JPH0712295Y2 - バリヤ−性キヤツプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はガラスビン等に使用するキャップに係り、特に
開封が容易であると共に、内容物の保護性の良いキャッ
プに関するものである。

〔従来の技術〕

従来、ガラスビンのキャップには王冠と呼ばれる金属製
キャップが用いられ、完全な気密性を維持し、内容物の
変質を防止する性能が高いことから広く用いられてい
る。

また、金属製缶の蓋には、いわゆるイージーオープニン
グ缶蓋が開封を容易にするものとして広く用いられてい
る。

しかし、調味料等の少量づつ繰返して使用する内容物を
入れる容器の蓋は、消費者の手元に渡るまで長期間の保
存に耐えるように密封状態を維持し、消費者の手元に渡
った後は、開封が容易であり、一旦開封した後も再密封
できる蓋が望ましいものであるが、前記のものはこれら
の機能を兼備していない。

これを改善するものとして、実開昭59−186254号公報に
は、合成樹脂製のイージーオープニング瓶蓋の開口線を
覆う内側に合成樹脂のオーバーコート層を有する金属箔
を接着し、金属箔によりバリヤー性を持たせるととも
に、オーバーコート層により内容物による金属箔の侵食
を防止するようにしたものが提案されている。

このものは、オーバーキャップを容易に設けることがで
き、開封が容易であると共に開封後はオーバーキャップ
で再密封を可能とすることもできるものである。

また、実開昭54−148670号公報には、容器の口部に装着
される中栓本体と一体に耐透過性に優れた物質からなる
薄層を、容器の口部内部の横断面と対応する部分にその
横断面積と同等以上の面積にわたつて形成した容器の中
栓が示されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前記実開昭59−186254号公報に示された瓶蓋は、開封が
容易であり、バリヤー性を有するものであるが、合成樹
脂製のパネル部に開口線が設けられているので、瓶の内
側又は外側から圧力が加わつた場合、大きな圧力に耐え
られず、開口線部が破断してしまい大きな口径の瓶蓋と
しては使用できないことになる。

また金属箔には合成樹脂のオーバーコート層が設けられ
ていて、内容物と金属の接触防止が一応図られてはいる
が、金属箔の外周端面では金属が露出しているので、こ
の部分における内容物との接触が避けられず、侵食性の
強い内容物に対しては使用できない。

さらに、前記実開昭54−148670号公報の中栓は、容器の
内容物による侵食には耐えても、中栓の外周面には耐透
過性に優れたフイルムの端面が露出する構造で、見映え
が悪く、これも大きな口径の容器には耐圧強度が不足し
使用できない。

本考案は、前記公知技術の問題点を解消することを目的
とし、内容物の保護性に優れ、開封容器であり、大きな
口径の瓶等の蓋としても使用できるバリヤー性キャップ
を提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、ガラス製ビン、合成樹脂製ビン又は金属と合
成樹脂の複合構成の容器本体に被嵌するキャップであっ
て、容器本体に嵌合するため環状基部の外縁部に垂下し
ている円筒状のスカート部に、開口線と引手とを有する
それ自体公知の金属製パネルの周縁を下方に折曲げて環
状部を形成し、この環状部の先端部分が、前記スカート
部の突出部よりも上方のスカート部内に位置するように
合成樹脂製キャップを成形する際に埋設して一体的に取
付けたものである。

〔作用〕

本考案のキャップは、開封部が金属製であるので、従来
のイージーオープニング缶蓋と同様に強度が大きく、開
封に特別の器具を必要とせず、引手で開口線に沿つて容
易に開封でき、またキャップの金属製パネルは、周縁部
が下方に折曲げられてキャップの成形時に合成樹脂中に
埋設して一体的に固着されるので、その接合が強固とな
る。更に、金属製パネルの先端がスカート部にまで延長
されているので、容器本体の口部上だけでなく容器本体
の口部外周も金属薄板で覆われることとなり、容器外の
気体を容器内に侵入させないバリヤー性が向上するとと
もに、キャップの嵌合強度を補強する。

キャップのパネル部はイージーオープニング缶蓋と同じ
で強度的にも強く、口径が大きい場合でも使用でき、ま
た容器本体に取付ける部分が合成樹脂製であるので、広
口のガラスビン等に対しても容易に取付可能である。

