JPS6348407Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のリヤサスペンシヨン、特に独
立懸架式のリヤサスペンシヨンの改良に関する。

（従来技術） 一般に、自動車の独立懸架式リヤサスペンシヨ
ンは、前端部を少なくとも２箇所において車体に
上下揺動自在に取付けたトレーリングアームを備
えると共に、このトレーリングアームの車体後方
に延びた後端部にリヤホイールを回転自在に支持
させた構成で、上記トレーリングアーム前端部と
車体との連結部には、加速時や制動時に車体とリ
ヤホイールとの間に作用する前後力を吸収するた
めの弾性ブツシユが介設される。然して、従来の
サスペンシヨンにあつては、上記トレーリングア
ームと車体とを連結する構造が横力に対する剛性
に欠ける嫌いがあり、そのためコーナリング時に
旋回方向と反対側のリヤホイールに外側から横力
が作用した時に、該ホイールが所謂トーアウト方
向に挙動して、旋回性を悪くするといつた問題が
あつた。この問題に対しては、従来、トレーリン
グアームの後端部と車体との間にアシストリンク
を架設し、該リンクによつて旋回時にリヤホイー
ルに作用する横力を支えて上記トーアウト方向の
挙動を阻止することが行われている。また、特開
昭58−12811号公報にによれば、第１図に示すよ
うに、トレーリングアームａの後端部a′と車体ｂ
との間にアシストリンクｃを架設すると共に、該
トレーリングアームａ及びアシストリンクｃを
夫々車体ｂに連結する弾性ブツシユｄ，ｅ，ｆを
各揺動軸（各弾性ブツシユの中心軸）が平行にな
らないように配置したサスペンシヨン構造が示さ
れている。このような構成によれば、横方向の剛
性が高まり、横力によるリヤホイールｇの水平面
内での挙動中心が該ホイールの軸心より後方に位
置することになつて、旋回時に該ホイールが積極
的にトーイン方向に挙動されることになる。この
ようにトレーリングアームと車体との間にアシス
トリンクを設け、或いは更に該アーム及びリンク
を支持する弾性ブツシユの中心軸に角度変化を与
えることにより、旋回時におけるリヤホイールの
水平面内における挙動が改善され、旋回性能の向
上が実現される。しかし、上記のようにアシスト
リンクを設けるため、部品点数が増えて構造が複
雑化し、或いはコストが上昇するといつた問題が
生じる。

（考案の目的） 本考案は独立懸架式リヤサスペンシヨンの上記
のような問題に対処するもので、トレーリングア
ームの後端部と車体との間にアシストリンクを架
設することなく、該トレーリングアームだけを用
いた簡単な構成により、横力に対する所要の剛性
を有し、且つ車体とリヤサスペンシヨンとの間に
作用する前後力を吸収し得るリヤサスペンシヨン
を提供することを目的とする。

（考案の構成） 本考案に係るリヤサスペンシヨンは上記目的達
成のため次のように構成される。

即ち、車体に２点で上下揺動自在に連結されて
リヤホイールを回転自在に支持するトレーリング
アームを有するサスペンシヨンであつて、該トレ
ーリングアームの車体略前後方向に延びる外側ア
ームのアーム端が弾性ブツシユを介して車体に連
結され、且つ斜め横方向に延びる内側アームのア
ーム端がボールジヨイントを介して車体に連結さ
れる。このような構成によれば、リヤホイールに
作用する横力が上記トレーリングアームの内側ア
ームを介してボールジヨイントで支えられるた
め、該横力に対する剛性が向上し、また車体とリ
ヤホイールとの間に作用する前後力が該ボールジ
ヨイント及びトレーリングアームの外側アーム端
を支持する弾性ブツシユによつて弾力的に吸収さ
れることになる。

