JPS6348619Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は巻上式エレベータにおいてかごとつ
り合いおもりとの両者にバランス補償ロープと一
般に称されているバランスロープを懸架してなる
バランス補償装置に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

一般に巻上式エレベータは第１図に示す如く、
建物のエレベータ昇降路の上部機械室内に設けた
巻上機の巻上シーブ１とそらせシーブ２とに巻き
掛けてメインロープ３を垂下し、そのメインロー
プ３の一端にかご４を、他端につり合いおもり５
を吊持して、巻上機の駆動によりメインロープ３
を介してかご４とつり合いおもり５とを相対的に
昇降させるようになつている。こうした巻上式エ
レベータでは、昇降行程が長くなればなるほど、
メインロープ３やテールコード（図示せず）の移
動に伴う自重の変化によりかご側とつり合いおも
り側との重量バランスの変動即ち、トルク及びト
ラクシヨン比の変動が大きくなつて、エレベータ
の性能に悪影響を及ぼすことになる。この為に上
記重量バランスを補償する装置としてかご４とつ
り合いおもり５との両者の下面部からバランスロ
ープ６をＵ字状に懸架し、その下端をガイドシー
ブ７に巻回して、かご４とつり合いおもり５との
相対的昇降に連動するようにしている。

ところで上述した巻上式エレベータにおいて、
昇降路内のレイアウトによつては第１図に示す如
くかご４とつり合いおもり５との相互間附近にバ
ランスロープ６を設けることが困難な場合があ
る。つまり第１図は側面図でかご４の後側につり
合いおもり５が位置するが、第４図に示す如くエ
レベータ昇降路内のかご４の出入口と反対の後側
にスペースが無く、該かご４の横の位置につり合
いおもり５を配置せざるを得ない場合が多く、こ
の場合上部機械室の巻上機８やマシンビーム９の
配置上、セレクタ１０及び調速機（ガバナテー
プ）１１ロケーシヨン◇４（かご４の右側前方附
近）に配設しなければならず、これにてテールコ
ード１２をロケーシヨン◇３（かご４の左側前方附
近）に配設しなければならない。この為にかご４
とつり合いおもり５との相互間附近にバランスロ
ープを懸架することが不可能となる。

従つて、そのような場合は従来第２図に示す如
く、かご４とつり合いおもり５との相互間附近に
設けたテールコード１２に対して邪魔とならない
ように、昇降路中間部附近の左右セパレータビー
ム１３，１４とかご４及びつり合いおもり５との
各相互間に別々のバランスロープ１５，１６を懸
架して設けることが考えられている。

しかしながら、この第２図の場合、かご４とセ
パレータビーム１３及びつり合いおもり５とセパ
レータビーム１４との間のスペースが十分ないと
バランスロープ１５，１６の取付けが困難であ
り、そうかと云つてバランスロープ１５，１６を
各セパレータビーム１３，１４の外面側に掛止め
することは、該バランスロープ１５，１６の下端
Ｕ字状部が上下動するので不可能である。また、
仮に第２図に示す如くバランスロープ１５，１６
を懸架できたとしても下端Ｕ字状部がかご４及び
つり合いおもり５の昇降に伴い上下動するので、
第１図に示すバランスロープ６の懸架方式に比べ
てトルク及びトラクシヨン比の変動に対する補償
効果は低い問題があつた。

〔考案の目的〕

この考案は上記事情に鑑みなされたもので、上
述した如く昇降路内のかごとつり合いおもりとの
相互間附近にバランスロープを懸吊できないよう
なレイアウトのエレベータの場合でも、該かごと
つり合いおもりとの両者に懸架するようにしてバ
ランスロープを、何ら他のものに邪魔になること
なく、又スペース的な問題無く、容易に配設する
ことができて、トルク及びトラクシヨン比の変動
に対するバランス補償を確実に行ない得る実用性
大なるエレベータのバランス補償装置を提供する
ことを目的とする。

〔考案の概要〕

この考案のエレベータのバランス補償装置は、
前記目的を達成するために、エレベータ昇降路に
てこの上部機械室の巻上機の駆動によりメインロ
ープを介して相対的に昇降せられるかごとつり合
いおもりとの両者に渡つてバランスロープを懸架
してなるものにおいて、そのバランスロープは、
かごとつり合いおもりとから昇降路下部に垂下さ
せ、且つそこからガイドシーブを介して反転して
ビームの外側を通す状態で上昇させて昇降路の上
部機械室内にガイイドシーブを介して経由させて
設けた構成で、かごとつり合いおもりとの相互間
付近にバランスロープを通さずに済むようになる
ものである。