〔実施例〕

第１図は、本考案の一実施例を示す斜視図、第２図はそ
の断面図である。キャップ１は、金属製のパネル２と合
成樹脂製基部３と、この基部３の内縁部と外縁部とから
間隔をおいてそれぞれ垂下している円筒状のインナーリ
ング14及び円筒状のスカート部４からなっている。

金属製パネル２にはその外面に開口線７とこれに内方か
ら近接する引手５がかしめ部６で一体的に取付けれてお
り、この構造自体は公知である。

キャップ本体20は、ポリエチレン製で、基部３から上方
に嵌合リング17を有するフランジ16が一体に形成され、
金属製パネル２の周縁は、キャップの基部３の厚みのほ
ぼ中間に位置し、更にその先端は曲り部９を経てスカー
ト部４の上部にまで延長されて環状部10を形成し、その
先端はスカート部４の突出部13の手前で終わるように形
成されている。

オーバーキャップ30はポリエチレン製で、天井部31から
側壁32が垂下し、側壁の内面には、キャップ本体20の嵌
合リング17の下方に嵌入する小突起34が設けられ、また
天井部31の内面には、キャップ本体のフランジ16の先端
と密着するように密封リング33が設けられている。

アルミニウム製のパネル２の内外面には第２図の円内に
拡大して示すように酸化ポリエチレンを混入した合成樹
脂塗料12が予め塗装してあるので、成形の際ポリエチレ
ン製の基部３にパネル２の周縁が強固に接合する。

キャップ本体20とオーバーキャップ30の嵌合状態は、キ
ャップ本体20のフランジ16に形成した嵌合リング17にオ
ーバーキャップ30の小突起34が嵌合するが、小突起34の
突出程度はわずかであるため、一旦嵌合しても側壁部32
に形成してあるローレット部に指をかけ、オーバーキャ
ップ30をキャップ本体20から遠ざかるように引き離せば
オーバーキャップ30を開栓することができる。このよう
にフランジ16と側壁部32は、着脱可能な比較的弱い嵌合
力であるが、オーバーキャップ30の天井部31から垂下す
る密封リング33からフランジ16の先端に密着するため高
い気密性が得られる。

キャップを容器本体11に装着するには、容器本体11に内
容物を充填し、キャップ本体20とオーバーキャップ30を
組み合せた後、容器本体11の上端にキャップ本体20のス
カート部４の下端を合接し、そのままキャップを下方に
押し下げれば、スカート部４の内面に形成してある突出
部13がくびれ部15に至り容器本体11にキャップが強固に
嵌合する。

したがって、容器本体の上部は通気性の全くないアルミ
ニウムからなる金属製パネル２によって覆われた状態で
キャップ本体20が嵌合しているため、空気中の酸素によ
る内容物の変質が発生せず、長期間にわたって内容物の
保存が可能である。

開封するには、先ずキャップ本体20に被さっているオー
バーキャップ30を離脱した後、パネル２の上面にある引
手５を指で引き上げれば開口線７に沿ってパネル２が開
口し内容物を取り出すことができる。パネル２の開口線
部分を破断させる際にパネル２に強い力が作用するが、
パネル２の周縁は下方に折曲げられて基部３の外縁部分
に垂下している円筒状スカート部４内にまで到達してい
るので、合成樹脂キャップから剥離したり、パネル２が
大きく撓むことがなくなり、容易に開口線部の破断が行
える。使用後オーバーキャップ30をキャップ本体20に被
せ嵌合すれば、容器本体11を転倒しても残存した内容物
が漏出することを防止することができる。

キャップ本体20を製造するには、まず金属製パネル２と
なるアルミニウム合金の薄板の両面に酸化ポリエチレン
を10重量％混入した熱硬化性合成樹脂塗料をローラー塗
装し、焼付乾燥させた後、プレス加工によって浅いカッ
プ状に成形し、外面側の平坦面に開口線７を形成し，該
開口線７の内側の外面側に膨出した突出部を形成し、別
に用意してある引手５の孔部を突出部にはめ込み突出部
先端を潰し，かしめ部６を形成するものである。

