JPS6345184B2

JPS6345184B2 -

Info

Publication number: JPS6345184B2
Application number: JP55078391A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Nakayama; Mitsuru Hanaki; Retsu Nakamura; Hitoo Yamashita; Kohei Tsutsumi; Hisaya Sato
Original assignee: NIPPON NOSAN KOGYO KK; TOEI KURUMAEBI KENKYUSHO
Current assignee: NIPPON NOSAN KOGYO KK; TOEI KURUMAEBI KENKYUSHO
Priority date: 1980-06-12
Filing date: 1980-06-12
Publication date: 1988-09-08
Also published as: JPS575648A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は甲殻類養殖用配合飼料に関するもので
ある。近年、クルマエビ、ウシエビ、テナガエビ、ガ
ザミ等の甲殻類養殖がその種苗生産技術の進歩に
伴ない急速に増加しつつある。これらの養殖に用
いる餌としては、従来アサリ、大アサリ、ムラサ
キイガイなどの貝類、アミ、オキアミ、タイエビ
などの甲殻類、イカナゴ、イワシ、アジ、サバ、
サンマなどの雑魚、その他種類によつては養殖池
中の藻類等天然餌料や落花生滓、米糠などの植物
性飼料が給与されている。しかしながら、甲殻類の大規模な養殖において
上記天然餌料は資源的および季節的に入手が制限
されること、生餌は解凍、細砕等の調餌に多くの
人力と時間を必要とすること、投餌により水質が
悪化しやすいこと等、多くの欠点があるため人工
配合飼料の研究がなされてきた。そして、これま
でに甲殻類養殖用の人工飼料が多数提案された
が、これらの人工飼料はいずれもその成長効果に
おいて問題が多い。そこで本発明者らは、このような事情に鑑み、
養殖甲殻類、特にクルマエビ、ウシエビ、テナガ
エビ、イセエビ、ガザミ等の飼育成績を向上さ
せ、甲殻類養殖に極めて適する甲殻類養殖用配合
飼料について種々研究した結果、銅を飼料乾物中
40〜700ppm含有する飼料を使用して甲殻類を養
殖すると、甲殻類の成長、飼料効率が著しく向上
させることができることを見出し、本発明を完成
した。即ち、本発明は甲殻類養殖用配合飼料におい
て、成長促進物質として銅を飼料乾物中40〜
700ppm程度含有することを特徴とする甲殻類養
殖用配合飼料であつて、その目的は甲殻類養殖用
人工飼料としての成長効果の高い、飼料効率の良
い新規な甲殻類養殖用配合飼料を提供することに
ある。以下、本発明について詳細に説明する。養魚用飼料における銅の添加については、昭和
43年２月27日日本水産資源保護協会発行「魚類の
栄養と養魚飼料」第75頁；O.W.NEUHAUS及
びJ.E.HALVER編「FISH IN RESEARCH」
Academic Press（1969）、第211頁；日本水産学
会誌第46巻第４号、第455頁〜第458頁；昭和50年
度鹿児島県水産試験場事業報告書第24頁〜第25頁
などに報告があるが、これは銅が酵素の構成成分
となるか、あるいは酵素の作用を促進するかも知
れないとの予想から、各種栄養要求の基本的な試
験飼料の中でカルシウム、リンなどのミネラル混
合物に付随する微量金属（Trace metals）の一
種として２〜20ppm添加しているにすぎなかつた
のである。そしてまた、飼料中の銅含量を高めることは成
長率および飼料効率になんら効果を認めないばか
りか、銅の高含有飼料を給与するとむしろ血液性