〔考案の実施例〕

以下この考案の一実施例を第３図及び第４図に
従い説明する。なお図中第１図及び第２図のもの
と同一構成となすものは同一符号を附して説明の
簡略化を図ることにする。先ずここでの巻上式エ
レベータは前述した如くかご４の横の方につり合
いおもり５がメインロープ３により吊持されたレ
イアウトのもので、昇降路上部機械室の巻上機８
やマシンビーム９の配置上、セレクタ１０及び調
整機１１がロケーシヨン◇４に、テールコード１２
がロケーシヨン◇３（かご４とつり合いおもり５と
の相互間附近）に配されている。こうした巻上式
エレベータにおいて、バランス補償装置として
は、かご４とつり合いおもり５との両者の下面部
に渡つて懸架されたバランスロープ１７と、複数
個のガイドシーブ１８，１９，２０，２１とが設
けられて構成されている。即ち、昇降路の下部ピ
ツト部の両側寄りにガイドシーブ１８，１９が配
設されていると共に、それらと上下で対応して昇
降路上部機械室内両側部にガイドシーブ２０，２
１が配設されており、そしてこれらガイドシーブ
１８，１９，２０，２１に巻掛けするようにして
バランスロープ１７がその途中を上部機械室内に
経由して張設されている。つまりバランスロープ
１７は一端をかご４の下面部に懸吊し、そこから
垂下してピツト部のガイドシーブ１８に巻き掛け
て一側のセパレータビーム１３の外側を通して上
部機械室内の一側ガイドシーブ２０に巻き掛け、
そして該機械室内の巻上機８などの上側を通して
他側ガイドシーブ２１に巻き掛け、そこから他側
のセパレータビーム１４の外側を通して垂下して
ピツト部のガイドシーブ１９に巻き掛け、そして
つり合いおもり５の真下に引き上げて該つり合い
おもり５下面部に懸吊されている。

而して、上述した構成のバランス補償装置で
は、バランスロープ１７がかご４とつり合いおも
り５との相互間附近に配さず、外側寄りを通つて
上部機械室内を経由することで、テールコード１
２の邪魔になるなどの問題が無いと共に、かご４
やつり合いおもり５とセパレータビーム１３，１
４が接近していてそれらの間にスペースが無くて
もバランスロープ１７の配設に困難性が無く、し
かもバランスロープ１７は第２図の従来の如く下
端Ｕ字部が上下動しないので、セパレータビーム
１３，１４の下側を内外に亘つて設けることが可
であると共に、第１図のものと同等のトルク及び
トラクシヨン比の変動に対する高いバランス補償
効果が得られるようになる。

なお、この考案は上記実施例のみに限定される
ことなく、例えばレイアウト上４個のガイドシー
ブではバランスロープ１７の張設に不足の場合は
更にガイドシーブの数を多くしても可である。ま
たバランスロープ１７をセパレータビーム１３，
１４の外側に通したが、レイアウト上他に通すス
ペースがあれば上下ガイドシーブ１８乃至２１の
設置を調整してそのスペースに通すようにしても
よい。

〔考案の効果〕

この考案は上述した如くなしたから、巻上式エ
レベータにおいてかごとつり合いおもりとの両者
に渡つて懸架するバランスロープを、レイアウト
上何ら他のものに邪魔になることなく、又スペー
ス的な問題もなく、容易に配設することができ
て、しかもトルク及びトラクシヨン比の変動に対
するバランス補償も確実に図れる非常に実用性大
なるものとする。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な巻上式エレベータのバランス
補償装置を示す概略的側面図、第２図はレイアウ
ト変更により考えられた従来の巻上式エレベータ
のバランス補償装置の概略的正面図、第３図はこ
の考案の一実施例を示す第２図相当図、第４図は
同上実施例における平面図である。 １……巻上機シーブ、２……そらせシーブ、３
……メインロープ、４……かご、５……つり合い
おもり、６，１５，１６，１７……バランスロー
プ、７，１８，１９，２０，２１……ガイドシー
ブ、８……巻上機、９……マシンビーム、１０…
…セレクタ、１１……調速機（ガバナテープ）、
１２……テールコード、１３，１４……セパレー
タビーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エレベータ昇降路にてこの上部機械室の巻上機
   の駆動によりメインロープを介して相対的に昇降
   せられるかごとつり合いおもりとの両者に渡つて
   バランスロープを懸架してなるエレベータのバラ
   ンス補償装置において、上記バランスロープはか
   ごとつり合いおもりとから昇降路下部に垂下さ
   せ、且つそこからガイドシーブを介して反転して
   ビームの外側を通す状態で上昇させて昇降路の上
   部機械室内にガイドシーブを介して経由させて設
   けたことを特徴とするエレベータのバランス補償
   装置。