JPS6326383B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は電子写真法における静電潜像を現像す
るためのトナーに関し、より詳細にはドライオフ
セツト印刷原版等の印刷原版を製版するためのト
ナー原画像として利用できる性能を有する製版用
トナーの製法に関する。 ドライオフセツト印刷原版の製版手段として電
子写真方式を使用する方法には、支持体上に設け
たインキ反撥性層の表面に間接法によりトナー画
像を転写し、加熱もしくは加圧等の方法でそのま
まトナー画像を定着するか、あるいは導電性支持
体上に酸化亜鉛等の光導電性感光物質と結着剤樹
脂とを主成分とする表面層を設け、その上に直接
法にてトナー画像を形成し同様の方法で定着して
永久可視像とする方法がある。この際使用される
従来の製版用トナーは、周知のようにビスフエノ
ールＡ型汎用エポキシ樹脂、フエノール樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリ
ル酸エステル、ポリエチレンおよびケトン樹脂等
の熱可塑性樹脂と着色剤を主成分とするものであ
る。 ところで、良好なる印刷特性を得るための製版
用トナーの要件としては、印刷原版上に高画質の
原画像を得ることは勿論のこと、印刷の原版とし
て所望の耐刷力を維持するに十分なる原版表面と
の固着力が必要とされることである。 しかしながら、オフセツト印刷原版の中でも、
例えばエツチ液および湿し水を使用することなく
印刷に供されるドライオフセツト版の表面は、非
画線部のインキ地汚れを防止するために、シリコ
ーンや弗素系化合物を塗布して極度にインキ反撥
性、すなわち離型性をもたせてあるために、従来
の製版用トナーではいずれも原版表面に対する固
着力が不足し、従つて耐刷力の不足をきたし、こ
の種の印刷版の原画像として利用できる性能をも
つていなかつた。 また、ドライオフセツト版に限らず従来のトナ
ーは通常のエツチ液、湿し水を併用するオフセツ
ト版に対しても、該版の表面組成、表面物性によ
り固着性が大きく左右されやすく、従つて製版用
トナーとして必ずしも満足すべきものではなかつ
た。 本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので
あり、エポキシ樹脂および着色剤を主体とするト
ナー材料を、イミダゾール類またはジシアンジア
ミドの存在のもとに溶融混練したのち、冷却し、
粉砕することを特徴とする製版用トナーの製法を
提供するものであり、これによりドライオフセツ
ト印刷版のように離型性を有する表面にも強固に
固着するトナーを得ようとするものである。 本発明でいうエポキシ樹脂とは１分子当り少な
くとも１個以上の1.2―エポキシ基を有するエポ
キシ樹脂ならば全て適用可能であり、例えば、多
価フエノールのジグリシジルエーテル類、ノボラ
ツク樹脂のグリシジルエーテル類、脂肪族ポリオ
ールのグリシジルエーテル類、および窒素を含む
グリシジルエーテル類等の熱硬化性ポリエーテル
である。多価フエノールのジグリシジルエーテル
の好適なものとしては、エピクロルヒドリンとビ
スフエノールＡの縮合生成物（ビスフエノールＡ
型汎用エポキシ樹脂）があげられ、市販品の一例
としてエピコート1004（シエル化学社製）、エポー
トYD―014（東都化成社製）等がある。 ここで使用される着色剤は従来より電子写真ト
ナーに用いられている染料および顔料が全て使用
可能であり、例えばカーボンブラツク、チヤンネ
ルブラツク等の顔料、ニグロシンベース、ビクト
リアブルー、フアーナルブルー等の染料を挙げる
ことができる。 上記のエポキシ樹脂と着色剤とともに熱溶融混
練時に配合するイミダゾール類としては、例え
ば、

【式】〔四国化成社キユアゾール 2MZ〕

【式】〔四国化成社キユアゾールC17Z〕

