JPH0119701Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は、住宅等建築物の防音性に優れたクロ
ス張りの壁構造に関するものである。 （従来の技術） 近年、住宅等の建築物における洋風化、多様化
に伴い、壁等の内装を化粧クロス張りで仕上げる
ことが増えてきている。 また、住宅におけるピアノ室、子供部屋、オー
デイオルーム等は勿論のこと、その他建築物の防
音性についても大きな関心が寄せられてきてい
る。 ところで、従来一般に行われているクロス張り
仕上げは、柱、間柱、胴縁等の壁体構造体に合
板、石膏ボードなどの下地材を固着し、その表面
に化粧クロスを貼着することが行われていた。 （考案が解決しようとする課題） しかるに、単にこのような構成では、吸音性、
遮音性等に乏しく、要望される防音効果を充分に
発現することができなかつた。 そこで、本考案は斯かる点に鑑み、上記のよう
な下地材の基板を適切に選定し、かつ該基板の表
面および裏面に吸音および遮音の処理、加工を施
すことにより、良好な吸音性能および遮音性能を
兼備し、優れた防音効果を発現できるとともにク
ロス張りにより美麗に仕上げることができる壁構
造の提供を目的とするものである。 （課題を解決するための手段） この目的のため、本考案の構成は、柱、間柱そ
の他の壁体構造体上に、繊維板よりなる基板の裏
面に遮音層が設けられてなり、該基板の表面に多
数の半貫通穴が設けられた下地材を上記基板を表
側にして取付け、該下地材の基板表面に該基板表
面の穴開口部を含む全面を被覆するように化粧ク
ロスを貼着してなるものである。これにより、下
地材としての基板（繊維板）の保有する吸音性に
加えて、表面の多数の半貫通穴により吸音効果
を、裏面の遮音層により遮音効果を一層発揮させ
るようにしたものである。しかも、化粧クロスに
より下地材の継ぎ目部やその表面の穴開口部を隠
蔽し、美麗に仕上げることができる。 （実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。 図面は本考案の実施例である壁構造における下
地材Ａを示し、１は繊維板よりなる基板であつ
て、該基板１の表面には適宜深さを有する多数の
ピン穴２，２，…からなる半貫通穴が穿設されて
いるとともに、裏面には遮音層３が設けられてい
る。また、上記基板１の少なくとも一対の相対向
する側端部には、本実加工が施され、一方に条溝
からなる雌実部４が、他方に突条からなる雄実部
５がそれぞれ形成されている。 上記基板１に用いる繊維板としては、軟質繊維
板など木質繊維を主原料とする植物質繊維板、ロ
ツクウール、スラツグウール、グラスウールなど
からなる鉱物質繊維板があり、特にスラツグウー
ル、ロツクウールなどからなる鉱物質繊維板は、
良好な吸音性を発現できるのは勿論のこと、植物
質繊維板に較べて湿気の吸放湿に伴う伸縮性が小
さいため、クロス張りした際にクロスの継ぎ目部
に目〓きが生じる等の支障を生じることがなく望
ましい。 また、上記基板１表面のピン穴２は、直径が１
〜２mmφ程度がよい。これは、ピン穴２の穴明け
加工を容易に行い得ること、また後述の下地材Ａ
表面をクロス張り仕上げする場合に例えば前処理
として下地材Ａ同士の継ぎ目部にパテ処理を施し
た際にピン穴の存在でパテの喰い込みがよくなる
ことによる。尚、本考案においては、半貫通穴は
上記実施例の如きピン穴２，２，…に限らず、２
mmφ以上例えば数mmφ程度の穴であつてもよい。 また、上記遮音層３は、熱可塑性合成樹脂、ゴ
ム等に金属粉、その他無機質粉末などを混入して
シート状に成形した軟質遮音シートの貼着によつ
て形成されるほか、鉛シート等の金属製薄板の貼
着、塩ビゾルコート膜の塗着によつて形成しても
よく、その厚さは0.2〜２mm程度の薄層でも充分
である。 このように構成した下地材Ａは、壁体構造体に
遮音層３を裏側にして釘打ちあるいは釘と接着剤
との併用によつて固着しながら複数枚、互いに雌
実部４と雄実部５との嵌合により本実接合して一
連に一体化して内装下地が形成される。その後、
クロス張り前処理として下地材Ａの接合部にパテ
塗りが行なわれる。このパテ処理によつて上記接
合部はより強固に接合されて下地材Ａ同士が一体
化される。しかる後、上記下地材Ａの表面に基板
（繊維板）１表面の穴開口部を含む全面を被覆す
るように化粧クロスが貼着されてクロス張り仕上
げが行われる。 したがつて、上記のように構築された壁構造
は、下地材Ａの基板１としての繊維板が良好な吸
音性を保有し、また基板１表面の多数のピン穴
２，２，…が良好な吸音性能を有し、さらに基板
１裏面の遮音層３が良好な遮音性能を有するの
で、室内側から発した音響は、先ず多数のピン穴
２によつて吸収されて減衰し、基板１（繊維板）
を通過する際にさらに吸収されて著しく減衰し、
よつて優れた吸音効果を発揮できる。しかも、こ
の著しく減衰した音響は、裏面の遮音層３によつ
て確実に遮音されて外部に伝播するのが防止さ
れ、よつて優れた遮音効果を発揮できる。その結
果、防音効果の優れた壁等の提供が可能である。
さらに、表面の化粧クロスにより下地材Ａの継ぎ
目部やその表面の穴開口部を隠蔽することがで
き、美麗な壁を提供できる。 また、上記基板１裏面に遮音層３を設けたこと
により下地材Ａとしての強度が増大し、ひいては
壁の強度の向上を図ることができる。 今、具体的に、下地材基板を15mm厚鉱物質繊維
板とし、その表面に約7000本／m²の１〜２mmφの
ピン穴を、裏面に塩ビゾルを800ｇ／m²塗布乾燥
してなるコート膜を設けたもの（比較例）、この
比較例のものの表面に植毛タイプのクロスを貼着
したもの（実施例１）、上記比較例のものの表面
に塩ビクロスを貼着したもの（実施例２）、およ
び石膏ボードよりなる基板表面に塩ビクロスを貼
着したもの（従来例）をそれぞれ300mm巾の胴縁
下地に固着した場合における吸音率（残響室法吸
音率NRC）および遮音度（500HzについてのdB）
を測定し、その結果を下記表に示す。

【表】 上記表により、本実施例の場合、比較例と較べ
て表面にクロスを貼着すると吸音性能が若干低下
するが、従来例との比較では高い吸音性能を維持
しており、また遮音性能についてはクロス張りを
しても殆んど大差がなくかつ従来例と較べて優れ
ていることが判る。 （考案の効果） 以上の如く、本考案の壁構造によれば、良好な
吸音性能および遮音性能を兼備し、優れた防音効
果を発揮でき、かつ化粧クロスにより下地材の継
ぎ目部やその表面の穴開口部を隠蔽できるので、
防音性に優れた美麗なクロス張り仕上げの壁を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す断面図である。 １……基板、２……ピン穴、３……遮音層、４
……雌実部、５……雄実部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 柱、間柱その他の壁体構造体上に、繊維板より
   なる基板の裏面に遮音層が設けられてなり、該基
   板の表面に多数の半貫通穴が設けられた下地材を
   上記基板を表側にして取付け、該下地材の基板表
   面に該基板表面の穴開口部を含む全面を被覆する
   ように化粧クロスを貼着してなることを特徴とす
   る壁構造。