JPS6337828Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 考案の目的 産業上の利用分野 本考案は、パン生地の成形機、特に定量分割し
たパン生地を丸く成形するのに使用される丸め機
用カツプに関する。

従来技術 丸形のパンを焼成するときには、予めパン生地
の段階で分割した生地を丸形に成形する工程が必
要になる。従来は、この際、軽金属の鋳造により
下向きに開口したお碗状内面を備え、同内壁面に
は、その頂点から放射方向に相互に等角度、等間
隔に凸条または凹条を施し、内壁面と生地との間
の摩擦係数を大きくしたカツプを用い、このカツ
プを、平面上（綿ベルトなど）に一列に載置した
定量分割のパン生地の上から、それぞれ被せた
後、偏心軸の回りに公転させることによつて丸め
加工を行つていた。前記、成形カツプの作用につ
き検討すると、パン生地はカツプの偏心回転によ
つて加わる遠心力により、その側面が湾曲したカ
ツプ内面に押付けられながら同面に対して相対的
に摩擦力を受けながら転動して成形されつつ、高
さ方向に伸びるにしたがつて斜め上方からも押え
付けられ、順次、丸形に成形される。

かくして、１次成形加工が施されたパン生地
は、カツプが上昇した後、載置面ごと一ピツチだ
け移送されて２次成形加工位置を占めて停止し、
このセクシヨンにおいて、前記同様、２次成形カ
ツプが降下して前記パン生地を覆い、１次成形済
の生地に対して再度、上記同様の加工を施し、さ
らに、この成形加工は３次成形セクシヨンにおい
ても施され、丸形のパン生地が得られるようにさ
れている。すなわち、 (a) 従来の成形カツプは、何回か公転運動し生地
の高さが出て、カツプの天井に当つてから生地
を巻込み、丸め操作が加わるので、単位のカツ
プの丸め効果が弱い。そのため生地の丸め成形
のために成形セクシヨンを複数段にわたつて設
置することが必要とされていた。

(b) また、この種の成形カツプは、その内容積が
一定であるので、分割パン生地の重量（容量）
が所定の範囲から外れた場合に、成形機能が対
応できなくなるので、各種容量のパン生地を丸
めるには、これに対応する大きさの成形カツプ
を幾種類か用意して置いて、作業に従つて予め
選択セツトしておくことを要する。つまり、丸
め可能範囲が狭い。

と云つた不都合があつた。

考案が解決しようとする問題点 そこで本考案は、上述、従来成形カツプの不都
合を解消し、丸め効果が大きく、かつ、パン生地
の容量の変化に対し比較的に影響を受け難い成形
カツプを提供することによつて、パン生地の丸め
加工を能率化し、また、その作業を極めて簡易に
にすることを目的とするものである。

(ロ) 考案の構成 問題点を解決するための手段 本考案は、上記目的を達成するために次に述べ
るとおりの構成要件を具備している。内周面が垂
直軸に対して軸対称に形成され、下方に開口部を
有する容器を、前記軸から偏心した垂直軸線の回
りに公転させることにより、その内側に囲んだ定
量分割パン生地を丸めるようにした成形機におい
て、前記容器の天井面を上、下方向に移動可能に
支承し、かつ同面を下方に向けて軽く付勢するこ
とにより、成形中常時パン生地の上端面を押える
ようにする一方、その天井面が前記容器内側から
抜け落ちることがないよう前記支承部に抜出し防
止手段を施したこを特徴とするパン生地丸め機用
カツプ。

作 用 生地丸め機用カツプの天井面が生地成形加工
中、常に生地の上面を押えているので、生地とカ
ツプとの間の摩擦力が大きく、丸め効果が大であ
る。加工が進み生地が丸く成形されて高さが出る
のにならつて天井面が上方に逃げてカツプ容量を
増加させる（したがつて天井面への付勢力は、同
作用に適合する程度の強さである。）と共に相変
らず生地の上面を押えて生地を形よく丸く成形す
る。かくして成形されたパン生地は伸ばされて表
面がきれいにでき上る。

本件考案のカツプ内壁面は、生地が着き難い材
質により形成され、通常、垂直軸に直交する平面
内での断面は円形で、全体としては有底円筒体に
成形される。パン生地の上面を押える天井下面の
径および形は、生地がカツプ内側面に押され（相
対的に）て立上つたときにも、その上端面を押え
ることができる程度に、カツプ内壁面に近接した
径を備えれば、必ずしも下面が下方に凹である事
を要さない。ただし、天井面は丸形のパン生地に
なじむ曲面とすることが成形カツプの丸め効果を
高める上から、また生地の形を、美しく丸めるの
に有効である。

