JPS6328741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、特に住宅等建築物における吸音性に
優れた内装下地材として好適な吸音材に関する。

近年、住宅におけるピアノ室、子供部屋、オー
デイオルーム等は勿論のこと、その他建築物の吸
音性について大きな関心が寄せられている。

一方、このような建築物の壁や天井に用いる建
築材として軟質繊維板等の繊維板はよく知られて
おり、吸音効果を高めるためにその表面に多数の
半貫通孔を設けたものもよく知られている。

しかしながら、このような繊維板製建築材は、
周囲の湿気等の環境条件に応じて繊維板自体が伸
び縮みする伸縮性を有しているため、化粧クロス
を表面に貼着して化粧仕上げを行つた際、施工後
の時間の経過に伴い化粧クロスの継ぎ目部に〓間
が生じて化粧外観不良となる欠点を有している。

また、このため、このような繊維板製建築材
は、通常塗装による表面化粧が行われるが、繊維
板表面の吸音孔が化粧面に露出しており、該繊維
板が柔軟な素材であるために、天井材として用い
得ても、壁材としてはこのような繊維板表面に塗
装仕上げしたものは傷つき易く好ましくない。

そこで、本考案は斯かる点に鑑み、クロス張り
仕上げを可能にし且つ壁材としての使用をも可能
にしながら、吸音性能を更に顕著に向上させた吸
音材の提供を目的とするものである。

この目的を達成するため、本考案の吸音材の構
成は、表面に多数の貫通孔を有する合板等の表層
材と、上記貫通孔よりも径の大なる多数の半貫通
孔を有する繊維板とが、表層材の貫通孔対応位置
に繊維板の半貫通孔が位置して中広がりの吸音孔
を形成するように積層一体化されてなるものであ
る。このことにより、上記繊維板表面に設けた表
層材によつて繊維板の伸縮性を抑制して化粧外観
の良いクロス貼り仕上げを可能とし且つ壁材とし
ての使用をも可能とするとともに、上記中広がり
の吸音孔の形成および該吸音孔内部が繊維板層か
らなることによつて、繊維板自体の優れた吸音性
と相３つて吸音性能を大巾に向上させるようにし
たものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図は本考案の実施例である防音材Ａを示
し、１は基板を構成する複合板であつて、該複合
板１は、合板等の表層材２と、該表層材２裏面に
接着された繊維板３とが一体に積層されてなるも
のである。上記表層材２の表面には多数の貫通孔
４，４…が形成され、また繊維板３の表面には上
記表層材２の貫通孔４，４…に対応して該貫通孔
４よりも径の大なる多数の半貫通孔５，５…が形
成されており、上記表層材２と繊維板３とは、表
層材２の貫通孔４，４…対応位置に繊維板３の半
貫通孔５，５…が位置して中広がりの吸音孔６，
６…を形成するように一体に積層されている。

上記表層材２としては、合板の他、石膏ボー
ド、板紙、パーテイクルボードなど、化粧クロス
張りや表面塗装を現場施工で容易に行うことがで
きるものが用いられる。

また、上記繊維板３としては、軟質繊維板など
木質繊維を主原料とする植物質繊維板、ロツクウ
ールやスラツグウール、グラスウール等からなる
鉱物質繊維板がある。

さらに、上記表層材２の貫通孔４は、その孔径
は特に限定されないが、15mmφを越えると、表面
に化粧クロスを貼着した際に化粧クロスが破損し
易くなるので好ましくなく、通常２〜10mmφ程度
に設定するのが好ましい。それ故、繊維板３の半
貫通孔５の孔径はそれ以上に、好ましくは表層材
２の貫通孔４の孔径の２倍以上に設定されてい
る。また、上記表層材２の貫通孔４と繊維板３の
半貫通孔５とで形成される中広がりの吸音孔６
は、その深さは表層材２表面から繊維板３中層部
に達する深さとなる。

このように構成された防音材Ａは、第２図に示
すように壁下地又は天井下地７に、先ず遮音シー
ト状物８を取付けたのち、その上から繊維板３側
を裏側にして釘打ちあるいは釘と接着剤との併用
等によつて一体に固着しながら複数枚、互いに突
合せ接合して一連化し、吸音性と遮音性とを兼備
した防音構造の内装下地に形成される。次いで、
上記防音材Ａの表面に化粧クロス９を貼着した
り、塗装を施すことにより表面化粧仕上げが行わ
れる。尚、上記遮音シール状物８としては、塩化
ビニル樹脂等の熱可塑性合成樹脂又はゴム等に、
金属粉、金属酸化物、その他硫酸バリウム等の無
機粉末などを混入してシール状に成形した軟質遮
音シート、あるいは鉛シート等の金属製薄板など
が用いられる。また、塩化ビニルゾルあるいはこ
れに無機粉末を混入したペースト状物を予め防音
材Ａの繊維板３裏面に塗着して形成した塗布層で
あつてもよい。

したがつて、上記防音材Ａは、その複合板１表
面の多数の吸音孔６，６…が良好な吸音性能を有
し、かつ繊維板３自体が優れた吸音性を有するこ
とに加えて、上記吸音孔６が中広がりに形成され
ていること、および吸音孔６内部が繊維板３層か
らなることにより一層顕著な吸音性能を保有して
いる。そのため、室内側から発した音響は、上記
多数の中広がりの吸音孔６，６…によつて有効に
かつ顕著に吸収されて著しく減衰し、また繊維板
３を通過する際に繊維を振動さすことでさらに吸
収されて減衰し、よつて優れた吸音効果を顕著に
発揮できる。さらに、吸音孔Ａ裏面の遮音シート
状物８によつて確実に遮音されて外部に伝播する
のが抑制され優れた遮音効果を発揮して、防音効
果の優れた壁、天井等を提供できる。

また、上記防音材Ａは、繊維板３表面に表層材
２を設け、該表層材２表面にクロス張り仕上げあ
るいは塗装仕上げを行うので、繊維板３が湿気や
水分の吸収，放散に伴つて伸縮するのを表層材２
によつて抑制して、クロス張り仕上げをした際に
化粧クロスの継ぎ目部に〓き間が生じるのを防止
し、また比較的硬質な素材である表層材２への塗
装によつて塗装面が傷つき難くし、よつて化粧外
観の優れた壁面や天井面に形成することができ、
また天井材と共に壁材としても十分に使用するこ
とができる。しかも、上記表層材２には合板その
他種々の材料を用いることができ、用途に応じて
適宜選択できる。

以上の如く、本考案の吸音材によれば、防音性
能が顕著に向上して優れた吸音効果を発揮できる
とともに、表面にクロス張り仕上げや塗装仕上げ
を化粧外観よく且つ傷つき難く行うことができる
ので、吸音性，化粧仕上げ性に優れた天井材、壁
材等の内装下地材として好適なものを提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を例示し、第１図は本考
案に係る吸音材の断面図、第２図は施工状態を示
す断面図である。 ２……表層材、３……繊維板、４……貫通孔、
５……半貫通孔、６……吸音孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 表面に多数の貫通孔を有する合板等の表層材
   と、上記貫通孔よりも径の大なる多数の半貫通孔
   を有する繊維板とが、表層材の貫通孔対応位置に
   繊維板の半貫通孔が位置して中広がりの吸音孔を
   形成するように積層一体化されてなることを特徴
   とする吸音材。