（実施例） 以下、本考案に係るリヤサスペンシヨンを図面
に示す例に基づいて説明する。

第２，３図に示すように、このリヤサスペンシ
ヨン１は、トレーリングアーム２と、バネ及びダ
ンパからなる緩衝装置３とから構成されている。
上記トレーリングアーム２は、車体外側に位置し
て前方に延出された外側アーム４と、車体内側に
位置して斜め横方向に延出された内側アーム５と
を有して二叉状とされており、且つ車体後方に配
置された基端部２ａにリヤホイール６が回転自在
に支持されていると共に、該基端部２ａに上端部
を車体７に取付けられた上記緩衝装置３の下端部
３ａが連結されている。ここで、後輪駆動式の場
合は、図示のように上記リヤホイール６は車体７
に支持された差動装置８から横に延びる車軸９に
よつて駆動されるようになつている。

然して、該トレーリングアーム２における外側
アーム４の先端部４ａは車体７に固設されたブラ
ケツト１０に弾性ブツシユ１１を介して枢支され
ていると共に、内側アーム５の先端部５ａは車体
７にボールジヨイント１２を介して連結されてお
り、これにより該トレーリングアーム２は上記弾
性ブツシユ１１とボールジヨイント１２とを結ぶ
直線、即ちセミトレーリング軸Ｘ−Ｘを揺動中心
として上下方向に揺動可とされている。

次に、上記の如く構成されたリヤサスペンシヨ
ン１の作動を説明する。

先ず、加速時や制動時等において車体７とリヤ
ホイール６との間に前後方向の力が作用した時に
は、トレーリングアーム２における内側アーム５
の先端部５ａが車体７にボールジヨイント１２を
介して連結されて該ボールジヨイント１２を中心
に水平面内で回動可能とされており、また外側ア
ーム４の先端部４ａが弾性ブツシユ１１を介して
車体７に連結されて前後方向に変位可能とされて
いることにより、上記前後力を受けてトレーリン
グアーム２が車体７に対して略前後方向に相対変
位することになる。この時、この変位は上記弾性
ブツシユ１１によつて弾力的に吸収されるから、
該前後力が急激に作用した場合にもこれに伴う衝
撃が緩和されることになる。

一方、コーナリング時においてリヤホイールに
外側から横力Ｆが作用した時には、該横力Ｆによ
り上記トレーリングアーム２が車体内側方向に変
位しようとする。しかし、該トレーリングアーム
２における斜め横方向に延びる内側アーム５の先
端部５ａがボールジヨイント１２を介して車体７
に支持されて、横方向の剛性が高くされているか
ら、上記横力が該ボールジヨイント１２によつて
支えられてトレーリングアーム２の横方向の変位
が阻止されることになる。これにより、コーナリ
ング時におけるリヤホイール６の挙動が改善され
ることになる。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、独立懸架式のリ
ヤサスペンシヨンにおいてコーナリング時にリヤ
ホイールに作用する横力がトレーリングアームの
内側アーム端を支持するボールジヨイント１２で
支えられることになると共に、車体とリヤホイー
ルとの間に作用する前後力が該アームの外側アー
ム端を支持する弾性ブツシユにより吸収されるこ
とになる。即ち、従来における横力を支えるため
のアシストリンクを要することなく、トレーリン
グアームだけを用いた簡単な構成により、所要の
横剛性と前後力の吸収能力を有するリヤサスペン
シヨンが実現されることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図はリヤサスペンシヨンの従来例をを示す
平面図、第２，３図は本考案リヤサスペンシヨン
の実施例を夫々示す平面図及び側面図である。 ２……トレーリングアーム、４……外側アー
ム、５……内側アーム、７……車体、１１……弾
性ブツシユ、１２……ボールジヨイント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体に２点で上下揺動自在に連結されてリヤホ
   イールを回転自在に支持するトレーリングアーム
   を有するサスペンシヨンであつて、該トレーリン
   グアームの車体略前後方向に延びる外側アームの
   アーム端が弾性ブツシユを介して車体に連結さ
   れ、且つ斜め横方向に延びる内側アームのアーム
   端がボールジヨイントを介して車体に連結されて
   いることを特徴とする自動車のリヤサスペンシヨ
   ン。