本考案カツプは、分割パン生地を上から被せて
前述の丸め動作を施した後、再び上昇するように
されているから、これに伴ない天井面もパン生地
から離れるようにして置かねばならない。そのた
めに天井面支承部には抜出し防止部材を施してカ
ツプが上昇したときには、天井面部材も共に持上
がるようにすると共に、そのとき天井面を下方に
付勢する力によつて天井面部材が成形カツプから
抜け落ちることがないよう構成している。

なお、天井面付勢手段は、スパイラルスプリン
グまたは重錘等、種々の技術が利用可能である。

実施例 第１ないし第４図は本考案生地丸め機用カツプ
の一実施例の断面図を示し、図番が進むに従つ
て、パン生地の丸め加工が進行して行く状態を現
わすものである。図中、１は、内壁面が有底円筒
状のカツプで、下面に開口を備え、上側は縮小径
部２を形成し、同部中心線を貫通して、下面が天
井面を成している蓋４の支承部材５を上、下方向
に摺動、案内する軸受孔３が穿設されている。

４は、カツプ１の内径に近い径を備えた蓋で、
その下面はパン生地９の上面を押え、また成形中
の生地の上側を押圧するのに都合のよい凹球面状
の天井面を形成し、その上面には中心軸に沿つて
蓋４の支承部材（軸）５が取付けられていて、同
支承軸５は縮小径部２の軸受孔３に嵌着、摺動す
るよう組付けられている。

６は、支承軸５の上端に取付けてある蓋４の抜
け落ち防止ストツパで、成形カツプが上昇したと
き、蓋４を下方に付勢する力に対抗して、少くと
も蓋４がカツプ１の開口縁よりも下方に抜出すこ
とのないよう縮小径部２の上面に当接する。

７は、カツプ１の縮小径部２と蓋４の上面との
間に装着され、蓋２を下方に付勢するスパイラル
スプリングで、その装着長は、ストツパ６によつ
て規制されている。なお、前記スプリングの圧力
の大きさは蓋の天井面に当るパン生地の成形圧に
適合する程度のものである事を要し、第２図以下
に示すようにカツプ内のパン生地が丸く成形され
るに従つて、蓋４は、順次上方に押上げられ、そ
の位置でスプリング７の圧力と釣合うようにされ
ている。

８は、定量分割されたパン生地９を載置して、
カツプ１の下方に移送し、成形済のパン生地を、
次段に移送するコンベヤベルトである。

第１図は、上記パン生地を囲んでカツプ１がベ
ルト８上に降下する工程を示し、同カツプは偏心
した垂直軸線の回りに距離ｒを半径にして公転す
ることにより、パン生地９を蓋４の天井面とベル
ト８表面との間で押えながら、その側面をカツプ
内壁面に転動させ、順次、第２図以下に示すよう
にパン生地を丸めて成形する。その間の作用、効
果は前記「作用」の項で説明したとおりであるか
ら再説はしない。

(ハ) 効果 本考案丸め機用カツプは、以上説明したとお
り、パン生地成形の最初から丸め加工の完了迄、
カツプ内の天井面に生地が当り、天井面は加工中
常時生地を押えて分割生地とカツプとの間で摩擦
力を大きくしているので、パン生地を丸める効果
が良好である上に、生地表面が美しく、また、と
とのつた丸味の成形が可能となり、成形加工の工
数を減少することができる。

パン生地の成形に伴なつて蓋が順次上方に移動
しカツプ内容量を変えることができるために、一
つのカツプに適合する生地成形容量の範囲が拡く
採れ、分割パン生地の容量の変化に対して、カツ
プの大きさを取換える作業を大巾に少なくするこ
とが可能となる。

等々、分割パン生地の丸め加工に当つて格別の
作用、効果を奏することが明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は、本考案生地丸め機用カ
ツプの一実施例の断面図を示し、第１図から順
次、分割パン生地の丸め加工が進行し、第２図、
第３図示の状態を経て第４図示の形となつて生地
の丸め加工が完了する。 １……カツプ本体、２……縮径部、３……軸受
孔、４……蓋、５……支承軸、６……ストツパ、
７……スパイラルスプリング、８……コンベヤベ
ルト、９……分割パン生地。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内周面が垂直軸に対して軸対称に形成され、下
   方に開口部を有する容器を、前記軸から偏心した
   垂直軸線の回りに公転させることにより、その内
   側に囲んだ定量分割パン生地を丸めるようにした
   成形機において、前記容器の天井面を上、下方向
   に移動可能に支承し、かつ同面を下方に向けて軽
   く付勢することにより、成形中、常時パン生地の
   上端面を押えるようにする一方、その天井面が前
   記容器内側から抜け落ちることがないよう前記支
   承部に抜出し防止手段を施したことを特徴とする
   パン生地丸め機用カツプ。