JPS6329963Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はチエーンテンシヨナー装置に関する。

従来のチエーンテンシヨナー装置を備えた
OHCエンジンとして、第１図および第２図に示
すものが知られている。すなわち、図中符号１は
クランク軸を示し、この軸１には駆動スプロケツ
ト２が固着されている。また、３は前記クランク
軸１に平行に配設された中間軸で、これには被動
スプロケツト４が固着されており、このスプロケ
ツト４と前記スプロケツト２との間にはカムチエ
ーン５が懸回されている。また、中間軸３には歯
車６が固着されており、この歯車６は両動弁カム
軸７，８に固着された歯車９，１０にそれぞれ噛
合されている。そして、前記クランク軸１の回転
は、スプロケツト２、カムチエーン５、スプロケ
ツト４、歯車６および歯車９，１０を介して両動
弁カム軸７，８にそれぞれ伝達され、動弁機構を
駆動させるようになつている。

一方、カムチエーン５の弛み側（第１図におい
ては、クランク軸１が時計方向に回動するため左
側になる）外方には、チエーンテンシヨナー装置
１１が配設されている。チエーンテンシヨナー装
置１１は、下端がピン１２を介して回動可能に軸
支されたテンシヨナー本体１３と、同テンシヨナ
ー本体１３の上側自由端部の当接して、同テンシ
ヨナー本体１３をカムチエーン５側に押圧するテ
ンシヨナーリフタ１４とを備えている。テンシヨ
ナーリフタ１４は、円筒体１５に板状体１６が溶
接により固着されてなるもので、円筒体１５がシ
リンダヘツド１７に取り付けられた支持軸１８
に、第２図に示すように一方向クラツチ１９（図
中円筒体１５の反時計方向のみの回動を許容す
る）を介して支持されるとともに、同円筒体１５
がスプリング２０を介して同方向へ回動するよう
付勢されている。そして、カムチエーン５が伸び
たとしても、その量に応じてテンシヨナーリフタ
１４がスプリング２０の付勢力によつて反時計方
向へ回動し、これに伴ないテンシヨナー本体１３
がピン１２を中心として時計方向へ所定量回動し
てカムチエーン５の伸びを吸収し、この結果カム
チエーン５は常に緊張状態で作動されるようにな
つている。なお、２１は板状体１６にリベツト止
めされた弾性を有する緩衝片、２２はチエーンガ
イドである。

ところで、上述のチエーンテンシヨナー装置に
あつては、テンシヨナー本体１３を歯車４と干渉
しないように配置させるとともに、テンシヨナー
本体１３の端部から被動スプロケツト４にかけ
て、カムチエーン５をスムーズに懸回させる必要
がある。この結果、スプロケツト４とテンシヨナ
ー本体１３の自由端部１３ａとの間にはある程度
の隙間Ｓが生じてしまい、これに起因してチエー
ン５に波打ち現象が生じ、ひいては耳ざわりなチ
エーン音が発生してしまうおそれがあつた。

また、上記カムチエーン５の波打ち現象を抑え
る目的から、従来上述のチエーンテンシヨナー装
置１１に加え、第１図中２点鎖線で示すように、
カムチエーン５の被動スプロケツト４への噛み込
み部Ｍの外側に、補助ガイド２３を固定的に配置
したものがある。

ところが、このようなチエーンテンシヨナー装
置にあつては、使用初期でカムチエーン５があま
り伸びていない時には、ガイド２３がチエーン５
の外方への動きを規制して波打ち現象を抑え得る
ものの、チエーン５がある程度伸びると、チエー
ン５の噛み込み部Ｍが内側にずれてしまい、補助
ガイド２３がガイド部としての機能を果し難くな
る等の不具合があつた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、チ
エーンが任意の位置まで伸びた状態であつてもチ
エーンの波打ち現象を押えて、チエーン音の発生
を防ぐことができるチエーンテンシヨナー装置を
提供することを目的とする。

以下、本考案の一実施例を第３図〜第１０図を
参照しながら説明する。なお、前述した従来例と
同一構成については図面中に同一符号を付し、そ
の説明を省略する。

第６図および第７図に示すようにテンシヨナー
リフタ３１には支持板３２が、円筒体１５の軸線
に直交するようにかつカムチエーン５に対向する
ように、溶接によつて取り付けられている。そし
てこの支持板３２によつて、テンシヨナー本体１
３の自由端部１３ａが挾持され、テンシヨナー本
体１３は左右にふれないようになつている。

一方、中間軸３には補助ガイド３３がカラー３
４を介して揺動可能に取り付けられている。（第
３図〜第５図参照）補助ガイド３３は、第８図お
よび第９図に示すように中間軸３に軸支された円
筒部３５と、同円筒部３５の外側に溶接により取
り付けられたアーム部３６と、同アーム部３６か
ら直交して延びる断面コ字状のガイド部３７とを
備えている。ガイド部３７は、カムチエーン５の
外側であつてスプロケツト４とテンシヨナー本体
１３の自由端部１３ａとの間に配置され、かつそ
のカムチエーン５に対向する面には、テフロン等
の低摩擦係数を有する摩擦軽減部材３８が焼付等
により貼着されている。そして補助ガイド３３
は、スプリング３９により第３図中反時計方向に
付勢され、これによりガイド部３７が摩擦軽減部
材３８を介してカムチエーン５外方からを押圧し
ている。

次に、上記構成のチエーンテンシヨナー装置の
作用について説明する。

前述のように、テンシヨナーリフタ３１はスプ
リング２０によつて第３図中反時計方向へ回転す
るように付勢され、これにより緩衝片２１がテン
シヨナー本体１３を介してカムチエーン５の弛み
側を内方に押圧し、同カムチエーン５に所定の張
力を付与してカムチエーン５を緊張状態に保持し
ている。

