JPS63509Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車等車両の後席をリクライニング
可能とするシートバツクのホイールハウス対向部
にホイールハウスを収容する抉り部を設けるもの
において、シートバツク前起し位置にてホイール
ハウス上面部に生ずるすきまを防止する装置に関
する。

従来自動車の後席をリクライニング可能とする
ものは、シートバツクのホイールハウスと対向す
る部分に抉り部が設けるが、この抉り部の上部は
車幅外方向へ突出する突出状シート部を形成す
る。このようなリクライニングシートバツクにお
いては、第１図に示すようにシートバツク２のリ
クライニング状態（２点鎖線で示す）から実線で
示す前起こし時に抉り部３の上部が露出（破線で
示す斜線部分）する。すなわち、突出状シート部
４の下側面４ｂとホイールハウス１の上面部１ａ
との間にすきま３ａが生じるので甚だ不体裁であ
るし、美的感覚を甚だ落す。しかるに前述したシ
ートバツク２の前起こし時に生ずるすきま３ａに
対してはこれまでは何らの対策が講じられていな
いのが実状である。

本考案は上記に鑑みなされたもので、突出状シ
ート部の外側すなわち車幅方向の側面にＶ形スプ
リングを内蔵した扁平袋を装着し、さらに扁平袋
の外面に板状の可撓性パツドを介して外面カバー
を一体に取付け、同外面カバーのパツドより下方
に延びる端縁は突出状シート部の下側面に取付
け、シートバツクの前起こし時にはＶ形スプリン
グのばね力で扁平袋の下端縁は下方へ張り出され
ホイールハウス上面部に生じるすきまを覆うよう
に構成したものである。

以下、本考案を第２図以下図面に示す一実施例
について説明する。

図において、１はホイールハウス、２はシート
バツク、３は抉り部、４は突出状シート部を示
す。この突出状シート部４の車幅外方向の側面の
断面形状は第３図で示すように下部を切欠いた段
差をなし、この段差下の側面４ａにＶ形スプリン
グ５（第６図参照）を内蔵する扁平袋６を添着す
る。扁平袋６の下側辺はシートバツク２の前起こ
し位置においてホイールハウス１上面に達する長
さとする。

扁平袋６内に収容されたスプリング５の一側腕
５ａは固定腕として扁平袋６の端部と共に突出状
シート部４の背当り２ｂ（第２図参照）寄りに一
側腕５ａ自身の軸周りに回動不能に固定される。

実施例では一側腕５ａはその先端がＰ形に形成
され縫紐で袋布に縫い付けられている。スプリン
グ５の他側腕５ｂは扁平袋６の下側辺に向つて張
り出すように付勢される自由腕である。

扁平袋６の車幅外方向の外面には板状の可撓性
パツド７が装着され、さらにその外面には外面カ
バー８ａが取付けられていて、外面カバー８ａの
上端縁はシートバツク全体を被覆する本体カバー
８と扁平袋６の上端辺（Ａ部）にて縫合されパツ
ド７より下方に延びる延長部８ｂの端縁は突出状
シート部４の下側面４ｂに取付けられている。

上記構成においてその作用について述べる。

シートバツク２が前起こし位置にあるとき（第
２図、第３図参照）扁平袋６はスプリング５の他
側腕５ｂの張出しによつて一ぱいに下方に延び抉
り部３によつて形成されるすきま３ａ（第１図参
照）を覆う。しかして外面カバー８ａの裏側には
可撓性パツド７が添着され、外面カバー８ａは多
少の剛性をもつており、外面カバー８ａにしわが
できたり、たるむようなことはない。又スプリン
グ５の一側腕５ａは固定されているため他側腕５
ｂは真直ぐに下方へ張り出され、扁平袋６は正し
い垂直の状態に保持される。

次にシートバツクの前起こし状態からリクライ
ニングした場合について第４図、第５図について
説明する。

ホイールハウス１にシートバツク２が所定角度
に倒れ近接することは、相対的にはシートバツク
２の突出状シート部４にホイールハウス１が近接
することと同じであるから、第４図は理解を助け
るために後者による相対変位を示したものであ
る。さて、第２図、第３図における突出状シート
部４にホイールハウス１が近接すると、スプリン
グ５の他側腕（自由腕）５ｂは外面カバー８ａ，
パツド７、扁平袋６を介してホイールハウス１に
より押上げられ第４図の状態となる。スプリング
の一側腕（固定腕）５ａはシートに回動不能に固
定されているからスプリング自由腕の弾力に抗し
てなされる変位は突出状シート部４の側面４ａに
沿つて行なわれるもので、Ｖ形スプリングが固定
腕を軸として回動し逃げるような慮れはない。
又、スプリング５における両側腕５ａ，５ｂの平
面幅が縮められた分に相当する扁平袋６、パツド
７、外面カバー８ａの余剰部分は抉り部３に適当
に収容される。抉り部３はシートバツク２のリク
ライニング時、ホイールハウス１を収容するため
に形成されたものであるから抉り部３の下側面４
ｂと対向するホイールハウスの部分とは最小の間
隙を持つ相似曲線面としてあるので外側より見る
すきまのないことは説明するまでもない。

シートバツク２をリクライニングの位置から前
起しの位置にする場合の作用については、上述し
た通り前起こしの位置からリクライニングの位置
に移る作用の反対であつて、Ｖ形スプリング５は
終始外面カバー８ａを突出状シート部４とホイー
ルハウス１とのすきまを覆い、見栄えを良くする
と共に物の挾まりを防止する効果を奏している。

【図面の簡単な説明】

第１図はホイールハウスとシートバツクとの関
係位置側面図にして、第２図ないし第６図は本考
案の一実施例を示し、第２図は前起こし状態シー
トバツク要部の側面図、第３図は第２図の−
線に沿つた断面図、第４図はリクライニング状態
シートバツク要部の側面図、第５図は第４図の
−線に沿つた断面図、第６図はスプリングの側
面図である。 １……ホイールハウス、２……シートバツク、
２ｂ……背当り、３……抉り部、４……突出状シ
ート部、４ａ……側面、４ｂ……下側面、５……
スプリング、５ａ……一側腕（固定腕）、５ｂ…
…他側腕（自由腕）、６……扁平袋、７……パツ
ド、８……本体カバー、８ａ……外面カバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車両のリクライニングシートバツクのホイール
   ハウス対向部に該シートバツクの後倒し位置にお
   ける上記ホイールハウスの凸部を収容可能とする
   抉り部が設けられると共に同抉り部の上部に車幅
   外方向へ突出形成された突出状シート部を有する
   リクライニングシートバツクにおいて、上記突出
   状シート部の車幅外方向の側面に取付けられ下側
   辺が上記シートバツクの前起し位置における上記
   ホイールハウス上方の抉り部を覆うように垂下さ
   れて上記ホイールハウス上面に達する長さの扁平
   袋と、上記扁平袋に内蔵され一側腕が上記扁平袋
   の上記シートバツク背当り側寄りに固定され、他
   側腕が上記扁平袋の下側辺に向つて張り出し付勢
   されるＶ形スプリングと、上記扁平袋の車幅外方
   向の外面に装着される板状の可撓性パツドと、上
   記パツドの車幅外方向の外面を覆つて該パツドに
   添着されると共に上端縁は上記シートバツク全体
   を覆う本体カバーに縫い合わされ、下端縁は上記
   パツドより下方に延びて上記突出状シート部の下
   側面に取付けられる外面カバーとから構成された
   ことを特徴とする車両用リクライニングシートの
   ホイールハウス対向部におけるすきま防止装置。