JPS6338955Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は金型自動洗浄装置に関するものであ
る。

〔従来の技術とその問題点〕

板金加工用、樹脂成形用など各種金型の製作加
工や補修を行つた場合、金型のキヤビテイなどの
表面に切削、研削、研磨などによる切粉や油分が
付着するため、これらを除去、清掃する洗浄作業
が必要となる。

この金型洗浄作業に関し、従来ではこれを単一
の装置で行えず、対象の金型をいちいちクレーン
やチエーンブロツク等を用いマニユアルで平面状
から直立状に起立させ、次いでコンプレツサ類と
接続したエアノズルを要員が携えて金型に接近
し、金型表面にエアを噴射して切粉類を吹き飛ば
していた。

このことから、従来では金型の洗浄にかなりの
多人数を必要とすると共に、作業性と作業能率が
悪く、かつまた、玉掛けミス等による金型の転
倒、落下の危険や、切粉の飛散、衝突の危険が付
きまとうため安全性からも問題があり、切粉や油
分の飛散による作業環境の悪化や切粉の回収にも
問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記のような従来の問題点を除去し、
コンパクトな構造で金型の洗浄作業を自動的に能
率良くまた安全に行え、切粉や油分も飛散させず
的確に処理することができる装置を提供しようと
するものである。

この目的を達成するため本考案は、ベースの長
手方向一側に近く、金型を支持した状態で水平状
から垂直状に傾転自在な反転テーブルを設ける一
方、この反転テーブルと反対側には、移動自在な
洗浄ノズルとこれにより金型から除去された切粉
類を回収する機構を備えかつ前部に反転テーブル
の輪郭形状とほぼ合致する開口を有するブース体
を、反転テーブルに対し接近、後退自在に配した
ものである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明す
る。

第１図ないし第３図は本考案にかかる金型自動
洗浄装置の一実施例を示すもので、図面中、１は
反転テーブルであり、基床４２に固設された平行
状のベース６，６の上に配置され、周縁部には嵌
合用ないしシール用の突壁１２０が設けられてい
る。

前記反転テーブル１は両側に支軸７，７を有
し、ベース６，６に立設した架台８，８の軸受
９，９により支承されており、下部には基床４２
から伸びる反転用シリンダ１００，１００が連結
され、該反転用シリンダ１００，１００の作動に
より、前記軸受９，９を支点として水平状から所
要角度例えば90度まで傾転し得るようになつてい
る。

２は箱状のブース体であり、後部に支台２０を
有し、前記反転テーブル１と反対側のベース６，
６間に配され、下部にベース６，６に設けたガイ
ドレール１３，１３を摺動する支輪１４，１４が
設けられ、油圧モータ等の走行駆動機構１５によ
り反転テーブル１に対し接近、後退自在となつて
いる。

ブース体２は金属板などの剛体からなつてお
り、反転テーブル側が開口し、その開口の大きさ
は、前進時に先端縁１６が前記突壁１２０に嵌合
する寸法に作られている。先端縁１６と突壁１２
０のいずれかはゴム質などの可撓物質で構成され
ていることが好ましい。

３は前記ブース体２中に配された洗浄ノズルで
あり、噴射口がブース体２の開口側に向き、後部
はフレキシブルホース１７を介して支台２０上の
洗浄流体供給源２１と接続している。洗浄流体供
給源２１は図示するものでは温水洗浄機を用いら
れており、水を加熱して温水を作る温水ユニツト
２１０と、温水を洗浄ノズル３に圧送するポンプ
２１１とを備えている。

４は前記洗浄ノズル３をブース体２内で保持し
ながらＸ方向、Ｙ方向およびＺ方向に移動させる
機構であり、図示するものではラツクピニオン方
式としている。

詳述すると、ブース体２の頂面幅方向にガイド
２２，２２を横設し、これにヘツド体２３を移動
可能に搭載し、ガイド２２の一方にＸ軸方向移動
用のラツク２４を設けると共に、ヘツド体２３の
一部には前記ラツク２４と噛み合うピニオン２５
を取付けた油圧モータ２６を固定している。

また、ヘツド体２３には、ロツド２７を縦挿
し、これの一側に沿つてＺ軸方向移動用のラツク
２８を固定すると共に、ヘツド体２３にはラツク
２８と噛み合うピニオン２９を備えた油圧モータ
３０を固設している。そして、ブース体内のロツ
ド２７にはホルダ３１を設け、これで前記洗浄ノ
ズル３を支承させるとともに、洗浄ノズル３のケ
ーシングには長手方向に沿つてＹ軸方向移動用の
ラツク３２を固定し、ホルダ３１にはこのラツク
３２と噛み合うピニオン３４を備えた油圧モータ
３３を固定している。

