JPS6350541B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はシリンダブロツク、シリンダヘツドか
らなるシリンダユニツトをクランクケースに結合
する組付構造に関するものである。

クランクケースが左右割りで、例えば側面Ｖ型
クランクシヤフト横置のエンジンにおいて、前後
のシリンダユニツトをクランクケースの中心から
夫々反対方向に、且つクランクシヤフトの軸受部
内方に偏倚させた場合、シリンダブロツク、シリ
ンダヘツドからなるシリンダユニツトをクランク
ケースに結合するスタツドボルトはシリンダを囲
む如く縦設されることから片側がクランクシヤフ
ト軸受部の内側に設けられることとなる。従つて
クランクシヤフト軸受部の厚肉部を利用できない
ことから特にシリンダブロツクのこの側の結合剛
性が低下する虞れがあること、又これによりガス
ケツトのこの側の締付が他側よりも弱くなり、シ
ール性の点で最良を期し難いこと等の不利があ
る。そこで上記を改善すべくクランクケースのス
タツドボルト結合部を厚肉に形成することも行わ
れるが、これによると重量が大きくなり軽量化の
要請に反すること、クランクケースの製作が面倒
となること等の不利があり、又厚肉にした効果も
さ程ではない。

本発明は以上に鑑みなされたもので、その目的
とする処は、前記シリンダ周を囲む如く配設され
るスタツドボルト以外に少くとも一本のスタツド
ボルトをクランクシヤフト軸受部の一方にかかる
如く配設し、シリンダユニツトの剛性の高い結合
を行わせ得るとともに、シリンダユニツトを均等
に結合してガスケツトの各部の締着を強固とし、
シール性を高め得る他、シリンダ周の結合部の不
必要な厚肉化を防止し、軽量化を企図し得る如く
したエンジンのシリンダユニツト組付構造を提供
するにある。

次に本発明の好適一実施例を添付図面に従つて
詳述する。

第１図は自動二輪車の側面図で、自動二輪車１
はフレーム２前端のヘツドチユーブ３を介して前
輪５を支持するフロントフオーク４をトツプブリ
ツジ６上に設けたハンドル７で操向自在なる如く
支持し、フレーム２の前部上部には燃料タンク８
を、又これの後方にはシート９を各配設し、フレ
ーム後部下部から後方に後輪１１を支持するリヤ
フオーク１０を枢着延出し、リヤフオーク１０と
フレームとの間にはリヤクツシヨンユニツト１２
が介設されている。

かかるフレーム２の前部下部にはエンジン１３
を搭載し、実施例ではエンジンは車体の前後方向
に前後のシリンダユニツトを有する側面視挟角Ｖ
型でシリンダはシヨートボア、ロングストローク
とし、クランクシヤフト横置の水冷エンジンを採
用している。ここで前後のシリンダユニツトＡ，
Ｂとはクランクケース２０上に起設結合するシリ
ンダブロツク及びシリンダヘツドを指す。クラン
クケース２０上の前後にシリンダブロツク１４，
１１４、この上にシリンダヘツド１５，１１５が
起設結合され、この上にヘツドカバー１６，１１
６が設けられ、このヘツドカバー１６，１１６上
部に動弁機構が設けられ、側面狭角Ｖ型に起立し
た前後のシリンダユニツトＡ，Ｂの上部間には燃
料供給装置をなす気化器１７が配設されている。