【式】〔四国化成社キユアゾール 2PZ〕 等が本発明に適用される。 本発明の製版用トナーの製法は、例えばエポキ
シ樹脂100重量部に対し、イミダゾール類または
ジシアンジアミド５〜40重量部、カーボン２〜８
重量部、およびニグロシン染料１〜５重量部を混
合し、必要に応じて極性制御剤、滑剤、等の添加
剤を混合し、この混合物をロールミル等の混練機
で熱溶融して混練する。この際、溶融混練時間は
着色剤が樹脂に均一に分散できる時間で十分であ
り、それ以上の長時間の混練は本発明においては
好ましくない。要するに溶融混練時にエポキシ樹
脂を硬化剤であるアミノ化合物、等により半硬化
の状態にとどめ、現像後の熱定着の際完全硬化さ
せると同時に、トナーを印刷原版上に強固に固着
させるものである。上記の溶融物は冷却され、ハ
ンアーミル等で粗粉砕の後、これを振動ボールミ
ル等により微粉砕し、遠心分離等の方法で５〜
25μ程度の粒子を分級し、トナーを製造する。 このようにして作成された製版用トナーは鉄
粉、ガラスビーズ等のキヤリヤー物質と混合し、
カスケード法、毛ブラシ法、磁気ブラシ法、パウ
ダークラウド法等の乾式現像機構を有する電子写
真製版機に供せられる。 また、トナー中に超微細鉄粉のごとき磁性物質
を含有させておけば、キヤリヤー物質不要の１成
分系製版用トナーとすることができる。 さらにまた、イミダゾール類またはジシアンジ
アミド、エポキシ樹脂、着色剤系に、レシチン、
金属石けん、アマニ油、高級脂肪酸、等適当なる
極性制御剤を添加してトナーとなし、高級縁性低
誘電率の非水溶媒に分散させれば液体現像剤とし
ても本発明を実施することができる。 上記の如き構成からなる本発明による製版用ト
ナーを２成分系現像機構を有する乾式電子複写機
に供し、付加硬化型オルガノポリシロキサンから
なるシリコーンゴムを表面層に有するドライオフ
セツト版に転写製版し、熱定着を施したところ、
カブリのない極めて鮮明なコントラストのある原
画像を得ることができた。このようにして得られ
た刷版をオフセツト印刷機にセツトし、エツチン
グ処理を行なうことなくまた湿し水を使用するこ
となく、オフセツト印刷を行なつたところ、5000
枚以上の印刷でも画像部に何ら版落ちがなく、十
分なる耐刷力を得ることができた。 尚、本発明の製版用トナーは、ドライオフセツ
トシステムに限定されるものではなく、通常の湿
し水を使用するオフセツト印刷版の製版用として
も適用可能であることは勿論のこと、電子写真法
による事務用コピー紙の現像や静電記録法および
静電印刷用等広範囲の用途に適用できるものであ
る。 また、このトナーをアルミニウム蒸着面やアル
ミニウム箔などの金属面にのせて加熱定着したと
ころ、きわめて強固な固着性が確認された。この
ことから電子写真を用い金属面にトナー画像を形
成するようなシステムへの応用も期待できる。 以下に本発明の実施例および従来技術による比
較例を示す。 実施例 １ ビスフエノールＡ型エポキシ樹脂（シエル石油
社製エピコート1004）100重量部、イミダゾール
系硬化剤（四国化成社製キユアゾールC17Z）10
重量部、カーボンブラツク５重量部、およびニグ
ロシン系染料３重量部の混合物を100℃の温度で
ロールミルを用いて溶融混練した。 冷却後、混練物をハンマーミルで粗粉し、更に
振動ボールミルで微粉化後、分級して５〜25μの
粒度分布を持つた軟化点90℃のトナーを作成し
た。 次にこのトナー５重量部をキヤリヤー鉄粉100
重量部と混合し乾式現像剤とした。これを間接法
電子複写機（シヤープフアツクス725型）にセツ
トし、フエニル基10モル％、ビニル基２モル％を
含有する付加硬化型オルガノポリシロキシサより
なるシリコーンゴムを表面層に有するドライオフ
セツト印刷版上に原画像を形成させた。 この原画像はさらにオフセツト印刷版用赤外線
定着機（岩崎通信機社製）に１回通して熱定着を
施した。得られた画像はマクベス反射濃度計で、
21を示し、かつ非画像部のカブリのない鮮明なも
