JPS634083B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は灯芯を気化源とする複筒型の液体燃料
燃焼装置に関し、燃焼量の可変範囲を広くするこ
とを目的とするものである。

従来灯芯を気化源とする液体燃料燃焼装置はポ
ータブル石油ストープ等の家庭用の暖房器、調整
器として使用されており、電源が不要、小型軽量
で移動が便利、故障が少ない、安価である等の多
くの長所があり、暖房器の主流をしめている。し
かし従来の灯芯を気化源としたポータブル石油ス
トーブ等は燃焼量の可変範囲が狭く（最良の燃焼
状態を得るためにはほとんど燃焼量の可変はでき
ない）部屋の大きさや、外気温度の条件によつて
は部屋の温度が上り過ぎるために点火、消火の繰
返しにより暖房温度を調節することが必要であつ
た。

この際に点火、消火時の臭気が発生するため
に、実際には点火消火をすることなく連続使用す
ることが多く過剰暖房状態で使用されている。

また燃焼量の可変範囲を広くするために、従来
から、灯芯の露出高さを変化させる方法、内炎筒
や外炎筒の灯芯近傍の小孔の数を可変する方法等
が一部実用化されているが、前者においては露出
高さを低くした時に灯芯近傍の温度が上昇するた
めに燃料が熱分解されて灯芯の気化部近傍にター
ル分が生成し、発熱量が低下したり、火回りが悪
化したり、燃料の質によつては灯芯にタールが蓄
積し、その上下の移動が困難になる場合もあつ
た。また後者の方法においては、外炎筒や内炎筒
の下部の高温部で機械的な方法で気孔を開閉する
ために構造が複雑になるとともに熱変形等により
開閉の精度が悪化し燃焼が不均一になつたりする
欠点があつた。また燃焼量の可変幅も300〜
400kcal／ｈ程度であつた。

本発明は簡便な構成で熱焼量の可変幅を拡大す
るものである。

以下、本発明をポータブル石油ストーブに応用
した一実施例を添付図面とともに説明する。

１は燃料タンクで、図では省略している主タン
クからほぼ一定液面に燃料が供給される構成とな
つている。２は灯芯で繊維編組体等の多孔体より
なり、下端部は燃料タンク１内の燃料１０の中に
浸漬されており毛細管現象により燃料を上端部に
吸い上げる。上端部は燃焼室Ｂにのぞみ、含油す
る燃料が加熱されて気化する気化油を有してい
る。３は灯芯２を上下に案内し、かつ内側の空気
通路を形成する芯案内筒、４は上部に小孔を有す
る芯外筒である。５は多数の小孔を有する内炎
筒、６は多数の小孔を有する外炎筒、７は外炎筒
６の上に連設したラス、金網等よりなる赤熱筒、
８は外筒、９はガラス等の耐熱透過物質よりなる
円筒であり、外筒８の上に連設されている。内炎
筒５、外炎筒６、外筒８は図では省略しているが
クロスピンで円心状に固定されており、外炎筒
６、赤熱筒７と内炎筒５の間隙で燃焼室Ｂを形成
している。

本実施例の第１の特徴は燃焼室Ｂに露出してい
る灯芯２の気化面（露出部ともいう）に対応する
芯外筒４（燃焼室外壁）に設けられた小孔の総断
面積より小で、かつ内炎筒５の小孔より燃焼室Ｂ
内に供給される空気の通路である芯案内筒３内に
空気量の調節を行うダンパー機構を設けたことで
ある。このダンパー機構は芯案内筒３に固定さ
れ、第２図の開口部１１′を有する固定板１１と、
開口部１２′を有する可動板１２と、可動板１２
に固定されレバー１４に連設する回転軸１３より
なり、レバー１４を左右に操作することにより可
動板１２が回転し、固定板１１の開口部１１′の
面積が可動板１２の閉塞部によつて変化すること
によつて通過する空気量が可変される。

