成するに際し、溶融スラグ
のMgO含有量が5%ないし20%までの範囲における
目標%もしくはそれに極めて近似した含有%となるよう
に、MgOを含有する冶金滓等を添加してCaO−Si
O2 −Al2 O3 −MgOの四元系相平衡状態における
共晶点もしくはそれに可及的に近似した状態で共晶凝固
する組成を有した溶融スラグが得られるようにしてい
る。そこで、以下に幾つかの例を挙げる。
MgO系の15%Al2 O3 面の液相温度における相関
係である。辺71の数字はCaOの含有%、辺72の数
字はSiO2 の含有%、辺73はMgOの含有%を示
し、実線や破線は岩石質の境界を表している。数字を含
んだ細い破線上の数字は凝固温度である。そして、点A
は共晶点であり、点Aから点a1 ,a2 ,a3 (図6の
要部を拡大した図7を参照)までの部分は凝固時に再結
晶を誘発させやすい領域にある共晶線である。なお、図
6をはじめとして後述する図8,図10,図12,図1
3は、E. F. Osborn, R. C. DeVries, K. H. Gee, and
H. M. Kraner. ■ Optimum Compositionof Blast Furn
ace Slag as Deduced from Liquidus Data for the Qua
ternary System CaO-MgO-Al2O3-SiO2 ' Trans. AIME, 1
954, v. 200, pp. 33-45. (E.F.オズボーン・R.
C.デブリーズ・K.H.ギー・H.M.クラナー共著
「CaO−MgO−Al2 O3 −SiO2 四元系液相デ
ータから推論した高炉スラグの最適組成」AIME紀要
第200巻33頁ないし45頁)に記載された四元系相
平衡状態図である。
晶させるためには、その共晶凝固温度が1,300℃以
下であることや、溶融スラグの高い流動性に基づいた結
晶分子の移動が容易であることが不可欠となる。そのよ
うな観点からはSiO2 が約55%以下であることや、
人工骨材として使用した場合にアルカリ骨材反応が出や
すくなるフォルステライト結晶が出ないようにすること
が重要である。したがって、アノルサイト・パイロキシ
ン・メリライト三元共晶点の近傍である図中に表示の線
Aa1 ,Aa2 ,Aa3 上の組成となるように造滓材を
調節配合することが必要となることが分かる。
つかの黒い点および他の点B等は凝固温度が最低の1,
300℃以下を示した共晶点もしくはそれに極めて近似
した点の選択例であり、それぞれは表1のような組成と
なっている。なお、表中の選択点A,BにおけるMgO
含有%は前述した目標%であり、選択点a1 ,a2 ,a
3 ,b1 ,b2 は目標%に極めて近似した含有%に相当
する。
ると表2のようになる。いずれの点も四元系相平衡状態
における共晶点もしくはそれに極めて近似した点であ
り、凝固温度すなわち融点の最低温度は1,300℃以
下である。なお、図9は図8中の選択点の近傍を拡大し
たものである。
に表されている。これを纏めると、表3のようになる。
いずれの点も四元系相平衡状態における共晶点もしくは
それに極めて近似した点であり、凝固温度は1,300
℃以下である。なお、点g2 も四元系相平衡状態におけ
る共晶点に極めて近似した点であるが、この場合の凝固
温度は1,330℃ないし1,350℃となっている。
る。これを纏めると、表4のようになる。いずれの点も
四元系相平衡状態における共晶点もしくはそれに極めて
近似した点であり、凝固温度は1,400℃以下であ
る。
35%、SiO2 が36%ないし54%、Al2 O3 が
10%ないし25%、MgOが5%ないし19%である
と、四元系相平衡状態における共晶点に可及的に近似し
た状態で共晶凝固する組成を有した溶融スラグの得られ
ることが分かる。なお、Al2 O3 の含有率は少なすぎ
ても多すぎても溶融スラグの融点が上がることはよく知
られており、5%以下であったり30%を越えると凝固
点の最低温度は約1,400℃以上となる。そのような
場合には焼却灰の溶解温度を上げる必要があり、熱エネ
ルギの消費が増大することになるので避けるべきであ
る。
いて、他にも四元系相平衡状態における共晶点もしくは
それに極めて近似した点が存在する。図6および図7の
15%Al2 O3 の場合、共晶点Cならびに選択点
c1 ,c11を表5のように拾い挙げることができ、その
凝固温度は1,300℃以下である。
合、共晶点Hを表6のように拾い挙げることができ、そ
の凝固温度も1,300℃以下である。
表7のように拾い挙げることができ、その凝固温度は
1,400℃より低い。
て、溶融スラグの粘性も高くなり、次工程である鋳造の
ための溶融スラグの還元溶融炉からの流出操作が不便な
ものとなる。したがって、四元系相平衡状態における共
晶点もしくはそれに極めて近似した点といえども、好ま
しくない共晶点の存在することにも注意しておくべきで