クランクケース２０は第４図、第６図、第７図
で示される如く左右分割タイプで、左右の半体２
１，２２の接合体からなる。第６図は左半体２
１、第７図は右半体を示し、夫々内側面図で、
夫々の側壁前部上部にクランクシヤフト１８の軸
方向両端部寄りのジヤーナル部１８ａ，１８ａを
支持する厚肉ボス部２１ａ，２２ａが設けられ、
これの中央部に厚さ方向に貫通する支持孔２１
ｂ，２２ｂが形成され、ここでジヤーナル部１８
ａ，１８ａを支持する。かかるボス部２１ａ，２
２ａの上方に前後に傾斜したシリンダボス部半体
２１ｃ，１２１ｃ，２２ｃ，１２２ｃが設けら
れ、かかる左右の半体２１，２２を合体接合して
クランクケース２０を形成し、シリンダボス部半
体２１ｃ，１２１ｃ，２２ｃ，１２２ｃは合体し
てクランクケース前部上に前後に傾斜したシリン
ダボス部２３，２４を第２図の如く形成する。か
かるボス部２３，２４はクランクケースのセンタ
ーをなす接合面２１ｄ，２２ｄに対してその中心
が前部ボス部２３は右側に、又後部ボス部２４は
左側に偏倚し、前後のシリンダボス部２３，２４
間に配設される左右のクランクシヤフト支持ボス
部２１ａ，２２ａは該ボス部２３，２４の幅方向
（左右方向）外側に位置し、即ちシリンダボス部
２３，２４はボス部２１ａ，２２ａの内側とな
り、前部ボス部２３の右半体２２のボス部２２ｃ
外端部はこの側の支持ボス部２２ａに臨むもこれ
と接合する左半体２１のボス部２１ｃ外端はこの
側の支持ボス部２１ａから離間した内側に臨む。
後部シリンダボス部２４はこれの左右が逆とな
る。尚図中２５，２６はボス部２１ｃの左外側、
右外側に夫々設けられる空隙で、この空隙には前
記動弁機構を駆動するカムチエーン等の駆動部材
が配置され、ボス部２２ａはコンロツド１９ａを
挟んで反対側のボス部２１ａより外側に偏倚し、
即ちコンロツド１９ａからボス部２２ａまでの間
隙はコンロツド１９ａからボス部２１ａまでの間
隙よりも大きく、これにより形成された空間Ｓに
クランクウエブの外端の部分１８ｂが収納され、
第５図に示す１９b′は他の気筒のコンロツドを、
又１８ｃ，１８ｄは内側のクランクウエブを、１
８ｅはクランクピン部を示す。ここにおいて、軸
受部２２ａはコンロツド１９ａを収納したシリン
ダと、駆動部材との間に位置し、又、コンロツド
１９ａと駆動部材との間に他のシリンダのコンロ
ツド１９b′が配置される。

以上の前後のシリンダボス部２３，２４は上面
にシリンダブロツクを載置起設結合するためのシ
ートフランジ面２３ｂ，２４ｂを接合されたシリ
ンダボス孔２３ａ，２４ａ周にこれを囲む如く設
けられている。かかるシートフランジ面２３ｂ，
２４ｂの四隅にはシリンダボス孔２３ａ，２４ａ
を囲む如く取付穴２３ｃ，２３ｄ，２３ｅ，２３
ｆ，２４ｃ，２４ｄ，２４ｅ，２４ｆが四個所
夫々縦設され、取付孔はネジ穴で構成される。か
かる取付孔の内前後のシートフランジ面の各外側
寄りのもの２３ｃ，２３ｄ及び２４ｃ，２４ｄは
左右のクランクシヤフト支持用ボス部２１ａ，２
２ａに臨み、各内側寄りのもの２３ｅ，２３ｆ及
び２４ｅ，２４ｆは支持用ボス部２１ａ，２２ａ
から内側に偏倚してこれから離間し、この部分は
シリンダボス部の肉厚のみの部分に臨むこととな
る。

以上のクランクケース幅方向内側の取付穴２３
ｅ，２３ｆ及び２４ｅ，２４ｆ間でこれの外方位
置には補助取付穴２７及び２８を設け、夫々は対
称的に前記のシリンダボス部の前部では左側、後
部では右側に設けられ、取付穴２７及び２８は厚
肉の左右のクランクシヤフト支持用ボス部２１
ａ，２２ａにかかるように設けられ、第５図はシ
リンダヘツド及びシリンダブロツクを上から組み
付けた前部シリンダユニツトＡの第２図５−５線
断面図で、これで明示せる如く補助用取付穴２７
はボス部２１ａに近接して設けられ、これの内側
の取付穴２３ｅ，２３ｆはシリンダボス部の薄肉
部に形成されることとなる。

かかるクランクケース２０のシリンダボス部２
３，２４上にシリンダブロツク１４，１１４、シ
リンダヘツド１５，１１５を載置し、スタツドボ
ルトで結合する。

第３図は前部のシリンダブロツク１４の平面図
で、シリンダ孔１４ａ周辺上面のシート面１４ｂ
に図示される如く該孔１４ａ周辺の四隅に取付孔
１４ｃ，１４ｄ，１４ｅ，１４ｆを縦設し、且つ
内側の取付孔１４ｅの外方に補助取付孔２９を設
け、更に第４図の如くシリンダヘツド１６上に同
様に取付孔１６ｃ〜１６ｆと３０を設ける。シリ
ンダブロツク１４のシート面の下面１４ｇとシー
ト面２３ｂ間にガスケツト３１を介装し、更に上
のシート面１４ｂとシリンダヘツド１５の下面の
シート面１５ｇ間にガスケツト３２を介装し、取
付穴２３ｃ〜２３ｆ、取付孔１４ｃ〜１４ｆ，１
５ｃ〜１５ｆの夫々を合せ、且つ取付穴２７，２
９，３０を合せ、上から都合五本のスタツトボル
ト３３…及び３４を通し、ネジ穴からなる取付穴
２３ｃ〜２３ｆ，２７に予じめ螺植したスタツド
ボルト３３…，３４上端にナツト３５…，３６を
螺合し、ボルトの軸方向に螺締し、シリンダヘツ
ド、シリンダブロツクをクランクケース上に結合
する。後部シリンダユニツトＢはこれと対称的に
結合され、第４図は前部シリンダユニツトのヘツ
ド部の横断面を、又後部シリンダユニツトはシリ
ンダヘツド平面を各示している。

