JPS6326299Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車の車体におけるロツカ部の構
造に関するものである。

従来技術 第１図および第２図に示す如く、自動車の車体
のロツカ部から立設されたセンタピラーの上端部
が、ドアのベルトライン部よりも下方位置に設け
られ、自動車の側方からの車体外観を、センタピ
ラーの見えない、すつきりとした外観とされた、
所謂、センタピラーレス自動車が知られている。

このような車体構造の自動車では、ロツカ部の
捩り剛性が低い場合には、ロツカ部の断面変形を
生じやすく、その断面変形によつてセンタピラー
の根元部も変位するので、ロツカ部に立設されて
いるセンタピラーは、ロツカ部の断面変形ととも
に変位していた。

その結果、センタピラーに蝶着されているリヤ
ドアには、ドア閉り不良、ドア下がり、ドア閉時
において異音発生といつた不都合が生じやすくな
つていた。

この不都合を解消するために、自動車の車体床
部の左、右両側に、車前後方向に延設され、ロツ
カアウタパネルとロツカインナパネルとによつて
閉断面構造に形成されたロツカ部には、その閉断
面構造内に、ロツカリインフオースメントが、い
ろいろと工夫されて内設されている。

例えば、第３図Ａ，Ｂに示される如く、ロツカ
アウタパネル１の内面に沿つてロツカリインフオ
ースメントＲを固設したロツカ部の補強構造が、
すでに知られている。

また、第４図Ａ，Ｂに示される如く、ロツカア
ウタパネル１とロツカインナパネル２の間にロツ
カリインフオースメントＲを介在させ、そのロツ
カリインフオースメントＲの上縁部および下縁部
を、前記両パネル１，２の上側および下側に形成
された接合フランジ３，４の間に挟み込んで固着
し、ロツカ部を補強したものも知られている。

ところが、これらの従来のロツカ部の構造にお
いては、いずれも、ロツカ部の断面変形を、完全
には防ぐことができず、ロツカリインフオースメ
ントＲ、ロツカアウタおよびインナパネル１，２
の板厚を厚くすることによつて、ロツカ部の捩り
剛性を大きくし、ロツカ断面の変形を防止せざる
を得なかつた。

考案の目的 本考案は、上記従来の欠点に鑑みてなされたも
のであつて、軽量で高い捩り剛性の自動車車体の
ロツカ部の構造を提供することを目的としてい
る。

考案の構成 このような目的を達成するため、本考案は、前
述の如き自動車のロツカ部の構造において、 前記ロツカアウタパネルの内面に沿わせて閉断
面構造のロツカ部に内設されたロツカリインフオ
ースメントであつて、このロツカリインフオース
メントの上縁部および下縁部は、夫夫、ロツカア
ウタパネルとロツカインナパネルの上側および下
側の接合フランジの間に介在させて固着するとと
もに、このロツカリインフオースメントの前端部
は、ロツカ部の上面に立設されているセンタピラ
ーの根元部の下方に位置する部位において折り曲
げて前側補強フランジを形成して、この前側補強
フランジの端部をロツカインナパネルの内面に固
着し、さらに、このロツカリインフオースメント
の後端部は、リヤフロアパンの立ち上り部のほぼ
延長線上部位において折り曲げて後側補強フラン
ジを形成し、この後側補強フランジの端部をロツ
カインナパネルの内面に固着して、ロツカインナ
パネルを介し、後側補強フランジをリヤフロアパ
ンの立ち上り部とほぼ直線状に配設したことを特
徴とする。

考案の効果 本考案によれば、ロツカリインフオースメント
の小型化が可能となり、効率よく自動車車体のロ
ツカ部の捩り剛性が向上できるので、自動車の車
体重量の増加を来すことがないという効果を奏す
ることができる。

そして、ロツカ部の捩り剛性の向上に伴い、ロ
ツカ部の断面変形を生じにくくなるので、リヤド
アにおけるドア閉り不良、ドア下がり、ドア閉時
の異音発生などがなくなる。

考案の実施例 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第５図は、本考案に係る自動車車体のロツカ部
の構造の実施例を示す一部切欠き斜視図、 第６図は、同実施例におけるロツカリインフオ
ースメントを示す斜視図、 第７図は、同実施例における第２図のＢ−Ｂ線
相当部分の断面図、 第８図は、第７図のＣ−Ｃ線相当部分の断面
図、 第９図は、第７図のＤ−Ｄ線相当部分の断面
図、 第１０図は、第７図のＥ−Ｅ線相当部分の断面
図である。

