JPS6342184Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は磁性粒子式電磁連結装置に関するも
のである。

従来のこの種の装置を第１図に示す。第１図は
この装置の中心軸を含む平面による断面を示し、
１はステータで、一般的には第１の連結体と称
し、中心軸に直角な平面（単一の平面又は第１図
の例に示すように円筒面を介して連続する複数の
平面）によつて磁路部材１ａ，１ｂに分割され
る。２は励磁コイルで磁路部材１ａ，１ｂに設け
られる凹部に収納される。３はボルトで、上記凹
部に励磁コイル２を収納した上、磁路部材１ａ，
１ｂをボルト３でしめて一体化する。４はブラケ
ツトで、ステータ１に対し固定される。５はベア
リングでブラケツト４と入力軸６とが相対的に回
転自在なように支承する（この場合、ブラケツト
４は固定し、入力軸６が回転する）。７はベアリ
ング押えでベアリング５の軸方向移動を阻止す
る。ベアリング押え７はブラケツト４に固定され
る。８はロータで、一般的には第２の連結体と称
し、ロータ８は入力軸６に固定されている。ロー
タ８の円筒状外周表面とステータ１の円筒状内周
表面とは環状の間隙を介して対向しており、９は
磁性粒子で、上記環状の間隙に収納されている。
１０はシールでブラケツト４に固定された磁性粒
子９がベアリング５へ入るのを防止している。

次に第１図に示す装置の動作を説明する。図示
していない駆動源に結合されて入力軸６が回転さ
れロータ８が回転しているとき、励磁コイル２に
電流を流すと（この回路は図示せず）第１図に点
線Φで示す磁束が生じ（ステータ１とロータ８に
おいて、少くともこの磁束の通る部分は磁性材料
で構成される）この磁束によりその磁路の一部で
ある磁性粒子９が磁化し、磁化した磁性粒子９の
ためロータ８の回転は制動され、場合によつては
ロータ８が停止する。

従来の装置は以上のように構成され、ステータ
１がボルト締めになつているので次のような欠点
がある。すなわち、ボルト３を配置するため大き
なスペースを必要とし、装置全体が大きくなり高
価なものとなる。また磁性部材１ａ，１ｂをすき
間のないように締め付けることは困難で、励磁コ
イル２に樹脂を注入して耐湿性を向上するのが一
般であるが、この樹脂が固化するまでに磁性部材
１ａ，１ｂの接合面から洩れ出して、この洩れ出
た樹脂を樹脂が固化した後で除去する作業が必要
となつた。なお、本願出願人は昭和54年４月23日
に特願昭54−50393号「磁性粒子式電磁連結装置」
（特開昭55−142124号により公開、以下公開資料
という）を出願し、この公開資料においては、第
１の連結主体を一対の部材を互いに突き合して形
成して環状空所を構成し、この環状空所内に励磁
コイルを収納し、上記第１の連結主体の一方の部
材の外周部にプレートを設け、上記一対の部材の
突き合せ部とプレートとを全周溶接して上記環状
空所と外部とを空間的に遮断した。

しかし、上記公開資料のような構造では一対の
部材の突き合せ部の円筒内周面が溶接されてない
ため、上記環状空所内に樹脂を充填した場合、こ
の円筒内周面から樹脂が洩れ出して、磁性粒子の
動作面である円筒内周面に付着し、磁性粒子の流
動性を劣化させ、磁性粒子どうしがくつついてし
まい、スリツプ熱により樹脂が焼けるという問題
点があつた。

この考案は従来のものの上述の欠点を除去する
ためになされたもので、ステータ１におけるボル
ト３を除去して装置全体を小形化し、かつ樹脂が
洩れ出ることがなく従つてその除去作業を必要と
しない磁性粒子式電磁連結装置を提供することを
目的としている。