ある。
例えば表8のような組成である。例1および例2は、従
来技術の項で述べた電気溶融法等によって得られたスラ
グの組成として公表されているデータである。そして、
例3は本発明者らのテストに供された焼却灰の組成であ
る。
な組成になる。なお、例1および例2は若干成分調整さ
れているようであり、公表値をそのまま掲げている。
主たる組成がCaO,SiO2 ,Al2 O3 ,MgOと
なると、そのスラグの組成は表10のように書き換えら
れる。
り、例2のAl2 O3 を25%とみなせば図12の点T
となる。点Sは共晶点Fから大きく外れ、点Tは共晶点
Jとはかけ離れている。いずれも凝固するとアノルサイ
トとなり、凝固温度は高い。例3はAl2 O3 が高く好
ましいスラグとは言えない。Al2 O3 を30%とみな
すと図13の点Uとなる。
図中の共晶点となるようにフェロニッケル製錬滓や適量
の造滓材を添加して調整すると、表11の例1Aのよう
になる。例2においても同様に調整すると、例2Aを得
ることができる。また、例3においても同様に調整する
と、例3Aを得ることができる。
る。例3Aは図10中の点uとなり、いずれも共晶点
D,A,Fに一致している。
Aは、それらを成分調整する前の表10の例1,例2お
よび例3のスラグに比べてMgOの多いことが分かる。
逆に言うと、例1,例2および例3は、多元系相平衡状
態における共晶点に可及的に近似した状態で共晶凝固さ
せることができる組成を有していない。それゆえ、それ
らのスラグは凝固温度が高くて加熱エネルギを大量に要
求し、また、出滓後の空冷で急速に冷却が進み、非晶質
を多く残した再結晶の不十分な石材となる。
ないし約14%であり、図8では約7%ないし約19%
である。図10においては約6%ないし約17%であ
り、さらには、図12において約3%ないし約8%であ
ることが分かる。それゆえ、Al2 O3 を約10%ない
し約25%の範囲に止めておくならば、その条件を満た
して溶融スラグを共晶凝固させることができるMgO
は、3%ないし19%となる。しかし、上掲した図6な
いし図12は例示であって、詳細な研究データと、前述
したようにMgOが5%以下であればMgOを添加する
余地が少なく成分調整の範囲に限りが生じることを考慮
すると、溶融スラグのMgOの含有目標%を5%ないし
20%までの範囲における値としておけばよいことを確
認することができた。
石合成処理装置の全体概略構成図。
成形鋳型の部分平面図、(b)はコンベアのチェーンに
取り付けられた成形鋳型の断面図。
断面図。
面図。
15%Al2 O3 面の液相温度における相関係図。
10%Al2 O3 面の液相温度における相関係図。
の20%Al2 O3面の液相温度における相関係図。
の25%Al2 O3面の液相温度における相関係図。
の30%Al2 O3面の液相温度における相関係図。
ト炉、2…溶融銑鉄、3…溶湯溜め部、3a…出銑口、
4…溶融スラグ、4A…鋳造スラグ、5…溶融スラグ溜
め部、5a…出滓口、7…原料、10…スラグブロック
成形鋳型、14…熱処理炉、14A…回転炉、15…炉
体、15A…回転炉体、15a…裏張り耐火壁、16…
加熱手段、16A…加熱バーナ、24…人工岩石、51
…竪型シャフト炉、55…熱ガス発生装置、61…鋳造
熱処理炉、61A…炉体、63…加熱手段(加熱バー
ナ)。
Claims (8)
- 【請求項1】 ごみ焼却灰,下水汚泥乾燥粉,産業廃棄
物焼却灰等の溶融スラグから人工岩石を合成する処理法
において、 還元剤を用いることにより焼却灰を還元溶融して溶融ス
ラグを生成する際もしくはそれに先だち、該溶融スラグ
のMgO含有量が5%ないし20%までの範囲における
目標%もしくはそれに極めて近似した含有%となるよう
にMgOを含有する冶金滓または天然鉱物類を前記焼却
灰に添加し、可及的に低融点となりかつ共晶凝固する組
成を有した溶融スラグが得られるように成分調整する工
程と、 成分調整された上記焼却灰を還元溶融することにより該
焼却灰中のFe系酸化物を還元して生成された溶融銑鉄
を滞留させ、他の重金属類および還元可能な酸化物類を
還元して生じた元素を前記溶融銑鉄中に溶解させると共
に、ガス含有率が極めて低く上記重金属類等を可及的に
含まない溶融スラグを生成して前記溶融銑鉄の上部に滞
留させる還元溶融工程と、 上記溶融スラグを前記溶融銑鉄とは独立して出滓した後
に、溶融スラグを徐冷した状態で共晶凝固現象に基づい
て一次再結晶させる鋳造工程と、 一次再結晶した鋳造スラグを900℃ないし1,200
℃の温度雰囲気に保持することにより、該鋳造スラグ中
に残留する非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内
部歪を除去する熱処理工程と、 を有し、前記溶融スラグからガス含有率の極めて低い、
組織の緻密な再結晶した人工岩石を生成させることを特