金属製パネル２となるアルミニウム合金薄板に予め合成
樹脂を塗装することにより、前記のかしめ部の成形に際
し、潤滑剤を使用しなくても塗装膜がプレス加工時の摩
擦を減少させ加工が容易となる。

このようにして引手５を固定した後、所望の大きさに打
ち抜き、金属製パネル２を形成する。

次に、形成したパネル２を射出成形金型に装着し、ポリ
エチレン樹脂を用いて樹脂温190℃、圧力92kg/cm²で溶
融状態で金型内に流入させ数秒間保持冷却し該キャップ
本体20を製造する。

製造したキャップは酸化ポリエチレンを混入した合成樹
脂塗料をコーテングしたパネル２の表面に高温、高圧の
条件でポリエチレンを射出成形したので、パネル２と射
出成形樹脂部分が強固に接着しており、剥離して離脱す
ることがない。

オーバーキャップ30の樹脂材料としては、ポリエチレン
の外、ポリプロピレン、スチレン、A.B.S.等の熱可塑性
樹脂を用いることができる。

第３図に、本考案の別の実施例であるヒンジ付キャップ
の斜視図を示す。

キャップ本体20とオーバーキャップ30をヒンジ部35で連
結したもので、図面中の符号で前記実施例と同じ番号
は、同一の部分を示し、キャップ本体20をスカート部４
で容器本体へ嵌着する構造は前記実施例と同じである。

オーバーキャップ30には外側に指掛部36を、内側に小突
起37を部分的に突出して形成してある。小突出37は閉蓋
時にキャップ本体20の嵌合リング17に係合しているが、
指掛部36でオーバーキャップ30を開けるときに、側壁32
の変形が容易であり、さらにフランジ16の壁圧を薄くし
変形を容易にしたので、嵌合リング17と小突起37の係合
が容易に外れて開蓋し易くなっている。

本実施例のキャップ本体20は、ポリプロピレンを射出成
形材料とし、金属製パネル２の内面にポリプロピレンフ
ィルムを貼合せて金属部分を覆うようにしてあるので、
微小な金属の露出をきらう例えば、ゼリー類、塩分の多
い飲食品、硫化黒変を起し易い食品等に有効であり、キ
ャップ本体20とオーバーキャップ30を連結してあるた
め、内容物を小出しに繰返し使用する場合に、オーバー
キャップ30を紛失するおそれがない。

〔考案の効果〕

本考案は、キャップに通気性のない金属製パネルを用い
たことにより、高い気密性と強度が得られ、また、この
金属製パネルの周縁が下方に折曲げられて環状部を形成
するとともに、合成樹脂キャップに埋設して取付けるの
で、金属製パネルの周端縁が内容物と接触するのを完全
に防止して腐食の恐れがなくなり、更に、開封時に金属
製パネルに強い力がかかっても、合成樹脂キャップから
剥離、離脱したり、パネルが大きく撓むことがなくなる
ので、開封操作が容易に行える。

またキャップの容器本体への取付部分を合成樹脂製とし
たことにより、容器本体の形状、材料に制約されること
なく各種の容器に容易かつ確実に被嵌することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す斜視図、第２図はそ
の断面図、第３図は他の実施例の斜視図である。 図において、１はキャップ、２は金属製パネル、３はキ
ャップの基部、４はスカート部、５は引手、６はかしめ
部、７は開口線、12は合成樹脂塗膜、14はインナーリン
グを示す。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】環状の基部（３）と、該基部の内縁部と外
   縁部とから間隔をおいてそれぞれ垂下している円筒状の
   インナーリング（14）及び円筒状のスカート部（４）と
   を備え、該スカート部の下部に内方側へ突出する突出部
   （13）を有する合成樹脂キャップの基部に、開口線
   （７）とこの開口線を引裂くための引手（５）を外面側
   に一体的に取付けた金属製パネル（２）の周縁を埋設し
   たバリヤー性キャップ（１）であって、 前記金属製パネル（２）の周縁を下方に折曲げて環状部
   （10）を形成し、該環状部の先端部分が、前記スカート
   部（４）の突出部（13）よりも上方のスカート部内に位
   置することを特徴とするバリヤー性キャップ。
2. 【請求項２】内面側に予め合成樹脂塗装した金属製パネ
   ル（２）を用いた実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   バリヤー性キャップ。