JPS6340153B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、基材上にα―オレフイン無水マレイ
ン酸共重合樹脂含有成形用水系樹脂組成物の層を
施し、該層の上に、光沢顔料インキと着色透明イ
ンキ及び又は着色不透明インキを組み合わせて印
刷した上に層間接着強化を図る透明シーラー剤を
施した化粧印刷紙を貼着し、樹脂製エンボス賦型
板を用いてエンボス成形した後、着色しない透明
な不飽和ポリエステル樹脂などの高固形分樹脂で
表面を平滑に仕上げるか又は上記エンボス成形に
よる凹凸模様と同調しない凹凸模様を有する平滑
面を仕上げることによつて、光輝ある多彩な凹凸
模様を内包し立体感又は奥深さを感じさせる表現
性豊かな化粧板を作業性良く安価に製造する方法
に関するものである。

従来、立体感を付与する化粧板の製造方法にお
いては、メラミン、不飽和ポリエステル、DAP
樹脂等の熱硬化性樹脂含浸紙を熱圧成形積層する
際に金属エンボス賦型したり、ポリ板と称してベ
ニヤ合板などの基材に天然木柄や抽象柄を印刷し
たチタン紙又は薄紙を接着剤を介して賦合した上
から不飽和ポリエステル樹脂をフイルム法やフロ
ーコーター法などによつて塗工し加熱硬化させて
化粧板を作る際に予め用いるフイルムにエンボス
賦型をしておいたり、塗工樹脂の硬化を阻害する
硬化抑制剤を添加したインキで木目導管孔などを
印刷表現しその上から該樹脂を塗工して加熱硬化
後に未硬化の木目導管孔部分の塗工樹脂を洗い出
すなどして除去することで、外観的にも指触感覚
的にも立体的表現を行つている。

他方、樹脂処理されることで透明化するオーバ
ーレイ紙などを用い、木目柄、石目柄などを、例
えば木目柄に於いては導管孔部、春材部、秋材部
に分解した各印刷版を用いて、該オーバーレイ紙
の表裏に夫々の印刷を適当に配分したり、該各印
刷版毎の該オーバーレイ印刷紙を作製し、これら
複数枚の印刷紙を熱硬化性樹脂で含浸した上で順
序良く且つ見当良く重ね合わせて一体成形積層す
ることによつて、該オーバーレイ紙の厚さに基づ
き各分版柄が深浅の位置を占めて奥行き感のある
立体的表現ができる、との技術開示がある。更
に、積層材の内層部分にエンボスを付与し、表面
層となる着色透明樹脂含浸繊維層が該エンボスに
基づく厚薄効果により着色濃淡を表現した立体感
付与の化粧板製造方法の技術開示もある（特公昭
49−47036）。

しかし、これらは近時見慣れた木目同調エンボ
ス化粧板であつたり、エンボス付与壁紙などでも
知られた表面的な意匠表現にすぎず、中には積層
材の内層に工夫を凝らした立体感表現の方法もあ
るが、なお、その斬新さにおいて乏しい。特に、
金、銀、パールなどの光沢色を織りなした多彩な
立体感覚の模様を有する化粧板は、木目柄にて天
然木のいわゆるテリを表現する場合の手段として
光沢インキを利用する技術開示（例えば特公昭45
−24679）があるが、これも従来の意匠的観念か
ら抜け出ない。極くまれには、金属箔を用い、且
つエンボス効果を付与したポリ板等も市場で見掛
けることはあるが、意匠表現的には全く単調の域
を出ない。

従つて、本発明は、今までに無い豊富で斬新な
意匠表現を有する化粧板、即ち、金属光沢インキ
などの如き光沢インキを基調にして、これと透明
着色インキ及び又は不透明着色インキとの組合わ
せに加えて、顕著な凹凸模様を付与し、これらす
べてを内層に含み、表層には、透明着色又は未着
色の平滑な又は上記凹凸模様と同調しない凹凸模
様を有する平滑な樹脂層を施すことによつて、底
光りのある重厚な立体感あふれる化粧板を作るこ
とを目的とするものである。

