JPS6325305Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、空冷式内燃機関の冷却風取入装置に
関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

従来、この種の冷却風取入装置は、大量の冷却
風を導入するため、フアンケースからリコイルス
タータを突き出し、リコイルスタータの帽子状の
蓋部と、蓋部が突き出されたため形成される胴部
との両者から大量の冷却風が取り入れられる構造
になつている。したがつて、大量の冷却風が取り
入れられるため、当該冷却機関を、例えば牧草地
や休耕田などの雑草地で使用されるローンモアや
稲刈バインダーに搭載した場合、リコイルスター
タ内部に柔らかい草や藁くずなどの粉塵、塵埃が
侵入し、長時間機関を使用すれば、藁くずなどが
遠心力により、冷却風取入装置の内壁に大量に堆
積する。これら堆積した藁くず等は、機関を更に
運転し続けると、内壁全面を閉塞することにな
り、機関の冷却機能を著しく損ない、オーバーヒ
ートなどの故障の原因となつていた。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで本考案は、これらの難点を除くために提
案されたもので、簡単な工夫でもつて、信頼性の
高い冷却風取入装置を提供することを目的とし、
その要旨とするところは、フアンケースよりリコ
イルスタータを、冷却風取入部材をスペーサとし
て介在して、突き出して設けた空冷式内燃機関の
冷却風取入装置において、前記冷却風取入部材を
合成樹脂で一体成形し、この冷却風取入部材内
に、フアンと一体になつて回転する多孔製の傘状
防塵体を設け、この傘状防塵体の拡径端を挟ん
で、冷却風取入部材と一体成形した合成樹脂製の
環状リツプ部を設け、この環状リツプ部の底部側
に軸方向の凸部を一体的に延出し、この凸部で傘
状防塵体の拡径部に付着した塵埃をかき取ること
を特徴とする空冷式内燃機関の冷却風取入装置に
ある。

〔実施例〕

本考案の構成を作用とともに添付図面にしたが
つて詳細に説明する。

第１図は、本考案の実施例の断面図を示すが、
クランク軸１の軸端に固着されたフライホイル２
の外側面の外周には、フアン羽根部３が一体的に
延出されている。フライホイル２の外側面内周で
は、リコイルスタータＢを内側より支持するドラ
ム４の底面を当接した状態で、複数本のドラム支
柱パイプ５を通した固定ボルト６により、フライ
ホイル２にドラム４が固着されている。ロープド
ラム７のボス８を、ドラム４の開口端において、
ロープドラム７の軸芯とクランク軸１の軸芯とを
一致させた状態で、支持片９にて支持固定してい
る。したがつて、ロープドラム７の回転はそのま
まクランク軸１の回転となるようにしている。

ドラム４の開口側外周には、小径円筒部１０を
有する傘状防塵体１１を嵌合固着している。傘状
防塵体１１は、パンチングメタルからなり全面に
多数の細孔１２をあけており、しかも、傘状の傾
斜部１１′を形成しているので、冷却風用の細孔
１２が多くあけられ、冷却風の通過面積を大とす
るとともに、回転防塵体１１が高速回転すること
と相俟つて、侵入した藁くずなどが遠心力によつ
て払い落とされるようにしている。

冷却風取入部材Ａは、ポリプロピレン材で一体
成形されたもので、第１図に示すように、フアン
ケース１３にリコイルスタータＢを間隔Ｃだけ置
いて突き出して、間隙Ｃにスペーサとして介在さ
せている。その構造は、第２図に示すように、円
周方向に設けた複数個の支柱部１４を囲うように
した環状フイルター素子１５に、スリツトを穿設
して軸方向に複数個並設し、支柱部１４の更に内
径側には環状リツプ１６を環状フイルター素子１
５の一端より延出している。これら支柱部１４に
はそれぞれブツシユ１７を埋設し、ブツシユ１７
に締結ボルト１７′を挿入し、フアンケース１３
の開口部周縁に設けた取付フランジ１８に螺合し
ている。ブツシユ１７はボルト締めによつて冷却
風取入部材Ａの変形防止にしている。１９はボス
部であつて、支柱部１４の間に設け、環状フイル
ター素子１５の補強にしている。

ここで本実施例は、第２図、第３図に示すよう
に、環状リツプ１６の底部側の外周端の１個所に
軸方向の凸部２０を設けている。環状リツプ１６
と環状フイルター素子１５とで形成された環状空
間２１に、傘状防塵体１１の大径部に延出された
筒体２２を突入介在させて、冷却風が環状フイル
ター素子１５のスリツトより内部に直接吸引され
るのを防ぎ、いわばラビリンスシールの機能をも
たせ、藁くず等の侵入を極力防いでいる。

かかるラビリンスシールの機能を果たす構造に
しているが、機関が塵埃の多い所で長時間運転さ
れると、傘状防塵体１１の機関側においても塵埃
が堆積するようになる。したがつて、環状リツプ
１６の凸部２０でもつて、堆積された塵埃をスク
レープし、または切断し、飛散させることによ
り、これを機関の冷却フイン間を素通りさせ、機
関外部に放出させる。すなわち、傘状防塵体１１
はフライホイル２と一体で高速回転するが、凸部
２０は静止しているので、傘状防塵体１１に堆積
された塵埃に対し、凸部２０がカツターの機能を
果たし、藁くずを切断したり、塵埃をかき取つた
りする。

〔考案の効果〕 傘状防塵体の大径部が、冷却風取入部材と、
環状リツプの底部側に設けられた軸方向の凸部
でもつて挟まれているので、傘状防塵体に堆積
された塵埃はスクレープされて持ち上げられ、
機関を素通りし外部に放出することができる。

形状複雑で部品点数も多い冷却風取入部材を
合成樹脂で一体成形し、更に、環状リツプ部や
凸部とも一体成形しているので、部品点数が大
巾に削減でき、しかも生産のための加工工数、
殊に、溶接工数が大巾（従来の1/5）に低減で
き、部品単価が安価にできる。

冷却風取入部材は、冷却風を取入れるため、
その取入口が開口しており、しかもリコイルス
タータの取付支持を一部担持しているので、強
度を持たせる必要があるが、冷却風取入部材と
環状リツプおよび凸部とを一体成形したので、
補強の必要が満たされる。

回転防塵体の拡径端と環状リツプ部とで形成
するラビリンスシールの空間は、狭小であつ
て、機関組付の際、細心の注意を必要とし、部
品の精度も高くなければならないが、リコイル
スタータをフアンケースへ組付の際のみ精密に
すればよいので、その作業が簡素化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の断面図、第２図は第
１図における冷却風取入部材のａ〜ａ断面図、第
３図は第２図のｂ〜ｂ断面図を示す。 Ａ……冷却風取入部材、Ｂ……リコイルスター
タ、１１……傘状防塵体、１３……フアンケー
ス、２０……凸部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フアンケースよりリコイルスタータを、冷却風
   取入部材をスペーサとして介在して、突き出して
   設けた空冷式内燃機関の冷却風取入装置におい
   て、 前記冷却風取入部材を合成樹脂で一体成形し、
   この冷却風取入部材内に、フアンと一体になつて
   回転する多孔製の傘状防塵体を設け、この傘状防
   塵体の拡径端を挟んで、冷却風取入部材と一体成
   形した合成樹脂製の環状リツプ部を設け、この環
   状リツプ部の底部側に軸方向の凸部を一体的に延
   出し、この凸部で傘状防塵体の拡径部に付着した
   塵埃をかき取ることを特徴とする空冷式内燃機関
   の冷却風取入装置。