JPS6332343Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、クランク軸を垂直に設けたいわゆる
バーチカルクランクシヤフトエンジンと称してい
る汎用内燃機関、特にガソリンを燃料とする内燃
機関に関するものである。

この種のガソリン機関は農作業・土木作業の作
業機器、特に芝刈機・草刈機等の駆動源として使
用されるが、機体の安定をよくするため全高をな
るべく低くする関係上、機関の高さも低くするの
が望ましい。

クランク軸垂直型汎用ガソリン機関として米国
特許第3118433号明細書のものが知られているけ
れども吸排気弁の配置がサイドバルブ式である。

サイドバルブ式弁配置のクランク軸垂直型汎用
ガソリン機関において吸気孔と排気孔をシリンダ
ヘツドの同一側に開口させると、それらの開口に
各々接続したキヤブレータとマフラが上下に重な
つて機関の高さが高くなると同時に左右のバラン
スも悪く、またキヤブレータの燃料がマフラの輻
射熱の影響を受けて機関の性能を低下させる不具
合がある。

そこで上記米国特許明細書のものは、吸気孔を
シリンダヘツドの上面に開口させ、その口に接続
した吸気管をシリンダヘツドのマフラ取付側と反
対側に、シリンダヘツドを越えて迂回延長し、キ
ヤブレータおよびエアクリーナを接続している
が、機関の高さを低くするのにまだ十分でなく、
また吸気管がシリンダヘツドの上方に位置するた
め熱影響を受けると共に、水平に延びているため
管内にガソリンが滞留することがあり、運転中の
加速減速時にその滞留ガソリンによるオーバリツ
チ、あるいは再始動時に管内の残留ガソリンの流
れ込みによる始動不良の虞がある。

また船外機としてのオーバヘツドバルブ式のク
ランク軸垂直型汎用ガソリン機関が知られている
（例えば実公昭56−44638号公報）が、船外機は排
気を機関冷却水と共に水中に放出するので、一般
にマフラは備えていない。

従つて上記船外機では排気孔をシリンダヘツド
の下面に、また吸気孔をシリンダヘツドの上面に
開口させ、その吸気孔にキヤブレータを吸気管を
介して接続している。すなわちキヤブレータおよ
び吸気管に対する排気熱の影響は余りないけれど
も、キヤブレータの位置が高くて機関の高さを低
くするには至つていない。

本考案は、従来のクランク軸垂直型汎用ガソリ
ン機関が持つている上記の問題点を解決して、各
種作業機への搭載性に優れ、上下左右のバランス
が良く、しかも高性能の汎用ガソリン機関を提供
することを目的とする。

本考案は上記の目的を達成するために、クラン
ク軸垂直型汎用ガソリン機関の吸気弁・排気弁の
配置をオーバヘツドバルブ形式にすると共に、そ
の吸気弁・排気弁を、吸気弁の方を上にして共通
の垂直面内に上下平行に配置し、クランク軸に同
期して回転するカム軸によつて直線往復動させら
れる上下一対のプツシユロツドを持つた動弁機構
を備え、吸気孔を、上記上下一対のプツシユロツ
ドの間を通すと共に、吸気弁の方に向つて略直線
状に上り勾配にしてシリンダヘツドの一側面に開
口させ、シリンダヘツドの反対側の面に排気孔を
開口させ、吸気孔にキヤブレータおよびエアクリ
ーナを、排気孔にマフラを接続したことを特徴と
する。

図示の実施例について構造を具体的に説明する
と、１はシリンダバレル１Ａ・シリンダヘツド１
Ｂおよびヘツドカバー１Ｃから成り、シリンダバ
レル１Ａの軸線方向が水平であるシリンダブロツ
ク、２はそのシリンダブロツク１のシリンダバレ
ル１Ａと一体成形されているクランクケースで、
そのクランクケース２の中央に、軸受３を介して
クランク軸４が垂直に支持されている。５はピス
トン、６はコンロツドである。 上記シリンダヘ
ツド１Ｂに吸気弁７と排気弁８がオーバヘツドバ
ルブ式に配置されていて、その吸気弁７および排
気弁８はクランク軸４に同期して回転するカム軸
９（第２図示）、そのカム軸９の回転によつて直
線往復動させられる上下一対のプツシユロツド１
０７，１０８、各プツシユロツド１０７，１０８
の作動によつて揺動させられる一対のロツカアー
ム１１７，１１８、各弁７，８に設けた戻しばね
１２７，１２８から成る動弁機構を備えている。

そしてヘツドカバー１Ｃの側から見てシリンダ
ヘツド１Ｂの右側面に吸気孔１３７が、左側面に
排気孔１３８がそれぞれ開口している。すなわち
吸気と排気がクロスフローする形に吸気孔１３７
と排気孔１３８を設けている。

上記吸気弁７と排気弁８は、共通の垂直面内に
上下平行に、特に吸気弁７の方を上にして配置し
ている。吸気孔１３７は、吸気弁用プツシユロツ
ド１０７と排気弁用プツシユロツド１０８の間を
通つていて、吸気弁７の方に向つて略直線状に上
り勾配になつている。

第３図に示すように、上記シリンダヘツド１Ｂ
の吸気孔１３７の開口の底部は、その反対側の排
気孔１３８の開口の頂部より低い位置にある。

従つて上記各開口におけるキヤブレータの接続
部とマフラの接続部は略同じ高さとなつている。

上記吸気孔１３７の開口に直接キヤブレータ１
４が、更にそのキヤブレータ１４にエアクリーナ
１５が、また排気孔１３８の開口にマフラ１６が
それぞれ接続されている。１７はキヤブレータ１
４とエアクリーナ１５をつなぐエルボ、１８はエ
アクリーナエレメントである。

