JPS6345751B2 - - Google Patents

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JPS6345751B2
JPS6345751B2 JP59259337A JP25933784A JPS6345751B2 JP S6345751 B2 JPS6345751 B2 JP S6345751B2 JP 59259337 A JP59259337 A JP 59259337A JP 25933784 A JP25933784 A JP 25933784A JP S6345751 B2 JPS6345751 B2 JP S6345751B2
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JP
Japan
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group
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potassium
film
crown ether
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JP59259337A
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JPS61138661A (ja
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Tooru Sakaki
Toshiji Shimamoto
Takayuki Ogata
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Publication of JPS6345751B2 publication Critical patent/JPS6345751B2/ja
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  • Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規なシツフ塩基型ベンゾクラウン
エーテル及び熱可塑性樹脂とよりなり、特にカリ
ウムイオン選択性を示すクラウンエーテル組成物
に関する。 〔従来の技術〕 従来、カリウムイオンに選択的に配位する有機
化合物としては、ベンゾ―15―クラウン―5、ベ
ンゾ―18―クラウン―6、ジベンゾ―18―クラウ
ン―6、シクロヘキシル―18―クラウン―6、ジ
ベンゾ―30―クラウン10等の大環状ポリエーテル
及びバリノマイシン、ノナクチン等の大環状ポリ
ペプチドが知られている。これらの化合物を含有
した組成物は、膜状物に成形され、特にカリウム
電極としての応用が多数検討されている。カリウ
ム電極は、カリウムイオン濃度測定、とりわけ血
清等の体液中のカリウムイオン濃度を迅速かつ容
易な操作で定量するために用いられている。 しかしながら、これまでに報告された大部分の
大環状ポリエーテルを含有する膜状物を用いて構
成されたカリウム電極は、カリウムイオン以外の
アルカリ金属イオン、特にナトリウムイオンに対
する選択性が充分なものではなかつた。わずかに
下記の一般式(イ)、(ロ)及び(ハ)で示される化合物を含
有する膜状物を用いて構成されるカリウム電極
が、優れたカリウムイオン選択性を示すことが報
告されているのみである。 しかしながら、上記(イ)、(ロ)、(ハ)何れの化合物に
ついても、その製造に際しては多段階の反応操作
を必要とし、また各反応について煩雑な精製操作
を必要とする欠点があつた。更に(ハ)の化合物につ
いては、副反応を避けるために極めて希薄な条件
で合成反応を行う必要があることが報告されてい
る。 本発明者等は、カリウム塩に対して優れた選択
的配位能力を有する大環状ポリエーテル化合物を
合成すべく種々検討を重ねて来た。その結果、前
記一般式(イ)、(ロ)、(ハ)に比べてはるかに簡単な反応
操作で、カリウム塩に対する選択的配位能力に優
れた、下記一般式()で示されるシツフ塩基型
ベンゾクラウンエーテルを得ることに成功した。 (特願昭58−237937号) (ただし、nは1〜5の整数で、Aは―N=
