JPS6331785Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はプレスワークがリストライキング加
工などされたのちに、ワークの側壁部に穴あけ加
工を行うプレス金型用穴あけ加工装置に関するも
のである。

（従来技術） 従来、プレスワークを、たとえば円筒形に絞り
加工するとともに、この円筒形に成形されたワー
クの側壁部に穴あけ加工を行なう場合には、ま
ず、プレス機によつてワークを円筒形にリストラ
イキング加工したのち、別途穴あけ装置（例、特
開昭56−148423号公報参照）によつて穴あけ加工
が行なわれる。すなわち、プレス加工工程と穴あ
け加工工程の２工程が必要であるため、作業性に
劣る問題がある。

（考案の目的） この考案は上記従来の問題を解決するためにな
されたもので、プレス装置の上型とともに下降す
る板押えをプレスワークを介して下型に外嵌さ
せ、かつ上型で押し付けることによつてプレスワ
ークにリストライキング加工を行ない、リストラ
イキング加工完了後における上型と板押えとの上
昇時に、上記下型の側壁に設けられている穴あけ
用ダイスにパンチを打ち込んで嵌合させ、１工程
をもつてリストライキング加工と穴あけ加工とが
なされて、作業性の向上を図ることができるプレ
ス金型用穴あけ加工装置を提供することを目的と
する。

（考案の構成） この考案はプレスワークが載置される下型側壁
に穴あけ用ダイスを設け、このダイスに嵌合可能
なパンチが前部に設けられ、かつ後部の上下に１
対の傾斜カム面が形成されたスライドカムを上記
ダイスに対向して前後移動可能に下型の側部に支
持し、上型下降時に上記スライドカム後部の上部
傾斜カム面と接触して、スライドカムをプレスワ
ークに接近する加工準備位置に移動させるカム面
が形成されたドライバカムを上型の下面に固定
し、上型とともに昇降可能に設けるとともに、こ
のドライバカムにパンチ軸と直交する軸心をもつ
て、スプリングのばね力などにより常時前方に揺
動可能に加工用カムを支持し、上型下降時にはス
ライドカムの上部傾斜カム面と加工用カムの下部
傾斜面とが接して加工用カムが後方に揺動退却し
た状態が得られて、上記スライドカム後部の上部
傾斜カム面とドライバカムのカム面との接触によ
つてスライドカムを加工準備位置に移動させ、上
型上昇時にスライドカムの下部傾斜カム面と加工
用カムのカム面とが接してスライドカムを加工前
進させることによつて上記パンチをダイスに嵌合
させて穴あけ加工がなされるように構成されてい
る。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面にしたがつて説
明する。

第１図において１は下型で凸状の型面１ａとプ
レスワーク２の外周鍔部２ａが載置されるワーク
支持面１ｂとを有し、その側壁１Ａには水平方向
の軸線をもつた穴あけ用ダイス３が設けられてボ
ルスタ４の上面に載置固定されている。

５は上型で、図外のプレスラムに取り付けら
れ、その下側にコイルスプリングなどの弾性部材
６を介して板押え７が支持され、該板押え７は上
型とともに上下移動可能になつている。また、板
押え７は内側に凹状の押え面７ａを有し、その側
壁７Ａにおける上記穴あけ用ダイス３と対応する
位置には、第２図で示されるように逆Ｕ字状の切
欠き８が形成されている。

第１図において９はスライドカムを示し、この
スライドカム９は下型１の側部において、たとえ
ば第３図で示されるようにボルスタ４の上面に固
定されている１対の支持台１０ａ，１０ｂ上に、
上記ダイス３に対向して前後移動（第１図の矢印
X₁，X₂方向）可能に支持されている。また、ス
ライドカム９と支持台１０ａとの間に介装された
スプリング１１のばね力によつて常時後方（矢印
X₂方向）に付勢されている。

スライドカム９の前部には、上記穴あけ用ダイ
ス３の水平方向の軸線と同軸上にパンチ１２が取
り付けられ、後部上面にうしる下りに傾斜した上
部傾斜カム面９Ａが形成されるとともに、後部下
面にうしろ上りに傾斜した下部傾斜カム面９Ｂが
形成され、これらカム面９Ａ，９Ｂの後端は鉛直
方向の端面９Ｃによつて連続している。

１３はドライバカムで、上型５の下面において
上記スライドカム９に対向して固定され、上型５
が上死点にあるときに上記スライドカム９の端面
９Ｃに当接してスライドカム９の後退を規制する
規制面１３ａが下部前面に形成されるとともに、
前端面１３Ａと上記規制面１３ａとにかけてうし
ろ下りに傾斜したカム面１３Ｂが形成され、後端
面１３Ｃはボルスタ４の上面に固定されているガ
イド１４に上下摺動可能に当接している。そして
上記カム面１３Ｂの傾斜角はスライドカム９の上
部傾斜カム面９Ａの傾斜角と略等しく設定されて
常時は互いに当接している。また、第４図で示さ
れるように上下方向の略中央部から下方にかけて
２股部１３D₁，１３D₂を形成し、該２股部１３
D₁，１３D₂の付根部にうしろ上りに傾斜するス
トツパ面１３ｂ（第１図参照）が形成されている。

