JPS6325379Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、例えば芝刈機や刈取機等の作業機
に使用される小型汎用エンジンの遠心クラツチに
関するものである。

この種遠心クラツチは、遠心力によりスプリン
グ８に抗してクラツチ７のクラツチ片７ａを半径
方向に拡径させ、クラツチドラム９内周に接合し
てエンジンの出力軸１の回転力を従動軸１１に伝
達する構造からなり、従来は一般的に第１図に示
すように、クラツチ７はエンジンの出力軸１に取
着されたフライホイール１４に対し止具１７を介
して装着され、またクラツチドラム９はベアリン
グ１０′を介してクラツチハウジング１９に回動
自在に支持されていた。従つて、イクラツチドラ
ムを支持するためのクラツチハウジングが必要で
コストアツプになる。ロクラツチをフライホイー
ルに対し止具により取付けられる構造のため組立
作業が煩雑で時間がかかる。ハクラツチドラムを
支持するためのベアリングは、クラツチハウジン
グに設けられるため、エンジンの出力軸端よりそ
の延長方向にクラツチドラム取付用のスペースを
大きく要し、出力軸方向の長さが長くなるという
欠点があつた。

更に、この考案の先行技術としてアメリカ特許
第4205737号明細書に記載の遠心クラツチがある
が、そのクラツチも前記第１図に記載のクラツチ
と同様に、クラツチドラムがベアリングを介して
ハウジングに支持されており、またクラツチ自体
の構造がかなり複雑になつているので、上記従来
のクラツチと同様の欠点を有している。

この考案は従来の上記欠点を解消したもので、
以下、実施例を図面に基いて説明する。

第２図は芝刈機に装着された遠心クラツチ部位
を示した縦断面図、第３図は遠心クラツチの平面
図であり、第２図において、１はエンジンＡの出
力軸で、その軸端をエンジンハウジング２より下
方へ突出させてベアリング３を介し回動自在に装
着されている。また、前記ハウジング２から突出
する出力軸１の下端部は縮径部１ａに形成し、こ
の縮径部１ａに連続して上方に雄ねじ部１ｂおよ
び円錐部１ｃを順次形成してある。

４はフライホイールで、その円錐形の中心孔４
ａを前記出力軸の円錐部１ｃに嵌挿してナツト５
により出力軸１と一体回転可能に取付け、また、
フライホイール４の下面には環状のクラツチ片ガ
イド部材６を一体的に突設している。更に、クラ
ツチ片ガイド部材６の外周には環状溝６ａを開設
すると共に、ガイド部材６から半径方向へ張出す
る突起条６ｂをフライホイール４の下面に等間隔
に突設している。

第２図および第３図において、７は遠心クラツ
チで、環体を円周方向に等間隔に分割した複数の
扇形クラツチ片７ａを、スプリング環８により連
結し常態で環体を形成するように構成してあり、
各クラツチ片７ａの外周面にはシユー７ｂが貼着
されている。また、各クラツチ片７ａの内周面に
前記環状溝６ａに対応する環状突起部７ｃを突設
して軸方向の移動を規制すると共に、上面には前
記突起条６ｂに対応するガイド溝７ｄを穿設して
フライホイール４の回転を各クラツチ片７ａへ伝
達するようにしている。そして、この遠心クラツ
チ７は各クラツチ片７ａをスプリング環８に抗し
て半径方向へ拡径させた状態で、前記クラツチ片
ガイド部材６の周囲に嵌着される。

９は上端を開口したクラツチドラムで、このド
ラム９の中心部９ａを前記出力軸の縮径部１ａに
ベアリング１０を介して相対回転自在に接続支持
し、前記遠心クラツチ７に対応させてその周囲に
配装する。また、クラツチドラム９の下面中央部
に従動軸１１を下向きに突設する。

第４図はクラツチドラムに配備したブレーキ装
置の取付状態を示す底面図で、この第４図におい
て、１４はクラツチドラム９に対応してハウジン
グ２（第２図）下面に一端が枢着されたブレーキ
装置を示し、このブレーキ装置１４は常態でスプ
リング１５によりクラツチドラム９に先端部のシ
ユー１４ａが接触するように付勢され、ワイヤケ
ーブル１６をスプリング１５に抗して牽引操作す
ることによりシユー１４ａがクラツチドラム９か
ら離間するようになつており、またワイヤケーブ
ル１６はエンジンのスロツトルバルブの操作用ワ
イヤケーブル（図示せず）と連動して操作され、
エンジンがアイドリング状態でブレーキ装置１４
が働き、スロツトルバルブが開口されてエンジン
の回転数が上昇するとブレーキ装置１４が解除さ
れるようになつている。