状等に悪影響を与えるともされていたのである
（昭和55年度日本水産学会春季大会講演要旨集第
109頁）。これらのことから明らかなように、銅を甲殻類
養殖用配合飼料に飼料乾物中40〜700ppm程度含
有させるときは甲殻類の成長が極めて良好に行わ
れ、その成長率と飼料効率において従来の飼料に
比らべて著しく優れた結果を示すことは従来全く
知られていないことであり、このことは本発明者
らにより始めて見い出されたことである。この原因については明らかではないが、甲殻類
は魚類と共に水生動物であるが、魚類は脊椎動物
であるのに対し甲殻類は節足動物であつて、血中
の酸素運搬が銅を含むヘモシアニンであるため、
飼料中の銅含量を40〜700ppm程度含有させるこ
とにより甲殻類の代謝活動が活発となつたためと
も考えられる。なお、甲殻類養殖用飼料の一般原料中の銅含量
は魚粉が約4ppm、イカミールが25ppm、アミミ
ールが30ppmと低い。本発明飼料は、銅を飼料乾物中40〜700ppm程
度含有する甲殻類養殖用配合飼料であれば、どの
ような形状に成形しても良く、例えば粉末配合飼
料に加水した後押し出し造粒機で成形し乾燥した
ペレツト状物、ペレツトマシンあるいはエクスト
リユーダーにより成形したペレツト状物、これら
のクランブル状物、又は粉末状物に水を加えて混
練し適当な形状に成形したものなどが好ましい。本発明飼料を適用できる甲殻類としては、通常
エビ類、カニ類、シヤコ類、アミ類等が挙げら
れ、特にエビ類が好ましい。具体な例としてはク
ルマエビ、ウシエビ、テナガエビ、イセエビなど
が挙げられ、カニ類としてはガザミが挙げられ
る。本発明飼料に用いる銅化合物としては甲殻類用
飼料に添加して使用できるものであればいかなる
ものでも良く、例えば炭酸銅、硫酸銅、塩化銅、
グルコース銅、グリシン銅、水酸化銅、オルソリ
ン酸銅、酸化銅、ピロリン酸銅、沃化銅、などが
挙げられる。またこれらの銅化合物はその一種を甲殻類用配
合飼料に添加しても良いし、二種以上を適宜混合
し使用しても良い。飼料への銅化合物の添加手段としては、飼料製
造工程の適当な時期に行えば良いが、添加量が非
常に少量であるため、予め一種または二種以上の
甲殻類用飼料原料、例えばイカミール、魚粉、酵
母、大豆油かす、あるいはミネラル類の炭酸カル
シウムなどに添加稀釈して飼料中に均一混合する
のがよい。飼料への銅化合物の添加量としては、原料由来
の銅含量に加え上記銅化合物を一種または二種以
上添加して飼料乾物中の銅含量が40〜700ppmと
なる範囲で、その甲殻類の種類や成長度合、また
飼料中の鉄や亜鉛含量などに応じて適宜添加量を
選ぶことができる。本発明飼料における上記銅を混合する配合飼料
原料としては、例えばイカミール、アミミール、
魚粉、ミート・アンド・ボーン・ミール、血粉な
どの動物性蛋白源、大豆油かす、コーングルテン
などの植物性蛋白源、魚油、植物油、獣脂などの
脂肪源、飼料の保形性を良くするためのグルテ
ン、CMC（繊維素グリコール酸ナトリウム）、ゼ
ラチン、アルフアー化澱粉などの粘結剤、および
栄養的補強としてのビタミン類やミネラル類、そ
の他等が挙げられ、これらは対象となる甲殻類の
種類あるいは成長度合に応じ適宜選択組合せて使
用することができる。次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれにより制限されるもので
はない。実施例１第１表に示す配合組成の基本飼料（）99部に
対して第２表に示す割合で予め炭酸カルシウム
（CaCO₃）と合計１部となるように混合した無水
硫酸銅（CaSO₄）を添加し、粉砕、混合した後、
水分含量が45％となるように調湿したものを押し
出し造粒機にて直径2.5ｍ／ｍ、長さ15ｍ／ｍの
ペレツト状に押し出し、切断後、乾燥機にて水分
約８％に乾燥しクルマエビ用飼料を得た。

