JPS6338069Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はホツトチエンバ型ダイカスト機のスリ
ーブに関し、詳しくは金型に鋳込む所定量の溶湯
を加圧する加圧室を形成するスリーブに関する。

従来、ホツトチエンバ型ダイカスト機のスリー
ブは両端を開口した円筒状に形成されており、こ
のスリーブに摺動自在に挿入したプランジヤを往
動させ、所定量の溶湯を加圧して金型に鋳込んで
いる。

詳しくは、スリーブの下端部を炉底に嵌着して
固定したスリーブホルダーに嵌合すると共に、そ
の上端部を保持具でもつて支持させて炉体内にス
リーブを固定し、スリーブの下部で形成せる加圧
室に流入させた所定量の溶湯をスリーブの上口よ
り挿入せるプランジヤの往動によつて高圧に加圧
し、その加圧室に連通させたスリーブホルダーの
流路および該ホルダーに連通状に接続せる注湯管
の管路を介して金型に鋳込んでダイカスト成品を
得ている。

従つて、加圧室の溶湯を加圧した時にその高圧
力によつて溶湯がスリーブとスリーブホルダーと
の嵌合部分から漏出しやすく、この漏出があると
金型のキヤビテイに設定せる所定量の溶湯が送ら
れなくなり、不良成形品の発生を招く。故に従来
は前記嵌合部分に金属パツキンをかませる等して
溶湯の漏出を防ぐようにしているが、スリーブの
振動による各部材の磨耗及びゆるみや各部材の熱
膨張の違い等の原因によつてこの漏出防止が不完
全となつているばかりか、組立時にスリーブとプ
ランジヤ及びスリーブホルダーの３つの部材の芯
合せをする必要があり、この作業が非常に面倒で
あると共に、各部材に高い加工精度を必要として
いた。而して、本考案の目的とする処は叙上の従
来事情に鑑み、加圧室と注湯管とを連通状に接続
するスリーブホルダー等の中継部材を必要としな
いとともに耐熱性に優れてプランジヤとの軸心精
度の高いスリーブを提供することにあり、斯る本
考案スリーブは、スリーブ本体を、アルミナ、ム
ライト、スピネル、ジルコニアを含む酸化物系セ
ラミツク、又は窒化珪素、サイアロン、炭化珪
素、窒化硼素を含む非酸化物系セラミツクで有底
筒状に形成すると共に、その本体胴部の中程に溶
湯取入口を、下部に吐出口を夫々開設せしめたこ
とを特徴とする。

以下、本考案スリーブの第１実施例を底形状が
凸状の曲面である場合に関し第１図及び第２図に
より説明すると、第１図は本考案スリーブを用い
たホツトチエンバ型ダイカスト機の縦断面図を示
し、１は機枠、２は炉体、３は射出装置、４はス
リーブ、５は注湯管、６は金型、７は溶湯であ
る。

前記機枠１は四角筒状に形成すると共にその上
面を開放し、周壁には放熱窓８を適宜数設けて成
り、機枠１内には昇降台９を上下動調節自在に設
置し、該台９の上に溶融炉１０を載置する。

溶融炉１０は多数の放熱孔１１を穿設した耐熱
鋼製の基台１２にやはり多数の放熱孔１３を穿設
した溶岩製の断熱板１４を嵌合し、その断熱板１
４上に鉄皮１５で周囲を被つた炉壁枠１６を載置
せしめ、この炉壁枠１６の炉床中央に支持台１７
を載置すると共に該支持台１７上に炉体２を載置
して成り、その炉体２を炉体２の底中央にキー１
８でもつて固定した支持部材１９と前記支持台１
７とで挾持すると共に、炉壁枠１６の下部に炉体
２を加熱するバーナー２０を設ける。

前記炉体２はセラミツク又は溶岩あるいはモリ
ブデン鋼等の耐熱部材でもつて所定の容量を有す
る器状に形成し、溶融炉１０の下限位置で支持台
１７上に載置すると共に、セラミツク又は溶岩で
形成した支持部材１９を炉体２の底中央にキー１
８でもつて固定し、しかも後に昇降台９を上動さ
せ、既に炉体２上に垂下させた後述する射出装置
３の下枠２２″の下端を支持部材１９に係合させ
て、炉体２を支持部材１９と支持台１７とで所定
の挾持圧力でもつて固定する。

