JPS6330695Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は海苔缶、紅茶、コーヒー缶、その他湿
気を嫌う密封押蓋缶の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

従来より使用されている密封押蓋缶は、第１図
に示すように密封性を高めるためバリーヤー性の
優れた合成樹脂フイルム、もしくはアルミ箔２０
を押蓋７ａの嵌合する缶口部３ａを有し、且つ缶
胴１ａの天端に巻締めする天目金２ａと一緒に巻
込み内部全面に張設したり、又は第２図に示すよ
うに天目金２ａに設けられた缶口部３ａの下端に
接着して密封性を高め、キヤツプコンパウンド２
１は第１図、第２図に示すように再封時の蓋と缶
口縁との間のシール材（発泡性樹脂パツキン）と
して使用されていたのが現状である。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、このような構造では天目金（以下天板
と称する）の缶口部３ａと押蓋７ａとの対向する
面は金属どうしの押嵌めであり、比較的タイトな
成形が容易な缶口、押蓋が円形の場合もさること
ながら、長方形、楕円形、多角形等の場合は缶口
と押蓋の対向面が完全に密着して気密、水密を保
つ事は困難で、且つこれを無理に希求する時は必
要以上に固く打込むような嵌合度合いとなり、天
板が座屈変形したり、又開口時に押蓋を抜くのに
非常な困難を伴い、且つ変形して再封の用をなさ
なくなつたりする。又アルミ箔の使用はその原価
及び加工を含め製造コストを押上げ高くつく欠点
があると共に、合成樹脂フイルムもしくはアルミ
箔を破り一旦開缶した後は前記理由により押蓋に
よる再封機能は不満足なものであつた。

本考案の目的は上記のような従来の密封押蓋缶
の欠点を排除し、しかもコスト的に安価に封緘性
および再封機能を備えた密封押蓋缶を得ることに
ある。

〔課題を解決する為の手段〕

本考案の構成を説明すると、缶底より内容物を
入れた後、底板の周縁を缶胴の下周縁とともに二
重巻締めして結合し、缶胴の天板に設けられた缶
口部に装着された押蓋の外脱、密嵌により開缶及
び再封する密封押蓋缶において、天板２の缶口部
３の押蓋と対向する面４の全周に、金属と密封材
との接着性の良いニスを塗布焼付けて密封材接着
層５を形成し、押蓋７を缶口部に嵌入すると共
に、両者の嵌合端部８に前記密封材接着層５と接
着性の良い液状密封材９を塗布し、天板の加熱、
昇温により嵌合隙間に前記密封材を浸入させ、固
化せしめて嵌合隙間を完全に充塞密封した密封層
１１を形成して、天板２と押蓋７を完全密封せし
め、このように構成した天板２を缶胴１に二重巻
締めで結合一体化してなる密封押蓋缶の構造であ
る。

〔作用〕

本考案の密封押蓋缶は上記の構成からなり、缶
の底側より内容物を入れ、缶底板を缶胴１の下周
縁と共に二重巻締定着して密封されたもので、開
口に当たつては缶口部３と押蓋７の嵌合面の間に
浸入した密封層１１はその両者の隙間を密封充塞
し封緘性を有すると共に、金属と密封材の接着性
の良いニスを塗布焼付けた缶口部３の押蓋７と対
向する面に接着され、押蓋７は密封材１１に固着
していない為、押蓋７のフランジ部６下に適当な
金具を差入れこじることにより容易に開口離脱
し、且つ嵌合部に充塞された密封材９は缶口側に
接着残存し、押蓋の缶口部への嵌合再封時の密封
パツキンの役目をなし、押蓋のフランジ裏面にキ
ヤツプコンパウンドなどをライニングしてなくて
も充分な気密、水密な再封機能を発揮し得られ、
又ライニングしたものではよりその効果が大とな
るものである。

また前記の缶口及び押蓋の形状が第３図Ｂに示
す如く円形の場合、或いは第３図Ａに示す如く長
方形の缶体に対し、長円、楕円、もしくは多角形
等をなすいずれの場合でも第４図に示すと同様の
断面構成となり、しかも円形、長円、楕円、多角
形等をなす缶口部とこれに対応した形状の押蓋と
の対向面の嵌合隙間には、その嵌合端部に塗布し
た液状密封材が浸入し、これが昇温加熱工程で固
化した密封層で密封充塞されるので、従来製缶
上、気密、水密な嵌合成形が困難とされていた完
全密封、再封に特に有益である。