ところで、カムチエーン５に多少の伸びが生じ
ると、その量に応じ第４図に示すようにテンシヨ
ナーリフタ３１がスプリング２０の付勢力によつ
て反時計方向へ回動し、これに伴ない緩衝片２１
によつて押圧されるテンシヨナー本体１３が、ピ
ン１２を中心として時計方向へ所定量回動してカ
ムチエーン５の伸びを吸収し、この結果カムチエ
ーン５を緊張状態に至らしめる。

また、一旦反時計方向へ回動されたテンシヨナ
ーリフタ３１は、一方向クラツチ１９の作用によ
り逆方向への回動が規制され、従つてカムチエー
ン５は常にその緊張状態が保たれる。

また、テンシヨナーリフタ３１の回動に伴な
い、ガイド３３は、中間軸３を中心にスプリング
３９によつて反時計方向へ回動する。したがつ
て、カムチエーン５の伸びに応じ、チエーン５の
スプロケツト４への噛み込み部Ｍの位置が異なる
にもかかわらず、同噛み込み部Ｍとガイド部３７
の先端３７ａとの距離ｍが第１０図に示すように
常に一定に保たれ、この結果チエーン５の波打ち
現象を確実に防止することができる。

この場合補助ガイド３３は、被動スプロケツト
４を支持する中間軸３を中心として回動されるよ
うになつているから、補助ガイド２３が回動した
としても、ガイド部３７の上端と被動スプロケツ
ト４との間隙は常に同一の値に保たれる。その
際、同間隙をできるだけ狭めるとともにカムチエ
ーン５の動きをスムーズにするため、ガイド部３
７はその上端が被動スプロケツト４に近づくよう
に突出され、しかもその延長線が被動スプロケツ
ト４の仮想外周円に接するように配されている。

加えて、上記実施例においては、補助ガイド３
３を、スプロケツト４支持用の軸３に支持させて
いるから、あらたに支持軸を設ける必要がなく、
この結果部品点数および専有スペースの減少を図
ることができる。

なお、上記実施例においては、テンシヨナーリ
フタとして、回転式のものを用いているが、これ
に限られることなく、チエーンに対しロツドが伸
長する型式のものを用いてもよい。

以上説明したように、本考案によれば、カムチ
エーンの弛み側に配置したテンシヨナー本体の自
由端部と被動スプロケツトとの間に補助ガイドを
設け、この補助ガイドを付勢部材により付勢して
カムチエーンに外方から当接させているから、カ
ムチエーンの伸びに応じて補助ガイドをカムチエ
ーン側に接近させることができ、この結果、振れ
現象が最も生じ易い、カムチエーンの弛み側のテ
ンシヨナー本体と被動スプロケツトとの間に位置
する部分の動きを規制することができる。このた
め、チエーンの波打ち現象を抑えることができ、
チエーン音の発生を防止することができる。

また、上記補助ガイドを被動スプロケツトを支
持する中間軸によつて揺動可能に支持しているた
め、カムチエーンが伸びて被動スプロケツトへの
噛み込み部がずれる場合でも、そのずれ角と同角
度、補助ガイドが回転して新たな噛み込み状態の
カムチエーンに当接しカムチエーンの動きを規制
する。このように、補助ガイドはカムチエーンの
伸びに拘わらず、カムチエーンの噛み込み部に対
して常に同じ態様（補助ガイドのガイド位置と噛
み込み部との距離が一定）でカムチエーンに当接
することとなり、この結果カムチエーンの波打ち
現象を確実に抑えることができる。

また、被動スプロケツトを支持する中間軸は補
助ガイドを支持する軸も兼用することとなり、補
助ガイドを支持する軸を別個に設ける場合に比べ
て、部品点数の削減並びに配置スペースを狭小化
が図れる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はチエーンテンシヨナー装
置の従来例を示し、第１図はエンジンの一部切欠
断面図、第２図は第１図の一部拡大図、第３図〜
第１０図は本考案の一実施例を示し、第３図はエ
ンジンの一部切欠断面図、第４図は第３図の要部
拡大図、第５図は第４図の−線に沿う断面
図、第６図はテンシヨナーリフタの側面図、第７
図は第６図の矢視図、第８図は補助ガイドの側
面図、第９図は第８図の矢視図、第１０図は作
用を説明するために示す図である。 １……クランク軸、２……駆動スプロケツト、
３……中間軸、４……被動スプロケツト、５……
カムチエーン、７，８……動弁カム軸、１３……
テンシヨナー本体、１３ａ……自由端部、２３…
…補助ガイド、３１……テンシヨナーリフタ、３
２……カム板、３３……補助ガイド、３７……ガ
イド部、３９……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸に連係される駆動スプロケツトと動
   弁カム軸に連係される被動スプロケツトとの間に
   懸回されるカムチエーンの弛み側外方に、テンシ
   ヨナー本体が、その駆動スプロケツト側端部を回
   動可能に軸支され前記カムチエーン側へのみ移動
   可能に押圧されて前記カムチエーンに沿つて配設
   されるチエーンテンシヨナー装置において、前記
   被動スプロケツトと前記テンシヨナー本体の自由
   端部との間に、補助ガイドが前記被動スプロケツ
   トを支持する中間軸によつて揺動可能に支持さ
   れ、また、該補助ガイドは付勢部材により付勢さ
   れて前記カムチエーンに外方から当接して該カム
   チエーンを圧接支持していることを特徴とするチ
   エーンテンシヨナー装置。