JPH0216120Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、産業廃棄物やゴミ等の焼却用として
用いられる焼却炉に関する。

（従来の技術） 焼却炉は、炉本体の燃焼室内に被焼却物たる廃
棄物等を収容し、これを燃焼室内に空気供給口か
ら空気を供給しながら燃焼バーナで焼却し、排熱
を排気口から外部に導くように形成されている。

この場合、従来では、廃棄物等を燃焼室に収容
するに際し、まず、燃焼室の扉体を開け、次に燃
焼室内に廃棄物等を搬入し、その後扉体を閉鎖し
て燃焼室内を密封し、この状態で焼却作業を行な
い、焼却後は、前述とは逆に、扉体を開放したの
ち、焼却後の廃棄物等を燃焼室内から搬出すると
いう作業を行なうものであつた。

又、炉本体は、外部壁体の内面に耐火キヤスタ
ブルが内張りされた壁構造に形成されているが、
従来では、その外部壁体がフラツトな鋼板で組み
立てられたものであつた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、従来の焼却炉にあつては、上述
のように、被焼却物の燃焼室に対する搬入、搬出
作業に際し、その搬入、搬出作業を扉体の開閉作
業とは別作業で行なう必要があり、それだけ作業
工数が多くなつて作業能率が悪いという問題があ
つた。

又、従来の炉本体は、外部壁体がフラツトな鋼
板を用いたものであるため、焼却時の熱によつて
耐火キヤスタブルが熱膨張した際、その熱膨張に
伴う伸びを外部壁体が吸収しきれず、このため耐
火キヤスタブルと外部壁体との間に剪断力が生じ
て、耐火キヤスタブルが外部壁体から剥離した
り、外部壁体が溶接部等から破損してしまうとい
う重大な問題があつたし、又、外部壁体が鋼板を
溶接によつて組み立てていくものであるため、そ
の製作に多大な費用と手間が掛るという問題があ
つた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上述のような従来の問題点を解決す
るためになされたもので、そのために本考案の焼
却炉では、内部が燃焼室に形成され、かつ燃焼室
内に臨んで燃焼バーナ及び空気供給口が設けられ
るとともに、燃焼室から外部に向けて排気口が形
成された炉本体を備え、前記炉本体は外部壁体の
内面に耐火キヤスタブルが内張りされ、かつ一壁
面に形成した開口部に扉体が開閉可能に設けられ
ると共に、扉体には該扉体の開閉動作に伴つて燃
焼室に出入りする焼却物台車が一体に固着され、
かつ前記炉本体の外部壁体が壁面にビードが形成
された鉄道用貨車を用いて形成された構成とし
た。

（作用） 本考案の焼却炉では、扉体と焼却物台車とが一
体に固着されているので、扉体を開放すれば、こ
れに伴つて焼却物台車が燃焼室内から外部に引き
出され、又、扉体を閉鎖すれば、これに伴つて焼
却物台車が燃焼室内に押し込まれる。

従つて、扉体を開放した焼却物台車の引出状態
で、該焼却物台車上に被焼却物としての廃棄物等
を載せ、次に扉体を閉鎖すれば、同時に焼却物台
車が燃焼室内に押し込まれて廃棄物等を焼却室内
に収容することができ、又、焼却後は扉体を開放
すれば、同時に焼却物台車が燃焼室内から引き出
され、焼却後の廃棄物等を取り出すことができ
る。

又、炉本体の外部壁体には、壁面にビードが形
成された鉄道用貨車が用いられており、このビー
ドは、本来、壁面の剛性を高めるためと、カーブ
走行時に受ける曲げ歪を吸収するためのものであ
る。

従つて、この鉄道用貨車を炉本体の外部壁体に
使用すると、ビードによつて壁面の強度向上が得
られるし、焼却時の熱によつて耐火キヤスタブル
が熱膨張した際の伸びがビードによつて吸収さ
れ、外部壁体と耐火キヤスタブルとの間に剪断力
が生じることはない。

又、鉄道用貨車は払い下げ品を使用することに
なるため、安価に入手することができ、製作コス
ト、製作手間が大幅に省ける。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面により詳述する。