以下、この考案の実施例を図について説明す
る。第２図はこの考案の一実施例を示す断面図
で、第１図と同一符号は同一又は相当部分を示
し、１１はステータで第１図のステータ１に相当
し、１１ａ，１１ｂは第１図の１ａ，１ｂに相当
する磁路部材で、分割した磁路部材１１ａ，１１
ｂの分割面を境にして対向する凹部に励磁コイル
２を収納する。磁路部材１１ａ，１１ｂの互に対
向する平面を分割面で突き合せてステータ１１を
形成するので、この明細書では分割面を突き合せ
面とも言い、磁路部材１１ａ，１１ｂを一対の分
割部分と言い、磁路部材１１ａ，１１ｂの対向す
る凹部によつてステータ１１内に構成される空所
を環状の空所という。１１ｃは磁路部材１１ａ，
１１ｂを分割面で密接させた後円筒状のステータ
１１の内周表面における接合部分の溶接箇所を示
し、１１ｄは同じくステータ１１の外周表面にお
ける接合部分の溶接箇所を示す。１１ｅは樹脂注
入口で、図に示す実施例では磁路部材１１ｂに設
けられ、コイル２の導線はこの注入口１１ｅを経
て外部に導出される。１２は樹脂である。溶接箇
所１１ｃ，１１ｄは全周にわたつてすき間なく溶
接されて注入口１１ｅ以外は密閉容器が形成さ
れ、溶接後ステータ１１の第２図にＡで示す側を
下にして台上に置き、樹脂注入孔１１ｅから流動
性の良い樹脂を注入し固化させる。この場合、溶
接箇所１１ｃ，１１ｄはすきまなく溶接してある
ので、樹脂が外部に漏れ出ることがない。

以上に説明した実施例では磁性粒子式電磁連結
装置をブレーキ装置に応用した例を述べたが、こ
の考案の装置は、その他クラツチ装置にも広く利
用することができる。

以上のようにこの考案によれば、分割した磁路
部材１１ａ，１１ｂの接合部をすきまなく溶接し
て一体化したので、ボルトを配置するスペースが
不要になり、装置全体を小形にすることができ
る。また上記接合部から樹脂が流出するおそれが
なくなるので流動性の良い樹脂を注入することが
でき、磁路部材と励磁コイルとの間の空隙をなく
して励磁コイルの熱放散性や耐湿性をよくするこ
とができる。さらにステータが回転する装置では
励磁コイルの回り止めが確実になる等の効果を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の装置を示す断面図、第２図はこ
の考案の一実施例を示す断面図である。 ２……励磁コイル、４……ブラケツト、５……
ベアリング、６……入力軸、８……ロータ（第２
の連結体）、９……磁性粒子、１１……ステータ
（第１の連結体）、１１ａ，１１ｂ……ステータの
磁路部材、１１ｃ……内周表面における接合部の
溶接箇所、１１ｄ……外周表面における接合部の
溶接箇所、１１ｅ……樹脂注入口、１２……樹
脂。なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示
す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円筒状内周表面を有する第１の連結体と、この
   第１の連結体と同一の中心軸を有し上記円筒状内
   周表面に対向する円筒状外周表面を有する第２の
   連結体とを相対的に回転可能なように保持し、上
   記円筒状内周表面と上記円筒状外周表面との間に
   封入された磁性粒子の磁化を制御することによつ
   て上記２つの連結体間の相対的な回転に対する制
   動力を制御する磁性粒子式電磁連結装置におい
   て、 上記中心軸に直角な平面を突き合せ面とし、一
   対の分割部分の互に対向する平面を上記突き合せ
   面で突き合して形成され、環状空所を有する第１
   の連結体、 上記環状空所に外部から樹脂を注入するため上
   記第１の連結体に設けられる樹脂注入孔、 上記環状空所に収納されその導線が上記第１の
   連結体外に引出される励磁コイル、 上記突き合せ面において上記一対の分割部分を
   互に密接させて上記一対の分割部分の円筒外周面
   及び円筒内周面における接合部を全周にわたりす
   きまなく溶接した溶接部、 上記環状空所に充填した樹脂、を備えたことを
   特徴とする磁性粒子式電磁連結装置。