次にその作用、効果を述べると、クランクケー
ス左右割りエンジンでクランクシヤフト支持部内
側にスタツドボルトを有するエンジンにおいて、
シリンダ孔四周辺の他に一方のクランクシヤフト
支持部に臨む如くスタツドボルトを設けたため、
支持部内側のスタツドボルトは厚肉部にかからな
くてもこれの外側の支持部にかかるボルトで荷重
分散が図れ、且つ支持部にかかるため充分の剛性
が得られる。従つてシリンダブロツクが四周辺の
二個所がシリンダボス部の薄肉部で支持されてい
ても上記による充分な剛性が得られることからシ
リンダブロツクの撓みを完全に防止することがで
きること、ガスケツトの挾圧も均等に、これに偏
荷重が働くことなく行え、厚さの一定したガスケ
ツトを用いつつシール性を向上させることができ
ること、クランクシヤフト支持部から離れたスタ
ツドボルト取付部の肉厚を増大させる必要がな
く、既設のクランクシヤフト支持部を利用してス
タツドボルトを植設すれば良く、従つて軽量化を
図ることができること等の多大の利点を有する。
又、シリンダＡ内に配置されるコンロツド１９ａ
とこのシリンダＡの駆動部材（カムチエン）との
間に他のシリンダＢのコンロツド１９b′を位置さ
せるようにしたのでこのコンロツド１９b′の幅の
分、コンロツド１９ａとシリンダＡの駆動部材と
の間隔を大きく取ることができ、これによりクラ
ンクシヤフト１８の軸受部２２ａの幅を大きくす
ることができる。従つて軸受部２２ａの幅を大き
くすることで該軸受部２２ａに設けられるスタツ
ドボルト３４挿通用の取付穴２７の工作を容易に
することが可能となる。又、軸受部２２ａの幅を
大きくすることができるので前記取付孔２７とス
タツドボルト孔２３ｅ，２３ｆとの間隔を大きく
とることが可能となり、これにより取付孔２７と
スタツドボルト孔２３ｅ，２３ｆで形成される三
角形の面積を大きく取つてスタツドボルト締付時
の荷重の分散を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動二輪車の側面図、第２図はクラン
クケースの平面図、第３図はシリンダブロツクの
底面図、第４図はエンジンの要部破断平面図、第
５図は第２図５−５線断面図、第６図及び第７図
は左右のクランクケース半体の内側面図である。 尚図面中１３はエンジン、１４，１１４はシリ
ンダブロツク、１５，１１５はシリンダヘツド、
２０はクランクケース、２１，２２はこれの半
体、２１ａ，２２ａは軸受部、３３はシリンダ周
辺を囲むスタツドボルト、３４は他のスタツドボ
ルトである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数のシリンダを所定角度にてＶ字状に配置
   したＶ型エンジンで、クランクシヤフトの軸受部
   間より内方に偏倚してシリンダを配置し、該シリ
   ンダの上部に動弁機構を設けるとともにシリンダ
   の側方に前記動弁機構を駆動する駆動部材を配置
   したエンジンにおいて、 前記シリンダとこのシリンダの駆動部材との間
   に前記クランクシヤフトの軸受部を設け、 前記シリンダ内に配置されるコンロツドと該シ
   リンダの駆動部材との間に他のシリンダのコンロ
   ツドを位置させ、 前記複数のシリンダを構成するシリンダブロツ
   クとシリンダヘツドをシリンダ周辺部でクランク
   シヤフト軸受部内方に縦通せるスタツドボルトに
   よりクランクケース上に結着するとともに、前記
   シリンダブロツク、シリンダヘツドをクランクシ
   ヤフト軸受部壁内に縦通せる少くとも一本のスタ
   ツドボルトでクランクケース上に結着するように
   したことを特徴とするエンジンのシリンダユニツ
   ト組付構造。