JPS6334072B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、自動車のステアリング装置に関す
る。

一般に、自動車が走行する場合、車輪の不適正
な回転バランスなどによつて、ステアリング装置
の振動、いわゆる、シミーが発生する。

そのシミーは、極端な場合に、ステアリングを
振動させるばかりでなく、車体をも振動させ、安
定した操縦を困難にするおそれがあつた。

従つて、通常は、車輪の回転バランスなどを適
正に調整することによつて、そのシミーの発生を
少なくし、操縦安定性が維持されていた。

しかし、そのような車輪の回転バランスなどの
調整は、調整作業が煩雑になる傾向にあつた。

また、特公昭38−10478号公報には、旋回走行
の際、旋回操向力の増加を防ぎ、操舵を軽くしな
がら、走行の際のシミー・モーシヨンを制御する
ところの液体を封入した車両用ステアリング・ダ
ンパーが開示され、さらに、実開昭55−34950号
公報には、ステアリング系を経て車輪からステア
リング・ホイールに伝達されるフラツタ現象を抑
制するところのダイナミツク・ダンパを設けたス
テアリング・ホイールが開示されているが、前者
では、ピストンがシリンダの終端に近づくと、そ
のピストンの両側のシリンダ内が連通流路で互い
に連結されるダンパであつて、構造上、非常に複
雑で、そのようなダンパを備えることは、車両の
製作上、非常に不利になり、その上、旋回の際に
は、そのダンパは、そのピストンがそのシリンダ
の何れかの終端に近づけられ、そのピストンの両
側のシリンダ内がその連通流路で互いに連結され
た状態に置かれるので、エネルギ吸収が低下さ
れ、旋回時には、シミー・モーシヨンの抑制が期
待されず、後者では、ダイナミツク・ダンパが大
きな質量にできず、それに伴つて、そのダイナミ
ツク・ダンパには、大きなエネルギ吸収が期待で
きず、加えて、シミーが、ステアリング・ホイー
ルまで伝わらないと、そのダイナミツク・ダンパ
は、制振作用を行なわず、そのステアリング・ホ
イールには振動があり、ドライバには、そのステ
アリング・ホイールの周方向に不快な振動が感じ
られる。

さらに、実開昭55−34549号公報には、走行時、
路面から受ける振動で発生されるタイ・ロツドの
曲げ共振を制御するタイ・ロツドの共振防止構造
が開示されているが、この種の構造では、シミー
の抑制が期待されず、その上に、製作が非常に困
難になる。

この発明の目的・課題は、車輪の回転バランス
などの煩雑な調整作業を省き、構造の複雑化を抑
制し、製作を容易にし、ステアリング・リンクに
別製品として付加させることなく、車輪側のステ
アリング・リンクに組み込み、その車輪側のステ
アリング・リンクにおいて、シミーを吸収減衰
し、ステアリング・リンクの組付け作業を煩雑に
する。ことなく、操縦安定性を確実に維持可能に
するところの自動車のステアリング装置の提供に
ある。

それらを課題として、この発明の自動車のステ
アリング装置は、両端が封じられる管状のタイ・
ロツドと、そのタイ・ロツド内に往復動可能に嵌
め込まれる棒状ダンピング・メンバと、そのダン
ピング・メンバの両端において、そのタイ・ロツ
ド内に嵌め込まれる一対のスプリングとを備え、
キング・ピンまわりに起こる振動、所謂、シミー
を減衰するところにある。

以下、この発明に係る自動車のステアリング装
置の望ましい具体例について、図面を参照して説
明する。

第１図および２図は、この発明の自動車のステ
アリング装置の具体例10を示している。

その自動車のステアリング装置１０は、シヤ
シ・フレーム（図示せず）に固定されるアクス
ル・ビーム３０と、そのアクスル・ビーム３０の
両端にキング・ピン３３，３４を介して回転可能
にそれぞれ取り付けられた一対のナツクル３１，
３２と、そのナツクル３１，３２のそれぞれの根
元側上方部分に固定された一対のナツクル・アー
ム３５，３６と、そのナツクル・アーム３１，３
２のそれぞれの根元側下方部分に固定された一対
のタイ・ロツド・アーム３７，３８と、ステアリ
ング・リング１１として、両端がそのタイ・ロツ
ド・アーム３７，３８のそれぞれの先端にボー
ル・ジヨイント連結されたタイ・ロツド１２など
よりになり、そのタイ・ロツド１２には、ダイナ
ミツク・ダンパ１３が内蔵されてある。

すなわち、そのタイ・ロツド１２は、そのタ
イ・ロツド・アーム３７，３８のそれぞれの先端
を連結し得る長さをもつて管状に製作されたもの
で、両端の内側面には、ねじがそれぞれ切られ、
その両端が、そのねじにそれぞれ結合されるプラ
グ１６によつて封じられ、そのダイナミツク・ダ
ンパ１３を内蔵可能にした構造になされた。