〔実施例〕 本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、
１は円形又は角形に成形された金属製の缶胴本
体、２は缶胴本体１の天端に二重巻締めにより定
着する天板で、該天板は第７図に示す様に従来と
同様の抜き絞り、カール、ライニングの加工工程
を経て成形したフランジ部６を有する押蓋７が嵌
合装着できるよう、抜き絞り、孔開け、逆曲げ等
の加工工程により押蓋７の嵌合する缶口部３を形
成し、この缶口部３の押蓋７と対向する面４の全
周に金属と密封材との接着性の良いニスを塗布焼
付けして密封材接着層５を形成し、前記押蓋７を
缶口部３に嵌入せしめ、しかる後両者の嵌合端部
８にこれを上側として前記密封材接着層５を介し
金属と接着性の良い液状密封材９を塗布し、押蓋
７の嵌合した天板２を炉内で加熱し昇温によりコ
ンパウンドの粘性を低下せしめて缶口部３の押蓋
７と対向する面との嵌合隙間１０に前記液状密封
材を浸入せしめ、つづいて更に昇温加熱すること
により固化し、嵌合隙間を完全に充塞密封する密
封層１１を形成して缶口部３と押蓋７の完全密封
を達成した天板２を構成する。

かくして得られた天板２を従来と同様の技術手
段で缶胴本体１の天端に二重巻締めし、缶胴底部
より内容物を充填し、缶底を従来と同様の技術手
段で窓に二重巻締めすることにより天（天板）、
地（底板）、胴（缶胴）、缶口いずれも完全密封さ
れた密封押蓋缶とするものである。

この考案に使用する液状密封材は非発泡のもの
でもよいが、缶口部３と押蓋７との嵌合面の細隙
をも完全に充塞し且つ逆に広い間隙部をも完全に
充塞する為には、間隙部に浸入後加熱工程で発泡
膨脹するラバー、合成樹脂材を使用するのが望ま
しい。

〔考案の効果〕

以上のような構成を有する本考案によれば、缶
口部とこれに対応した形状の押蓋との対向面の嵌
合隙間には、その嵌合端部に塗布した液状密封材
が浸入し、該部の加熱工程により固化、形成され
た密封層で嵌合面が充填密封されるので、製缶
上、従来気密、水密な嵌合成形が困難とされてい
た角形、長方形、楕円形の押蓋式密封缶の封緘、
完全密封、再封に特に有益であり、前述の従来の
欠点が悉く解消できると共に、成形も簡単且つ容
易であり、従来のアルミ箔使用のものに比べコス
ト的に安価に完全密封押蓋缶が得られ、しかも一
旦開口後においても缶口部の押蓋と対向する面に
密封材が接着残存するので、押蓋嵌合による緊密
な反復再封機能を保有する等著しい効果を有する
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来より使用されている密封
押蓋缶の要部の説明図的断面図、第３図Ａ，Ｂは
本考案の施された密封押蓋缶の実施例を示す平面
図、第４図は同要部の断面図、第５図はその一部
の拡大詳細図、第６図は第５図における押蓋を取
外した時の断面図、第７図は本考案による天板の
加工工程を示す説明図。 １は缶胴、２は天板、３は缶口部、４は押蓋と
対向する面、５は密封材接着層、７は押蓋、８は
嵌合端部、９は液状密封材、１０は嵌合隙間、１
１は密封層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 缶底より内容物を入れた後、底板の周縁を缶胴
   の下周縁とともに二重巻締して結合し、缶胴の天
   板に設けられた缶口部に装着せる押蓋の外脱、密
   嵌により開缶、再封する形式の押蓋缶において、
   天板２の缶口部３の押蓋と対向する面４の全周
   に、金属と密封材との接着性の良いニスを塗布焼
   付けて密封材接着層５を形成し、押蓋７を缶口部
   ３に嵌入すると共に、両者の嵌合端部８に前記密
   封材接着層５と接着性の良い液状密封材９を塗布
   し、押蓋の嵌合された天板２を加熱、昇温させて
   嵌合隙間に前記液状密封材を浸入、固化せしめて
   充塞した密封層１１を形成して、天板２と押蓋を
   完全密封せしめ、この天板２を缶胴１に二重巻締
   定着してなる密封押蓋缶。