CH―または―CH=N―で、Xは水素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ
基、フエニル基、アゾフエニル基である。) 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明者らは、さらに研究を重ねた結果、上記
一般式()で示されるシツフ塩基型ベンゾクラ
ウンエーテルと熱可塑性樹脂とよりなる組成物
が、特にカリウム電極として有用な材料であるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明は、 (A) 一般式() (ただし、nは1〜5の整数で、Aは―N=
CH―または―CH=N―で、Xは水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニ
トロ基、フエニル基またはアゾフエニル基であ
る。) で示されるシツフ塩基型ベンゾクラウンエーテ
ル0.1〜20重量部及び (B) 熱可塑性樹脂100重量部 より主としてなるクラウンエーテル組成物であ
る。 本発明のクラウンエーテル組成物の一成分であ
る前記一般式()で示されるシツフ塩基型ベン
ゾクラウンエーテルは、新規な化合物で、通常次
のような測定によつて該化合物であることを確認
できる。 (1) 赤外吸収スペクトル 環状ポリエーテル構造に基づく吸収が1270cm-1
付近と1130cm-1付近に強く現われる。―CH=H
―結合または―N=CH―結合に由来する吸収ピ
ークが1640cm-1付近に現われる。 (2) 13C―核磁気共鳴スペクトル 重クロロホルムを溶媒及び標準物質として測定
すると、―N=CH―または―CH=N―結合の
炭素に由来するピークが160ppm付近に、クラウ
ンエーテル環のメチレン炭素に由来するピークが
70ppm付近に現われる。 (3) 質量分析 質量分析の手段として、電界脱離法(FDと略
す)を用いることにより、本発明の前記一般式
()で示される化合物の分子イオンピークが観
測される。 (4) 元素分析 炭素、水素、窒素、ハロゲンの分析結果を前記
一般式()から算出される理論値と比較するこ
とにより確認される。 本発明の前記一般式()で示される化合物の
性状は、後述する製造方法、用途等の説明あるい
は実施例の結果からも明らかであるが代表的な性
状を示せば次のとおりである。 (i) 本発明のシツフ塩基型ベンゾクラウンエーテ
ルは一般に蒸留不可能で明確な沸点を得がた
い。 (ii) 通常の製法では粉末状固体として得られ、常
温(25℃)においては微黄色〜橙色の固体であ
る。 (iii) 融点が70〜190℃の範囲にある。 (iv) 前記一般式()で示されるシツフ塩基型ベ
ンゾクラウンエーテルは種々の有機溶媒に溶解
する。例えば塩化メチレン、クロロホルム、ベ
ンゼン、トルエン、アセトン、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、メ
タノール等には常温で溶解する。またエタノー
ル、イソプロピルアルコール等には加温下に溶
解し、更に加熱されたヘキサン、ヘプタン等に
は微量溶解する。 前記性状については極めて容易に確認出来るの
で、使用に先きだち予め確認すればよい。 前記一般式()で示されるシツフ塩基型ベン
ゾクラウンエーテルのうち、Xがハロゲン原子で
ある化合物、特に、Xが塩素原子、フツ素原子、
臭素原子である化合物、更にはnが3以上である
化合物は、本発明のクラウンエーテル組成物をカ
リウム電極として用いた場合に、カリウムイオン
の選択性及び感度が優れているために好適に採用
される。 本発明の前記一般式()で示されるシツフ塩
基型ベンゾクラウンエーテルの製造方法は特に限
定されるものでなく、如何なる方法を採用しても
よい。工業的に好適な方法の一例を具体的に例示
すれば次のとおりである。 すなわち、一般式() で示される化合物と一般式() (ただし、X及びnは前記一般式()におい
て説明したものと同様である)で示される芳香族
アミンを反応させる方法がある。 また、一般式() で示されるアミノベンゾクラウンエーテルと一般
式() (ただし、X及びnは前記一般式()で説明
したものと同様である)で示される芳香族アルデ
ヒドとを反応させる方法も好適である。これらの
方法は目的化合物に応じて好適に選択して用いら