そのダイナミツク・ダンパ１３は、その管状の
タイ・ロツド１２の内径よりも僅かに小さい外
径、および、そのタイ・ロツド１２の長さよりも
短い長さをもつて棒状に形成されたダンピング・
メンバ１４と、そのダンピング・メンバ１４の両
端において、そのタイ・ロツド１２内に嵌め込ま
れた一対のコイル・スプリング１５とより構成さ
れてある。

すなわち、そのダイナミツク・ダンパ１３のダ
ンピング・メンバ１４は、そのタイ・ロツド１２
の内側に往復摺動可能に嵌め込まれ、そのダンピ
ング・メンバ１４の両側にはそのコイル・スプリ
ング１５がそれぞれ配置される。

そのようにしてダンピング・メンバ１４および
コイル・スプリング１５が配置されたタイ・ロツ
ド１２の両端内側には、そのプラグ１６がそれぞ
れねじ込まれる。

勿論、そのダイナミツク・ダンパ１３における
ダンピング・メンバ１４の質量およびコイル・ス
プリング１５のばね定数は、そのダイナミツク・
ダンパ１３としての固有振動数を決定するもの
で、その固有振動数が自動車のばね下固有振動数
と等しくなるように設定されている。

上述のようにしてダイナミツク・ダンパ１３が
内蔵されたタイ・ロツド１２の両端外周は予めね
じ切りされ、そのねじ切りされた部分にタイ・ロ
ツド・ジヨイント３９，４０がそれぞれねじ込ま
れ、さらに、そのタイ・ロツド・ジヨイント３
９，４０は、タイ・ロツド・アーム３７，３８の
それぞれの先端にボール・ジヨイント連結され
る。

この発明の自動車のステアリング装置１０にお
いて、上述したダイナミツク・ダンパ１３が内蔵
されたタイ・ロツド１２以外の構成については、
既存のステアリング装置においてそれらに相当す
る構成と同様であるため、それらの構成の説明は
省略する。

次に、この発明の自動車のステアリング装置１
０において、そのタイ・ロツド１２に内蔵された
ダイナミツク・ダンパ１３の作用について説明す
る。

車輪の回転バランスなどが不適正な状態で自動
車が高速走行する場合には、その不適正な回転バ
ランスなどによつて、その車輪がキング・ピン３
３，３４まわりにおいて振動する。

そのキング・ピン３３，３４まわりにおける振
動は、低速走行の場合と同様にタイ・ロツド・ア
ーム３７，３８を介してタイ・ロツド１２に伝達
され、そのタイ・ロツド１２はそのタイ・ロツド
１２の軸方向に振動する。

そのような振動がその自動車のばね下固有振動
数とほぼ等しくなると、そのステアリング装置１
０全体が共振し得る状態、すなわち、シミーが発
生し得る状態におかれるが、そのタイ・ロツド１
２に内蔵されたダイナミツク・ダンパ１３の固有
振動数は、その自動車のばね下固有振動数と等し
くなるように設定されていることから、そのタ
イ・ロツド１２の振動に対し、そのダイナミツ
ク・ダンパ１３のダンピング・メンバ１４は逆の
位相をもつて振動し、そのタイ・ロツド１２の振
動は減衰される。すなわち、車輪の回転バランス
などが不適正な状態で自動車が高速走行する場合
に、高速シミーの発生が少なくなる。

如上のこの発明によれば、両端が封じられる管
状タイ・ロツドが、ダイナミツク・ダンパを内蔵
し、そのダイナミツク・ダンパが、そのタイ・ロ
ツド内に往復動可能に嵌め込まれる棒状ダンピン
グ・メンバと、そのダンピング・メンバの両端に
おいて、そのタイ・ロツド内に嵌め込まれる一対
のスプリングとより構成されるので、車輪の回転
バランスなどの煩雑な調整作業が省かれ、構造の
複雑化が制御され、それに伴つて、製作が極めて
容易になり、また、ステアリング・リンク系とし
ての部品点数の増加が抑えられ、ステアリング・
リンクの組付け作業が煩雑にされず、その上、ダ
イナミツク・ダンパの質量が大きくでき、しか
も、車輪側において、シミーが吸収減衰され、ド
ライバには、ステアリング・ホイールの周方向の
不快な振動が感じられず、操縦安定性が確実に維
持され、実用的になる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明にかかる自動車のステアリン
グ装置の具体例を示す部分平面図、および第２図
は、ダイナミツク・ダンパが内蔵されたタイ・ロ
ツドの部分断面図である。 １１……ステアリング・リンク、１２……タ
イ・ロツド、１３……ダイナミツク・ダンパ、１
４……ダンピング・メンバ、１５……コイル・ス
プリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 両端が封じられる管状タイ・ロツドと、 そのタイ・ロツド内に往復動可能に嵌め込まれ
   る棒状ダンピング・メンバと、 そのダンピング・メンバの両端において、その
   タイ・ロツド内に嵌め込まれる一対のスプリング
   とを備える自動車のステアリング装置。