JPS63492Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等の車輌に用いられる燃料タ
ンクの燃料取出構造に係り、特に燃料噴射式エン
ジンへ燃料を供給するための燃料タンクの燃料取
出構造に係る。

燃料噴射式エンジンは燃料噴射弁により液体燃
料を噴射供給され、燃料噴射弁は燃料ポンプによ
り吸入された液体燃料を燃料導管を経て供給され
るようになつている。燃料噴射式エンジンに於て
は燃料ポンプより燃料噴射弁へ至る燃料供給通路
の途中に大きい燃料溜りを有していないため、車
輌の旋回等により燃料タンク内の液体燃料が一側
部に偏り、燃料ポンプのサクシヨンパイプの燃料
取入口が空気中に曝され、燃料ポンプが燃料タン
ク内の液体燃料を吸入できなくなると、すぐに燃
料噴射弁に液体燃料が供給されなくなり、燃料切
れによりエンジンがストールすることがある。

このため燃料噴射式エンジンのための燃料タン
クは、その内部の底部中央にサブタンクを有し、
そのサブタンクの底部近傍にサクシヨンパイプの
燃料取入口が設けられ、車輌の旋回等により燃料
タンク内の液体燃料が一方に偏つてもサブタンク
内に残存する液体燃料によつてサクシヨンパイプ
の燃料取入口が燃料層内に浸漬されるようにし、
このときも燃料ポンプが燃料タンク内の液体燃料
を吸入できるようにして燃料切れの発生を回避す
ることが従来から実施されている。

しかし、燃料タンク内に上述の如くサブタンク
が設けられてもサブタンクに液体燃料が補給され
ない状態にてサブタンク内の液体燃料が消費され
てサブタンク内の液体燃料が減少し、サクシヨン
パイプの燃料取入口が空気中に曝されるようにな
ると、やはり燃料切れによるエンジンのストール
が生じる。

従来一般には、サクシヨンパイプの燃料取入口
はサブタンクの底部近傍の中央部に配置されてお
り、この場合には車輌のいずれの方向に旋回して
も前記燃料取入口がサブタンク内の燃料層中に浸
漬されるが、このときにサブタンク内の液体燃料
のうち燃料ポンプが吸入可能な燃料量は前記燃料
取入口が車輌旋回方向とは逆の一側部に設けられ
た場合に比して少なく、即ち無効燃料残量が多
く、サブタンク内の液体燃料を有効に利用するこ
とができず、サブタンクの有効容量が小さい。

本考案の主たる目的はサブタンクの無効燃料残
量を低減することによつてサブタンクの容積を増
大することなくその有効容量を増大し、燃料タン
ク内の液体燃料が一方に偏つた状態が長く続いて
も燃料切れが生じないよう改良された燃料タンク
の燃料取出構造を提供することである。

ところで、一般に、サクシヨンパイプの燃料取
入口には燃料フイルタ要素が設けられている。ナ
イロンネツトの如きメツシユ構造の燃料フイルタ
要素にあつては、燃料フイルタ要素が空気中に曝
されてもそのメツシユ構造の網目部に表面張力に
よつて存在する液体燃料膜が破壊されない限りサ
クシヨンパイプは空気を吸うことはなく、また燃
料フイルタ要素のメツシユが液体燃料の性状や燃
料ポンプの吸引力等に応じて適当な定められてい
れば、燃料フイルタ要素が少しでも液体燃料に触
れていると、前記液体燃料膜が破壊されず、サク
シヨンパイプは空気を吸入することなく液体燃料
のみを吸入する。

本考案の詳細な目的は、上述の如きメツシユ構
造の燃料フイルタの特徴に着目してサブタンクの
無効燃料残量を低減し、その有効容量を増大する
改良された燃料タンクの燃料取出構造を提供する
ことである。