５はブース体２の底部に設けた切粉類の回収機
構であり、ブース体２の後側底部に形成した幅方
向溝部３５と、この幅方向溝部３５に向かつて下
傾した底板３６と、幅方向溝部３５内に配設され
たマグネツトチツプタイプなどのコンベア３７と
を有しており、ブース体の側部には幅方向溝部３
５と通じた取り出し用バケツト３８が立設されて
いる。

第１図ないし第３図において、反転テーブル１
は表面に金型やダイプレートを取付けるためのＴ
字溝１１０が設けられ、金型やダイプレートをク
レーン等で反転テーブル１上に移置し、Ｔボルト
等で固定するようにしているが、これに限られる
ものではなく、自動構造のものを含む。

第４図は洗浄対象の金型の搬出入と固定をも自
動化した実施例であり、反転テーブル１には金型
またはダイプレートA′を受け入れるためのコン
ベア機構１０と、受け入れた金型またはダイプレ
ートA′を定位置で固定するクランプ機構１１を
設けている。

コンベア機構１０は、たとえば、リフトシリン
ダ１１１により昇降されるフレーム１１２と、フ
レーム１１２に配置された複数組のコロ１１３
と、それらコロ１１３をチエーンとスプロケツト
を介して駆動回転する駆動モータ１１４とを備え
ている。クランプ機構１１はダイプレートA′の
底部に形成したＴ字溝１１０′に内挿されたＴ状
ピストン１１５とこれを昇降する液体圧シリンダ
（図示せず）を備えている。

この反転テーブル１は図示するような金型台車
１２を併用するとより効果的である。金型台車１
２は下部に車輪１２１を有し、走行用モータ１２
２により自走されるようになつており、上部には
ダイプレートA′を受け入れ送出するためのコン
ベア機構１０′が配置されている。該コンベア機
構の詳細は反転テーブル１におけるそれと同様で
あるため説明は省略する。

その他図面において、３９は排水処理装置であ
り、前記幅方向溝部３５と取水管４０をもつて通
じ、幅方向溝部３５に流下収容された洗浄水中の
油分を除去して前記温水洗浄機２１に送り込み、
循環使用するためのものである。

４１は架台８，８に設けた反転ロツク機構であ
り、油圧シリンダなどからなつていて、反転テー
ブル１の傾動時に作動して、作動ロツド先端のロ
ツクヘツドを反転テーブル１の凹部に嵌合するこ
とで反転テーブルをロツクする。

４３は前記反転用シリンダ１０，１０、走行用
駆動機構１５、および洗浄ノズル移動用の油圧モ
ータ２６，３０，３３に対する油圧ユニツトであ
り、ブース体２の側部に配置された操作盤４４に
連絡され、電磁押しボタンにより反転操作、ブー
ス体２の前進後退、洗浄ノズルのＸ，Ｙ，Ｚ方向
への各送りなどを遠隔操作しうるようになつてい
る。

４５は乾燥用空気吹き出し部であり、ブース体
２の少なくとも頂部に設けられており、ダクト４
５０により供給源と連絡している。

なお、洗浄流体としては、温水のほかスチーム
やエアを併用してもよく、それらの供給源は支台
２０に搭載される。

本考案は上記のような構成から成るので、金型
Ａを洗浄するに当つては、第１図と第２図のよう
に水平状にした反転テーブル１上に洗浄対象の金
型Ａをクレーン等で搬入し反転テーブル１に直接
かまたは図示しないダイプレートを介して固定す
る。

第４図の実施例にあつては、金型Ａを取付けた
ダイプレートA′を金型台車１２に移置する。こ
れはコンベア機構１０′を駆動することで自動的
に行われる。次いで、金型台車１２を走行させ、
反転テーブル１に近接した位置で停止させ、反転
テーブル１及び金型台車１２の各コンベア機構１
０，１０′を駆動する。これにより、金型とダイ
プレートA′はコロで反転テーブル１に移置され、
リフトシリンダ１１１を下降させた後クランプ機
構１１を作動させる。これでダイプレートＡは反
転テーブル１に固定される。

次いで、反転用シリンダ１００，１００を作動
させる。これにより反転テーブル１は支軸９，９
を支点として水平状から第１図仮想線のように直
立状に反転し、金型Ａも起立する。

この状態で次に走行用駆動機構１５を作動すれ
ば、ブース体２は第１図実線の後退位置からベー
ス６，６に沿つて前進し、第３図のように先端縁
１６が反転テーブル１の突壁１２０に嵌合する。
これにより、金型Ａの周りに反転テーブル１を閉
止背壁とした密閉空間が形成される。

