JPH0752333Y2 - ２サイクルエンジンのリードバルブ取着装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、自動２輪車などに用いられる２サイクルエ
ンジンのリードバルブ取着装置に関する。

（従来の技術） 第３図は、スクータ型の自動２輪車を示すもので、操舵
用前輪ａと駆動用後輪ｂとにより支えられ、車体前面は
レッグシールドｃが被覆され、その後方は深く湾曲して
ステップボードｄが敷かれ、ステップボードｄの後端は
ボリュームのあるリアボディｅに連なって、その上部に
シートｆが設置されたレイアウトをとっている。シート
ｆ下のリアボディｅ内には物品収納ボックスｈが配置さ
れる。

こうしたレイアウトには、後輪ｂが一体化されたユニッ
トスイング型エンジンが適用される。すなわち、ユニッ
トスイング型エンジンは、クランクケースｉの一側から
後方へスイングケースｊが連設され、その後端に後輪ｂ
が軸支されてユニット化されたもので、前部をピボット
軸ｋにより上下揺動自在に車体１に軸支される。

エンジン型式は２サイクルで、シリンダｍはほぼ水平に
前傾して備えられている。そして第４図に示すように、
クランクケースｉ内に通じる吸気孔ｎは上向きに開口
し、クランクケースｉ上方に置かれたキャブレタｏがイ
ンテークパイプｐによりリードバルブｑを介して接続さ
れる。

このリードバルブｑは、フランジ部ｒを吸気孔ｎとイン
テークパイプｐの接続面で挟んで介装する方法が慣用さ
れるが、この場合は、フランジ部ｒの厚さ分Ｓだけキャ
ブレタｏが高くなり、スイング中の干渉を避けるため、
物品収納ボックスｈの容積を縮小し、あるいはシート高
を押し上げるなどの影響がある。

このため、他の方法として、第５図，第６図に示すよう
に、インテークパイプｐの接続合わせ面にリードバルブ
ｑを取着けて置き、吸気孔ｎ内にリードバルブｑを完全
に埋没させるものがある。このようにすればキャブレタ
ｏをクランクケースに近付けて取着けることができ、上
記のような物品収納ボックスやその他との干渉を避けや
すくすることができる。

しかし反面において、これは吸気孔ｎの断面積が増大す
る結果を招く。リードバルブｑ固定用ビスｓの締着ボス
ｔが突出し、これを埋没させるために、吸気孔ｎ端面に
逃げ穴ｕを備える必要があるからで、これは不必要な隙
間を産み、吸気孔ｎ、ひいてはクランクケースｉ内容積
を拡大して予備圧縮比を低くし、燃料充填効率の低下、
エンジン性能の低下につながる、という問題がある。

（考案が解決しようとする課題） この考案は、上記のような問題に鑑みてなされたもの
で、吸気孔とキャブレタとの接続面のキャブレタ側の合
わせ面にリードバルブ装置を取着けた２サイクルエンジ
ンにおいて、リードバルブ取着ボスおよびその逃げ穴の
個数を少なくすることによって、吸気孔の容積拡大を最
小限に止どめ、予備圧縮比、燃料充填効率を改善して、
エンジン性能を向上させるリードバルブの取着装置を提
供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記の目的に沿って、この考案のリードバルブ取着装置
は、筒状のバルブボディ前面のバルブシートにリードと
ストッパプレートとを重ねて、そのリード固定端部をビ
スにより共締めして固定したリードバルブ装置を備える
と共に、クランクケースに開口する吸気孔にキャブレタ
を接続して吸気通路を構成するようにして、その接続部
のキャブレタ側の合わせ面に、上記リードバルブ装置の
背面をビス止めした２サイクルエンジンのおいて、上記
バルブシートのリード固定端部の一部にバルブボディを
貫通するビス穴を設け、その締着け座をビス頭がバルブ
シート下に埋没する深さに凹設し、このビス穴に通した
ビスを上記合わせ面に締着するようにした構成をとる。

（作用） このように構成したので、リードバルブ取着用の締着ボ
スと、吸気孔に要求されるその逃げ穴が少なくとも１つ
は減少し、クランクケース内容積を縮小し、予備圧縮比
を高め、燃料充填効率を上げて、エンジン性能が向上す
る。

（実施例） 以下この考案の実施例を示す図について説明する。

第１図は、第３図に示すユニットスイング型２サイクル
エンジンに適用されたこの考案の実施例になるリードバ
ルブ取着装置の縦断側面図、第２図は第１図Ａ−Ａ矢視
の平面図である。

シリンダ１はほぼ水平に前傾し、後方には左右の半ケー
スを合わせたクランクケース２が連設される。クランク
ケース２には、ボールベアリング４によりクランクシャ
フト３が軸支される。

クランクケース２の上部には上向きの吸気孔５が開設さ
れ、その外端面にクランクケース２の上方のキャブレタ
から延びるインテークパイプ６の下流端6aが、ガスケッ
ト７を挟んで締着ボルト８により接続される。