これらの目的は、本考案によれば、燃料タンク
内のタンク底板上に比較的小さいサブタンクが配
設され、前記サブタンク内の底部近傍で且該サブ
タンク内中央部を挾んで互に隔てられた両側部に
各々燃料ポンプのサクシヨンパイプに連通接続さ
れた燃料取入口が配設され、前記燃料取入口の
各々に該燃料取入口を被覆すべくメツシユ構造の
燃料フイルタ要素が装着されていることを特徴と
する燃料タンクの燃料取出構造によつて達成され
る。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本考案による燃料取出構造を備えた燃
料タンクの一つの実施例を示す縦断面図であり、
第２図はそれの平面図である。これらの図に於
て、１は燃料タンクの底板を示しており、２は燃
料タンク内にてその底板１上に配設されたサブタ
ンクを示している。サブタンク２は燃料タンクに
比してその容積が小さく、上部が開口した箱状に
構成されており、その上部開口３と両側部に設け
られた連通管４によつて燃料タンクに連通し、燃
料タンク内の燃料を供給されるようになつてい
る。サブタンク２内には図示されていない燃料ポ
ンプより垂下して設けられたサクシヨンパイプ５
が位置している。サクシヨンパイプ５の下端部に
はＵ字状をなす枝管６が連通接続されている。枝
管６は、中間部にてサクシヨンパイプ５の下端と
連通接続されてサブタンク２内にて底板１と平行
して略水平方向へ延在し、両端に各々燃料取入口
６ａ及び６ｂを有している。燃料取入口６ａ及び
６ｂは、底板１の近傍にて、換言すればサブタン
ク２内の底部近傍にて該サブタンク２の中央部を
挾んで互に隔てられた両側部に位置している。ま
た枝管６の両端部には燃料取入口６ａ及び６ｂの
各々を被覆すべくメツシユ構造の燃料フイルタ要
素７，８が装着されている。燃料フイルタ要素７
及び８は各々ナイロンネツトの如き材料により適
当なメツシユ、例えば250番程度の円筒状のメツ
シユ構造に構成されている。

上述の如き構成によれば、車輌の旋回等により
例えば燃料タンク内の液体燃料が図にて右方に偏
り、それに伴いサブタンク２内の液体燃料が図に
て右方へ偏つたとき、その液体燃料の液面が図に
てＬで示されている液位になるまで少なくとも燃
料フイルタ要素７がその一部にて液体燃料と接触
し、この燃料フイルタ要素７の他の部分及び燃料
フイルタ要素８の全てが空気中に曝されていて
も、そのメツシユ構造の網目間に表面張力により
存在する液体燃料膜によりサクシヨンパイプ５は
空気を吸うことなく液体燃料のみを吸入する。従
つて、この場合にはサブタンク２の無効燃料残量
は図にて符号Ｖで示されているだけになる。尚、
符号Ｖで示されている領域にも燃料フイルタ要素
が設けられていれば、無効燃料残量は実質的に０
になる。

燃料フイルタ要素が、図にて仮想線で示されて
いる如く、サブタンク２の中央部に設けられてい
れば、サブタンク２内の液体燃料の液面が符号
Lpで示されているより減少すると、サクシヨン
パイプ５は空気を吸入するようになるが、本考案
によるときは、それより更に低い液位Ｌにまでサ
ブタンク内の液体燃料が減少するまでサクシヨン
パイプ５は燃料を吸入するようになり、サブタン
クの無効燃料残量が減少してその有効容量が増大
し、旋回時等に於ける燃料切れを有効に回避する
ことが可能になる。

尚、燃料タンク内の液体燃料が図にて左方に偏
り、それに伴いサブタンク２内の液体燃料が図に
て右方へ偏つたときにはサブタンク２内の液体燃
料は燃料フイルタ要素８より吸入され、このとき
もサブタンクの無効燃料残量が少なく、燃料タン
ク内の液体燃料が図にて右方へ偏つたときと同様
の効果が得られる。

以上に於ては本考案を特定の実施例について詳
細に説明したが、本考案はこれに限定されるもの
ではなく本考案の範囲内にて種々の実施例が可能
であることは当業者にとつて明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による燃料取出構造を備えた燃
料タンクの一つの実施例を示す縦断面図、第２図
はそれの平面図である。 １……燃料タンクの底板、２……サブタンク、
３……上部開口部、４……連通管、５……サクシ
ヨンパイプ、６……枝管、６ａ，６ｂ……燃料取
入口、７，８……燃料フイルタ要素。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンク内のタンク底板上に比較的小さいサ
   ブタンクが配設され、前記サブタンク内の底部近
   傍で且該サブタンク内中央部を挾んで互に隔てら
   れた両側部に各々燃料ポンプのサクシヨンパイプ
   に連通接続された燃料取入口が配設され、前記燃
   料取入口の各々に該燃料取入口を被覆すべくメツ
   シユ構造の燃料フイルタ要素が装着されているこ
   とを特徴とする燃料タンクの燃料取出構造。