本実施例では、廃棄物処理装置Ａに設けられた
廃棄物ガス化焼却炉１を焼却炉の例とする。

廃棄物処理装置Ａは、第１図に示すように、廃
棄物ガス化焼却炉１と、ロータリキルン２との組
み合せよりなる。

廃棄物ガス化焼却炉１は、炉本体１０、扉体１
１、焼却物台車１２を主な構成として備えてい
る。

炉本体１０は、内部が燃焼室１０１に形成さ
れ、かつ外部壁体１０２の側壁内面及び上壁内面
がそれぞれ耐火キヤスタブル１０３によつて内張
りされると共に、奥壁内面が耐火レンガ１０４に
よつて内張りされ、かつ正面壁が被焼却物の例で
ある廃車Ｂの出し入れ用の開口部１０５として開
口され、そして、前記外部壁体１０２が、各壁面
にそれぞれビード１０６が形成された国鉄払い下
げの鉄道用貨車を用いて形成されている。

又、この炉本体１０には、燃焼室１０１の下部
に臨んで燃焼バーナとしての着火バーナ１３が設
けられ、かつ両側壁の上部及び下部を貫通して複
数の空気供給口１４が燃焼室１０１内に臨んで設
けられ、該空気供給口１４は炉本体１０の側壁外
面に沿つて配管された空気管１４１に接続され、
更に、奥壁には排気口としての熱分解ガス排出口
１５が燃焼室１０１から外部のロータリキルン２
に向けて開口され、かつ燃焼室１０１の底面に
は、燃焼室１０１から炉外に延在して２条のレー
ル１６，１６が敷設されている。尚、１１０，１
１０は火よけ板である。

扉体１１は、炉本体１の開口部１０５に開閉可
能に設けられ、その内面には耐火キヤスタブル１
１１が内張りされている。

焼却物台車１２は、廃車Ｂを燃焼室１０１内に
出し入れするための台車で、台枠１２１内に耐火
キヤスタブル１２２が充填された台板１２３を有
し、該台板１２３の下面前後部に、車輪１２４，
１２４を有する車軸１２５，１２５が軸架され、
該車輪１２４，１２４が前記レール１６，１６上
に載置されて、燃焼室１０１内と炉外との間で移
動可能に設けられ、かつこの焼却物台車１２の一
端部と前記扉体１１の下端部とが一体的に固着さ
れている。

尚、１７は台車用駆動モータで、焼却物台車１
２の一端部が扉体１１から外部に延在した延出部
１２６に搭載され、この駆動モータ１７からの回
転動力は、減速機１７１を介して伝達チエン１７
２により前軸１２５，１２５にそれぞれ伝達され
る。

又、１８は配線用巻取りドラムで、炉本体１０
の奥壁外面の下部に設けられ、駆動モータ１７用
の電気配線１８１は、炉本体１０の底面を通つた
のち、奥壁下端部に形成した切欠穴１８２からこ
の巻取りドラム１８に巻取られている。

又、１９は冷却空気取り入れ口で、炉本体１０
の奥壁に開口され、焼却作業時は燃焼室１０１内
にある焼却物台１２の先端面で閉塞され、焼却後
は焼却物台車１２の引き出しに伴つて開放し、冷
却空気を燃焼室１０１内に取り込む。

次に、ロータリキルン２は、回転ドラム２０、
廃棄物の投入側開閉ドア２１、非溶解物の排出側
開閉ドア２２、排ガス処理装置２３、バイブレー
タ装置２４を主な構成として備えている。

回転ドラム２０は、廃棄物投入側から排出側に
向けてその内径が漸次大きくなるように形成する
ことで、その内底面が下り傾斜状に形成された溶
解室２０１が内部に形成され、該溶解室２０１の
内周面には耐熱コンクリート２０２が内張りさ
れ、かつこの溶解室２０１の内周面には複数枚の
撹拌板２０３が突設されている。

又、この回転ドラム２０は、外周に設けたガイ
ド輪２０４が基台３に設けた受けローラ３１によ
つて回転可能に支持され、かつ外周に形成された
大ギヤ２０５が駆動装置に連動するスプロケツト
（図示せず）に噛合することによつて回転する。

廃棄物の投入側開閉ドア２１は、回転ドラム２
０の廃棄物投入口２０６を開閉するもので、廃棄
物投入口２０６に対向して設けられ、ワイヤ２１
１を介してウインチ等の巻き上げ手段により昇降
する。

非溶解物の排出側開閉ドア２２は、回転ドラム
２０の排出側開口部２０７を開閉するもので、回
転ドラム２０の排出側端面２０８との間に溶解金
属流出用の小間隙Ｓを保持した対向状態で設けら
れ、ワイヤ２２１を介してウインチ等の巻き上げ
手段によつて昇降する。