更に、炉体２には他の溶解炉（図示せず）の給
湯管２１を覗かせる。

前記射出装置３は機枠１の前後壁に起設すると
共にその前後壁に亘つて横架させた主枠２２と、
該枠２２の中央に固定して起設した矢倉２２′お
よび主枠２２の中央に固定して垂下させた下枠２
２′とから成る支持枠と、該枠に取り付けたプラ
ンジヤ２３とスリーブ４等から成り、スリーブ４
を下枠２２′の中程に固定した支持板２４に嵌合
状に挿入すると共にスリーブ４の上口４ａに設け
た係合段部４ｂに押え筒２５を押圧状に係合させ
てスリーブ４を仮固定し、しかる後に該スリーブ
４にプランジヤ２３を挿入し、そのプランジヤロ
ツド２３′を矢倉２２′の上部に起立状に取り付け
た加圧用シリンダ２６のロツド２６′に連結して、
プランジヤ２３を往復動させながら該プランジヤ
２３とスリーブ４との芯出しを行い、前記押え筒
２５及び支持板２４によりスリーブ４を固定す
る。更にスリーブ４の下部に設けた吐出口４ｃに
は他端を金型６の湯口６ａにノズル２７を介して
接続した注湯管５を接続せしめる。

而して、前記スリーブ４はその本体４′を、ア
ルミナ、ムライト、スピネル、ジルコニアを含む
酸化物系セラミツク、又は窒化珪素、サイアロ
ン、炭化珪素、窒化硼素を含む非酸化物系セラミ
ツクで凸状の曲面からなる底を一体に形成した筒
状に形成し、その上口４ａに係合段部４ｂを周設
すると共に胴部中程には溶湯７の取入口４ｄを穿
設し、下部の適宜箇所に吐出口４ｃを適宜長さ突
出させて設け、その外周に螺子４ｅを螺設して成
り、このスリーブ４を射出装置３に取り付けるに
は、スリーブ本体４′の上部を前記支持板２４に
嵌合状に挿入すると共に曲面状の底面４ｆを支持
部材１９の凹部に嵌合せる略皿形状の受部材２８
にほぼ線接触でもつて当接させ、本体上口４ａの
係合段部４ｂに前記主枠２２に上下動調節自在に
取り付けた押え筒２５を係合させてスリーブ４を
仮止めし、該スリーブ４にプランジヤ２３を挿入
して両者の芯合せを行なつた後に押え筒２５を下
動せしめてスリーブ２３を押え筒２５と受部材２
８及び支持板２４の３者でもつて固定して取り付
け、スリーブ４の吐出口４ｃには注湯管５を袋ナ
ツト２９及びパツキン３０でもつて水密状に接続
する。

又、前記受部材２８はセラミツクまたは溶岩、
あるいは耐熱金属でもつて形成し、パツキン３０
には金属製の基盤にガラス繊維束をその表面から
所定量突出させて所定形態に配設して形成せるパ
ツキンを用いる。

従つて、上記の如く構成したホツトチエンバ型
ダイカスト機による溶湯７の鋳込動作を以下に説
明すると、ダイカスト機は炉体２内に給湯管２１
から溶湯７を注湯するか、あるいは炉体２内にイ
ンゴツトを入れ、これをバーナー２０で加熱して
融解するかして炉体２内に所定量の溶湯７を貯留
すると共に、プランジヤ２３を上限位置に位置さ
せておき作動させる。

尚、言うまでもない事であるがこの時金型６は
型閉めされている。

ダイカスト機を作動させると、プランジヤ２３
が往動してスリーブ本体４′の下部内面とプラン
ジヤ２３の前面とで形成せる加圧室３１に取入口
４ｄより流入した予め設定せる所定量の溶湯７を
高圧に加圧し、該溶湯７を加圧室３１の吐出口４
ｃより注湯管５の管路５′及びノズル２７を介し
て金型６のキヤビテイ（図示せず）に鋳込む。

溶湯７の鋳込みが終了すると次にプランジヤ２
３が復動し、加圧室３１に再び所定量の溶湯７が
取入口４ｄから流入して鋳込動作の一サイクルを
終え、この金型の動作と連動せる動作を繰り返し
てダイカスト成品を成形する。

一方、プランジヤ２３によつて加圧された加圧
室３１の溶湯７は、加圧室３１が単一部材でもつ
て形成されたスリーブ４の内底面と内周面及び該
内周面に摺接せるプランジヤ２３の前面とで形成
されているので、その摺接間隙から漏出する微量
を無視すれば、その高圧力にかかわらず予めプラ
ンジヤ２３の往動量とスリーブ４′の内径とで設
定せる所定量の溶湯７が吐出口４ｃから注湯管５
の管路５′に吐出されると共に、吐出口４ｃと注
湯管５との接続部分からの漏れはパツキン３０に
よつて完全に防がれるので、設定せる所定量の溶
湯７が常にキヤビテイに鋳込まれる。

次に本発明スリーブの第２実施例を吐出口が所
定の仰角を持つている場合に関し、第３図及び第
４図により以下に説明する。

又、第２実施例の構成はスリーブの形状とその
支持部材との係合形態及び注湯管との接続構造が
前記第１実施例の場合と異なり、それ以外は同様
であるのでこの説明を省き、以下は上記異なる部
分に関してのみ説明する。