のであつた。 この刷版を使つて、オフセツト印刷機（リヨー
ビ社製2700型）にてエツチング処理および湿し水
を全く施こすことなく5000枚まで印刷を行なつた
ところ、画像部の脱落がなく十分なる耐刷力を確
認した。 実施例 ２ 実施例１の製法で作成した製版用トナーを直接
法電子複写機（岩崎通信機社製エレフアツクス
PC301W）の現像器にセツトした。一方、予め低
抵抗処理した支持体上に酸化亜鉛、メチルメタア
クリレート樹脂および増感剤として、ローズベン
ガルを主体とする表面感光層を設けて電子写真印
刷原版を作成し、これを上記電子複写機に供して
製版し、熱定着を施して刷版を作成した。得られ
た画像は反射濃度2.0のコントラストのある鮮明
な画像であつた。この刷版にエツチング処理をほ
どこし、小型オフセツト印刷機（リコー社製
AP1310型）にて湿し水を併用して3000枚まで印
刷を行なつたところ画像部の脱落がなく十分な耐
刷力が観察された。 実施例 ３ ニトリルゴム変性エポキシ樹脂100重量部、ジ
シアンジアミド15重量部、カーボンブラツク５重
量部、およびニグロシン系染料３重量部の混合物
を110℃でロールミルにて溶融混練した。冷却後、
混練物をハンマーミルで粗粉し、更に振動ボール
ミルで微粉化後、分級して５〜25μの粒度分布を
もつた軟化点85℃のトナーを作成した。このトナ
ーを用い、実施例１と同様にしてドライオフセツ
ト印刷版上に製版し原画像を形成させた。この原
画像はさらにオフセツト印刷版用赤外線定着機
（岩崎通信機社製）に１回通して熱定着を施した。 得られた画像はマクベス反射濃度計で2.0を示
し、かつ非画像部のカブリのない鮮明なものであ
つた。 この刷版を使用して、オフセツト印刷機（リヨ
ービ社2700型）にてエツチング処理および湿し水
を全く施こすことなく5000枚まで印刷を行なつた
ところ画像部の脱落がなく十分なる耐刷力を確認
した。 比較例 ビスフエノールＡ型汎用エポキシ樹脂（シエル
石油社製エピコート1004）100重量部、カーボン
ブラツク５重量部およびニグロシン系染料３重量
部の混合物をロールミル中で100℃にて溶融混練
した。 冷却後、混合物をハンマーミルで粗粉し、更に
振動ボールミルで微粉化後分級して５〜25μの粒
度分布をもつたトナーを作成した。 次に、このトナー５重量部を鉄粉キヤリヤー
100重量部と混合し乾式現像剤となし、これを間
接法電子複写機（シヤープフアツクス725型）に
セツト、フエニル基10モル％、ビニル基２モル％
を含有する付加硬化型オルガノポリシロキサンよ
りなるシリコーンゴムを表面層に有するドライオ
フセツト版上に原画像を形成させた。 この原画像は、さらにオフセツト印刷用定着器
に１回通し熱定着を施した。得られた画像は非画
像部にカブリのないコントラストのある鮮明なも
のであつたが、これを小型オフセツト印刷機にか
けて印刷したところ、20〜30枚で画像部が脱落
し、印刷版としての機能を有するものではなかつ
た。 上記ビスフエノールＡ型汎用エポキシ樹脂の代
りにポリスチレン樹脂（エツソスタンダード社製
ピコラスチツクＤ―125）あるいは天然樹脂変性
マレイン酸樹脂（大日本インキ社製ベツカサイト
1111）を使用したところ同様の結果を得た。 以上の説明から明らかなように、本発明の製版
用トナーはドライオフセツト印刷をはじめ、通常
の湿し水を使用するオフセツト印刷あるいは電子
写真法によるコピー紙や静電印刷などに適したト
ナーで、特に印刷時の耐刷力を有し、多数枚の印
刷物が得られる利点を持つている。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エポキシ樹脂および着色剤を主体とするトナ
   ー材料を、イミダゾール類またはジシアンジアミ
   ドの存在のもとに溶融混練したのち、冷却し、粉
   砕することを特徴とする製版用トナーの製法。