徴とする焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理方
法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の鋳造工程と該鋳造工程
に続く熱処理工程とに代えて、前記溶融スラグを前記溶
融銑鉄とは独立して出滓した後に900℃ないし1,2
00℃の温度雰囲気に保持し、共晶凝固現象に基づいて
溶融スラグを一次再結晶させ、かつ、残留する非晶質部
分を二次再結晶させると共に残留内部歪を除去する鋳造
熱処理工程としたことを特徴とする焼却灰溶融スラグか
らの人工岩石合成処理方法。 - 【請求項3】 ごみ焼却灰,下水汚泥乾燥粉,産業廃棄
物焼却灰等の溶融スラグから人工岩石を合成する処理装
置において、 還元剤を用いることにより焼却灰を還元溶融し該焼却灰
中のFe系酸化物を還元して生成された溶融銑鉄に、他
の重金属類および還元可能な酸化物類を元素に還元して
溶解させることができるように溶湯を貯溜すると共に該
溶湯を排出する出銑口を有して炉床に形成される溶湯溜
め部と、ガス含有率が極めて低く上記重金属類等を可及
的に含まない溶融スラグを溶湯上に滞留させると共にそ
の溶融スラグを排出する出滓口を有した溶融スラグ溜め
部とを備える還元溶融炉と、 上記出滓口から排出された溶融スラグが鋳込まれ、共晶
凝固現象に基づいてスラグを一次再結晶させるための断
熱性耐火物により形成されたスラグブロック成形鋳型
と、 該スラグブロック成形鋳型から脱型された鋳造スラグが
投入される炉体と該炉体内の保温を図る加熱手段とを有
し、該保温作用と炉体内に堆積する鋳造スラグの内部か
らの復熱作用とによって残留非晶質部分を二次再結晶さ
せると共に残留内部歪を除去し、組織の緻密な再結晶し
た人工岩石を生成する熱処理炉と、 を備えることを特徴とする焼却灰溶融スラグからの人工
岩石合成処理装置。 - 【請求項4】 請求項3に記載の前記スラグブロック成
形鋳型から脱型した鋳造スラグが投入される熱処理炉に
代えて、溶融スラグが鋳込まれた前記スラグブロック成
形鋳型を通過させる炉体と該炉体内の保温を図る加熱手
段とを有し、共晶凝固現象に基づいてスラグを一次再結
晶させると共に、前記加熱手段による保温作用と前記ス
ラグブロック成形鋳型に鋳込まれて一次再結晶した鋳造
スラグの内部からの復熱作用とによって残留非晶質部分
を二次再結晶させると共に残留内部歪を除去し、組織の
緻密な再結晶した人工岩石を生成する鋳造熱処理炉とし
たことを特徴とする焼却灰溶融スラグからの人工岩石合
成処理装置。 - 【請求項5】 前記還元溶融炉は、電気溶融炉であるこ
とを特徴とする請求項3または請求項4に記載された焼
却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理装置。 - 【請求項6】 前記還元溶融炉は竪型シャフト炉である
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載された
焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理装置。 - 【請求項7】 前記熱処理炉は、前記スラグブロック成
形鋳型から脱型された鋳造スラグが投入される回転炉体
と、該回転炉体の裏張り耐火壁および堆積する鋳造スラ
グを加温する加熱バーナとを有し、炉体の回転により堆
積する鋳造スラグの下方へ回り込んだ前記耐火壁による
加温作用と鋳造スラグ内部からの復熱作用とによって残
留非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内部歪を除
去する回転炉であることを特徴とする請求項3、請求項
5または請求項6のいずれかに記載された焼却灰溶融ス
ラグからの人工岩石合成処理装置。 - 【請求項8】 前記熱処理炉は、前記スラグブロック成
形鋳型から脱型された鋳造スラグが投入される裏張り耐
火壁を備えた炉体と、該炉体内で堆積する鋳造スラグを
加温する熱ガス発生装置とを有し、前記鋳造スラグ内部
からの復熱作用によって残留非晶質部分を二次再結晶さ
せると共に残留内部歪を除去する竪型シャフト炉である
ことを特徴とする請求項3、請求項5または請求項6の
いずれかに記載された焼却灰溶融スラグからの人工岩石
合成処理装置。
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JP27354195 | 1995-09-26 | ||
JP08026154A JP3135042B2 (ja) | 1995-09-26 | 1996-01-18 | 焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理法および装置 |
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