第３図は本考案スリーブを用いたホツトチエン
バ型ダイカスト機の縦断面図を示し、１０１はス
リーブ、１０２は支持部材、１０３は注湯管であ
る。

前記スリーブ１０１はその本体１０１′を溶岩
又はセラミツクでもつて平坦な底を一体に形成し
た筒状に形成し、その上口１０１ａに係合段部１
０１ｂを周設すると共に胴部中程には溶湯１０４
の取入口１０１ｃを穿設し、下部の適宜箇所に吐
出口１０１ｄを所定の仰角を持たせて適宜長さ突
出させて設け、その内周に螺子１０１ｅを螺設し
て成り、このスリーブ１０１を射出装置１０５に
取り付けるには、スリーブ本体１０１′の上部を
支持板１０６に嵌合状に挿入すると共に底部を溶
岩又はセラミツクで形成した支持部材１０２の嵌
合凹部１０２′に嵌め入れて仮止めし、後は前記
第１実施例と同様にして押え筒１０７と支持部材
１０２及び支持板１０６の３者でもつて固定す
る。

前記注湯管１０３はその管路１０３′が一直線
となるように形成し、その一端を前記射出装置１
０５に固定したスリーブ１０１の吐出口１０１ｄ
に螺合させて接続し、その接続部分を第１実施例
と同様のパツキン１０８と、締付ナツト１０９で
もつてシールすると共に、他端にはノズル１１０
を装着し、このノズル１１０を金型１１１の湯口
１１１ａに接続して固定せしめ、金型１１１の湯
道１１１ｂと注湯管１０３の管路１０３′及び前
記吐出口１０１ｄとを一線状に設ける。

従つて、プランジヤ１１２の往動によつて加圧
された加圧室１１３の溶湯１０４は前記第１実施
例と同様に加圧室１１３から管路１０３′に至る
流路において漏出することがなく、予め設定せる
所定量の溶湯１０４が金型１１１のキヤビテイに
鋳込まれると共に、加圧された溶湯１０４は吐出
口１０１ｄからキヤビテイまで一線状に設けられ
た流路を該流路を形成せる各部材に衝突すること
なく送られる。

本考案は叙上の如く、スリーブ本体を有底筒状
に形成すると共に、その本体胴部の下部適宜箇所
に吐出口を開設せしめたので、スリーブホルダー
等の中継部材を用いずに注湯管と水密状に接続出
来、加圧室から金型のキヤビテイに圧送する溶湯
の漏れを防止出来て、溶湯の鋳込量の不足による
不良品の発生を防止出来ると共に、射出装置の芯
合せがプランジヤとスリーブとの２部材間の芯合
せだけですみ、その取り付け作業の簡便化が計れ
る。

又、スリーブ本体をセラミツクでもつて形成し
たので、高温下においてもプランジヤとスリーブ
との軸心精度を維持し、溶融温度の高いアルミニ
ユーム、真ちゆう等のダイカスト成形にも適用し
得る。

又、第１実施例に示す如くスリーブの底形状を
凸状の曲面に形成し、その受部材との接触を線接
触とすることで、スリーブが多少傾むいても確実
に固定することが出来、スリーブの芯合せが要易
になる。

又、第２実施例に示す如く吐出口を所定の仰角
を持たせて形成すると、吐出口から金型のキヤビ
テイまで流路を一線状に出来、該流路を形成せる
各部材の溶湯による侵蝕が防げ、それらの使用期
間を延ばすことが出来ると共に、前記不良品の発
生を防止出来るホツトチエンバ型ダイカスト機の
スリーブを提供出来る。

依つて、所期の目的を達成出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案スリーブの第１実施
例を示し、その第１図は本考案スリーブを用いた
ホツトチエンバ型ダイカスト機の縦断面図、第２
図は第１図におけるスリーブ及びその取付構造を
プランジヤが往動した状態を拡大して示す断面図
であり、第３図及び第４図は本考案スリーブの第
２実施例を示し、その第３図は本考案スリーブを
用いたホツトチエンバ型ダイカスト機の縦断面
図、第４図はスリーブ及び該スリーブと注湯管と
の接続構造を拡大して示す拡散分解斜視図であ
る。 尚、図中４′，１０１′……スリーブ本体、４
ｃ，１０１ｄ……吐出口である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スリーブ本体を、アルミナ、ムライト、スピネ
   ル、ジルコニアを含む酸化物系セラミツク、又は
   窒化珪素、サイアロン、炭化珪素、窒化硼素を含
   む非酸化物系セラミツクで有底筒状に形成すると
   共に、その本体胴部の中程に溶湯取入口を、同下
   部に吐出口を夫々開設せしめたホツトチエンバ型
   ダイカスト機のスリーブ。