JPS635124B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ 本発明は、例えば真空掃除機や自動車用エアク
リーナ等に使用されるフイルタエレメントの製造
方法に関する。

≪従来の技術≫ 従来のフイルタエレメントとしては、例えば自
動車用エアクリーナに用いるものを第１図に概略
的に示しており、同図では蛇腹状に折曲したエレ
メント素材１を全体的に環状としたフイルタエレ
メント２を有し、このフイルタエレメント２をク
リーナケース３内に収納して、このクリーナケー
ス２の側壁に設けられた空気取入口２ａから導入
された外気を前記フイルタエレメント２に通過さ
せて濾過し、そして図外の内燃機関の吸気通路４
へと供給するようになつている。

ところで、前記フイルタエレメント２の製造方
法としては、その上下端にエンドプレート５，５
ａを接着して閉止しており、空気の濾過はこれら
のエンドプレート５，５ａ間の前記エレメント素
材１のみで行なわれるようになつている。しか
し、このような従来のフイルタエレメント２にあ
つては、エンドプレート５，５ａが鋼板等で形成
される関係上、重量の増加が来たされると共に、
エレメント素材１の側面だけしか濾過に利用して
いないので、濾過面積が余り大きくなく、これを
拡大しようとすると必然的にフイルタエレメント
２の大型化が余儀なくされてしまうという問題点
があつた。

そこで、例えば実開昭48−69472号公報に開示
されているように、蛇腹状に折曲したエレメント
素材を途中から折曲してＬ字状とし、この折曲端
部が中央に集束するように素材の両端を接合して
有底濾筒となすフイルターが提案されており、こ
のフイルターによればエンドプレートの一方が不
要になるとともに、濾過面積の増加が図れる。

しかしながら、上記公報のフイルターでは、エ
レメント素材の中心部を閉塞しなければならず、
エレメントの組立が複雑となるだけでなく、濾過
面積の増加も十分でなかつた。

一方、このような問題点を解決する技術とし
て、フイルタエレメントの一方のエンドプレート
を廃止し、エレメント素材の側面だけでなく上面
も濾過に利用するフイルタの製造方法が、特公昭
37−6474号公報、特公昭53−879号公報に開示さ
れているが、これらの製造方法には以下に説明す
る問題があつた。

≪発明が解決しようとする問題点≫ すなわち、前述した公報に開示されている技術
は、いずれも濾材繊維を液中で混ぜて、これを型
に吹き付けないしは沈積することでフイルタエレ
メントを製造する方法であつて、このような方法
で製造されたフイルタエレメントは、濾材の層厚
や密度が小さく、短期的に使用する防煙マスクな
どのフイルタとして使用できても、例えば自動車
用エアクリーナのように長時間継続して使用する
フイルタには、そのままこの技術を適用できなか
つた。

本発明はかかる従来の問題点に鑑みて、エレメ
ント素材の折り方を工夫することによつて一方の
エンドプレートを廃止し、かつ、濾過面積の増大
を図るようにしたフイルタエレメントの製造方法
を提供することを目的とする。

≪問題点を解決するための手段≫ かかる目的を達成するために本発明のフイルタ
エレメントの製造方法では、１枚のシート状濾紙
に所定の間隔を置いて山折線と谷折線と交互に設
け、これらの山折線、谷折線と直交し前記濾紙の
中央および両端にそれぞれ中央折線および端部折
線を設け、この端部折線と前記山折線ないしは谷
折線との交点から前記濾紙の内方または外方に山
形状の一対の鋸歯状折線を形成し、前記濾紙を山
折線と谷折線で折曲した状態で、前記端部折線と
前記濾紙の両端縁との間の部分を各鋸歯状折線を
介して同一方向に直角に折曲げて一対の側壁部を
形成した後、この側壁部の両端を相互に接着して
環状となし、前記側壁部の下縁に枠板を接着する
ことを特徴とする。