れる。 前記一般式(),()及び()で示される
構造式中、Xはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フエ
ニル基、アゾフエニル基から選ばれた原子または
基である。該ハロゲン原子は塩素、臭素、沃素ま
たは弗素が適宜選択して用いられ、またアルキル
基、アルコキシ基のアルキル基は特に限定されず
用いうるが、一般にはメチル基、エチル基、n―
プロピル基、n―ブチル基等の炭素数1〜4のア
ルキル基が好適である。本発明におけるこれらの
基は前記()〜()の原料化合物とこれらの
反応についての説明から明らかなように、原料化
合物のベンゼン環の水素原子が置換されたもの
で、反応には不活性の基である。従つて、前記ア
ルキル基、アルコキシ基、フエニル基、アゾフエ
ニル基等はこれらの骨格が誘導されていればよ
く、これらの基の水素原子の少くとも1つが他の
置換基で置換されていても前記反応によつて目的
物を得ることが出来る。 前記一般式()で示される原料化合物の製法
は特に限定されないが、3,4ジヒドロキシベン
ズアルデヒドと、テトラエチレングリコールジク
ロリドを反応させて得る方法か、またはカテコー
ルとテトラエチレングリコールジクロリドを反応
させて、一般式()で示される化合物 を得た後にアルデヒド基を導入するかの何れかの
公知の方法が好適に採用される。 また、前記一般式()で示される原料化合物
の製法も特に限定されないが、一般式()で示
される化合物をニトロ化した後、白金触媒等の存
在下に水素還元する公知の方法が好適である。 本発明の一般式()で示される化合物を得る
反応態様については特に限定されないが、一般に
個々の反応原料が有するアルデヒド基及びアミノ
基に対して不活性な溶媒中で溶液ないし懸濁状態
において反応する方法が好適に採用される。上記
反応に好適に用いられる溶媒を例示すれば、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素
類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、トリク
ロロトリフロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化
水素類;クロルベンゼン、ブロムベンゼン等のハ
ロゲン化芳香族炭化水素類;メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、ブタノール、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族ア
ルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン等のケトン類;アセトニト
リル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジエチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸メチ
ル、酢酸エチル等のエステル類;ホルムアミド、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等
のアミド類等が挙げられる。 本発明の前記一般式()で示される化合物を
得るには、特別な触媒を用いずとも前記反応は進
行するが、該反応は三フツ化ホウ素エチルエーテ
ル、パラトルエンスルホン酸、硫酸、リン酸等の
酸触媒を微量添加することにより著しく反応速度
を増加せしめることができ工業的に有利である。 本発明の一般式()で示される化合物を得る
にあたつて採用される反応温度は特に限定的でな
いが、一般に0℃〜150℃の間で行えば十分であ
る。また反応時間は反応温度、反応溶媒、原料濃
度、触媒の有無等により相違するが、一般に10分
から50時間の範囲で適宜決定して採用すればよ
い。 上記反応で得られる本発明の一般式()で示
される化合物は、高分子量、高沸点であるため蒸
留が困難である。そのため、通常は抽出、再結晶
等の手段によつて精製されるが、反応溶媒によつ
ては目的生成物が反応の進行に伴つて選択的に沈
澱し、特別な後処理操作を必要とせず、単なる濾
過操作のみによつて十分な純度のものが得られる
場合もある。 本発明のクラウンエーテル組成物の他の一成分