１５は加工用カムで、第１図のパンチ１２の軸
線と直交してドライバカム１３の２股部１３D₁，
１３D₂間に橋架されている軸１６によつて揺動
可能に支持されており、その前部には上記ドライ
バカム１３のカム面１３Ｂに沿いかつ前端面１３
Ａよりも前方に突出する傾斜面１５Ａと、この傾
斜面１５Ａの前端からうしろ上りに傾斜して上記
ドライバカム１３のストツパ面１３ｂに沿うカム
面１５Ｂとが形成されている。また、加工用カム
１５の上部後側とドライバカム１３の２股部１３
D₁，１３D₂間に横設されている受板１７との間
にスプリング１８が介装され、このスプリング１
８のばね力によつて加工用カム１５が常時前方へ
揺動するように付勢されている。

上記構成において、第１図の状態から図外のプ
レスラムとともに上型５が下降することによつ
て、板押え７も下降し、該板押え７に形成されて
いる凹状の押え面７ａが下型１の凸状の型面１ａ
に対してプレスワーク２を介して押し付けられ、
これによつてプレスワーク２にリストライキング
加工がなされる。上記上型５の下降によつてドラ
イバカム１３が下降するが、この下降により、ド
ライバカム１３のカム面１３Ｂがスライドカム９
の後部に形成されている上部傾斜カム面９Ａを押
し付けスプリング１１のばね力に抗してスライド
カム９を矢印X₁方向に前進させる。そして、ド
ライバカム１３のカム面１３Ｂとスライドカム９
の上部傾斜カム面９Ａとの接触が完了した時点
で、上部傾斜カム面９Ａは加工用カム１５の傾斜
面１５Ａにのみ接触するけれども、それ以後のド
ライバカム１３の下降によつて加工用カム１５は
スライドカム９の後部端面９Ｃに押し付けられ、
スプリング１８のばね力に抗して軸１６を中心に
第１図の矢印Ａ方向に回動されて２股部１３D₁，
１３D₂内に没入し（第５図参照）、さらに上型５
が下降することで加工用カム１５がスプリング１
８のばね力で元の状態に復帰し、かつスライドカ
ム９の端面９Ｃがドライバカム１３の前端に当接
して、、スライドカム９がプレスワーク２に接近
する加工準備位置に移動した第６図の状態にな
る。

つづいて、上型５が上昇し、これにともなつて
ドライバカム１３が上昇すると、加工用カム１５
のカム面１５Ｂがスライドカム９の下部傾斜カム
面９Ｂと接し、加工用カム１５を上記矢印Ａと反
対方向に回動させようとするけれども、加工用カ
ム１５のカム面１５Ｂはドライバカム１３のスト
ツパ面１３ｂに当接して上記矢印Ａと反対方向の
回動が規制されるから、スライドカム９をさらに
前進させることになり、その結果、第７図で示さ
れるようにパンチ１２が下型１の側壁１Ａに設ら
れている穴あけ用ダイス３に嵌合されてプレスワ
ーク２の側壁部２Ａに穴あけ加工がなされ、さら
に上型５が上昇することで、スライドカム９とド
ライバカム１３は第１図の状態に復帰し、つぎの
加工に備える。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案によればプレス
ラムの下降行程時にプレスワークに対するリスト
ライキング加工がなされるとともに、スライドカ
ムを穴あけ加工の準備位置に待機させ、プレスラ
ムの上昇行程時に穴あけ加工がなされるから、精
度のよい穴あけ加工が可能であるとともに、１工
程をもつてリストライキング加工と穴あけ加工と
を行なうことができ、作業性が大幅に向上する利
点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る装置を示す縦断正面
図、第２図は第１図における−矢視図、第３
図は第１図における−線に沿う断面図、第４
図はドライバカムの側面図、第５図はドライバカ
ム下降時の加工用カムの作動説明図、第６図はス
ライドカムが加工準備位置に移動した状態を示す
縦断正面図、第７図は穴あけ加工時の状態を示す
縦断正面図である。 １……下型、１Ａ……側壁、２……プレスワー
ク、２Ａ……側壁部、３……穴あけ用ダイス、９
……スライドカム、９Ａ……上部傾斜カム、９Ｂ
……下部傾斜カム、１２……パンチ、１３……ド
ライバカム、１３Ｂ……カム面、１５……加工用
カム、１５Ｂ……カム面、１６……軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレスワークの側壁部に穴あけ加工を行う装置
   であつて、プレスワークが載置される下型側壁に
   設けた穴あけ用ダイスと、上記ダイスに嵌合可能
   なパンチと、上記パンチが前部に取り付けられ後
   部に上部および下部傾斜カム面が形成され上記ダ
   イスに対向して前後移動可能に下型側部に支持さ
   れたスライドカムと、上型下面に固定され上型下
   降時にスライドカム後部の上部傾斜カム面と接触
   してスライドカムをプレスワークに接近する加工
   準備位置に移動させるカム面が形成されたドライ
   バカムと、ドライバカムにパンチ軸と直交する軸
   心をもつて揺動可能に支持され、常時前方に揺動
   するように付勢されるとともに、上型下降時には
   スライドカムの上部傾斜カム面と接して後方に揺
   動可能であり、また上型上昇時にスライドカム後
   部の下部傾斜カム面と接してスライドカムを加工
   前進させるカム面が形成された加工用カムとを備
   えてなるプレス金型用穴あけ加工装置。