JPS6345676Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はスクラツプ電気溶融炉の高温排ガス
を使用して金属スクラツプを予熱する装置に関す
る。

近年、エネルギーコストの高騰に伴い、鉄鋼業
に於ける省エネルギーに対する研究は目覚ましい
ものがある。

スクラツプを原料とする電気炉製鋼に於いて
も、スクラツプ電気溶融炉で発生する高温の排ガ
スが保有する顕熱を有効利用すべく、スクラツプ
電気溶融炉からの排ガスをスクラツプ予熱装置に
導き、この排ガスによつてスクラツプを予熱し、
作業時間の短縮と消費電力の節減を図ることが行
われている。

ところで、スクラツプ予熱装置の運転中はスク
ラツプに付着する塗料、油脂分、ビニールで代表
される合成樹脂等の可燃物が完全燃焼しないまま
に溶けてガス化され、粉塵を含む悪臭ガスを放出
し、これが工場内空気を汚して作業環境を悪化さ
せ、又、外部に排出されると公害問題にも発展す
る。

そこで、スクラツプ予熱装置の運転中は溶解炉
からの排ガスを導入するためのフードによつてス
クラツプを収容したバケツトの開口部は覆われて
おり、又、予熱装置内を通過してスクラツプを熱
した後のガスは適切なガス処理装置によつて処理
して上記の悪臭ガスが漏出しないようにしたもの
であるが、予熱後のスクラツプを予熱装置からバ
ケツトごと取出してこれを電気溶融炉に装入する
段階でスクラツプを収容したバケツトが開放状態
となり、ここで悪臭ガスが発散する。

この悪臭ガスの発散防止のため、従来はバケツ
トが開放された段階で予熱装置近傍に置かれたバ
ケツト用の蓋を先ずクレーンを使用して被せた
後、バケツトをクレーンにより吊り上げて溶解炉
にスクラツプを装入する手法が採られることもあ
るが、作業が煩雑になる。

（考案の目的） この考案は上記の点に鑑みなされたものであつ
て、スクラツプを収容するバケツトに専用の蓋を
装着して、スクラツプ予熱装置からバケツトを取
り出す際に、バケツト吊下げ用フツクの動きに連
動してその蓋を被せるようにし、作業性を向上し
た便利なスクラツプ予熱装置用バケツトを提供し
ようとするものである。

（考案の構成） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は蓋を閉じた状態のこの考案の正面図、
第２図は一部を欠除した同平面図、第３図は第２
図Ａ−Ａ線に於ける吊下げ用フツクの軸着部の断
面図、第４図は第２図Ｂ−Ｂ線に於ける断面図、
第５図は蓋を開いた状態の正面図である。

１はバケツト本体、２はバケツト本体１の開閉
可能な底部、３は吊下げ用フツク、４は本体上部
に周設した突縁である。

５はバケツト本体１の開口部両側に平行して設
けたガイド、６は中央で２つ折り可能な蓋、８は
蓋６の一端に固着され、軸７を介してサポート２
０に軸支された基端側操作枠、８′は蓋６の他端
に固着され、その両端部にローラ９を取付た遊端
側操作枠であり、このローラ９をガイド５に設け
た溝１０に係合させている。

尚、ガイド５はローラ９が基端側終端部に於い
て軸７と同芯になるように構成される。

１１はバケツト本体１に軸１２を介して軸着さ
れた吊下げ用フツク３と同体回動する歯車、１３
はこの歯車１１に噛合する歯車、１４はこの歯車
１３の軸１５に取付けられ、該歯車１３と同体回
動するスプロケツト、１６は蓋６の基端側軸７に
取付けられ、蓋６と同体回動するスクラツプ、１
７は両スプロケツト１４，１６に掛架した連動チ
エンである。

（作用効果） この考案は上記の如く構成したものであり、ス
クラツプを収容したバケツトが予熱装置にセツト
された状態では、吊下げ用フツク３が傾倒してこ
の動きによつて蓋６が開放される。

即ち、吊下げ用フツク３が傾倒すると、この動
きに伴つて歯車１１、歯車１３、スプロケツト１
４、連動チエン１７、スプロケツト１６並びに軸
７が回転して蓋６の基端部が蓋開放方向に回動さ
せられ、遊端側操作枠８′がガイド５に係合した
まま、基端側に引き寄せられる動きによつて、蓋
６は２つ折りされてバケツト本体側方に移動し、
ローラ９が基端側終端部に倒達した後は、２つ折
り形状のまま、軸７を中心として旋回することに
よりバケツト本体１の開口を完全に開放する。

そして、バケツトに収容したスクラツプの予熱
を終了し、クレーンにより吊下げ用フツク３を起
立させ、バケツトを予熱装置から吊り上げる段階
で先の動きとは逆順を踏まえて蓋６は完全にバケ
ツト本体１の開口に被さるものである。

従つて、この考案によれば、バケツトの吊下げ
用フツクの起伏動に連動してバケツト開口部に装
着した蓋を開閉するように構成したから、蓋の開
閉が迅速に行われてスクラツプ予熱後にバケツト
内から放散される悪臭ガスを極力軽減することが
出来て作業環境を良くし、又、従来のようにクレ
ーンを使用して別に設けた蓋を開閉するのに比
べ、作業時間の短縮が図られる等、その実用的効
果は多大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は蓋を閉じた状態のこの考案の正面図、
第２図は一部を欠除した同平面図、第３図は第２
図Ａ−Ａ線に於ける吊下げ用フツクの軸着部の断
面図、第４図は第２図Ｂ−Ｂ線に於ける断面図、
第５図は蓋を開いた状態の平面図である。 １……バケツト本体、２……底部、３……吊下
げ用フツク、４……突縁、５……ガイド、６……
蓋、７……軸、８，８′……操作枠、９……ロー
ラ、１０……溝、１１……歯車、１３……中間歯
車、１４……スプロケツト、１５……軸、１６…
…スプロケツト、１７……連動チエン、２０……
サポート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バケツト本体の開口部両側に平行するガイドを
   設け、該ガイドの一端部に中央で２つ折り可能な
   蓋の基端部を軸着すると共に、蓋の遊端部をガイ
   ドに係合させ、バケツト本体に軸着した吊下げ用
   フツクと同体回動するスプロケツトと、蓋と同体
   回動するスプロケツトとを連動チエンによつて連
   係し、吊下げ用フツクの起伏動に連動して蓋を開
   閉するように構成したことを特徴とするスクラツ
   プ予熱装置用バケツト。