この状態で温水洗浄機２１を作動すると共に、
洗浄ノズル駆動機構４をさせれば、洗浄ノズル３
は上下、左右、前後に所望量移動しつつ、温水洗
浄機２１からフレキシブルホース１７を介して送
られてきた温水を金型Ａに噴射する。すなわち、
油圧モータ３０の駆動によりピニオン２９が回転
し、ラツク２８を固定しているロツド２７が昇降
するため洗浄ノズル３が上下する。また、油圧モ
ータ２６を駆動すれば、その駆動量に応じてヘツ
ド体２３がラツク２４に沿つて移動するため、洗
浄ノズル３は左右に送られる。さらに、油圧モー
タ３３を駆動すれば、ピニオン３４の回転で洗浄
ノズル外側のラツク３２が移動されるため洗浄ノ
ズルは前後に送られる。

従つて、各油圧モータ２６，３０，３３を組合
せ駆動するだけで金型Ａのすみずみまで自動的に
能率良く温水が吹き付けられ、付着している切粉
や油分が除去される。このとき、金型Ａの外周が
ブース体２と反転テーブル１で包囲されているた
め、洗浄水、油分、切粉等が周りに飛散すること
が無く、安全にかつ良好な環境を維持しながら洗
浄が行われる。

金型Ａに吹き付けられた洗浄水は下方に落下
し、後方に向け下傾したブース底板３６を流下し
て幅方向溝部３５に流入する。切粉はこの洗浄水
に帯同して幅方向溝部３５に到り、この部分に移
動しているコンベア３７に落下してブース体幅方
向へと移送され、ブース体側方の取り出し用バケ
ツト３８に自動的に排出される。したがつて、切
粉の処理も極めて容易である。

また、図示するものでは、この作業中、取水管
４０から幅方向溝部３５の洗浄水が取り出され、
これが排水処理装置３９に送り込まれて洗浄水に
混入した油分が除去され、温水洗浄機２１に供給
される。従つて温水の無駄がなく、効率の良い洗
浄を行える。

洗浄が終了したならば洗浄ノズル３への給水を
停止し、ブース体２を後退させ、次いで反転テー
ブル１を水平状になるまで逆方向に傾動させるも
ので、これで洗浄の１サイクルが完了する。あと
は反転テーブル１から金型Ａを取り外せばよい。
第４図においては、クランプ機構１１を解放し、
リフトシリンダ１１１を上昇させ、反転テーブル
１と金型台車１２の各コンベア機構１０，１０′
を作動させることで金型は自動的に搬出、移置さ
れ、金型台車１２を自走させることで迅速簡単に
目的場所に搬送される。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によるときには、ベース
６，６の長手方向一側に近く、金型Ａを支持した
状態で水平状から垂直状に傾転自在な反転テーブ
ル１を設ける一方、この反転テーブル１と反対側
には、移動自在な洗浄ノズル３とこれにより金型
から除去された切粉類を回収する機構５を備えか
つ前部に反転テーブル１の輪郭形状とほぼ合致す
る開口を有するブース体２を、反転テーブル１に
対し接近、後退自在に配しているため、水平姿勢
の反転テーブル１に金型Ａを固定し、次いで反転
テーブル１を直立状に反転すれば金型Ａも起立し
てキヤビテイがブース体方向に向き、自動的に位
置決めされ、この状態でブース体２を前進させる
ことにより開口が反転テーブル１と嵌合するた
め、自動的に金型の周りに洗浄用密閉空間が形成
され、いちいちブース体の出入口を閉じる作業や
手段を全く要さず、したがつて作業性と能率がよ
くなる。そしてブース体２内に装備した洗浄ノズ
ル３を作動させることにより金型Ａは効率良く洗
浄され、このときにブース体２と盤状の反転テー
ブル１とで金型Ａが完全に包囲されているため、
鋭利な切粉が外部に飛散したり、切粉により閉止
手段が切り割かれる心配もなく、安全に、良好な
環境で洗浄を行え、切粉はブース体１内の回収機
構５により自動的に回収することができる。

以上のように反転テーブル１を金型Ａを洗浄に
適した角度に位置させるだけでなく、ブースの閉
止手段として機能させるようにしているため構造
を簡単、安価にすることができ、しかも金型の洗
浄作業を必要最少の人員で自動的に、安全にかつ
能率良く実施することができるという優れた効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の金型自動洗浄装置の一実施例
を示す部分切欠側面図、第２図は同じくその平面
図、第３図は洗浄状態を示す断面図、第４図は本
考案の別の実施例を示す部分的側面図である。 １……反転テーブル、２……ブース体、３……
洗浄ノズル、４……洗浄ノズル駆動装置、５……
切粉類回収装置、６，６……ベース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベース６，６の長手方向一側に近く、金型Ａを
   支持した状態で水平状から垂直状に傾転自在な反
   転テーブル１を設ける一方、この反転テーブル１
   と反対側には、移動自在な洗浄ノズル３とこれに
   より金型から除去された切粉類を回収する機構５
   を備えかつ前部に反転テーブル１の輪郭形状とほ
   ぼ合致する開口を有するブース体２を、反転テー
   ブル１に対し接近、後退自在に配したことを特徴
   とする金型自動洗浄装置。