シリンダブロツク１、クランクケース２の上方
を覆うように導風カバー１９が取付けられてい
て、その中にクランク軸４と一体のフライホイー
ル２０およびフアン２１が位置している。２２は
リコイルスタータ、２３は燃料タンクである。ス
パークプラグ２４、スタータモータ２５はマフラ
１６と同じ側に配置されている。

本考案のクランク軸垂直型汎用ガソリン機関は
上記のように、吸気弁７、排気弁８の配置をオー
バヘツドバルブ形式にして、吸気孔１３７をシリ
ンダヘツド１Ｂの一側面に開口させ、その反対側
の面に排気孔１３８を開口させ、吸気孔１３７に
キヤブレータ１４およびエアクリーナ１５を、排
気孔１３８にマフラ１６をそれぞれ接続した、す
なわち吸気系と排気系をシリンダの左右両側に分
けて配設したから、キヤブレータ１４、エアクリ
ーナ１５およびマフラ１６等の取付高さを上下方
向に突出させることなく配置できて、機関全体の
高さが低くなると共に、キヤブレータ１４を吸気
管を介することなく直付けすることと相まつて左
右の重量バランスが良好で、動力芝刈機や動力草
刈機の動力源として適している。動力芝刈機の動
力源として本考案の汎用ガソリン機関を搭載する
と、機体の全高が低いのでブツシユの間や脇の芝
を刈るのに具合が良い。

また上記のように吸気系と排気系が左右に分か
れていることと、キヤブレータ１４がシリンダに
直付けされていることにより、キヤブレータ１４
内のガソリンはマフラからの輻射熱の影響を受け
ることがない。更に吸入新気が排気の熱の影響を
受けることもない。

次に本考案は、オーバヘツドバルブ式ガソリン
機関の吸気弁７と排気弁８を、吸気弁７の方を上
にして共通の垂直面内に上下平行に配置したか
ら、キヤブレータ１４からのガソリンが液状で吸
気孔１３７の底を伝つて流れるとき、高温になつ
ている排気弁８の上方付近に来るとその熱によつ
て加熱されて燃料の霧化が促進される。そして排
気弁８が吸気弁７の下にあることにより、排気弁
８の弁座近傍に付着するカーボンが剥落しても吸
気弁７にかみ込むことがない。

また本考案は吸気孔１３７を、上記吸気弁７、
排気弁８を駆動する動弁機構の上下一対のプツシ
ユロツド１０７，１０８の間を通してシリンダヘ
ツド１Ｂの一側面に開口させたから、吸気孔１３
７の開口部、すなわちキヤブレータ１４の接続フ
ランジがシリンダヘツド１Ｂの上下幅の中程に位
置し、シリンダヘツド１Ｂに対するキヤブレータ
１４の取付スペースおよび前記取付高さを低くす
る点で好都合である。

更に吸気孔１３７は、上記のように上下一対の
プツシユロツド１０７，１０８の間を通してシリ
ンダヘツド１Ｂの一側面に開口させる関係で吸気
弁７の方に向つて上り勾配となり、その吸気孔１
３７を略直線状に形成したから、機関の加速・減
速時に上記吸気孔１３７に滞留しているガソリン
が急に燃焼室に入つて混合気がオーバリツチにな
るのを防ぎ、吸気孔長が水平の場合に比べて長い
のでガソリンの霧化が良好である。また機関の再
始動時に、吸気孔１３７に残つていたガソリンが
直ちに燃焼室に流れ込んで始動不良を起すのを防
止できるもので、ガソリン機関としての吸入効率
を向上させる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案クランク軸垂直型汎用ガソリン
機関の一部縦断側面図、第２図はその一部横断平
面図、第３図はシリンダヘツド部の縦断正面図。 １はシリンダブロツク、１Ａはシリンダバレ
ル、１Ｂはシリンダヘツド、１Ｃはヘツドカバ
ー、２はクランクケース、４はクランク軸、５は
ピストン、６はコンロツド、７は吸気弁、８は排
気弁、９はカム軸、１０７，１０８はプツシユロ
ツド、１１７，１１８はロツカアーム、１３７は
吸気孔、１３８は排気孔、１４はキヤブレータ、
１５はエアクリーナ、１６はマフラ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) クランク軸を垂直に設けた汎用ガソリン機関
   において、 吸気弁・排気弁の配置をオーバヘツドバルブ
   形式とし、 その吸気弁・排気弁を、吸気弁の方を上にし
   て共通の垂直面内に上下平行に配置し、 クランク軸に同期して回転するカム軸によつ
   て直線往復動させられる上下一対のプツシユロ
   ツドを持つた動弁機構を備え、 吸気孔を、上記上下一対のプツシユロツドの
   間を通すと共に、吸気弁の方に向つて略直線状
   に上り勾配にしてシリンダヘツドの一側面に開
   口させ、 シリンダヘツドの反対側の面に排気孔を開口
   させ、 吸気孔にキヤブレータおよびエアクリーナ
   を、排気孔にマフラを接続した ことを特徴とするクランク軸垂直型汎用ガソリ
   ン機関。 (2) シリンダヘツドの一側面における吸気孔の開
   口に対するキヤブレータの接続部と、その反対
   側の面における排気孔の開口に対するマフラの
   接続部とが略同等の高さに配置されている実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のクランク軸垂
   直型汎用ガソリン機関。