【表】

【表】上記のようにして得た７種の飼料をクルマエビ
に給餌し飼育試験を行つた。水容量２トン（１ｍ×２ｍ×１ｍ）のコンクリ
ート水槽に平均体重2.5ｇのクルマエビ稚魚各区
50尾を放養し、換水率100％／日の濾過海水を流
し、通気しながら飼育した。Ａ区、Ｂ区、Ｃ区、
Ｄ区、Ｅ区、Ｆ区の各試験区に対しては、上記の
クルマエビ用飼料Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆを給餌
した。又対照区には硫酸銅無添加の対照飼料を給
与した。試験期間は30日間で飼育温度は22℃〜24
℃であつた。この飼育結果は第３表に示す通りで、対照区、
Ａ区、Ｆ区に比較して銅を40〜700ppm含有する
クルマエビ用飼料（本発明飼料）を給餌したＢ
区、Ｃ区、Ｄ区、Ｅ区においては増重効果、飼料
効率の促進が著しく顕著であり、又歩留りの明ら
かな向上が認められた。なお、第３表中の日間成長率および飼料効率は
次の式により算出したものである。日間成長率（％）＝（Ｗ＋ｗ）−W₀／〔（W₀＋Ｗ＋ｗ）
／２〕×Ｎ× 100 飼料効率（％）＝（Ｗ×ｗ）−W₀／Ｆ×100 上記式中、W₀：開始時クルマエビ総重量（ｇ）Ｗ：終了時クルマエビ総重量（ｇ）ｗ：へい死クルマエビ総重量（ｇ）Ｎ：飼育日数（日）Ｆ：摂餌総量（ｇ）

【表】実施例２第４表に示す配合組成の基本飼料（）99部に
対して第５表に示す割合で予め乳酸カルシウム
（Ca−Lactate）と合計１部になるように混合し
た無水硫酸銅、塩化銅、炭酸銅を添加し、粉砕
し、混合した後、ペレツトマシーンにて造粒し、
クランブラーにて粒大2.2ｍ／ｍのクランブル状
のウシエビ用飼料を得た。

【表】

【表】上記のようにして得た５種の飼料をウシエビ
（Penaeus monodon）に給与し飼育試験を行な
つた。水容量８トン（２ｍ×４ｍ×１ｍ）のコンクリ
ート水槽を用い、生海水の流水飼育を行つた。放
養尾数は各区平均体重10ｇ程度のウシエビの稚エ
ビ85尾を供試し、22日間の飼育を行つた。試験中
の水温は24〜26℃であつた。イ区、ロ区、ハ区、
ニ区の各試験区に対しては、本発明飼料である上
記のウシエビ用飼料イ、ロ、ハ、ニを給餌した。
又、対照区には銅化合物を添加しない対照飼料を
給与した。この飼育の結果は第６表に示す通りで、銅無添
加の対照飼料に比較して各銅化合物を添加した本
発明飼料の効果はきわめて高く、本発明飼料がウ
シエビ用飼料としてすぐれていることは明らかで
ある。

【表】式にしたがつて算出したものであ
る。
実施例３実施例１の第２表に示す配合組成の内、対照の
組成の対照飼料とＣの組成のＣ飼料（本発明飼
料）を用いてガザミの飼育試験を行つた。両飼料とも、粉砕し、混合した後、粉体飼料を
等量の水にて良く練つた後これを用いた。即ち、
Ｃ区に対してはＣ飼料を、対照区に対しては対照
飼料を給餌した。飼育方法は水容量２トン（１ｍ
×２ｍ×１ｍ）のコンクリート水槽に各区15尾の
ガザミを放養し、生海水を用いた流水飼育を行つ
た。飼育期間は14日間、水温は20〜23℃であつ
た。この飼育試験の結果は第７表に示す通りで、本
発明飼料が対照試料に比較し格段に優れているこ
とは明らかである。

【表】て算出したものである。

Claims

【特許請求の範囲】

１甲殻類養殖用配合飼料において、成長促進物
質として銅を飼料乾物中40〜700ppm程度含有す
ることを特徴とする甲殻類養殖用配合飼料。