JPS6329782Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は鉄骨造り建築物に取付ける手摺に関
する。その目的は転倒防止や風圧力に耐える高い
取付強度を有し、しかも手摺支柱の立上り部分の
止水性が高く、防水層、手摺部分の施工、補修取
替等の作業性が優れた手摺を提案するにある。

従来の鉄骨造り建築物、例えばALC板（オー
トクレーブ養生軽量気泡コンクリート板）を用い
た鉄骨造り建築物において、手摺は次の様にして
取付けられていた。ALC板１上にならしモルタ
ル２を打設してなつた平面部およびパラペツト部
に防水シート３を敷設した後、手摺支柱を取付け
る位置の近傍に穴を穿設してアンカープラグ４を
打込み、このプラグ４にアンカーボルト５を螺込
み、このアンカーボルト５の頭部にアンカープレ
ート６を挿通して固定する。主手摺支柱７および
補助手摺支柱７′は、下端部をアンカープレート
６に係止して立上り、立上り部分周囲にコンクリ
ート８を打設して固定される。また、コンクリー
ト８の表面をならしモルタル９で仕上げ、アンカ
ーボルト５の頭部および手摺支柱７，７′となら
しモルタル９との間部分にシーリング材１０を充
填する。

上記のごとき構造の従来の手摺は、建築物の躯
体に直接固定されていないため、高い強度を付与
することがむずかしい。また手摺支柱はアンカー
ボルトを介し固定してあり、アンカーボルトは防
水シートを貫通しているため、手摺支柱の外力に
よる振動等はアンカーボルトにも作用し、防水シ
ートとの界面の止水性を低下せしめる欠点があつ
た。この考案は上記事情に鑑みなされたものであ
る。

以下、この考案を図示する実施例により説明す
る。

図において、Ｈ形鋼１１からなる梁上にALC
板１２を敷設し、その上面およびその間隙にモル
タル１３を打設してなつた建築物のベランダに手
摺が取付けてある。Ｈ形鋼１１の上部フランジ面
に手摺を支持する支柱を固定する架台１４が
ALC板１２，１２間のモルタル１３内に埋設し
て取付けてある。架台１４は方形の平鋼板１５が
一端に溶着してあるパイプニツプル１６をこれよ
りやや太い鋼管ソケツト１７に嵌合溶着し構成し
てあり、平鋼板１５をＨ形鋼１１のフランジ面に
接して載置し、平鋼板１５およびフランジを貫通
して４本のボルト１８を挿通しナツト１９で締結
して取付けてある。鋼管ソケツト１７の上端の高
さはモルタル１３からなるベランダ床面と略同一
面をなし、鋼管ソケツト１７の上端部内面には雌
ねじ２０が穿設してある。

鋼管ソケツト１７には、平鋼板２１が一端に溶
着してあるパイプニツプル２２からなる支柱連結
金具２３が、雌ねじ２０にニツプル２２の先端の
雄ねじ部分を螺合して固定取付けてある。この支
柱連結金具２３の上部に支柱嵌挿用棒体である角
パイプ２５の一端に溶着した平鋼板を重ね、平鋼
板２１，２４を貫通する４本のボルト２６で接合
して支柱嵌挿用棒体を直立し立上げてある。手摺
を支持する支柱２７はアルミニウム製の四角柱で
角パイプ２５に差通して立上り、支柱２７、角パ
イプ２５を横方向に貫通するボルト２８を締付け
て固定してある。

この手摺を取付けたベランダ床面には、塩化ビ
ニル系樹脂の防水シート２９が敷設してある。支
柱連結金具２３のパイプニツプル２２の立上り部
分には塩化ビニル系樹脂のハツト形の防水材３０
が嵌挿して取付けてあり、円形に張出したハツト
形フランジ部分は防水シート２９に密着し接着固
定してある。また角パイプの下端、平鋼板２４の
上面には角パイプ２５に挿通したアルミニウム製
の水切り板３１が配設してあり、その周縁部は平
鋼板２４の外周縁に沿つて折曲垂下している。

この手摺は以上の構成である。手摺支柱は支柱
嵌挿用棒体である角パイプ、支柱連結金具および
架台を介し、螺合、ボルト締結等の手段でＨ形鋼
の鉄骨躯体に固定し取付けてあるので、従来の
ALC板あるいはモルタル、コンクリート等の層
にアンカーボルト等を介し取付けたものに比べ、
転倒防止、風圧力等に耐える充分な強度を付与で
き、取付け、補修取替等の作業が容易、確実とな
る。手摺支柱を固定する架台の上端はALC板あ
るいはコンクリート板等の床板を鉄骨躯体に載置
し必要に応じならしモルタル等で仕上げ、形成し
た床面と略同一面をなしている。このため、防水
施工するに当つては、架台上端面を覆つて連続し
て防水シートを敷設し、敷設後、架台上端部分の
防水シートを切開き雌ねじ孔部分を開口し、この
雌ねじ孔に雄ねじ部を螺合して支柱連結金具を取
付け、その立上り部と防水シートとの間に、例え
ばハツト形等をなした防水材を取付けて支柱立上
り部の水密性を容易、確実に付与できる。手摺支
柱を差通し固定した支柱嵌挿用棒体と支柱連結金
具との間は２枚の重なつた平鋼板で遮られ、支柱
を伝り落下する水は直接、支柱連結金具の立上り
部分の周縁に落下しないので防水性が向上する。
なお、実施例のごとく塩化ビニル系樹脂の防水シ
ートおよびハツト形の防水材を用いるならば両者
間の接着性が向上して施工の能率化と信頼性を一
層高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の手摺の１例を示す縦断面図、第
２図は実施例の手摺の縦断面図である。 １……ALC板、２……ならしモルタル、３…
…防水シート、４……アンカープラグ、５……ア
ンカーボルト、６……アンカープレート、７……
主手摺支柱、７′……補助手摺支柱、８……コン
クリート、９……ならしモルタル、１０……シー
リング材、１１……Ｈ形鋼、１２……ALC板、
１３……モルタル、１４……架台、１５……平鋼
板、１６……パイプニツプル、１７……鋼管ソケ
ツト、１８……ボルト、１９……ナツト、２０…
…雌ねじ、２１……平鋼板、２２……パイプニツ
プル、２３……支柱連結金具、２４……平鋼板、
２５……角パイプ、２６……ボルト、２７……支
柱、２８……ボルト、２９……防水シート、３０
……ハツト形防水材、３１……水切り板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉄骨造り建築物の手摺において、鉄骨躯体上に
   雌ねじ孔を上端に有する断面円形の架台を取付
   け、その雌ねじ孔開口面を鉄骨躯体上に床板を載
   置し形成した床面と略同一面となし配設し、上端
   に平鋼板、下端に雄ねじ部を有する断面円形の支
   柱連結金具を前記架台に螺合して取付け、この金
   具の平鋼板上に支柱嵌挿用棒体の一端に固着した
   平鋼板を重ね接合し、支柱嵌挿用棒体を直立して
   立上げ、手摺を支持する支柱をこの棒体に差通し
   固定してなることを特徴とする手摺。