以下に、本発明を図面に従つて詳しく説明す
る。

先ず、第１Ａ，１Ｂ及び１Ｃ図（印刷工程図）
に示すように、化粧板の原紙１として15〜200g/
m²程度の紙又は不織布、望ましくは、23g/m²程
度の薄紙を用意し、この上に、グラビア印刷方式
などの通常の適応性ある印刷方式を用いて、金属
光沢顔料、例えば金、銀、銅各光沢顔料やパール
光沢顔料更には螢光顔料など有機系無機系を問わ
ない光沢ある顔料を含むインキ２でベタ刷（階調
を持たず被印刷面のほぼ全面を覆う印刷）若しく
は柄刷（ベタ刷以外の印刷表現）し、次に、該光
沢顔料インキ印刷面の全面に及ぶか少くともその
一部を占める面上に、着色透明（半透明を含む）
タイプのインキ３をベタ刷若しくは柄刷し、更
に、該着色透明タイプインキ印刷面の一部を占め
る面上又は該着色透明タイプインキ印刷面以外の
面上にあつて二次元的にみて該光沢顔料インキ印
刷面の一部を占める面上又は該光沢顔料インキ印
刷面以外の面上に、着色不透明タイプのインキ４
を用いて柄印刷するか、或いは該着色透明インキ
印刷に先立つて該光沢顔料インキ印刷面の一部を
占める面上又は該光沢顔料インキ印刷面以外の面
上に、着色不透明タイプのインキ４にて柄印刷し
たのち該着色透明タイプのインキ３にてベタ刷り
又は仕意に柄刷するなど光沢インキ、透明イン
キ、不透明インキの組み合わせを十分に考慮する
ことによつて、光沢顔料インキと着色透明インキ
の一部又は全部が必らず重なるようにすると共に
必要に応じて着色不透明インキが光沢顔料インキ
と重ならないか一部のみ重なるようにすること
で、光沢インキを生かしたあらゆる意匠表現を行
ない、次いで、主として該インキ面と後に来る表
面加工樹脂との接着強化を図る他に、通常ではビ
ヒクル樹脂に対し顔料割合が高くて皮膜強度の弱
い光沢顔料インキ層を固着強化させる作用などを
目的とする透明なシーラー剤５（例えばポリエス
テルポリウレタン樹脂、アクリルポリウレタン樹
脂、シランカツプリング剤、アルキルチタネート
等）を塗工し、乾燥することによつて、本発明に
用いる化粧紙Ａ，Ｂ又はＣを得る。

次に、第２図（プレス成型工程図）に示す如
く、上記により作製した化粧紙を特願昭54−
015982（特公昭59−36844号公報）に示すオーバー
レイシート材とし、該出願明細書に詳述された硬
化反応型であるα―無水マレイン酸共重合樹脂を
含む成形用の水系樹脂組成物７（これは、従来の
接着剤では解決できなかつたボリユーム感のある
立体構造を成形するための重要な材料であり、低
温、低圧、短時間での成形性が良好であつて、し
かも接着性を兼備している）をラワン合板、パー
チクルボード、ハードボード、石膏ボード、スレ
ート板、ケイ酸カルシウム板、パルプセメント板
などの基材上６に層となし、この層の上に当該オ
ーバーレイシート材Ａ，Ｂ又はＣを貼着し、更に
凹凸模様を施した樹脂製エンボス賦型板（千代田
グラビヤ製「ランプレート」）８をその上に重ね
た後、加熱加圧（低温、低圧、短時間）すること
によつて、上記成形用水系樹脂組成物より成る層
を上記エンボス賦型板の凹凸模様に対応する凹凸
模様を有する硬化樹脂層に成形すると同時に、該
樹脂の一部が該オーバーレイシート材（化粧紙）
の裏面より紙間強化を図る上で十分な量で侵入
し、硬化し残余の硬化樹脂層を介して、基材上に
強固に固着させられることによつて、この中間工
程を終る。

最後に、第３図及び第４図（表面仕上げ工程）
に示す如く、上記のエンボス付与された中間製品
の表面に、透明で着色した又は着色しない不飽和
ポリエステル樹脂又は紫外線及び電子線硬化型の
ポリエステル系ないしはアクリル系樹脂などの高
固形分の架橋硬化型樹脂を塗工し、硬化するに際
し、表面を平滑面９に仕上げるか、又は必要に応
じ目的とする意匠効果を妨げない範囲で上記の凹
凸模様と同調しない適宜の凹凸模様を有する平滑
面９′に仕上げる。

上記のようにして製造される本発明の化粧板の
意匠効果は、第５図によつて説明される。第５図
に示す如く、該化粧板の表面より入射した光が表
面透明樹脂層９又は９′を通過し、透明シーラー
層５を通つて透明インキ層３又は不透明インキ層
４に達する際に、透明インキ層３に達した光は更
にこれを通過して次の光沢インキ層２に至り、光
沢反射を受けて逆行し、これらの入射及び反射の
過程において各色材により選択吸収された残りの
色光が光沢を帯びまた内部エンボスによる複雑な
陰影が立体感を強調し（実線矢印１１）、それと
同時に、その近傍に不透明インキ層があれば、こ
れに達した光はその表面的反射光が逆行するだけ
で、光沢インキの作用を受けず、たとえ内部エン
ボスが施されていても、その反射光量が少いため
に陰影が強調されず立体感を乏しくし（点線矢印
１１′）、先の透明インキの部分とコントラストを
成し、複雑な凹凸をかもし出す。

