JPH045773Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、建設車輌用遊星減速機のフリーホイ
ル機構の改良に関する。

（従来の技術） 例えば建設機械のホイル回転用に走行モータと
して、遊星減速機を使用した場合、入力駆動系の
故障等で、車輌を牽引する必要が生じる。このた
め簡単に入力油圧モータなどの駆動系と遊星減速
機間で連結を切つて、スムーズに車輌を牽引した
りすることが要求される。しかしながら従来のか
かるクラツチ装置は、入力駆動系に装着させるか
または減速機に付設されたが、いずれも大きくか
つ高価複雑であり、スペースを要した。

（考案が解決しようとする課題） 例えば実公昭43−24882号公報では、減速機に
付設され、軸方向に対向するクラツチ爪の一方
を、受動軸を貫通する摺動材で押して、入力軸と
受動軸との連結と遮断を行うようにしたものが開
示されているが、入力軸と受動軸との間に軸受を
介するなど構造が複雑で大きく高価であり、しか
も軸方向に対向したクラツチ爪は、係合連結時大
きいトルクがかかると、相互に離れる方向の力を
受けるため、作動が不確実で、建設車輌遊星減速
機のような大トルク減速機には使用できなかつ
た。

さらに例えば特開昭48−1660号公報及び実開昭
54−57599号公報には、遊星減速機の太陽歯車に
連結してクラツチを設けることが開示されている
が、外部からクラツチの接続・遮断操作を容易に
かつ確実に簡単な機構で行いうるように中空の太
陽歯車軸内に軸方向に移動可能に遊嵌されたロツ
ドでクラツチ入力歯車を押構成は開示されていな
い。

本考案の課題は、きわめてコンパクトでスペー
スを要せず、安価でかつ外部からのクラツチの接
続・遮断操作が容易かつ簡単な機構で行うことが
でき、動作が確実な建設車輌用遊星減速機のフリ
ーホイル機構を提供することにある。

（課題を解決するための手段） このため本考案は実用新案登録請求の範囲記載
の建設車輌用遊星減速機のフリーホイル機構を提
供することにより、上述した従来製品の課題を解
決した。

（作用） かかる構成にすると、ふたを裏返して取付ける
だけで、ロツドは突起に押されクラツチ入力歯車
と凹歯車の係合を遮断し、もとに戻すと、スプリ
ングでもとの係合連結に戻るので、きわめてコン
パクトでスペースを要せず、安価かつ操作が簡単
で作動が確実な建設車輌用遊星減速機のフリーホ
イル機構となつた。

（実施例） 以下本考案の実施例につき、図面に基いて説明
すると、遊星減速機１５は太陽歯車１８と、これ
に噛合う遊星歯車１６と、遊星歯車１６と噛み合
う内歯車１７と、により構成され、バルブ１２が
取付けられた油圧モータ１１などの入力駆動装置
により太陽歯車１８が回転され、そして内歯車１
７に固定されたフランジ１４が減速された出力回
転をするようにされている。本実施例では、太陽
歯車１８と駆動的に連結された中空の太陽歯車軸
１内に軸方向に移動可能にロツド２が遊嵌され、
ロツド２は油圧モータ１１の出力軸、即ち入力軸
とスプライン１９によつて回転方向に連結された
クラツチ入力外歯歯車３を押圧して、一定ストロ
ーク（ｌ）だけ移動させるようにされている。ク
ラツチ入力外歯歯車３はスプリング４によりロツ
ド２に向けて押圧されている。クラツチ入力外歯
歯車３と噛合い可能な内歯を有する凹歯車５はそ
の外周を軸受２０を介して減速機ハウジング内周
に支持されかつ太陽歯車軸１と連結されている。
ロツド２の反クラツチ入力外歯歯車側にはブツシ
ユ９を介して裏返し可能なふた６がロツドと同軸
的に設けられ、ふた６に１側面の反対側面に対し
て前記ストローク（ｌ）だけ突出すつ突起７が設
けられている。

図示の状態は通常運転状態で、クラツチ入力外
歯歯車３と、太陽歯車１８と連結された凹歯車５
の内歯とは、噛み合つて連結されている。駆動系
の故障等で、油圧モータ１１と遊星減速機１５と
の間の連結を切りたいときは、ふた６を裏返して
取付けるだけでよく、それにより突起７がブツシ
ユ９を介してロツド２とロツド２と当接するクラ
ツチ入力外歯歯車３をスプリング４に抗して押し
て、凹歯車５内歯との噛合連結を遮断する。そこ
で遊星減速機１５ひいてはフランジ１４はフリー
ホイル状態となる。

