JPS6326130Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〔技術分野〕 この考案は清掃作業やコツプ洗い等に使用され
る束子に関する。 〔背景技術〕 一般に、家庭内で使用されている束子は、棕梠
の毛等の天然繊維や化学繊維を束ねて製造された
ものである。しかし、これら従来市販の束子は清
掃効果に乏しく、鉄錆落しや油汚れ落しの際には
多くの労力を要し、なおかつ、その労力にもかか
わらず清掃効果が低いばかりか束子の毛が横に伏
してしまつたり摩耗してしまつたりして清掃能力
が極端に低下してしまうという欠点があつた。 〔考案の目的〕 そこで、この考案は、少ない労力で高い清掃効
果を有しかつ耐久性の高い束子を提供することを
目的とする。 〔考案の開示〕 考案者らは以上の目的を達成するため鋭意検討
を重ね、この考案を完成した。 この考案は、合成樹脂製モノフイラメントと、
複数本の金属線が絡み合わされてなる芯線とを備
え、芯線の絡み合いによつて前記合成樹脂製モノ
フイラメントが結束されて形成されている束子で
あつて、前記合成樹脂製モノフイラメントの少な
くとも一部が、砥剤粒子を含有する合成樹脂から
成形されたものであることを特徴とする束子をそ
の要旨とする。以下、これを、その実施例に基づ
いて詳しく説明する。 この考案にかかる束子の製造に当たつては、砥
剤粒子（以下、「砥粒」と称する。）を含有した合
成樹脂製モノフイラメント50重量部（以下「部」
と略す）と、砥粒を含有しない合成樹脂製モノフ
イラメント50部と、針金２本を準備する。まず、
第１図にみるように、針金２本１，１の一端同士
をしつかりと絡み合わせて結合させたのち、両方
の針金１，１の間に隙間を設けるように両者を交
叉させる。交叉によつてできた隙間２内に、砥粒
含有の合成樹脂製モノフイラメントと砥粒を含有
しない合成樹脂製モノフイラメントとを半数ずつ
含む束３を挿入し、束３を両針金１，１でねじり
つつ締め着ける。締め着けられたモノフイラメン
トの束は、第２図にみるように、放射状にフイラ
メントが広がつた状態で針金１，１に固定され
る。このようにして、フイラメントの束を次々と
針金に固定してゆき、最後に両針金の末端どおし
をしつかりと絡み合わせると、出来上がる。出来
上がつた束子は第３図の如くである。 出来上がりの束子において、その毛の一部分を
拡大すると第４図のようになる。この図にみるよ
うに、砥粒含有の合成樹脂製モノフイラメント４
と砥粒を含まない合成樹脂製モノフイラメント５
とが半数ずつ含まれている。もつとも、両者４，
５は、必ずしも、このように正しく交互に並んで
いる訳ではない。 この考案にかかる束子を構成する合成樹脂製モ
ノフイラメントの素材としては、ナイロン、ポリ
エステル等の溶融紡糸可能な合成樹脂であればい
ずれでも良いが、それらの内でもナイロン６系の
樹脂が最適である。また、砥粒としては、コーク
ス粉、ボーキサイト、アルミナ粉などのアルミナ
系、白珪石、鋸屑などの炭化珪素系、ダイヤモン
ド、エメリー、ざくろ石などの天然物系、炭火物
系、ジルコニア系、ガラス系などの研磨材が使用
される。なお、これら研磨材の２種類以上が併用
されても構わない。 合成樹脂製モノフイラメントの製造方法は、従
来の砥粒付き合成繊維束子（例えば実開昭55−
115656号に開示）のように、予め成形された合成
繊維の周囲に、接着剤等を使つて砥粒を付着させ
るのではなく、モノフイラメントを成形するため
の合成樹脂自体に砥粒を含有させておき、この砥
粒を含有する合成樹脂から押出成形等の成形方法
によつてモノフイラメントを成形するのである。
即ち、この考案において、砥粒含有の合成樹脂製
モノフイラメントとは、モノフイラメントを構成
する合成樹脂自体に砥粒を含有させたものを意味
するものであり、通常の合成樹脂製モノフイラメ
ントに砥粒を付着させたものではない。具体的な
製造方法の一例を挙げれば次のとおりである。 ナイロン６ペレツト（東レ(株)製CM1041）に白
色アルミナ系研磨材（500メツシユパスの酸化ア
ルミニウム粉末）を15重量％添加し、溶融押出機
を用いて320℃で溶融し、吐出量100ｇ／分で押出
して、菱型口金より紡糸速度20ｍ／分で引取り、
水冷、80℃の温水中で延伸して30ｍ／分でドラム
に巻き上げることにより、1b＝3.0mm、1c＝1.1mm
のモノフイラメントを得た。 つぎに、この考案にかかる束子の様々な実施例
と従来の天然繊維製束子による比較例との効果を
比較する実験を行い、その結果を第１表に示し
た。表中、実施例はいずれも砥粉を含まないナイ
ロン６製のモノフイラメント50部と砥粒含有のナ
イロン６製のモノフイラメント50部とを使用した
ものである。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案にかかる束子は、合成
樹脂製モノフイラメントと、複数本の金属線が絡
み合わされてなる芯線とを備え、芯線の絡み合い
によつて前記合成樹脂製モノフイラメントが結束
されて形成されている束子であつて、前記合成樹
脂製モノフイラメントの少なくとも一部が、砥粒
を含有する合成樹脂から成形されたものであるこ
とを特徴としているので、少ない労力で高い清掃
効果を発揮し、耐摩耗性や強度も極めて高くなる
という効果がもたらされるのである。 特に、上記砥粒がモノフイラメントの表面に付
着しているのではなく、モノフイラメントを構成
する合成樹脂自体に含有されたものであるので、
砥粒とモノフイラメントとの一体性が極めて高
く、砥粒の脱落が生じ難いという利点がある。ま
た、長期使用によつてモノフイラメントの表面が
摩耗しても、モノフイラメントの内部まで砥粒が
存在するので、いつまでも一定の清掃効果を発揮
でき、耐久性が非常に高く経済性にも優れてい
る。さらに、製造上は、予め合成樹脂材料に砥粒
を含有させておくだけで、モノフイラメントの成
形と同時に砥粒含有の合成樹脂製モノフイラメン
トが製造できるので、従来のように、合成繊維の
表面に砥粒を付着させるための複雑な工程は全く
不要になり、極めて簡単かつ能率的に製造するこ
とができ、製造コストも安価である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案にかかる束子の
一実施例における製造工程をあらわす斜視図、第
３図はこの考案にかかる束子の一実施例をあらわ
す平面図、第４図は第３図の束子の部分的拡大平
面図、第５図はこの考案にかかる束子の他の実施
例の一部をあらわす拡大平面図、第６図ないし第
８図はこの考案にかかる束子のさらに別の実施例
をあらわす平面図である。 １……針金、４……砥粒含有の合成樹脂製モノ
フイラメント、５……合成樹脂製モノフイラメン
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製モノフイラメントと、複数本の金属
   線が絡み合わされてなる芯線とを備え、芯線の絡
   み合いによつて前記合成樹脂製モノフイラメント
   が結束されて形成されている束子であつて、前記
   合成樹脂製モノフイラメントの少なくとも一部
   が、砥剤粒子を含有する合成樹脂から成形された
   ものであることを特徴とする束子。