JPS6343367Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンの動弁機構における油圧タペ
ツトの改良に関するものである。

車輛用エンジン等において、エンジンの負荷、
回転数を検出して一時的に吸・排気弁の開閉動を
無作動にするために、カムによつて駆動されるタ
ペツトを油圧式にして吸・排気弁の無作動時の
み、タペツトへの給油を電磁弁等によつて遮断す
るようにしたものがある。

ところが、従来この種の油圧タペツトでは、内
部の油圧室と外部とを連通するための油逃し孔が
設けられているため、エンジンの正常運転時にお
いても前記油逃し孔より少しづつ油が排出されて
いるので、リフトロスが生ずるし、また給油を遮
断したときには前記油逃し孔が小さいため、油圧
室内の油の排出が徐々に行なわれるので、吸・排
気弁の無作動が瞬時に行なうことができず、更
に、油の遮断後再び給油を行なわせる場合油逃し
孔が常に外部に開放しているために油圧室の圧力
が必要な高圧力に達するまで、時間遅れが生じて
しまうという欠点があつた。

また、特開昭54−156917号公報に開示された内
燃機関の動弁装置は、エンジンの回転が高回転域
では動弁機構の吸・排気弁のオーバラツプを大き
くして最大出力の向上を図り、低回転域では、前
記オーバラツプをなくして排気の逆流現象を防止
し残留ガスの低減により燃焼を良化し、燃費の向
上を図るようにしたものであるが、エンジンの運
転状態を検出して開閉するスイツチにより開閉す
る給油遮断用電磁弁を備えておらず、かつ油圧タ
ペツト内に油を給油した時に、油圧タペツトの油
圧室を密封する手段を備えていないので、前述の
欠点を解消でき得ないものである。

本考案は、このような欠点を解消するために案
出したもので、タペツト（又は吸・排気弁）のリ
フトロスを無くし、且つ吸・排気弁の無作動、再
作動への応答性の優れた油圧タペツトを提供せん
とするものであり、その要旨は、エンジンの運転
状態を検知して開閉するスイツチにより開閉する
給油遮断用電磁弁によつて動弁機構の吸・排気弁
を一時的に無作動にするために油圧室への給油を
断続されるように構成された油圧タペツトにおい
て、前記油圧室と外部とを連通する油逃し孔を前
記給油遮断用電磁弁と連動して油圧により開閉す
るゲートバルブを前記油圧タペツトの外周に摺動
自在に装着してなる油圧タペツトにあり、以下そ
の１実施例を図について説明する。

１はエンジンのシリンダブロツクで、そのタペ
ツト室２内に油圧タペツト３が上，下方向に摺動
自在に嵌装されていて、カム４の回転駆動によつ
て上，下動を行ない、プツシユロツド５及び図示
しないロツカアームを介して図示しない吸・排気
弁の開閉作動を行なうように成つている。Ｗはカ
ム４の回転方向を示している。

前記油圧タペツト３はその内部に油圧室６を形
成しており、その上方にプツシユロツド５を支持
し且つそれを上，下動させるプランジヤ７が嵌装
されている。

また、油圧タペツト３の外周にはシリンダブロ
ツク１内に形成された油路８と連通する第１の環
状凹部９およびその内部に第１の給油口１０が形
成されており、この第１の給油口１０はプランジ
ヤ７の外周に形成された第２の環状凹部１１と連
通している。プランジヤ７には、第２の環状凹部
１１と連通する第２の給油口１２およびその第２
の給油口１２と連通する油貯蔵室１３、更にその
貯蔵室１３の下方にあつて油圧室６へ逆止弁１４
を介して連通可能とされた油流出口１５が夫々設
けられている。

１６は油圧室６内にあつてタペツト３とプラン
ジヤ７とを相互に逆方向に付勢するばねである。
１７は油圧室６と外部とを連通し、油圧室内の油
を排出するための油逃し孔である。