逆にフリーホイル状態から通常運転状態に戻す
ときには、ふた６をもう一度裏返しに取付けるだ
けでよく、そうすると、スプリング４がクラツチ
入力外歯歯車３を凹歯車５内歯に向けて押圧移動
させて両歯車の噛合連結がなされる。軸受２０は
凹歯車５を半径方向および軸方向に移動しないよ
うに軸支して、クラツチ入力歯車の連結を容易か
つ確実強固にしている。またふた６の下側には突
起７を入れる穴を有する座金２２がボルト２１で
締付けられており、ふた６をボルト２３を外して
裏返すとき、ブツシユ９を飛出さないように押さ
えている。ブツシユ９は遊星減速機ハウジングに
設けられたロツド２より大系の内径を有する穴に
シール２４を介してロツド２と同軸的に油密摺接
されているので、外部からロツド２を押すとき、
内部の油が洩れないよう密閉構造にされている。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案ではふた６を裏返
して取付けるだけでクラツチの遮断ができるの
で、操作が容易でかつ確実であり、そして、ふた
６の突起７で中空の太陽歯車軸内のロツド３を押
すという組合わせにより、最もスペースを要せ
ず、かつ作動確実なフリーホイル機構となり、コ
ンパクトで安価である。そしてブツシユ９と座金
２２を使用することによつて簡単に内部から油の
漏れない密閉構造にすることができる。さらに従
来製品に比べて、クラツチ入力外歯歯車は直接入
力軸上にスプライン連結されているので、入力軸
と受動軸間の軸受を省略でき、かつ入力外歯歯車
はその外周を減速機内周に軸受を介して支持され
た凹歯車の内歯と係合するようにされているの
で、強固かつ大トルクで作動が確実な連結を可能
とする。しかも入力歯車と凹歯車とは減速機内部
で入力軸と受動軸間のカプリングのスペースしか
要しないので、きわめてコンパクトでスペースを
要せず安価にできる。そして中空の太陽歯車軸内
に軸方向に移動可能に遊嵌されたロツドでクラツ
チ入力歯車を押す構成としたので、外部からクラ
ツチの接続・遮断操作を容易にかつ確実に簡単な
機構で行うことができる建設車輌用遊星減速機の
フリーホイル機構を提供するものとなつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例である遊星減速機のフリ
ーホイル機構の１部を切り欠いた断面構造図であ
る。 １……太陽歯車軸、２……ロツド、３……クラ
ツチ入力外歯歯車、４……スプリング、５……凹
歯車、６……ふた、７……突起、９……ブツシ
ユ、１５……遊星減速機、２０……軸受、２２…
…座金、２４……シール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 遊星減速機の中空の太陽歯車軸内に軸方向に
   移動可能に遊嵌されたロツドの一端に押圧され
   て軸方向に一定ストロークだけ移動可能に入力
   軸上にスプライン連結されかつスプリングによ
   り前記ロツドに向けて押圧されたクラツチ入力
   外歯歯車と、太陽歯車軸と連結されクラツチ入
   力外歯歯車と噛み合い可能な内歯を有しその外
   周を遊星減速機ハウジング内周に軸受を介して
   支持された凹歯車と、前記ロツドの他端と当接
   するふたと、を有し、前記ふたは外方に突出す
   る突起を有し、前記ふたを裏返して取り付けた
   とき前記ロツドの他端は前記突起に押されてク
   ラツチ入力外歯歯車を軸方向に前記一定ストロ
   ークだけ移動させて前記クラツチ入力外歯歯車
   と前記凹歯車の内歯との噛み合いを解き、フリ
   ーホイル状態とするようにした建設車輌用遊星
   減速機のフリーホイル機構。 (2) 前記ロツドの他端は前記ふたと、前記ハウジ
   ングの穴にシールを介して挿入されたブツシユ
   を介して当接するようにされ、かつ前記ブツシ
   ユは前記ハウジングに固定され前記突起を挿入
   可能な穴を有する座金により前記ハウジング内
   に保持されるようにした請求項１記載の建設車
   輌用遊星減速機のフリーホイル機構。