JPS6337538Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、防振装置、殊に建設機械車両のエン
ジンマウントに使用される防振装置に関する。

従来の技術 従来の防振装置を第４〜７図について説明す
る。

第４図は従来の防振装置を構成する防振ゴムの
外観を示し、第５図ａはバウンド側の防振ゴムを
示し、またｂはリバウンド側の防振ゴムを示す。

これらの図において、バウンド側及びリバウン
ド側の各防振ゴム１は、夫々、略円錐台形断面形
状の内周ゴム部１ａと、その外周側に一体的に形
成されたすそ野の円盤形状の外周ゴム部１ｂとで
構成されている。

そして、各防振ゴム１において、内周ゴム部１
ａの開口した中心部には中空円筒状の内筒２が取
付けられ、一方外周ゴム部１ｂの底部にはＬ字断
面形状の外筒３が取付けられている。

また、この外周ゴム部１ｂはストツパー効果を
有し、バウンド側及びリバウンド側の夫々の外周
ゴム部１ｂの厚さh₁，h₂を比べると、h₁＜h₂とさ
れている。

次に、従来の防振装置の取付けについて説明す
る。

第６及び７図に示すように、前述の如き一組の
バウンド側及びリバウンド側の各防振ゴム１が、
バウンド側の防振ゴム１を下に、リバウンド側の
防振ゴム１を上にして、それらの外筒３が互いに
内向きに重なり合うよう対向させた状態で、エン
ジンマウント（図示せず）の荷重を支持するフレ
ーム側サポートステイ４上に取付けられる。

そして、リバウンド側の防振ゴム１の上部にワ
ツシヤー５が設置されると共に、エンジン側ブラ
ケツト６が前述の如く重なり合つた外筒３のなす
間隙部で挾持され、中空円筒状の内筒２へ嵌入し
たボルト７及びナツト８にて締結される。

この取付け時において、バウンド側防振ゴム１
の外周ゴム部１ｂとフレーム側サポートステイ４
との間の間隙h₃と、リバウンド側防振ゴム１の外
周ゴム部１ｂとワツシヤー５との間の間隙h₄と
は、h₃＞h₄（第６図参照）の関係となる。

それから、エンジンをエンジンマウントに搭載
したときには、エンジン側ブラケツト６を通じて
バウンド側の防振ゴム１がそのエンジンの重量を
受けて適度に沈み、一方、対向するリバウンド側
の防振ゴム１が下方に膨らむため、この状態にお
けるバウンド側の間隙h₃はh₅に、またリバウンド
側の間隙h₄はh₆にそれぞれ変化して頂度、h₅＝h₆
（第７図参照）となるように設定される。

考案が解決しようとする課題 このような防振装置は、建設機械のエンジンマ
ウント等に多く供されるが、その衝撃のあまり加
わらない通常運転時には、防振ゴム１の剛性が比
較的小さい内周ゴム部１ａにてその振動を吸収す
るので防振性能が良い。

ところが、大きな衝撃力や起振力が作用した時
には、エンジン側ブラケツト６に対して防振がな
されるように、内周ゴム部１ａの外周側に形成さ
れたすそ野の円盤形状の外周ゴム部１ｂのストツ
パー効果により振動を吸収するものの、従来の外
周ゴム部１ｂでのストツパー効果が充分でなく、
この外周ゴム部１ｂに過大な変形（変位）を生じ
ていた。

しかして、この変形によつてエンジンの各部が
車体側に接触したり、防振ゴムに過大な歪みが加
えられて耐久性が著しく短くなり、甚だしい場合
には短時間で破壊に至る不都合があつた。

課題を解決するための手段 本考案は、このような従来の課題を解決するた
めに、対向して取付けられる一組のバウンド側及
びリバウンド側の防振ゴムを包含し、各防振ゴム
は略円錐台形断面形状の内周ゴムとその外周側に
一体的に形成されたすそ野の円盤形状の外周ゴム
部とで構成されている防振装置において、各防振
ゴムの外周ゴム部にストツパーピンを内蔵したも
のである。

作 用 このような手段によれば、防振ゴムよりも剛性
の大きいストツパーピンが、バウンド側及びリバ
ウンド側の各防振ゴムの外周ゴム部両方に内蔵さ
れているので、上下どちらの方向の衝撃力又は起
振力においても、そのストツパーピンによるスト
ツパー効果が得られ、振動を阻止できる。

実施例 以下第１〜３図を参照して、本考案による防振
装置の一実施例について詳述する。なお、これら
の図において、第４〜７図と同一の部分には同一
の符号を付して、その詳細な説明は省略する。