又、この排出側開閉ドア２２には、上部に回転
ドラム２０の溶解室２０１と煙突２５とを連通さ
せる排ガス口２２２が形成され、かつ下部には、
溶解室２０１と前記廃棄物ガス化焼却炉１の熱分
解ガス排出口１５とを連通させる火焔供給口２２
３が形成され、前記熱分解ガス排出口１５には、
ロータリキルン２の溶解室２０１内に向けて燃焼
用空気管２６が設けられている。

又、前記溶解金属流出用の小間隙Ｓの下方に
は、インゴツトケース２７が配設されると共に、
小間隙Ｓから落下する鉄粉等を飛散させるための
ブロア２８が設けられている。

排ガス処理装置２３は、煙突２５の途中に設け
られるもので、処理室２３１の一側上部に排ガス
供給口２３２が開口されると共に、処理ガス排出
管２３３が処理室２３１内に延在して、その下端
口２３４が下方に向けて開口され、かつ処理室２
３１の底部にはオーバーフロー口２３５で一定水
量に保持される水２３６が収容され、該水２３６
中に設けたポンプ２３７から散水管２３８が処理
室２３１内に立ち上げられた構造となつている。
尚、２３９は給水管である。

バイブレータ装置２４は、排出側開口部２０７
から排出される非溶解廃棄物同士が、残留溶解金
属の冷却固化によつて接着して塊状に固まらない
ように分離させるためのもので、排出側開口部２
０７の下方に取出しシユート２４１が設けられ、
該取出しシユート２４１の下方に、コイルスプリ
ング２４２により吊持状態に弾性支持されると共
に、偏心モータ等の振動発生装置（図示せず）に
より振動が付与される本体シユート２４３が設け
られ、該本体シユート２４３の下方に受け容器２
４４が設けられている。

次に、本実施例の作用を説明する。

まず、廃棄物ガス化焼却炉１においては、扉体
１１の開放と共に焼却物台車１２を炉外に引き出
し、この状態で焼却物台車１２上に被焼却物とし
ての廃車Ｂを載置させたのち、扉体１１の閉鎖と
共に焼却物台車１２を燃焼室１０１内に押し込
む。

次に、この状態で着火バーナ１３により廃車Ｂ
に着火させ、各空気供給口１４から廃車Ｂがガス
化燃焼する程度の空気量を供給すると、一定の立
ち上がり時間の経過と共に燃焼室１０１内の温度
が500〜600℃程度に上昇し、乾留状態となる。

この乾留状態では、廃車Ｂ中のゴム、プラスチ
ツク等から熱分解ガスが発生し、このガスは熱分
解ガス排出口１５から火焔供給口２２３を経てロ
ータリキルン２の回転ドラム２０の溶解室２０１
内に流入し、このとき、燃焼用空気管２６から空
気を吹き込むことによつて熱分解ガスが急激に燃
焼を開始し、その火焔が溶解室２０１内に噴射供
給される。

又、燃焼室１０１内での廃車Ｂの焼却が終つた
のちは、扉体１１の開放と共に焼却物台車１２を
引き出し、焼却物台車１２から焼却後の廃車Ｂを
取り下ろすことになる。

従つて、本実施例の廃棄物ガス化焼却炉１で
は、焼却物台車１２が扉体１１を一体に固着され
ていることから、扉体１１の開閉作業と焼却物台
車１２による廃車Ｂの出し入れ作業が同時に行な
える。

又、燃焼室１０１内での焼却に伴う熱によつて
耐火キヤスタブル１０３が熱膨張する際の伸びに
対し、炉本体１０の外部壁体１０２は、その側壁
面及び上壁面に形成されたビード１０６がこれに
追従して伸びることになるため、耐火キヤスタブ
ル１０３と外部壁体１０２との間に剪断力が生じ
ることはなく、又、このビード１０６によつて外
部壁体１０２の剛性が向上すると共に、又、この
外部壁体１０２に国鉄払い下げの鉄道用貨車を用
いているため、これに若干の加工を加えるだけで
外部壁体１０２として使用できるし、安価に入手
できる。

次に、ロータリキルン２においては、廃棄物投
入口２０６から自動車エンジン等の廃棄物を回転
ドラム２０の溶解室２０１内に投入し、これを前
記した火焔供給口２２３からの火焔によつて加熱
して、含有するアルミ合金等を溶解し、これを分
離回収する。

この場合、溶解室２０１内に投入された廃棄物
は、回転ドラム２０の回転作用と、撹拌板２０３
による掻き上げ作用とによつて溶解室２０１内を
転動しながら廃棄物排出側へ移行し、その移行方
向と対向する方向からの火焔によつて加熱される
ことから、全体が均一に加熱されると共に、効果
的に火焔を受けることになり、溶解金属の溶解分
離が効率よく行える。

