JPS6341324B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、遊星ギヤ機構を最終段の減速機構
として用いた走行車両の前輪駆動装置に関するも
のである。

減速比を充分に大きくとつて、而も、ギヤケー
スの外形は小型化するために、最終段の減速機構
として遊星ギヤケースを用いた前輪駆動装置が例
えば米国特許第3469647号明細書のように知られ
ている。而し、組立作業は容易ではなく、上記公
知技術の場合には遊星ギヤ機構の出力軸に前輪軸
を結合するとき、この前輪軸の軸方向の抜け止め
を前輪軸の内側部附近（遊星ギヤ機構の太陽ギヤ
と遊星ギヤの噛合位置附近）に設けているので、
遊星ギヤ機構の各ギヤの組立とその出力軸と前輪
軸との結合組立とを同時に行わねばならず、従つ
て、組立作業が手元狭くなつて、而も遊星ギヤ機
構の噛合状態の確認が難しいという問題がある。

そこで、この発明は上記問題点に鑑み、之を解
決せんとして提案せられたものであり、前輪駆動
軸１を内装しているフロントアクスルハウジング
２の外側端部に内側ギヤケース３を設け、この内
側ギヤケース３に舵取回向自在に嵌合された外側
ギヤケース４を設け、該外側ギヤケース４の外側
方を開放して設けたギヤ室４ａの外端内側面に中
間座１７を固着し、該中間座１７に前記前輪駆動
軸１からベベルギヤ機構を介して駆動される遊星
ギヤ機構を軸支し、前輪３０を取付けている前輪
軸２４をカバー２５に貫通させて軸支し、該カバ
ー２５の内側面を中間座１７の外側において前記
外側ギヤケース４の外側に接合固着し、前記前輪
軸２４が遊星ギヤ機構の出力軸１３ｃに嵌着され
るように構成したことを特徴とする走行車両の前
輪駆動装置を提供せんとするものであり、斯くし
て、前輪軸を組込む前に遊星ギヤ機構の組込が完
了することになる為、各ギヤの噛合状態の確認を
充分に行うことができて、而も、前輪軸の出力軸
への結合作業が容易となり、しかも、ベベルギヤ
機構と遊星機構を組合せたので減速比が大きいの
に小形化されることになり、又、遊星ギヤ機構は
ベベルギヤ機構の横方向で大略同一高さとしたの
で、小形化された内外側ギヤケースの最低地上高
が高くなつて畦越え動作に便利となり、又、フロ
ントアクスルハウジングと内側ギヤケース、外側
ギヤケース及び前輪軸を軸支しているカバーとに
よつて密閉された駆動ケースが構成されて、水田
などにおける使用の際にも、水や泥土などの装置
内部への浸入防止が充分に行われるように工夫し
たものである。

そしてこの発明の実施態様を説明すれば、前輪
駆動軸１を内装しているフロントアクスルハウジ
ング２の外側端には、下部に筒状のジヤーナルボ
ス３ａを有する内側ギヤケース３に取付け、外側
方に開口するギヤ室４ａと上部ジヤーナル孔４ｂ
と下部ジヤーナル孔４ｃとを備えている外側ギヤ
ケース４を形成して、内側ギヤケース３の上端開
口部に嵌合した上蓋５のジヤーナルボス５ａに上
部ジヤーナル孔４ｂを、又、ジヤーナルボス３ａ
に下部ジヤーナル孔４ｃを夫々回動自在に嵌合
し、ベベルギヤ６と７を上下部に夫々嵌着した回
向中心軸８を、上位のジヤーナルボス５ａと下位
のジヤーナルボス３ａの筒芯に一致させながらベ
ベルギヤ６を介してベアリング９にて内側ギヤケ
ース３に、又、ベアリング１０にて外側ギヤケー
ス４に夫々軸支し、ベアリング１１にて軸支され
る前輪駆動軸１の外側部に固設したベベルギヤ１
２を上位のベベルギヤ６に噛合せて上位のベベル
ギヤ機構とする。

そして、中央に孔１３ａとスプライン孔１３ｂ
を備えているキヤリヤ１３の外周部に遊星ギヤ１
４，１４……を固定軸１５……にて回動自在に軸
支し、このキヤリヤ１３の外側部分に形成してい
る出力軸１３ｃの外周にベアリング１６の内輪を
嵌着し、このベアリング１６の外輪に嵌着した中
間座１７と遊星ギヤ１４……に噛合う内歯ギヤ１
８とを、ボルト１９……によつて外側ギヤケース
４の外側部に取付ければ、ギヤ室４ａ内に遊星ギ
ヤ１４……とキヤリア１３がのぞくことになり、
そして、ベベルギヤ２０を嵌着して太陽ギヤ２１
ａを一体に形成している太陽ギヤ軸２１を、ベア
リング２２によつてその内側部を外側ギヤケース
４のギヤ室４ａの奥壁に軸支しているので、ベベ
ルギヤ２０が下位のベベルギヤ７と噛合つて下位
のベベルギヤ機構を構成することになり、又、上
述のようにキヤリヤ１３と内歯ギヤ１８及び中間
座１７を外側ギヤケース４に取付けたとき、太陽
ギヤ２１ａが遊星ギヤ１４……と噛合つて太陽ギ
ヤ２１ａ及び内歯ギヤ１８と噛合う遊星ギヤ１４
……とキヤリヤ１３からなる遊星ギヤ機構に構成
している。