≪実施例および作用≫ 以下本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明
する。

第２，３図は本発明の実施によつて製造された
フイルタエレメント１０を示しており、このフイ
ルタエレメント１０は第４図Ａに示すように、ま
ず１枚のシート状のエレメント素材１１に図中破
線で示す山折線１１ａと、図中二点鎖線で示す谷
折線１１ｂ方向とを交互に設ける（尚、以下同様
に山折線を破線、谷折線を二点鎖線で示す）。

そして、これら各折線１１ａ，１１ｂ方向に沿
つたエレメント素材１１の両端部に、前記山折線
１１ａ谷折線１１ｂと同様に山、谷折りされる折
線１１ｃ，１１ｄを設けるとともに、上記山折線
１１ａ、谷折線１１ｂと直交する中央折線および
一対の端部折線１１ｆ，１１ｆを設ける。

さらに、各端部折線１１ｆ，１１ｆの外方に山
形状の鋸歯状折線１１ｅ，１１ｅをそれぞれ設け
る。

以上のようにして各折線１１ａ〜１１ｅを形成
したならば、まず、第４図Ｂに示すように、山折
線１１ａ、谷折線１１ｂを介してエレメント素材
１１を蛇腹状に折曲する。

次いで、上記端部折線１１ｆ，１１ｆとエレメ
ント素材１１の両端縁との間の部分を、それぞれ
鋸歯状折線１１ｅ，１１ｅを介して下方に直角に
折曲げて一対の側壁部１２，１２を形成する（第
４図Ｃ参照）。

そして、前記蛇腹状折曲部の中央折線（図中一
点鎖線で示す）を中心として、側壁部１２，１２
の両端を相互に近接する方向に折り曲げ、第４図
Ｄに示すように、前記折線１１ａ，１１ｂがその
中心から外方に放射状に延長されて全体的に円形
状とし、前記側壁部１２の前記各折線１１ａ，１
１ｂに対し直行する方向の両端、およびこの両端
と連続する中央蛇腹部１３の両端を接合し、この
接合部はシール材により密封する。このように折
曲形成されたエレメント素材１１は、側壁部１２
が環状となり該側壁部１２の一端（上端）は前記
中央蛇腹部１３により閉止されたものとなる。

そして、このエレメント素材１１の下端開口縁
部に、前記第２，３図に示すようにエンドプレー
トとしてのリング状の枠板１４を装着する。この
枠板１４は前記側壁部１２の外径より大径に形成
され、この大径部分を取付用のフランジ１４ａと
してある。

以上のようにして製造されたフイルタエレメン
ト１０は、第５，６図に示すように有底筒状のケ
ース本体２０とこのケース本体２０の上端開口部
を閉止するカバー２１とによつて構成されるクリ
ーナケース２２内に収納される。前記ケース本体
２０の側壁２０ａには空気取入口２３が形成さ
れ、かつ、該ケース本体２０の底面２０ｂ中央に
は図外の吸気通路に連通される空気供給口２４が
形成されている。そして、前記フイルタエレメン
ト１０の枠板１４は前記空気供給２４の周縁に同
心状に配置されてフランジ１４ａが前記底面２０
ｂにビス２５止めされる。このとき、エレメント
素材１１の中央蛇腹部１３と前記カバー２１との
間には適宜間隔が設けられるようになつている。

さて、以上の各工程で製造された本実施例のフ
イルタエレメント１０にあつては、エレメント素
材１１が１枚のシート状素材を折曲することによ
つて環状の側壁部１２と、この側壁部１２の上端
を閉止する中央蛇腹部１３が形成され、クリーナ
ケース２２の空気取入口２３から導入された外気
は、前記側壁部１２および前記中央蛇腹部１３を
通過して空気供給口２４に供給される。従つて、
空気の濾過機能は側壁部１２のみならず中央蛇腹
部１３全体が有し、濾過面積が著しく増大され
る。尚、前記中央蛇腹部１３は蛇腹状折曲部が補
強部となつてその撓みが防止され所定形状が保持
される。

ところで、前記実施例にあつては中央蛇腹部１
３が略円形状となるものを開示したが、これに限
ることなく第７図に示すよう蛇腹部中央の集結度
合を少なくして中央蛇腹部１３が楕円形となるよ
うに形成してもよい。この場合側壁部１２も楕円
形となり、これに伴つて枠板１４の形状も楕円形
となる。