尚、溶解室２０１内の排ガスは、排ガス口２２
２を通つて煙突２５内に吸引され、その途中にお
いて排ガス処理装置２３により清浄化されるもの
で、この場合、排ガス供給口２３２から流入した
排ガスは、処理室２３１内で散水管２３８から水
２３６をシヤワーされ、このシヤワーによつて塩
化水素等の有害ガス成分を除去されたのち、下端
口２３４から処理ガス排出管２３３を通つて外気
に放出される。

そして、上述のようにして廃棄物から溶解され
たアルミ合金等の溶解金属は、回転ドラム２０内
を傾斜に沿つて廃棄物排出側へ流下し、排出側開
口部２０７から小間隙Ｓを通つて外部に流れ落
ち、インゴツトケース２７内に収容される。この
とき、小間隙Ｓからは同時に鉄粉等も落下する
が、この鉄粉等はブロア２８からの風によつと吹
き飛ばされ、これがインゴツトケース２７内に落
下するのは防止される。

又、回転ドラム３０内の非溶解廃棄物は、傾斜
に沿つて廃棄物排出側へ移行し、これが排出側開
口部２０７に溜つた時点で排出側開閉ドア２２を
開放すると、この非溶解廃棄物は取出しシユート
２４１から本体シユート２４３上に落下し、ここ
で振動を受けて塊状に固まるのを防止され、分離
状態のまま受け容器２４４に回収される。

尚、前記排出側開閉ドア２２は排出側開口部２
０７の下半分が開口するように開放され、この状
態では火焔供給口２２３を介して溶解室２０１と
煙突２５とが連通し、排ガスはこの火焔供給口２
２３を通つて煙突２５に吸引されることから、廃
棄物ガス火焼却炉１の運転を停止させることな
く、廃棄物処理装置Ａの連続運転が可能になる。

以上、本考案の実施例を図面により説明した
が、本考案の具体的な構成は前記した実施例に限
定されることはなく、考案の要旨を逸脱しない範
囲の設計変更等があつても本考案の技術的範囲に
含まれる。

例えば、実施例では、焼却炉を、廃棄処理装置
の廃棄物ガス化焼却炉とした場合を示したが、炉
本体の燃焼室内でゴミや廃棄物を完全に燃焼させ
る焼却炉としてもよい。

（考案の効果） 以上説明してきたように、本考案の焼却炉にあ
つては、焼却物台車と扉体とが一体に固着されて
いるので、扉体の開閉に伴つて同時に焼却物台車
を燃焼室内に出入りさせることができ、被焼却物
である廃棄物等の収容、取り出し作業が能率よく
行なえるという効果が得られる。

又、炉本体の外部壁体が、壁面にビードを有す
る鉄道用貨車を用いて形成されているので、その
外部壁体の製作コストや製作手間が大幅に省ける
し、又、ビードによつて強度向上を図りながら、
焼却時の熱によつて耐火キヤスタブルが熱膨張し
た際の伸びをビードによつて吸収することがで
き、耐火キヤスタブルの伸びに伴なう耐火キヤス
タブルと外部壁体間の剪断力発生を防止して、耐
火キヤスタブルの剥離や外部壁体の破損といつた
不具合を防止できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の廃棄物処理装置を示す
断面図、第２図は第１図−断面図である。 １：廃棄物ガス化焼却炉（焼却炉）、１０：炉
本体、１１：扉体、１２：焼却物台車、１０１：
燃焼室、１０２：外部壁体、１０３：耐火キヤス
タブル、１０５：開口部、１０６：ビード、１
３：着火バーナ（燃焼バーナ）、１４：空気供給
口、１５：熱分解ガス排出口（排気口）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内部が燃焼室に形成され、かつ燃焼室内に臨ん
   で燃焼バーナ及び空気供給口が設けられるととも
   に、燃焼室から外部に向けて排気口が形成された
   炉本体を備え、 前記炉本体は外部壁体の内面に耐火キヤスタブ
   ルが内張りされ、かつ一壁面に形成した開口部に
   扉体が開閉可能に設けられると共に、扉体には該
   扉体の開閉動作に伴つて燃焼室に出入りする焼却
   物台車が一体に固着され、かつ前記炉本体の外部
   壁体が壁面にビードが形成された鉄道用貨車を用
   いて形成されていることを特徴とする焼却炉。