又、外側端部にホイルデイスク２３に取付座２
４ａを備え、おねじ２４ｂとスプラインボス２４
ｃを設けている前輪軸２４をカバー２５を内挿
し、カバー２５の内周に外輪を嵌着しているベア
リング２６の内輪に前輪軸２４を嵌着して、おね
じ２４ｂにねじ込んだナツト２７によつてベアリ
ング２６の内輪をカバー２５に対して移動止め
し、カバー２５を外側ギヤケース４の外側端部に
合接してボルト２８……にて外側ギヤケース４に
カバー２５を取付けたとき、太陽ギヤ軸２１の外
側部がベアリング２９を介して車輪軸２４の内側
部に軸支されると共に、前輪軸２４のスプライン
ボス２４ｃが出力軸１３ｃのスプライン孔１３ｂ
に嵌着されるように構成している。

そして図示の実施態様では、上記遊星ギヤ機構
を、上記上下位のベベルギヤ機構の設置高さと大
略等しくなるように構成し、又、カバー２５を外
側ギヤケース４の外側端部に合接する際に、この
外側端部から外方に突出している中間座１７の外
周面１７ａにカバー２５の内側端部の内周面２５
ａが案内されて、太陽ギヤ軸２１と前輪軸２４の
軸芯及び出力軸１３ｃと前輪軸２４の軸芯が容易
に一致するように構成し、又、カバー２５が外側
ギヤケース４に取付けられた状態では、ナツト２
７の内側部が出力軸１３ｃの外側端部に当接する
ように構成しているのでナツト２７は出力軸１３
ｃの軸方向移動止めと、ベアリング２６の軸方向
移動止めを行うことになる。尚、ホイルデイスク
２３の外周部には前輪３０を嵌着しているリム３
１を取付けている。又、符号３２は固定軸１５…
…をキヤリヤ１３に対して固定している止輪であ
り、符号３３はニードルベアリング、符号３４は
スラストベアリング符号３５，３６，３７はオイ
ルシールである。従つて、外側ギヤケース４に取
付けられている例示外のナツクルアームを舵取機
構によつて回向操作すれば、上部ジヤーナルボス
５ａと下部ジヤーナルボス３ａ及び回向中心軸８
を中心として外側ギヤケース４と、前輪軸２４及
びこれに取付けられている前輪２９が回向するこ
とになり、又、図示外の前輪デフギヤ機構によつ
て前輪駆動軸１が駆動されると、上位のベベルギ
ヤ機構と下位のベベルギヤ機構とを介して太陽ギ
ヤ軸２１が駆動され、遊星ギヤ１４……と内歯ギ
ヤ１８の噛合いによつてキヤリヤ１３は太陽ギヤ
軸２１よりも大きく減速されることになつて、前
輪軸２４と前輪２９は充分に減速して回転するこ
とになる。

この発明に係る走行車両の前輪駆動装置は上述
のように、遊星ギヤ機構を中間座１７に軸支し
て、この中間座１７を外側ギヤケース４に内嵌し
て取付けるように設け、前輪軸２４を軸支してい
るカバー２５を外側ギヤケース４の外側端部に合
接して取付けたとき、前輪軸２４が遊星ギヤ機構
の出力軸１３ｃに嵌着されるように構成している
ので、カバー２５にて外側ギヤケース４の外側端
部を塞ぐ前に遊星ギヤ機構の組込みの状態を確認
できることになり、遊星ギヤ１４……と内歯ギヤ
１８の噛合いの状態などを容易に目視できるた
め、噛合状態の調節作業が容易となる。そして、
カバー２５を外側ギヤケース４に合接することに
よつて前輪軸２４と遊星ギヤ機構の出力軸１３ｃ
の結合が完了するので、組立作業は極めて容易と
なつている。

そして、ベベルギヤ機構と遊星ギヤ機構を組合
せているので、減速比はきわめて大きいにもかか
わらず、装置全体が小形化されて軽量化とコスト
の低廉の点で有利となつている。しかも、前輪駆
動軸１を内装しているフロントアクスルハウジン
グ２と、内側ギヤケース３、外側ギヤケース４、
及び前輪軸２４を軸支しているカバー２５が互い
に密嵌状態で密閉タイプとなつているので、水田
などの湿地における作業の際にも、水や泥土など
が装置内部に浸入する恐れもないのである。