第８図Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄは本発明の他の実施例を
示し、シート状のエレメント素材３０の山折線３
０ａ、谷折線３０ｂに直交する端部折線３０ｄ，
３０ｄの内方に、鋸歯状折線３０ｃ，３０ｃを設
けこれらの折線を介して、第４図Ａ〜Ｄと同じよ
うな手順により折曲して一対の側壁部３１，３１
を形成する。尚、この側壁部３１の各折線３０
ｅ，３０ｆは前記実施例と同様に前記山折線３０
ａ、谷折線３０ｂの延長部に対応する線が同様に
山折りおよび谷折りとなつている。そして、前記
実施例と同様に蛇腹状折曲部の中央（図中一点鎖
線）を中心として、側壁部３１，３１の両端をそ
れぞれ相互に近接する方向に折り曲げ、側壁部３
１および中央蛇腹部３２の各端を接合する。この
ように折曲して製造されたエレメント素材３０を
用いることによつても前記実施例と同様の機能を
有することができる。

第９図は、フイルタエレメント１０の他の使用
例を示すもので、クリーナケース４０がケース本
体４１の底面４１ａに形成された空気取入口４２
からカバー４３に形成された空気供給口４４に向
かつて軸方向に空気が流れるようになつており、
前記ケース本体４１と前記カバー４３の間にフイ
ルタエレメント１０のフランジ１４ａを取付けて
ある。もちろん、この場合にあつてもフイルタエ
レメント１０の側壁部とケース本体４１の側壁と
の間には適宜間隔を設け、空気取入口４２から導
入された外気はフイルタエレメント１０の側壁部
と、中央蛇腹部とを通過して空気供給口４４に供
給されるようになつており、濾過面積の著しい増
大が図れる。

≪発明の効果≫ 以上説明したように本発明のフイルタエレメン
トの製造方法にあつては、１枚のシート状エレメ
ント素材を折曲することによつて環状の側壁部の
一端が中央蛇腹部によつて閉止されるため、当該
端部のエンドプレートが不用となる。従つて、フ
イルタエレメントの軽量化が達成され、部品点数
の削減と相俟つて低コスト化を図ることができ
る。また、前記側壁部と前記中央蛇腹部全体とが
濾過機能を有するため、濾過面積の著しい増大が
行われ、フイルタエレメントの小型化が達成でき
るという各種優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のフイルタエレメントの取付状態
を示す概略図、第２図は本発明方法の実施により
得られるフイルタエレメントの斜視図、第３図は
第２図のフイルタエレメントの部分断面側面図、
第４図Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄは本発明のエレメント素材
の折り方の一実施例を順を追つて示す説明図、第
５図は第２図のフイルタエレメントの取付状態を
示す断面平面図、第６図は第５図の横断面図、第
７図は本発明の他の実施例によつて製造されたフ
イルタエレメントの斜視図、第８図Ａ，Ｂ，Ｃ，
Ｄは本発明のエレメント素材の折り方の他の実施
例を順を追つて示す説明図、第９図は本発明のフ
イルタエレメントの取付状態の他の例を示す断面
側面図である。 １０……フイルタエレメント、１１，３０……
エレメント素材、１１ａ，３０ａ……山折線、１
１ｂ，３０ｂ……谷折線、１２，３１……側壁
部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ １枚のシート状濾紙に所定の間隔を置いて山
   折線と谷折線と交互に設け、これらの山折線、谷
   折線と直交し前記濾紙の中央および両端にそれぞ
   れ中央折線および端部折線を設け、この端部折線
   と前記山折線ないしは谷折線との交点から前記濾
   紙の内方または外方に山形状の一対の鋸歯状折線
   を形成し、前記濾紙を山折線と谷折線で折曲した
   状態で、前記端部折線と前記濾紙の両端縁との間
   の部分を各鋸歯状折線を介して同一方向に直角に
   折曲げて一対の側壁部を形成した後、この側壁部
   の両端を相互に接着して環状となし、前記側壁部
   の下縁に枠板を接着することを特徴とするフイル
   タエレメントの製造方法。