JPS6337365Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はクロス貼り仕上げを施した吸音性に優
れた壁構造に関する。

近年、住宅等建築物の壁、天井等の内装仕上げ
は、化粧の洋風化、多様化のニーズに伴い、化粧
クロス、壁紙等の化粧シート（以下クロスと総称
する）で仕上げることが増えてきている。

又、ステレオ、ピアノ等を設置する部屋、子供
部屋等においては、吸音性、防音性の向上につい
て大きな要望が寄せられてきている。

一方従来一般に行なわれているクロス貼り仕上
げは、胴縁等の壁下地あるいは野縁等の天井下地
に合板、石膏ボードなどを釘や接着剤を用いて固
着し、その表面にクロスを貼着する方法で行なわ
れているが、このようにして構築される壁や天井
では吸音性に乏しく上記のような要望を充分満足
するものではなかつた。

又、ポーラスで吸音性に優れた材料として、軟
質繊維板等の繊維板はよく知られており、この繊
維板は更に周囲の環境条件に応じて湿気や水分を
吸収しあるいは放散する所謂呼吸性と称する性質
を有しており、特に内装下地用の建築用板として
好適なものであるが、その反面、上記湿気等の吸
収時には伸張し、放散時には収縮する伸縮性が大
なるため、クロス下地として用いた場合には、施
工後の時間の経過に伴いクロスの継ぎ目部に隙き
間が生じて繊維板の一部が露出し、化粧外観を著
しく低下させることがあるという欠点を有してい
る。

本考案はかかる従来の問題点に鑑みなされたも
ので、合板等の表層材と、該表層材裏面に接着さ
れた繊維板とからなる複合板に、表層材表面から
繊維板表面に達する多数の半貫通穴が設けられて
いる下地材を柱、間柱等の壁体構成材上に直接あ
るいは胴縁等を介して取付け、穴開口部を被覆す
るように全面にクロスを貼着してなる吸音性に優
れた防音効果の高い壁構造を提供するもので、ク
ロス貼り仕上げをクロス継ぎ目の目隙き発生等の
支障を生じることのないものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図は、本考案の壁構造を示し、柱、間柱４
に下地材Ａを釘打ちによつて取付け、その表面に
クロス５を貼着して構成されている。

第２図は本考案に用いられる下地材の第一実施
例を示し、合板等の表層材１と該表層材１の裏面
に接着された繊維板２とからなり、表層材１表面
から繊維板２表面に達する多数の半貫通穴３，３
…が設けられている。

上記表層材１としては、合板の他、石膏ボー
ド、板紙、パーテイクルボードなど、クロス貼り
を現場施工で容易に行うことができるものが用い
られる。特に合板は、クロス貼り適性に優れてな
るのは勿論のこと、薄くても良好な強度的性質を
有し、経済的であるとともに軽くて加工性のよい
下地材Ａを構成できるので望ましい。

又、上記繊維板２としては、軟質繊維板等の木
質繊維を主原料とする植物質繊維板、ロツクウー
ル、スラツグウール、グラスウール等を主原料と
する鉱物質繊維板がある。このような繊維板２
は、ポーラスで且つ適度な強度的性質を具備して
いることが必要であり、通常その比重が0.2〜0.5
程度のものが好ましい。

又、上記半貫通穴３，３，…は、その穴の形状
や穴径を特に限定するものではないが、15mmφを
超えると表面に貼着したクロス５が破損し易くな
ることがあり、通常２mmφ〜10mmφ程度に設定す
るのが好ましい。

このように構成した下地材Ａは、柱、間柱４に
直接又は胴縁等を介して、繊維板２を裏側にして
釘打ち、接着剤、あるいはそれらの併用によつて
固着しながらその複数枚を互いに接合して内装下
地に形成される。そして要すれば下地材Ａ同士の
接合部にパテ塗りが行なわれ、下地材Ａの表面に
クロス５が開口部を３，３，…を被覆するように
貼着されてクロス貼り仕上げが行なわれる。

したがつて上記下地材Ａは、表層材１表面に多
数の半貫通穴３，３，…がポーラスな繊維板２表
面を底部となすように形成されているので、発生
する音を表面に貼着されたクロス５を介して半貫
通穴３，３，…および繊維板２表面で良好に吸音
することができる。

又、下地材Ａと柱、間柱４，４，…との間に遮
音シート等の遮音材を介して固着すると、吸音性
は勿論のこと、一層防音性に優れた壁構造を構築
できる。

更に本考案に用いられる下地材Ａは、繊維板２
表面に合板等の表層材１を設けてなるので、繊維
板２が湿気や水分の吸収、放散に伴つて伸縮する
のを抑制し、又伸縮してもクロス５が貼着された
表層材１の表面は、繊維板２の伸縮に影響されな
いので貼着されたクロスの継ぎ目部に隙き間が生
じるのを防止し、優れた化粧外観を長く保持でき
る壁構造である。

第３図は本考案に用いられる下地材の第２実施
例であり、下地材A′に表層材１表面から繊維板
２中層部に達する半貫通穴３′，３′，…が設けら
れてなるもので、このように半貫通穴３′，３′，
…を繊維板２の中層部にまで達するように設ける
ことにより、その吸音性能を著しく向上せしめた
ものであり、その他の構成および効果は第１実施
例の下地材と同様である。

以上の如く、本考案の壁構造によれば、良好な
吸音性能を発揮できるとともに、遮音シート等の
遮音材と組み合わせて用いた際には優れた防音効
果を有するものであり、更に又、表面のクロス貼
り仕上げの隙き間の発生を防止できる優れた化粧
外観を長く保持できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を例示し、第１図は本考
案の壁構造の実施例を示す一部横断面図であり、
第２図は本考案に用いる下地材の実施例を示す断
面図、第３図は本考案に用いる下地材の第２実施
を示す断面図である。 １……表層材、２……繊維板、３……半貫通
穴、４，４′……柱、間柱、Ａ，A′……下地材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 柱、間柱その他壁体構成材の表面に取付けられ
   た、合板等の表層材と表層材裏面に一体的に接着
   された繊維板とからなり、該表層材表面から少く
   とも繊維板表面に達する多数の半貫通穴を設けて
   なる下地材の表層材上面に、クロスを穴開口部を
   被覆するように全面に貼着してなることを特徴と
   する壁構造。