は熱可塑性樹脂である。本発明で使用される熱可
塑性樹脂としては、公知のものが何ら制限されず
に使用される。本発明のクラウンエーテル組成物
を膜状物に成形してカリウム電極に用いる場合、
通常水溶液中で使用されるため、熱可塑性樹脂は
水に溶解しないものであることが好ましい。本発
明で使用される熱可塑性樹脂として好適なものを
例示すると、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、
塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハ
ロゲン化ビニルの単独重合体または共重合体;ス
チレン、クロルスチレン、ブロモスチレン等のス
チレン及びその置換体の単独重合体または共重合
体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、等のアク
リル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単
独重合体または共重合体;酢酸ビニル等のビニル
エステルの単独重合体または共重合体;ブタジエ
ン、イソプレン等のジエン系重合体またはこれら
ジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共重
合体;ポリウレタン類;シロキサン重合体または
共重合体;酢酸セルロース、硝酸セルロース等の
繊維素誘導体等が挙げられる。 本発明のクラウンエーテル組成物は、前記一般
式()で示されるシツフ塩基型ベンゾクラウン
エーテルと熱可塑性樹脂とを含む組成物である。
該一般式()で示される化合物の配合割合は目
的の性状を発揮する限り特に限定されるものでは
ないが、一般には該熱可塑性樹脂100重量部に対
して、0.1〜20重量部好ましくは1〜10重量部の
範囲で用いると好適である。上記一般式()で
示される化合物が上記範囲より少ない場合は、カ
リウムイオンに対する選択性が低下する傾向があ
り、カリウム電極として好ましくない場合があ
る。また、上記範囲より多い場合は、一般式
()で示される化合物が析出する傾向があり、
ひどいときは上記化合物の層と熱可塑性樹脂との
層とに層分離を起こし、クラウンエーテル組成物
が不均一になる場合があるので一般には好ましく
ない。 本発明のクラウンエーテル組成物は、前記説明
したシツフ塩基型ベンゾクラウンエーテルと熱可
塑性樹脂から構成した場合においても、実施例に
おいて示すように十分実用に供し得るカリウム電
極に使用することが可能であるが、更に下記一般
式() (ただし、Y1,Y2,Y3及びY4は同種または異
種の水素原子、ハロゲン原子、アルキル基または
ハロアルキル基で、p1,p2,p3及びp4は同じかま
たは異なる1〜5の整数で、Mはアルカリ金属で
ある。) で示される有機ホウ素化合物を前記シツフ塩基型
ベンゾクラウンエーテルに対して、モル比で0.5
以下好ましくは、0.01〜0.4の範囲で用いること
により更にカリウム電極の測定感度及び寿命を向
上せしめることができる。有機ホウ素化合物の量
が、上記範囲を越えると、本発明のクラウンエー
テル組成物をカリウム電極として用いた場合に、
カリウムイオンの選択性及び感度を著しく低下さ
せることがあるので好ましくない。 前記一般式()中、Y1,Y2,Y3及びY4で示
されるハロゲン原子としては、フツ素、塩素、臭
素、ヨウ素の各原子が用いられる。また、前記一
般式()中、Y1,Y2,Y3及びY4で示されるア
ルキル基としては、その炭素数に限定されない
が、一般には炭素数1〜4のものが好ましい。具
体的には、メチル基、エチル基、n―プロピル
基、n―ブチル基等が挙げられる。さらに、ハロ
アルキル基としては、上記のアルキル基の水素原
子の少なくとも1つ以上がハロゲン原子で置換さ
れたものが何ら制限されずに用い得る。具体的に
は、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロム
エチル基、ヨードプロピル基、クロロブチル基、
ジフルオロメチル基、ジクロロエチル基、ジブロ
ムプロピル基、トリフルオロメチル基、トリクロ
ロメチル基、トリブロムプロピル基、ペンタフル
オロエチル基、等が挙げられる。 本発明において用いる前記一般式()で示さ
