JPS6332866B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は銅または銅合金メツキの可能な金属基
体に部分着色する方法に関し、さらに詳しくは、
前記金属基体上の所定絵柄に蝕刻された部分に着
色する方法に関する。

従来、金属への部分着色は印刷あるいは塗装に
よる方法と薬品による化学的な処理による方法の
２種類の方法で行なわれている。これらの方法は
金属の平滑表面への着色方法である。

一方、金属食刻部への着色は、従来、「色入れ」
と呼称されるインキの目詰めによって行なわれて
いる。この「色入れ」は機械化することが困難で
あり、人手を要する非能率的な作業であるととも
に、インキの剥離事故、表面でのインキ残り等
種々の問題があった。

本発明は、後者の方法における上述のような不
都合を解消し、高能率に、しかも高品位の「色入
れ」を行なうための化学的な部分着色方法を提供
することを目的とする。

本発明は、上記の目的を達成するために、銅ま
たは銅合金メツキの可能な金属基体上に所定絵柄
の耐蝕膜を形成し、該耐蝕膜で被覆されずに露出
している前記金属基体部分を該金属基体は蝕刻す
るが、該耐蝕膜は蝕刻しない蝕刻液により蝕刻し
前記耐蝕膜を剥離せずに前記金属基体の蝕刻部に
所定の厚さに銅または銅合金をメツキした後、前
記耐蝕膜を剥離して前記金属基体を銅または銅合
金の着色処理液に浸漬し、前記金属基体の蝕刻部
のみを選択的に着色するようにしたものであり、
本発明によれば、大量に、安価に金属基体の部分
着色を行なうことが可能となる。

つぎに、本発明の原理を着色しようとする金属
基体が金属板である場合を例にとって、第１図を
用いて具体的に説明する。

図ａに示すように、まず、着色しようとする金
属基体１の一方の面上には所定絵柄をもった耐蝕
膜２を、他方の面上には全面に耐蝕膜３を感光性
樹脂（フオトレジスト）を用いたフオトエツチン
グ法あるいはインキレジストを用いた印刷法によ
って形成する。

なお、フオトレジストとしては、重クロム酸系
のガゼイン、グリユー、卵白、アラビアゴム、ポ
リビニルアルコール等、また、溶剤型のゴム系、
けい皮酸系、アクリル系等のネガーポジ型のもの
あるいは、種々のポジ−ポジ型のものがある。

さらに、インキレジストとしては、スクリーン
印刷用の塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ゴム誘導
体系等の耐酸性インキが使用可能である。

つぎに、図ｂに示すように、塩化第二鉄、硝
酸、無水クロム酸等の金属エツチング液で金属板
１の露出部を蝕刻し、所定深さの蝕刻部４を形成
する。

ついで、図ｃに示すように、蝕刻部４を水洗
し、十分に洗浄した後、金属板１を銅メツキ液に
浸漬して食刻部４に所定の厚さまで銅メツキ膜５
を形成する。

なお、銅メツキ液としては、ピロリン酸銅メツ
キ液、硫酸銅メツキ液、シアン化銅メツキ液、ほ
うふっ化銅メツキ液等が適用できる。このメツキ
は銅合金メツキでもよい。

さらに、図ｄに示すように、金属板１上の耐蝕
膜２，３を所定の剥離液を用いて除去し、剥離後
十分に洗浄した後、金属板１を銅または銅合金用
の着色液、例えば、硫化カリ−塩化アンモニウム
系、硫酸銅−塩素酸カリ系、苛性ソーダ−過硫酸
カリ系着色液で黒色、硫化カリ−硫化アンモニウ
ム系着色液でカツ色、硫酸銅−塩化カリ系着色液
で黄色、硝酸銅−塩化アンモニウム系着色液で緑
色等の着色層６を銅メツキ膜５上のみに形成し、
所定の着色絵柄を得る。

以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。

実施例 １ 厚さ0.3mmのステンレス板に重クロム酸系のカ
ゼイン・フオトレジストを塗布し、プリベーク、
焼付、現像、バーニングの処理を行ない、板の一
方の面に所定絵柄の耐蝕膜を、他方の面には全面
に耐蝕膜を形成した。

つぎに、比重1.4の塩化第二鉄液を約50℃に加
熱してステンレス板表面にスプレイし、耐蝕膜の
ない、露出しているステンレス板表面を約50μｍ
の深さまで食刻した。これを十分に水洗し、硫酸
銅メツキ液に浸漬し、電流密度2A／ｄm²で約３
分間メツキ処理を施した後、苛性ソーダの10％液
を90℃に加熱した液中に約５分間浸漬して全体の
耐蝕膜を剥離除去した。さらに、過硫酸カリウム
10ｇ、苛性ソーダ50ｇを溶解した液を約50℃に加
熱した液に約１分間浸漬し、ステンレス板上の所
定絵柄の銅メツキ部分に黒色の化学着色を施こし
た。

実施例 ２ 厚さ0.1mmのアルミニウム板にゴム系のフオト
レジストを塗布し、プリベーク、焼付、現像、バ
ーニングの処理を行ない、板の一方の面には所定
絵柄の耐蝕膜を、他方の面には全面に耐蝕膜を形
成した後、苛性ソーダ５％液を約50℃に加熱した
液に浸漬し、耐蝕膜のない、露出しているアルミ
ニウム板の表面を約１分間蝕刻した。

つぎに、蝕刻後のアルミニウム板を亜鉛を５％
溶解した液に常温で５分間浸漬し、アルミニウム
板の露出部分に亜鉛置換を施こした後、青化銅メ
ツキ液を用いて約１分間銅メツキを施こした。

その後、銅メツキを施こしたアルミニウム板を
トリクロルエタン液に浸漬してゴム系の耐蝕膜を
全部除去し、さらに、硫酸銅５ｇ、塩化カリ100
ｇ、水１の液を90℃に加熱した液に５分間浸漬
し、銅メツキ部分を黄色に着色した。

以上説明したように、本発明によれば、高品位
の部分着色絵柄をもった金属製品を高能率で大量
安価に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による金属の部分着色方法の工
程説明図である。 図において、１：金属板、２：所定絵柄の耐蝕
膜、３：耐蝕膜、４：食刻部、５：銅メツキ膜、
６：着色層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 銅または銅合金メツキの可能な金属基体上に
   所定絵柄の耐蝕膜を形成し、該耐蝕膜で被覆され
   ずに露出している前記金属基体部分を該金属基体
   は蝕刻するが、該耐蝕膜は蝕刻しない蝕刻液によ
   り蝕刻し、前記耐蝕膜を剥離せずに前記金属基体
   の蝕刻部に所定の厚さに銅または銅合金をメツキ
   した後、前記耐蝕膜を剥離して前記金属基体を銅
   または銅合金の着色処理液に浸漬し、前記金属基
   体の食刻部のみを選択的に着色することを特徴と
   する金属の部分着色方法。