図において、ロツカ部は、ロツカアウタパネル
１とロツカインナパネル２を、その上側および下
側に形成された係合フランジ３，４をもつて最中
状に接合することにより、閉断面構造に構成され
ている。

このロツカ部の閉断面構造内には、ロツカアウ
タパネル１の内面に沿う形状に形成されたロツカ
リインフオースメント５が、ロツカアウタパネル
１の内面より所定の間隔を保持して内設されてい
る。

このロツカリインフオースメント５は、その上
縁部および下縁部が、夫夫、前記ロツカアウタパ
ネル１とロツカインナパネル２の接合フランジ
３，４の間に介在されてスポツト溶接により固着
されている。

そして、このロツカリインフオースメント５の
前端部は、ロツカ部の上面に立設されているセン
タピラーＣの根元部における車前側域の下方に位
置する部位にて折り曲げられて、前側補強フラン
ジ６が形成されている。

この前側補強フランジ６は、その端部がロツカ
インナパネル２の内面にスポツト溶接によつて固
着されている。

さらに、このロツカリインフオースメント５の
後端部は、リヤフロアパン７の立ち上り部８のほ
ぼ延長線上部位において折り曲げられて、後側補
強フランジ９が形成されている。

この後側補強フランジ９は、その端部がロツカ
インナパネル２の内面にスポツト溶接により固着
され、このロツカインナパネル２を介してリヤフ
ロアパン７の立ち上り部８とほぼ直線状に配設さ
れている。

図の符号１０は、ホイールハウスアウタパネル
を示す。

この実施例によれば、ロツカリインフオースメ
ント５は、その前端部がセンタピラーＣの根元部
と間接的に結合され、また、後端部は、リヤフロ
アパン７の立ち上り部８と間接的に結合されて、
閉断面構造のロツカ部に内設されているので、ロ
ツカ部の捩り剛性が向上し、ロツカ部の断面変形
が起りにくくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、自動車車体の床部を示す断面図、第
２図は、自動車車体の側面図、第３図Ａおよび第
３図Ｂは、従来の自動車車体のロツカ部の構造を
示す、第２図のＡ−Ａ線およびＢ−Ｂ線相当部分
の断面図、第４図Ａおよび第４図Ｂは、他の従来
のロツカ部の構造を示す、第２図のＡ−Ａ線およ
びＢ−Ｂ線相当部分の断面図、第５図は、本考案
に係る自動車車体のロツカ部の構造の実施例を示
す一部切欠き斜視図、第６図は、同実施例におけ
るロツカリインフオースメントを示す斜視図、第
７図は、同実施例における第２図のＢ−Ｂ線相当
部分の断面図、第８図は、第７図のＣ−Ｃ線相当
部分の断面図、第９図は、第７図のＤ−Ｄ線相当
部分の断面図、第１０図は、第７図のＥ−Ｅ線相
当部分の断面図である。 １……ロツカアウタパネル、２……ロツカイン
ナパネル、５……ロツカリインフオースメント、
３……上側の接合フランジ、４……下側の接合フ
ランジ、Ｃ……センタピラー、６……前側補強フ
ランジ、７……リヤフロアパン、８……リヤフロ
アパンの立ち上り部、９……後側補強フランジ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体床部の左、右両側に、車前後方向に延設さ
   れ、ロツカアウタパネルとロツカインナパネルと
   で、閉断面構造を形成した自動車車体のロツカ部
   の構造において、 前記ロツカアウタパネルの内面に沿わせて閉断
   面構造のロツカ部に内設されたロツカリインフオ
   ースメントであつて、このロツカリインフオース
   メントの上縁部および下縁部は、夫夫、ロツカア
   ウタパネルとロツカインナパネルの上側および下
   側の接合フランジの間に介在させて固着するとと
   もに、このロツカリインフオースメントの前端部
   は、ロツカ部の上面に立設されているセンタピラ
   ーの根元部の下方に位置する部位において折り曲
   げて前側補強フランジを形成して、この前側補強
   フランジの端部をロツカインナパネルの内面に固
   着し、さらに、このロツカリインフオースメント
   の後端部は、リヤフロアパンの立ち上り部のほぼ
   延長線上部位において折り曲げて後側補強フラン
   ジを形成し、この後側補強フランジの端部をロツ
   カインナパネルの内面に固着して、ロツカインナ
   パネルを介し、後側補強フランジをリヤフロアパ
   ンの立ち上り部とほぼ直線状に配設したことを特
   徴とする自動車車体のロツカ部の構造。