れる有機ホウ素化合物は、公知の方法、例えば
「J.Prackt.Chem.,26,15(1964)」及び「Synth.
React.Inorg.Met.―Org.Chem.,10,261(1980)」
等に示された方法に従つて合成することができ
る。 前記一般式()で示される有機ホウ素化合物
中、Y1,Y2,Y3及びY4が水素原子、フツ素原
子、塩素原子またはトリフルオロメチル基である
化合物は、容易に入手可能であるか、または入手
物から目的アルカリ金属塩に塩交換することによ
つて容易に誘導可能であるため、本発明において
好適に用いられる。また、一般式()におい
て、アルカリ金属がカリウム、ルビジウム、セシ
ウム等が一般に水への溶解度が低いため好適であ
り、カリウムである場合が特に好ましい。アルカ
リ金属がリチウム、ナトリウムである場合には、
一般に水溶性が大きいため、本発明のクラウンエ
ーテル組成物に含まれる熱可塑性樹脂及び前記一
般式()で示されるシツフ塩基型ベンゾクラウ
ンエーテルとの組み合わせによつては得られるク
ラウンエーテル組成物が使用目的に合致しない場
合があるので注意を要する。 本発明のクラウンエーテル組成物は、熱可塑性
樹脂を含むために、用途に応じて任意の形状、例
えば、膜状物、粒状物、繊維状物等に成形するこ
とができる。膜状物に成形した場合には、カリウ
ム電極として、粒状物や繊維状物に成形した場合
には、イオン交換樹脂あるいはクロマトグラフイ
ー材料に応用することが可能である。 以下に、本発明のクラウンエーテル組成物を膜
状物に成形した場合について説明する。 本発明のクラウンエーテル組成物を成形して得
た膜状物をカリウム電極を構成する膜状物として
使用する場合は、その膜状物の厚さは、特に限定
されないが、1〜1000μmの範囲で選択すれば十
分である。また、上記の膜状物は、柔軟性を有す
るものの方がよく一般には膜状物の引張弾性率
(25℃)が5000Kg/cm2以下のものが好ましく、特
に10〜3000Kg/cm2好ましくは50〜2000Kg/cm2の範
囲のものが好適に使用される。従つて、一般に柔
軟性の膜状物が得られる、ポリウレタン類:ポリ
シロキサン類を熱可塑性樹脂として用いる場合
は、これらの樹脂をそのまま使用出来るが、比較
的柔軟性に欠ける膜状物を付与する熱可塑性樹脂
例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のような
ものを用いるときは、可塑剤を使用するのがよ
い。該可塑剤は特に限定されず公知のものを使用
出来るが、一般には次のようなものを使用すれば
よい。例えばジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレ
ート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペ
ート、ジオクチルセバケート等の脂肪酸エステル
類;オルソニトロフエニルオクチルエーテル等の
オルソニトロフエニルアルキルエーテル等が挙げ
られる。これらの可塑剤の添加量は膜状物の使用
目的に応じて適宜選択すればよいが、一般には熱
可塑性樹脂100重量部に対して可塑剤を30〜300重
量部の範囲で選べば好適である。 上記の膜状物の製造方法は特に限定されない。
一般に好適に採用される代表的な製造方法を例示
すれば次のとおりである。 (i) 前記一般式()で示される化合物を熱可塑
性樹脂と共に、あるいはさらに可塑剤を添加し
て、これらを有機溶媒に溶解し、該溶液を板上
面に塗布または流し込んだ後、有機溶媒を蒸発
せしめて膜状物とする方法。上記有機溶媒とし
ては、熱可塑性樹脂及び一般式()で示され
る化合物を溶解するものであれば公知のものが
何ら制限されず使用し得る。一般に好適に用い
られる有機溶媒を具体的に例示すれば、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム、
1,2ジクロルエタン、塩化メチレン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ベン
ゼン、トルエン等が挙げられる。 更に、前記一般式()で示される有機ホウ
素化合物を添加する場合、有機ホウ素化合物単
独では有機溶媒に難溶である場合でも、前記一
般式()で示される化合物が共在する場合、
