JPS6332809Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、住宅等建築物における防音性が要求
される天井材、壁材等として好適な防音内装材に
関するものである。

従来の技術 近年、住宅におけるピアノ室、子供部屋、オー
デイオルーム等は勿論のこと、その他建築物の防
音性について要求が高まりつつある。

しかるに、従来、天井材、壁材等に用いられる
内装材は、吸音性，遮音性等に乏しく、要望され
る防音効果を充分に発現できるものでなかつた。

考案が解決しようとする課題 このため、吸音材として従来公知の発泡合成樹
脂板や繊維板を内装下地材として用い、施工現場
においてその表面にクロス張り等の化粧仕上げを
施すことが考えられる。しかし、この場合、未
だ、吸音性能、遮音性能が充分でなく防音効果に
劣るとともに、施工現場での化粧仕上げのために
施工性に劣るという欠点がある。

そこで、本考案は斯かる諸点に鑑み、良好な吸
音性能および遮音性能を兼備して優れた防音効果
を発現でき、しかも施工現場での化粧仕上げを不
要にして施工性に優れており、さらに表面側及び
裏面側から基板側への湿気の浸入を防いで全体と
して反りが生じ難くて寸法安定性に優れた防音内
装材の提供を目的とするものである。

課題を解決するための手段及び作用 この目的を達成するため、本考案の防音内装材
の構成は、繊維板よりなる基板の表面に、表面側
の発泡倍率が基板との界面側の発泡倍率よりも高
い発泡樹脂層よりなる吸音化粧層を設けるととも
に、該基板裏面に遮音層を設けたものである。こ
れにより、繊維板基板の保有する吸音性に加え
て、表面の発泡樹脂層よりなる吸音化粧層が吸音
性及び防湿性並びに透過音の減衰効果を有し、か
つ基板自体とその裏面の遮音層とで内装材裏面側
への透過音を良好に吸遮音でき、防音性及び寸法
安定性に優れている。また、表面の発泡樹脂層に
より化粧効果を良好に発揮させることができて施
工現場の化粧仕上げを不要にできるものである。

実施例 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

図面は本考案の実施例である防音内装材Ａを示
し、１は繊維板よりなる基板であつて、該基板１
の表面には、加熱発泡性塩化ビニル樹脂ペースト
等の発泡樹脂ペースト液を塗布して加熱発泡させ
次いでその表面に所定の模様をエンボスしてなる
発泡樹脂層よりなる吸音化粧層２が一体に設けら
れているとともに、基板１裏面には遮音層３が設
けられている。また、上記基板１の少なくとも一
対の相対向する側端部には、本実加工が施され、
一方に条溝からなる雌実部４が、他方に突条から
なる雄実部５がそれぞれ形成されている。

上記基板１に用いる繊維板としては、軟質繊維
板など木質繊維を主原料とする植物質繊維板、ロ
ツクウール，スラツグウール，グラスウールなど
からなる鉱物質繊維板がある。

また、上記吸音化粧層２を構成する発泡樹脂層
は、その表層ほどポーラス（高発泡倍率）に、基
板１表面と接する界面ほど緻密（低発泡倍率）に
なるように形成されている。よつて、該吸音化粧
層２の表層部では吸音性能が高く、界面部では遮
音性能を有するとともに湿気の浸入を防いで防湿
性に優れたものにしている。

また、上記遮音層３は、合成樹脂、ゴム等に金
属粉、その他無機質粉末などを混入してシート状
に成形した軟質遮音シートの貼着によつて形成さ
れるほか、鉛シート等の金属製薄板の貼着、塩ビ
ゾルコート膜の塗着によつて形成してもよい。そ
の厚さは0.2〜２mm程度の薄層でも充分であり、
面密度が１〜３Kg／m²程度が遮音性能を有効に発
現できるので望ましい。

このように構成した防音内装材Ａは、天井下地
又は壁下地等に遮音層３を裏側にして釘打ちある
いは釘と接着剤との併用によつて固着しながら複
数板、互いに雌実部４と雄実部５との嵌合により
本実接合して一連に一体化して天井、壁等が構築
される。

その際、上記防音内装材Ａは、ポーラスな表層
部の吸音効果および緻密な界面部の遮音効果を有
する発泡樹脂層よりなる吸音化粧層２と、吸音効
果を保有する繊維板基板１と、遮音効果の高い遮
音層３と３層構造よりなるので、室内側から発し
た音響は、先ず吸音化粧層２のポーラスな表層部
で吸収されて減衰したのち、該吸音化粧層２の緻
密な界面部で遮音される。そして、この吸音化粧
層２を透過して減衰した音響は、次に繊維板基板
１によつて吸収されて著しく減衰し、さらに裏面
の遮音層３によつて確実に遮音されて外部に伝播
するのが防止される。よつて、吸音と遮音との
各々二重の作用により、吸音効果および遮音効果
を効果的に発揮でき、防音効果の優れた天井，壁
等を提供することができる。しかも、上記防音内
装材Ａ，Ａ間の接合部は、本実接合によつて気密
性が保たれるので、遮音効果の低下を招くことが
なく、天井体等の遮音性能を良好に維持すること
ができる。

また、上記防音内装材Ａは、基板１表面に設け
た発泡樹脂層により化粧層２が形成されているの
で、表面に繊維が現われることがなく表面性が良
好であるとともにこの発泡樹脂層にエンボス加工
や印刷等の化粧を施すことで更に化粧性を高める
ことが容易である。このため、施工現場での化粧
仕上げが不要となり、施工性を向上させることが
できる。よつて、現場施工によつて吸音，遮音お
よび化粧の３性能が一度に得られることになる。

さらに、上記基板１表面に設けられた吸音化粧
層２は、その表面が基板１との界面側よりも発泡
倍率の高いポーラスな発泡層にして層状に設けら
れているので、その表面部の吸音性が良好に確保
される。しかも、吸音化粧層２の界面側が緻密な
発泡層であるので、表面側から基板１側への湿気
の浸入を防止できるとともに、基板１裏面に設け
た遮音層３により裏面側からの基板１側への湿気
の浸入も防止でき、全体として基板１の反りが生
じ難いものとなり、寸法安定性に優れたものとな
る。

また、上記基板１裏面に遮音層３を設けたこと
により、防音内装材１の強度が増大し、ひいては
天井体、壁体等の強度の向上を図ることができ
る。

考案の効果 以上の如く、本考案の防音内装材によれば、良
好な吸音性能および遮音性能を兼備し優れた防音
効果を発揮できるのに加えて、良好な防湿性によ
る寸法安定性に優れ、また化粧性を高め得るので
施工現場での化粧仕上げが不要である。よつて、
防音性、寸法安定性及び化粧性に優れた効果を有
し、防音性を必要とする建築物の内装材として好
適なものを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す断面図である。 １……基板、２……吸音化粧層、３……遮音
層、４……雌実部、６……雄実部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 繊維板よりなる基板の表面に、表面側の発泡
   倍率が基板との界面側の発泡倍率よりも高い発
   泡樹脂層よりなる吸音化粧層が一体に設けられ
   ているとともに、該基板裏面に遮音層が設けら
   れてなる防音内装材。 (2) 基板は、その少なくとも一対の相対向する側
   端部に本実加工が施されている実用新案登録請
   求の範囲第(1)項記載の防音内装材。