しかして、本考案によれば、第１図ａ，ｂに示
すように、バウンド側及びリバウンド側の各防振
ゴム１において、その外周ゴム部１ｂに夫々、防
振ゴム１よりも剛性の大きいストツパーピン９が
内蔵され、これらのストツパーピン９は好適には
外筒３に固定される。

そして、第２及び３図に示すように、前述の如
くこれらのストツパーピン９を内蔵した一組の対
向するバウンド側及びリバウンド側の防振ゴム１
が、フレーム側サポートステイ４に取付けられ、
エンジン側ブラケツト６が外筒３のなす間隙部で
挾持される。

以上のような構成により、まず衝撃のあまり加
わらない通常運転時には、従来と同様に主に剛性
が小さい各防振ゴム１の内周ゴム部１ａが作用し
て振動を十分に吸収できる。

次に、大きな衝撃力や起振力が作用した時に
は、各防振ゴム１の外周ゴム部１ｂにてストツパ
ー効果が働き、大半の振動は防止される。しかし
ながら、エンジン側ブラケツト６に対して上下ど
ちらの方向の振動でもバウンド側の間隙h₅又はリ
バウンド側の間隙h₆を超えた変形（変位）を与え
るような更に大きな衝撃又は起振力の場合には、
各防振ゴム１の外周ゴム部１ｂ両方に内蔵されて
いるストツパーピン９がその防振ゴム１よりも大
きな剛性を有しているため、エンジン側ブラケツ
ト６の上部（h₆）方向への振動についてはリバウ
ンド側の防振ゴム１のストツパーピン９にて、ま
た下部（h₅）方向への振動についてはバウンド側
の防振ゴム１のストツパーピン９にて、夫々、直
ちにストツパー効果が発揮される。このことによ
り、大きな衝撃又は振動によるゴム部１ｂの過大
な変形（変位）を確実に阻止することができる。

考案の効果 本考案は、以上の結果、次のような効果を奏す
るものである。

(1) 通常のエンジン支持の状態では、バウンド側
及びリバウンド側の各防振ゴムの内周ゴム部の
みが作用しているため、剛性の小さいばね定数
が得られ、エンジン機関の共振回転数を低くす
ることができる。

(2) 大きな衝撃力がエンジンに加えられた時には
まず、ストツパーピンを内蔵した外周ゴム部が
作用し、防振ゴムの過大な変形を防止できる。

そして、従来、この外周ゴム部でもカバーし
きれない上下どちらの方向の振動でも、第３図
に示した間隙h₅，h₆を超える変形（変位）を与
える衝撃力や起振力については、バウンド側及
びリバウンド側の各防振ゴムの外周ゴム部に
夫々ストツパーピンを内蔵させていることによ
り、これらのストツパーピンによるストツパー
効果が急激に得られるため、エンジン支持状態
でのばね定数を非常に小さくすることができ、
その大きな変位を許容内に容易におさえること
ができる。

(3) 従つて、防振ゴムの耐久性を向上させること
ができ、かつ、エンジン各部がエンジン周辺の
他部品（ラジエータ管）と接触することを防ぐ
ことができる。

(4) ストツパーピンが内蔵した形であるため、取
付け性が簡単で部品点数も少なくすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ及び第１図ｂは本考案による防振装置
を構成するバウンド側防振ゴム及びリバウンド側
防振ゴムを示し、それぞれ左半分は側面図をまた
右半分は断面図を表わしている。第２図は本考案
による防振装置のエンジン搭載前の取付け状態
図、第３図はそのエンジン搭載後の取付け状態図
である。第４図は本考案及び従来の防振装置を構
成する防振ゴムの外観を示す図である。第５図ａ
及び第５図ｂは従来の防振装置を構成するバウン
ド側防振ゴム及びリバウンド側防振ゴムを示し、
それぞれ左半分は側面図をまた右半分は断面図を
表わしている。第６図は従来の防振装置のエンジ
ン搭載前の取付け状態図、第７図はそのエンジン
搭載後の取付け状態図である。 １……防振ゴム、１ａ……内周ゴム部、１ｂ…
…外周ゴム部、９……ストツパーピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 対向して取付けられる一組のバウンド側及びリ
   バウンド側の防振ゴムを包含し、各防振ゴムは略
   円錐台形断面形状の内周ゴム部とその外周側に一
   体的に形成されたすそ野の円盤形状の外周ゴム部
   とで構成されている防振装置において、各防振ゴ
   ムの外周ゴム部にストツパーピンを内蔵したこと
   を特徴とする防振装置。