前記一般式()で示される化合物に対するモ
ル比が0.5以下では、可溶化することが多いの
で予め溶解試験を実施した上で溶媒を選択する
ことが望ましい。 (ii) 一般式()で示される化合物を熱可塑性樹
脂と更には可塑剤、更に必要に応じて前記一般
式()で示される有機ホウ素化合物を加え
て、該混合物を原料に加熱成形して膜状物とす
る方法ある。該加熱成形する方法は特に限定さ
れず公知の方法が採用出来る。例えば前記一般
式()で示される化合物、熱可塑性樹脂ある
いは必要に応じて可塑剤を添加した混合物を該
熱可塑性樹脂の軟化温度または溶融温度以上の
温度下に溶融押出し、膜状物に成形する方法あ
るいは該混合物を熱プレスにより膜状物に成形
する方法を採用すればよい。 上記に示した方法により得られる膜状物は特に
カリウム電極の膜状物として好適に使用される。
該膜状物をカリウム電極に構成する態様について
は公知の方法が特に限定されずに用いうる。例え
ば、前記(i)に示した一般式()で示される化合
物を溶解した溶液をガラス板上に流出し、該溶媒
を除去して膜状物を形成せしめ、膜状物を得て、
その膜状物を所定の大きさに切り出し、膜ホルダ
ーに膜状物を装着しカリウム電極とする方法、あ
るいは銀線、白金線等の表面に、直接膜状物を形
成せしめ、それをカリウム電極とする方法などが
挙げられる。 〔発明の効果〕 本発明のクラウンエーテル組成物は、前記した
ように、カリウムイオンに対する選択性が極めて
良好であり、これを成形した膜状物は、カリウム
電極を構成する膜状物として理想的なものであ
る。その他本発明のシツフ塩基型ベンゾクラウン
エーテルを含有する組成物は、カリウム塩の選択
的輸送能力あるいは選択的吸収能力を有してお
り、カリウム塩の除去、更には濃縮等への応用も
可能である。 以下に本発明を更に具体的に説明するために製
造例及び実施例を挙げるが、本発明はこれらの製
造例及び実施例に限定されるものではない。 実施例において、本発明の組成物を成形して得
た膜状物を用いた電極の性能は、以下の装置及び
方法により評価した。 実施例1〜4及び実施例6〜8については第4
図に示した膜ホルダーに、膜状物を装着し、第3
図に示した装置を用いて電極性能を評価した。実
施例5においては、第5図に示した如くの白金線
表面に膜状物を形成したものを電極とし、第3図
の1の電極部分に直接装着することにより電極性
能を評価した。 ナトリウムイオンに対するカリウムイオンの選
択倍率の決定は、「イオン選択性電極」(共立出
版、1977)第2章3節に記載された混合溶液法に
よつて求めた。具体的には塩化カリウムと塩化ナ
トリウムを含む水溶液において、塩化カリウムを
一定濃度(10-4M)とし、塩化ナトリウムの濃度
を変化させて起電力を測定した。そして、起電力
と塩化ナトリウム濃度の関係をプロツトし、その
屈曲点における塩化ナトリウム濃度を塩化カリウ
ムの濃度で除した値をもつて選択倍率とした。こ
の値は大なるほどカリウム電極として優れてい
る。 また、塩化カリウムのみを10-1〜10-5Mの濃度
範囲で含む水溶液の起電力を測定して、起電力と
塩化カリウム濃度との関係より勾配を塩化カリウ
ム濃度が10倍変化するについての起電力の変化量
としてmV/decadeの単位で求めた。この値が大
なる程電極の感度が高いことを示す。また、すべ
ての測定は25℃で行つた。 製造例 1 磁気回転子を入れた内容積100mlの三角フラス
コにエタノール40ml、 で示される化合物(以下、単に4′―ホルミルベン
ゾ15クラウン5と略記する。)を2.0g(6.76ミリモ
ル)、アニリン0.63g(6.76ミリモル)を仕込み、
冷却管を付して撹拌しながら油浴を用いて還流下
で48時間反応を行つた。反応後エタノールを留去
した。得られた反応物をイソプロパノールから再
結晶し微黄色結晶1.97gを得た。得られたものに
ついて、以下の分析を行つた。 (1) 融点 70〜72℃ (2) 赤外吸収スペクトル (結果を第1図として添付する) ―CH=N― 1640cm-1 環状エーテル 1270cm-1,1130cm-1 (3) 13C―核磁気共鳴スペクトル (結果を第2図として添付する) 測定溶媒:重クロロホルム 標準 :重クロロホルム (4) 質量分析スペクトル FD法 m/e=371(M+) (5) 元素分析