次に、上記実施例についてその作用を説明する
と、第２図はエンジンＡのアイドリング状態を示
し、ブレーキ装置１４（第４図）によりクラツチ
ドラム９の回転が規制され、出力軸１が空転して
いる。また、この状態で出力軸１と共に、フライ
ホイール４および遠心クラツチ７が回転している
が、クラツチ片７ａはクラツチドラム９から離れ
ている。ここで、スロツトルバルブ（図示せず）
を大きく開口させてエンジンＡの回転速度を上昇
すると、この操作に連動してブレーキ装置１４が
解除されクラツチドラム９は回転可能になる。そ
して、出力軸１の回転が速くなるにつれて、各ク
ラツチ片７ａがスプリング環８に抗して半径方向
へ拡径してクラツチドラム９に接合連結され、出
力軸１の回転力が従動軸１１に伝達される。な
お、この状態では、出力軸１とクラツチドラム９
とは一体回転するため、ベアリング１０における
相対回転作用はない。

以上説明したように、この考案の遠心クラツチ
は、遠心クラツチをフライホイールに突設した環
状のクラツチ片ガイド部材に半径方向へ拡径可能
に嵌着して遠心クラツチの着脱を止具を一切使わ
ずに行なえるようにしたから、組立や分解作業が
簡単かつ極めて短時間に行なえると共に、定期的
な交換を要するクラツチのシユー交換が容易にな
る。

また、クラツチドラムはエンジンの出力軸にベ
アリングを介して直接的に接続、支持したから、
クラツチドラムを支持するためのハウジングが不
要になり、構造が簡略化されてコストダウンが図
れ、出力軸方向の長さが短くできコンパクトにな
るほか、特にクラツチドラム支持用のハウジング
がないので、クラツチドラムに対するブレーキ装
置の取付けが非常に容易になり、しかもブレーキ
装置を取付けるための構造変更を必要としないの
で、ブレーキ装置を取付けることによるコストア
ツプを小幅に押えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は芝刈機に装着された従来の一般的な遠
心クラツチを示す縦断面図、第２図〜第４図はこ
の考案の遠心クラツチの実施例を示し、第２図は
芝刈機に装着された遠心クラツチの縦断面図、第
３図は遠心クラツチの平面図、第４図はクラツチ
ドラムとブレーキ装置の関係を示す底面図であ
る。 １……出力軸、１ａ……縮径部、１ｂ……雄ね
じ部、１ｃ……円錐部、２……エンジンハウジン
グ、３……ベアリング、４……フライホイール、
４ａ……中心孔、５……ナツト、６……クラツチ
片ガイド部材、６ａ……環状溝、６ｂ……突起
条、７……遠心クラツチ、７ａ……クラツチ片、
７ｂ……シユー、７ｃ……突起部、７ｄ……ガイ
ド溝、８……スプリング環、９……クラツチドラ
ム、９ａ……ドラム中心部、１０……ベアリン
グ、１１……従動軸、１２……フアン、１３……
カツター、１４……ブレーキ装置、１４ａ……シ
ユー、１５……スプリング、１６……ワイヤーケ
ーブル、Ａ……エンジン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環状のクラツチ片ガイド部材を下面に突設した
   フライホイールの中心孔を、エンジンの出力軸に
   嵌挿して取着し、シユーを備えた複数の扇形クラ
   ツチ片をスプリング環により連結して常態で連続
   的に環体を形成するようにしたクラツチを、フラ
   イホイールと一体に形成したクラツチ片ガイド部
   材の周囲に半径方向へ拡径可能に嵌着し、しかも
   前記クラツチ片ガイド部材の外周には環状溝を開
   設し且つ前記クラツチ片ガイド部材から半径方向
   へ張出する突起条を前記フライホイールの下面に
   突設する一方、前記クラツチ片の内周面には前記
   環状溝に係合する環状突起部を突設し且つ上面に
   は前記突起条に係合するガイド溝を穿設すると共
   に、従動軸を下面中央部に突設した上端開口のク
   ラツチドラムの中心部を、前記クラツチに対応さ
   せて前記出力軸端部にベアリングを介して接続支
   持したことを特徴とする小型エンジン用遠心クラ
   ツチ。