１８はタペツト３の下方外周部に設けられた第
３の環状凹部で、この凹部１８内を上下方向に摺
動自在に油逃し孔１７を開閉する筒状のゲートバ
ルブ１９が嵌装されている。このゲートバルブ１
９はその下端をばね２０によつて油逃し孔１７を
開放するように上方向へ付勢されており、第１環
状凹部９よりタペツト３の外周部の設けられた油
通路２１を介して高圧油が凹部１８に導入される
と、その油圧により前記ばね２０に抗してゲート
バルブ１９は押し下げられ、油逃し孔１７を閉じ
るようになつている。

Ｓは第３の環状凹部１８に油が導入されたとき
の油圧室部を示している。

２２は油路８に連結する油ギヤラリで、油路２
３および図示しないメインオイルギヤラリを介し
てオイルポンプに連結していて、そのオイルポン
プにより油が圧送されるように成つており、油路
２３の途中に常開型の給油遮断用電磁弁２４が配
設されている。この電磁弁２４は運転状態、即ち
回転数を検知して開閉するスイツチ２５を介して
電源２６に接続されており、スイツチ２５が閉路
すると通電して作動し、油路２３内の通油を遮断
するように成つている。

次に上述のように構成された油圧タペツトの作
動を説明する。

先ず、エンジンの通常運転時には、油圧室部Ｓ
に高圧油が作用するので、ゲートバルブ１９はば
ね２０を押し下げて油逃し孔１７を閉じているの
で、油圧室の油の排出が防止されるから、リフト
ロスは無くなる。

次にエンジンの負荷及び回転数を検知してスイ
ツチ２５が閉じて、電磁弁２４が作動して油の導
入が一時的に遮断された場合には、油圧室部Ｓに
おける油圧が低下するから、ばね２０によつてゲ
ートバルブ１９が上方に押し上げられ油逃し孔１
７を開放するので、油圧室６内の油圧も直ちに低
下する。従つて、カム４の回転駆動によつてタペ
ツト３が上方に押し上げられてもプランジヤ７、
プツシユロツド５及び図示しないロツカアームも
作動しなくなる。よつて電磁弁２４の遮断作動と
同時に吸・排気弁を無作動にすることができる。

更に、スイツチ２５が再び開いた場合には、電
磁弁２４の開路により油路２３からの高圧油が油
圧室部Ｓに直ちに導入されて、ゲートバルブ１９
をばね２０に抗して下方に押し上げて油逃し孔１
７を直ちに閉じるから、油圧室６内の油圧も瞬時
に高まり、カム４によるタペツト３の作動が直ち
にプランジヤ７、プツシユロツド５、図示しない
ロツカアームに伝達し、吸・排気弁の作動を開始
させる。

このように本考案の油圧タペツトは、エンジン
の運転状態を検知して開閉するスイツチにより開
閉する給油遮断用電磁弁によつて動弁機構の吸・
排気弁を一時的に無作動にするために油圧室への
給油を断続されるように構成された油圧タペツト
において、前記油圧室と外部とを連通する油逃し
孔を前記給油遮断用電磁弁と連動して油圧により
開閉するゲートバルブを前記油圧タペツトの外周
に摺動自在に装着してなるので、エンジンの通常
運転時にはリフトロスを無くし、且つ吸・排気弁
の無作動、再作動への応答性の優れた油圧タペツ
トを提供できる効果がある。

また、このような油圧タペツトによつて、エン
ジンの性能向上を図ることができるとともに信頼
性の高いエンジンを提供できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の１実施例を示す縦断面図である。 ３……油圧タペツト、５……プツシユロツド、
６……油圧室、７……プランジヤ、１７……油逃
し孔、１８……第３の環状凹部、１９……ゲート
バルブ、２０……ばね、２１……油通路、２４…
…給油遮断用電磁弁、２５……エンジンの運転状
態を検知して開閉するスイツチ、Ｓ……油圧室
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの運転状態を検知して開閉するスイツ
   チにより開閉する給油遮断用電磁弁によつて動弁
   機構の吸・排気弁を一時的に無作動にするために
   油圧室への給油を断続されるように構成された油
   圧タペツトにおいて、前記油圧室と外部とを連通
   する油逃し孔を前記給油遮断用電磁弁と連動して
   油圧により開閉するゲートバルブを前記油圧タペ
   ツトの外周に摺動自在に装着してなる油圧タペツ
   ト。