また本実施例の第２の特徴は灯芯２の気化面の
外側面に耐熱塗料等を塗り、実効気化面積を抑制
したことである。

さらに本実施例の第３の特徴は灯芯２と芯外筒
４の上部との間隙を灯芯２と内炎筒５との間隙よ
り広くしたことである。

上記構成において、燃料を含浸した灯芯２の先
端に図では省略している点火具によつて点火する
とその熱と内炎筒５、芯外筒４の小孔より供給さ
れる空気流によつて燃料が気化し、さらに内炎筒
５、外炎筒６、赤熱筒７の小孔より供給される空
気と混合しながら燃焼する。この燃焼熱が灯芯２
にフイードバツクされることによつて点火具を除
去しても気化が継続し、燃焼する。この時に燃料
の気化量は灯芯２表面近傍の燃料気化ガス分圧と
気化面の表面積に支配されるために、灯芯２の露
出面積を一定にすれば同部への空気量を増減する
ことにより分圧が変化し、気化量が調節できる。
本実施例は灯芯２表面近傍に供給する空気量を増
減して燃焼量を可変にするのであるが、空気量の
調整が構成的に容易な内側の空気通路で効果的に
行うものである。

従来の構成においては、灯芯２からの気化量が
灯芯２気化面の内側面と外側面が同等もしくは外
側面の気化量が多いために、燃焼量の可変を行う
場合、供給する空気量を内側空気（内炎筒５の小
孔から供給する空気）、外側空気（芯外筒４、外
炎筒６の小孔から供給する空気）の両方を調節す
るか、外側空気を調節することが必要であつた
が、外側空気通路は複雑なため適切な調節方法が
なく、外炎筒６、芯外筒４の小孔を直接開閉する
方法がとられ複雑な構成となつていた。また外側
空気の調整のみの場合、灯芯２の内側面の気化量
が変化しにくいために、空気量に対する燃焼量の
可変幅も狭く空気と気化量との比率が変化するた
めに燃焼状態が悪くなり排ガス中のCo等の発生
も多かつた。

これに対して本実施例においては灯芯２外側面
に供給される空気量を少なくすること、灯芯２外
側面の気化実効面積を少なくすること、外側小孔
より供給する空気流を灯芯２外側面より遠ざける
こと等の方法により灯芯２外側面からの気化量を
抑制し、総気化量に対する灯芯２内側面からの気
化量の比率を高くすることによつて内側空気によ
る総気化量の変化率を高め、気化量の可変範囲を
広くしている。また内側空気の調節を内炎筒５の
上流側で行うために内炎筒５下部の気化用空気と
中、上部の燃焼用空気が同時に調節でき空気量の
変化に対する気化量（燃焼量）の変化が比例関係
に近づくために空気と燃料の比率の崩れが少なく
排ガス中のCo等も減少する。

この構成において灯芯２外側面に供給する空気
量を０にすると燃焼量の可変範囲はさらに広くな
るが、芯外筒４内面に燃料気化ガスが結露し、タ
ール化するために実用的には好ましくない。

以上述べたごとく本発明は簡単な構成で、気化
量（燃焼量）の可変範囲を広くまた、内炎筒側の
空気量のみを調整するだけで燃焼量が可変できる
ために前記調整構造等を簡単にできる。

さらに空気量と燃焼量の変化が比例関係に近づ
くために空気と燃料との比率の崩れが少なく、燃
焼量を変化させた場合においても排ガス中のCO
等の発生が少ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２
図は固定板の平面図、第３図は可動板の平面図で
ある。 １……燃料タンク、２……灯芯、３……芯案内
筒、４……芯外筒、５……内炎筒、６……外炎
筒、１１……固定板、１２……可動板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多数の小孔を有する内炎筒と多数の小孔を有
   する外炎筒の間隙によつて形成された燃焼室と、
   この燃焼室内に先端を露出し、燃料タンクの燃料
   を毛細管現象によつて吸い上げる灯芯とを有し、
   上記灯芯先端の露出部の外側に対応する燃焼室外
   壁に設けた複数の小孔の総断面積を、灯芯先端の
   露出部の内側に対応する燃焼室内壁に設けた複数
   の小孔の総断面積より小とするとともに、燃焼室
   内壁の小孔から燃焼室内に流入する空気を調整す
   るダンパー機構を設けた液体燃料燃焼装置。 ２ 灯芯先端の気化面外側を耐熱塗料で被覆した
   特許請求の範囲第１項記載の液体燃料燃焼装置。 ３ 灯芯先端の露出部の外側と燃焼室外壁との間
   隙を、灯芯先端の露出部の内側と燃焼室内壁との
   間隙より広くした特許請求の範囲第１項記載の液
   体燃料燃焼装置。