【表】 以上の測定結果より、生成物が目的物であるこ
とが確認できた。 製造例 2〜22 冷却管、水分定量受器を付した内容積100mlの
ナス形フラスコに4′―ホルミルベンゾ15クラウン
5を2.0g(6.76ミリモル)、第1表に示す一般式
【式】で示される芳香族アミン (ただし、第1表の表示はアミノ基(NH2)を省
略して表示した)を6.76ミリモル、反応触媒とし
て三フツ化ホウ素エチルエーテルを20mg及びベン
ゼン50mlを仕込み、磁気回転子で撹拌しながら、
油浴で加熱しながら4時間共沸脱水させた。反応
後ベンゼンを留去し、生成物をイソプロパノール
から再結晶し、黄色及び白色の結晶を得た。反応
物の収率、融点及び元素分析結果を第1表にまと
めた。また目的生成物の確認は製造例1と同様に
行い、それぞれ確認した。
【表】
【表】
【表】 製造例 23〜35 冷却管、水分定量受器を付した内容積100mlの
ナス形フラスコに4′アミノベンゾ15クラウン5を
2.0g(9.85ミリモル)、第2表に示す一般式
【式】で示される芳香族アルデ ヒド(ただし、第2表の表示はアルデヒド基
(CHO)を省略して表示した)を9.85ミリモル、
反応触媒として三フツ化ホウ素エチルエーテルを
20mg及びベンゼンを50ml仕込み、磁気回転子で撹
拌しながら、油浴で加熱しながら、4時間共沸脱
水させた。反応後ベンゼンを留去し、生成物をイ
ソプロパノールから再結晶し、濾別した後減圧乾
燥した。反応物の分析は製造例1に述べたのと同
様な方法によつて行い、生成物が目的物であるこ
とを確認した。結果を第2表に示す。
【表】
【表】 実施例 1 製造例1〜35において得られたシツフ塩基型ベ
ンゾクラウンエーテルを10mg、ポリ塩化ビニル
(重合度1300)200mg、オルソニトロオクチルフエ
ニルエーテル400mgを10mlのテトラヒドロフラン
に溶解した。この溶液を平滑なガラス板上に流延
した後、テトラヒドロフランを蒸発せしめて約
100ミクロン厚の膜を得た。この膜を第3図及び
第4図に示す装置に装着し、電極性能を評価し
た。すべての測定は25℃で行つた。結果を第3表
に示した。
【表】 実施例 2 第4表に示したシツフ塩基型ベンゾクラウンエ
ーテル20mlとポリ(ビスフエノールAカーボネツ
ト)―ポリ(ジメチルシロキサン)ブロツク共重
合体(組成49対51重量比)600mgを20c.c.の塩化メ
チレンに溶解した。この溶液を平滑なガラス板上
に流延した後、塩化メチレンを蒸発せしめて、約
100ミクロン厚の膜状物を得た。これらの膜状物
を用いて構成した電極の性能を第4表に示す。
【表】 実施例 3 第5表に示したシツフ塩基型ベンゾクラウンエ
ーテル10mgと熱可塑性樹脂及び可塑剤を第5表に
示した組成で10mlのテトラヒドロフランに溶解し
た。この溶液を平滑なガラス板上に流延した後、
テトラヒドロフランを蒸発せしめて、約100ミク
ロン厚の膜状物を得た。これらの膜状物を用いて
構成した電極の性能を第5表中の電極性能に示
す。
【表】 実施例 4 製造例25によつて得られた化合物20mg、ポリ塩
化ビニル200mg、オルソニトロフエニルオクチル
エーテル400mgをガラス製小型シヤーレに入れ、
120℃に加熱した熱板上でミクロスパーテルを用
いて十分混合した後、該混合物を熱プレスにより
約70μm厚の膜状物に成形した。この膜状物を用
いて構成したカリウム電極性能は選択倍率1800、
勾配51mV/decadeであつた。 実施例 5 第6表に示したシツフ塩基型ベンゾクラウンエ
ーテル20mgと、熱可塑性樹脂及び可塑剤を第6表
に示した組成で3mlのテトラヒドロフランに溶解
した。この溶液に外径0.5mmの白金線を10秒間浸
せきした後、溶液より取り出し10分間放置し、溶
媒であるテトラヒドロフランを蒸発せしめた。こ
の操作を10回繰り返し、白金線表面に膜状物を形
成せしめた。測定液と白金線との接触を避けるた
め白金露出部分をテトラフルオロエチレン製テー
プで被覆した。この膜状物被覆白金線の概略を第
5図に示す。これら膜状物被覆白金線の電極性能
を評価した。その結果を第6表中に電極性能とし
て示した。
【表】 実施例 6 第7表に示したシツフ塩基型ベンゾクラウンエ
ーテル20mgと熱可塑性樹脂200mg及び可塑剤300mg
及び一般式()で示される有機ホウ素化合物を