上記インテークパイプ下流端6aの吸気孔５との接続合わ
せ面9aには、予めリードバルブ装置10が固定されてい
る。吸気孔５に接続された時は、このリードバルブ装置
10全体が吸気孔５内に埋没するようにしたものである。

このリードバルブ装置10は、筒状のバルブボディ10aの
前面にバルブシート10bが形成され、そのシート面にリ
ード10cとストッパプレート10dが重ねられて、そのリー
ド固定端部がビス10eにより共締めして固定されたもの
である。

バルブボディ10a両側には、締着ボス11が突出して形成
され、この締着ボス11を貫通してビス穴12が設けられ、
また、バルブシート10b面のリード固定端部に、バルブ
ボディ10aを貫通したビス穴13が設けられる。このビス
穴13の締着け座13aはシート面下に凹設されている。

リードバルブ装置10の取着けは、先ずビス穴12および13
に通したビス14および15によりバルブボディ10aを合わ
せ面9aに締着し、次いで、バルブシート10bにリード10c
およびストッパプレート10dを組み付けるようにする。
この場合、締着け座13aの凹み量は、ビス15の頭部15aが
バルブシート10b面下に埋没してリード10cの組み着けに
支障がないように設定されている。

一方、吸気孔５の合わせ面9bには、バルブボディ10aの
挿入スペースの外、上記締着ボス11およびビス14頭部を
受け入れるための逃げ穴16が形成されている。

こうして、リードバルブ装置10が取着けられたインテー
クパイプ６を吸気孔５に接続することにより、リードバ
ルブ装置10により開閉制御される吸気通路が構成され
る。

これにより、リードバルブ装置10は完全に吸気孔５内に
埋没し、インテークパイプ６やこれに連なるキャブレタ
の取着位置をクランクケースから遠去けることがないの
で、物品収納ボックスなどとの干渉が避けやすくなり
（第３図参照）、このようにした上で、リードバルブ装
置10締着ボス11および吸気孔５に必要なその逃げ穴の少
なくとも１つが省略され、その分クランクケース２内容
積が縮小されて、予備圧縮比が高まり、シリンダ１への
燃料充填効率が改善され、２サイクルエンジンとしての
性能が向上する。

〔考案の効果〕

以上の通り、この考案に係わるリードバルブ取着装置
は、バルブボディ前面のバルブシート面にリードとスト
ッパプレートとを重ねて、そのリード固定端部をビスに
より共締めして固定したリードバルブ装置を備えると共
に、クランクケースに開口する吸気孔にキャブレタを接
続して吸気通路を構成するようにして、その接続部のキ
ャブレタ側の合わせ面に、上記リードバルブ装置の背面
をビス止めした２サイクルエンジンのおいて、上記バル
ブシート面のリード固定端部の一部にバルブボディを貫
通するビス穴を設け、その締着け座をビス頭がバルブシ
ート面下に埋没する深さに凹設し、このビス穴に通した
ビスを上記合わせ面に締着するようにしたもので、キャ
ブレタの取着位置をクランクケースに近づけた上で、ク
ランクケース２内容積を縮小し、予備圧縮比およびシリ
ンダへの燃料充填効率を高めて、２サイクルエンジンと
しての性能が向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例になるリードバルブ取着装置
を備えた２サイクルエンジン要部の縦断側面図、第２図
は第１図Ａ−Ａ矢視の吸気孔の平面図、第３図は自動２
輪車の一例を示す側面図、第４図は第３図のエンジンの
縦断側面図、第５図は従来のリードバルブ取着装置を備
えた２サイクルエンジン要部の縦断側面図、第６図は第
５図Ｂ−Ｂ矢視による吸気孔の平面図である。 １……シリンダ、２……クランクケース、５……吸気
孔、６……インテークパイプ、9a,9b……接続合わせ
面、10……リードバルブ装置、10a……バルブボディ、1
0b……バルブシート、10c……リード、10d……ストッパ
プレート、11……締着ボス、12,13……ビス穴、13a……
締着け座、14,15……ビス、16……逃げ穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】筒状のバルブボディ前面のバルブシートに
   リードとストッパプレートとを重ねて、そのリード固定
   端部をビスにより共締めして固定したリードバルブ装置
   を備えると共に、クランクケースに開口する吸気孔にキ
   ャブレタを接続して吸気通路を構成するようにして、そ
   の接続部のキャブレタ側の合わせ面に上記リードバルブ
   装置の背面をビス止めした２サイクルエンジンのおい
   て、上記バルブシートのリード固定端部の一部にバルブ
   ボディを貫通するビス穴を設け、その締着け座をビス頭
   がバルブシート下に埋没する深さに凹設し、このビス穴
   に通したビスを上記合わせ面に締着するようにしたこと
   を特徴とする２サイクルエンジンのリードバルブ取着装
   置。