本発明によれば、このようにして、光沢イン
キ、透明インキ、不透明インキ、エンボスの持つ
意匠性を巧みに配分し、それらの相乗効果をも計
算しつくした上でなお且つ測り知れない意匠効果
を再現性良く生み出すことのできる化粧板、すな
わち、従来目にすることの無かつた高級且つ重厚
な感覚の化粧板が、比較的安価な材料でしかも作
業性の良い安価な方法（特願昭54−015982参照）
で作製でき、しかも、得られる該化粧板の物性は
従来品の水準と同等以上である。更につけ加える
なら、通常の表面的に光沢インキを用いた意匠は
ややもすると金属的文化に馴じまない日本人の感
覚から、華美ないやみを感じるが、本発明では、
積層の内層に包まれて且つ他の色光と又はエンボ
スの陰影などとミツクスされることによつて、一
般人が好むであろう上品な底光りのする重厚且つ
多彩な意匠を表出する。また、表面を平滑に仕上
げた本発明になる化粧板を、壁装やデイスプレイ
などに使用する際の予期せぬ効果として、良くみ
かける通常の表面エンボス付与のものにくらべて
表面が汚れにくく、たとえ汚れても容易に拭き取
ることができ、多彩で重厚なエンボス感が常に侵
されることなく内部に保持されるという実用上優
れた面がある。

次に、本発明を実施例に従つて具体的に説明す
る。実施例中の部はいずれも重量基準である。

実施例 厚さ2.7mmのラワン合板に、スプレツダーを用
いて、 α―オレフイン無水マレイン酸共重合樹脂20％水
溶液 10部 ユリアホルムアルデヒド樹脂初期縮合物（50％固
形分） 20部 酢酸ビニル樹脂エマルジヨン（40％固形分）
100部 炭酸カルシウム 10部 小麦粉 10部 陽イオン繊維 40部 なる処方の不揮発分64％の水系樹脂組成物を150
ｇ／m²塗工し、その上に、グラビヤ印刷にてブロ
ンズ系金色インキの単色印りを施した上に透明着
色インキ及び不透明着色インキを配した抽象模様
を柄刷して更にその上から一液湿気硬化タイプの
ポリウレタンシーラー剤を施した重量23g/m²の
プリント薄紙を重ね、ちりめん様の凹凸を付した
ジアリルフタレート樹脂製エンボス賦型板を懸架
した成型プレス中に挿入し、100℃、５Kg/cm²、30
秒の条件で熱圧成形したのち、プレス中より取り
出し放冷した。次いで、このちりめん模様の凹凸
を付与した化粧板中間品の表面に、 不飽和ポリエステル樹脂 100部 ナフテン酸コバルト 0.5部 過酸化物触媒 1.0部 の混合均一樹脂液を250g/m²塗布し、その上をビ
ニロンフイルムで覆い、該樹脂液層の気泡を十分
除去して１時間放置したのち該ビニロンフイルム
を剥したところ、表面平滑で内層の光輝あるちり
めん模様が浮き出た重厚な化粧板が得られた。

上記のビニロンフイルムの代わりに、ビニロン
フイルムの表面に格子模様の突起を設けたものを
用いて、上記と同様に操作することにより、格子
模様の凹みを有する平滑面の下に光輝あるちりめ
ん模様が立体的に沈んで見える重厚な意匠感の化
粧板が得られた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に使われる化粧紙の一部断面構
成側面図、第２図は本発明の中間工程であるエン
ボス付与の一部断面構成側面図、第３〜４図は本
発明の最終工程仕上製品の一部断面構成側面図、
第５図は本発明になる製品の効果を説明する製品
断面構成側面図を含む図である。 図において、１は化粧原紙、２は光沢顔料イン
キ層、３は着色透明インキ層、４は着色不透明イ
ンキ層、５は硬化型透明樹脂層、６は化粧板基
材、７はα―オレフイン無水マレイン酸共重合体
を含む成形用の水系樹脂組成物の塗工層、８は樹
脂製エンボス賦型板、９は表面平滑な硬化型透明
樹脂層、９′は表面エンボス付与硬化型透明樹脂
層、１０は光輝着色反射光、１０′は無光輝着色
反射光、Ａ，Ｂ及びＣは化粧紙である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基材上に硬化型でありα―オレフイン無水マ
   レイン酸共重合樹脂を含む成形用の水系樹脂組成
   物より成る層を施し、該層の上に、予め光沢顔料
   インキと透明インキ及び又は不透明インキを印刷
   し次いで該印刷面上に層間接着強化用透明シーラ
   ー剤を施した化粧紙を貼着し、更に凹凸模様を施
   した樹脂製エンボス賦型板をその上に重ねて加
   熱、加圧することによつて上記成形用水系樹脂組
   成物より成る層を上記エンボス賦型板の凹凸模様
   に対応する凹凸模様を有する硬化樹脂層に成形す
   ると同時に上記化粧紙を該硬化樹脂層を介して基
   材に強固に固着させ、而る後、該凹凸表面上に高
   固形分の架橋硬化型透明樹脂を塗工して硬化させ
   る際に表面を平滑面に仕上げるか又は上記凹凸模
   様と同調しない適宜の凹凸模様を有する平滑面に
   仕上げることによつて光輝ある立体的模様感を表
   現することを特徴とする化粧板の製造方法。