シツフ塩基型ベンゾクラウンエーテルに対して所
定のモル比で1,2―ジクロルエタン10mlに溶解
した後、ガラス板に流延し、1,2―ジクロルエ
タンを蒸発せしめ、約100μm厚の膜状物を得た。
得られた膜状物を用いて構成したカリウム電極の
電極性能を第7表に示す。 第7表に示すように、有機ホウ素化合物の添加
により、勾配が58〜60mVという極めて高い値を
示し、高感度なカリウム電極を構成できることが
明らかである。
【表】
【表】 実施例 7 製造例10の化合物15mg、ポリ塩化ビニル200mg、
オルソニトロフエニルオクチルエーテル400mg、
【式】を製造例10の化合物に対してモ ル比で0.1の量をガラス製小型シヤーレに入れ、
120℃に加熱した熱板上でミクロスパーテルを用
いて十分混合した後、該混合物を熱プレスにより
約80μm厚の膜状物を得た。この膜状物を用いて
構成したカリウム電極の電極性能は、選択倍率
3800、勾配59mV/decadeであつた。 実施例 8 実施例1No.10で得た膜状物(製造例10の化合物
及びポリ塩化ビニル及びオルソニトロフエニルオ
クチルエーテルよりなる)を用いて構成したカリ
ウム電極、及び実施例6No.5で得た膜状物(製造
例10の化合物及びポリ塩化ビニル及びオルソニト
ロフエニルオクチルエーテル及び
【式】よりなる)を用いて構成したカ リウム電極を3の0.15M NaCl,0.003M、KCl
を含む水溶液に30℃にて浸漬し、2週間毎に取り
出し、電極性能を測定し、両者の電極の耐久性を
調べた。結果を第8表に示す。
【表】 第8表より、有機ホウ素化合物の添加により、
カリウム電極の耐久性を大巾に向上させ得ること
が明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ製造例1で得た
化合物の赤外吸収スペクトル及び13C―核磁気共
鳴スペクトルである。第3図は起電力を測定する
装置の説明図で、第4図は第3図の電極1に内蔵
される各種構成要素を示す説明図である。第5図
は本発明の組成物を成形して得た膜状物を被覆し
た白金線の概略図である。第3図,第4図及び第
5図の中で、各番号は次の内容を示す。 1……電極、2……測定溶液、3……磁気回転
子、4……磁気撹拌機、5……1M酢酸リチウム
塩橋、6……塩化カリウム飽和水溶液、7……飽
和かんこう電極、8……エレクトロメーター(北
斗 HE−103 型)、11……アクリル製膜ホル
ダー、12……銀線、13……被覆ガラス管、1
4……銀―塩化銀円部標準電極、15……10-3M
塩化カリウム内部標準液、16……膜状物、17
……O―リング、21……白金線、22……膜状
物、23……テフロン製テープ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (A) 一般式 (ただし、nは1〜5の整数で、Aは―N=
    CH―または―CH=N―で、Xは水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニ
    トロ基、フエニル基またはアゾフエニル基であ
    る。) で示されるシツフ塩基型ベンゾクラウンエーテ
    ル0.1〜20重量部及び (B) 熱可塑性樹脂100重量部 より主としてなるクラウンエーテル組成物。 2 (A) 一般式 (ただし、nは1〜5の整数で、Aは―N=
    CH―または―CH=N―で、Xは水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニ
    トロ基、フエニル基またはアゾフエニル基であ
    る。) で示されるシツフ塩基型ベンゾクラウンエーテ
    ル0.1〜20重量部 (B) 熱可塑性樹脂100重量部及び (C) 上記のシツフ塩基型ベンゾクラウンエーテル
    に対してモル比で0.5以下の量の下記一般式 (ただし、Y1,Y2,Y3及びY4は同種または
    異種の水素原子、ハロゲン原子、アルキル基ま
    たはハロアルキル基で、p1,p2,p3及びp4は同
    じかまたは異なる1〜5の整数で、Mはアルカ
    リ金属である。) で示される有機ホウ素化合物 より主としてなるクラウンエーテル組成物。
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