又、遊星ギヤ機構を、上下位のベベルギヤ機構
の設置高さと大略等しくなるように構成した実施
態様のものでは、これらの機構を収納している外
側ギヤケース４とカバー２５の下部の形状が大
略、同一高さで平面状となるため、上述の小形化
と相俟つて、この下部全体の高さを高くすること
ができて、この走行車両の最低地上高が高くな
り、例えば畦越え動作のようなときにも、地先に
接触する危険がなくなつたのである。又、カバー
２５を中間座１７の外周面１７ａを案内として外
側ギヤケース４に合接できるように構成した実施
態様のものは、このカバー２５の上記合接操作の
際に、太陽ギヤ軸２１と前輪軸２４の軸芯及び、
出力軸１３ｃと前輪軸２４の軸芯が容易に一致す
ることになるので、これらの軸の組込作業が極め
て容易となるものである。さらに又、前輪軸２４
に螺合したナツト２７をこの前輪軸２４をカバー
２５に軸支しているベアリング２６と出力軸１３
ｃの軸方向移動止めに形成した実施態様のもの
は、出力軸１３ｃに対する前輪軸２４の抜け止め
が、この前輪軸２４を軸支しているカバー２５の
外側ギヤケース４への合接取付けにて直ちに完了
することになる為、前述した公知技術のように前
輪軸の内側部の附近に抜け止めを行わねばならな
い不便はこの実施態様によつて解消されて、組込
作業が単純化されたのである。

【図面の簡単な説明】

図はこの発明の実施態様を示すもので、第１図
は前輪駆動装置の縦断正面図、第２図は第１図に
おけるＡ−Ａ線断面図である。 符号説明、１……前輪駆動軸、２……フロント
アクスルハウジング、３……内側ギヤケース、３
ａ，５ａ……ジヤーナルボス、４……外側ギヤケ
ース、４ａ……ギヤ室、４ｂ……上部ジヤーナル
孔、４ｃ……下部ジヤーナル孔、５……上蓋、
６，７，１２，２０……ベベルギヤ、８……回向
中心軸、９，１０，１１，１６，２２，２６，２
９……ベアリング、１３……キヤリヤ、１３ａ…
…孔、１３ｂ……スプライン孔、１３ｃ……出力
軸、１４……遊星ギヤ、１５……固定軸、１７…
…中間座、１７ａ……外周面、１８……内歯ギ
ヤ、１９……ボルト、２１……太陽ギヤ軸、２１
ａ……太陽ギヤ、２３……ホイルデイスク、２４
……前輪軸、２４ａ……取付座、２４ｂ……おね
じ、２４ｃ……スプラインボス、２５……カバ
ー、２５ａ……内周面、２７……ナツト、３０…
…前輪、３１……リム、３２……止輪、３３……
ニードルベアリング、３４……スラストベアリン
グ、３５，３６，３７……オイルシール。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前輪駆動軸１を内装しているフロントアクス
   ルハウジング２の外側端部に内側ギヤケース３を
   設け、この内側ギヤケース３に舵取回向自在に嵌
   合された外側ギヤケース４を設け、該外側ギヤケ
   ース４の外側方を開放して設けたギヤ室４ａの外
   端内側面に中間座１７を固着し、該中間座１７に
   前記前輪駆動軸１からベベルギヤ機構を介して駆
   動される遊星ギヤ機構を軸支し、前輪３０を取付
   けている前輪軸２４をカバー２５に貫通させて軸
   支し、該カバー２５の内側面を中間座１７の外側
   において前記外側ギヤケース４の外側に接合固着
   し、前記前輪軸２４が遊星ギヤ機構の出力軸１３
   ｃに嵌着されるように構成したことを特徴とする
   走行車両の前輪駆動装置。 ２ 上記遊星ギヤ機構は上記ベベルギヤ機構の外
   側横方向に設けて、これら双方の機構の設置高さ
   を大略同一に形成したことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載した走行車両の前輪駆動装
   置。 ３ 上記カバー２５は、中間座１７の外周面を案
   内として外側ギヤケース４に合接できるように構
   成したことを特徴とする特許請求の範囲第１項又
   は第２項に記載した走行車両の前輪駆動装置。 ４ 前輪軸２４に螺合したナツト２７を、前輪軸
   ２４をカバー２５に軸支しているベアリング１６
   と前記出力軸１３ｃの軸方向移動止めに形成した
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２
   項又は第３項に記載した走行車両の前輪駆動装
   置。