JPS6324101Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は、醗酵槽上を移動自在とした移動撹拌
体の撹拌用羽根で醗酵槽内に投入されている肥料
用等の畜糞を撹拌し、好適な畜糞の醗酵、撹拌が
できるようにした畜糞醗酵撹拌装置に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 畜糞を醗酵処理する場合には、畜糞中の好気性
菌が活発に活動するように約75〜85％程度の水分
を約50〜60％程度に水分調整しなければならな
い。そこで、従来の畜糞醗酵撹拌装置は、例え
ば、実開昭58−36995号公報に記載されている畜
糞醗酵乾燥機の如く、畜糞の醗酵、乾燥を行うた
めの適宜熱源装置を備えた。そのため、装置自体
が複雑となり、故障し易く、また、装置を大型化
し難く、畜糞の醗酵撹拌処理能力が低い等の問題
点を有していた。

［考案の目的］ そこで本考案は、適宜熱源装置を設けなくて
も、畜糞の撹拌だけでその水分調整を行つて、好
適な醗酵、乾燥を行うと共に、畜糞を細かく破砕
し、更に、構成の簡素化を図り、故障等が生じ難
いようにし、しかも、畜糞の醗酵撹拌処理能力を
高めること等を目的とする。

［考案の概要］ 前述の目的を達成すべく、本考案は、醗酵槽の
左右側壁の上部に夫々配設されたレール上を移動
自在な移動撹拌体を構成し、この移動撹拌体に
は、その移動方向に対して直交し且つ水平に配設
される回転軸により回転して醗酵槽内に投入され
ている畜糞を撹拌させる撹拌用羽根を設け、この
撹拌用羽根は、略中空三角柱状に形成される基部
と、長櫛片、短櫛片を適宜間隔で交互に配設して
なる櫛部とで構成され、櫛部は、基部の各周壁接
合部から一方の周壁を夫々延長したように突設さ
れ、この櫛部で畜糞の撹拌が行えるように形成し
たことを要旨とする。

［考案の実施例］ 以下、本考案の一実施例を図について説明す
る。

本考案の畜糞醗酵撹拌装置は、醗酵槽Ｂの左右
側壁Ｂ１の上端に夫々配設したレールＢ２の上を
移動撹拌体Ａが移動しながら醗酵槽Ｂ内に投入さ
れて堆積している畜糞Ｃを移動撹拌体Ａの撹拌用
羽根２０で撹拌できるように構成したものであ
る。

前記移動撹拌体Ａは、撹拌用羽根２０を回転さ
せるための撹拌機構Ａ１と、移動撹拌体Ａをレー
ルＢ２に沿つて移動させるための移動機構Ａ２
と、撹拌用羽根２０での撹拌を行わないとき撹拌
用羽根２０を上方に揺動させるための羽根揺動機
構Ａ３とを備えている。

そして、撹拌機構Ａ１は、基台１に固定されて
いる撹拌用モーター１０の駆動回転力がスプロケ
ツトホイール１０ａ、チエーン１１、スプロケツ
トホイール１２を介してシヤフト１３に伝達され
てこれを回転せしめ、このシヤフト１３の回転力
がスプロケツトホイール１４、チエーン１５、ス
プロケツトホイール２４、シヤフト２５を介して
撹拌用羽根２０に伝達されてこれを回転できるよ
うに構成してある。尚、撹拌用羽根２０は、その
上端部分が軸受１６ａを介してシヤフト１３に揺
動自在に軸支されている羽根支持アーム１６の下
端部分の軸受１６ａにシヤフト２５を介して回動
自在に軸支されている。

ところで、撹拌用羽根２０は、矩形状基板２１
ａの一方の長辺に、略細長矩形状の長櫛片２１ｂ
とこの長櫛片２１ｂより短い略細長矩形状の短櫛
片２１ｃとを適宜間隔で交互に延設してなる羽根
用櫛板２１を形成する。そして、この羽根用櫛板
２１三枚を、夫々の基板２１ａで三角筒を構成す
るように相互に固着せしめ、この三角筒の両開口
部分に正三角形状の側板２２を夫々固着して構成
されている。尚、基板２１ａと側板２２とで略中
空三角柱状に構成される部分が撹拌用羽根２０の
基部となり、この基部の各周壁接合部から突出す
る長櫛片２１ｂと短櫛片２１ｃとで構成される部
分が撹拌用羽根２０の櫛部となり、この基部や櫛
部の大きさ、形状等は図示例等に限定されること
なく適宜自由に設定できる。図中２３は、側板２
２、更にはシヤフト２５にも固着されるプツシユ
である。

また、三ケ所の櫛部に於ける長櫛片２１ｂと短
櫛片２１ｃの位置は、撹拌用羽根２０の回転方向
に於いて、長櫛片２１ｂと短櫛片２１ｃとが適宜
組合せられるように構成して、畜糞Ｃを深さ方向
に於いて満遍なく撹拌できるようにしても良い。
或いは、三ケ所の櫛部に於ける長櫛片２１ｂと短
櫛片２１ｃの位置を回転軸方向に僅かづつズラせ
て畜糞Ｃを回転軸方向に於いて満遍なく撹拌でき
るようにしても良く、その他適宜自由に設定でき
る。

前記移動機構Ａ２は、移動用モーター３０の駆
動回転力を、複数組のプーリとベルトとで構成さ
れる減速手段３１を介してウオーム減速器３２に
伝達し、このウオーム減速器３２で更に減速され
た回転をスプロケツトホイール３２ａ、チエーン
３３、スプロケツトホイール３４ａ、シヤフト３
４、スプロケツトホイール３４ｂ、チエーン３
５、スプロケツトホイール３６、車輪軸３７を介
して基台１後方下部に回動自在に軸支されている
移動用駆動車輪３８に伝達して、移動撹拌体Ａが
レールＢ２上を移動できるように構成してある。
尚、図中３９は基台１前方下部に回動自在に軸支
してある移動用車輪である。

また、前記羽根揺動機構Ａ３は、揺動用モータ
ー４０の駆動回転力を、プーリ４０ａ、ベルト４
１、プーリ４２，４３、シヤフト４４，４５を介
してワイヤープーリー４６，４７に夫々伝達し、
このワイヤープーリー４６，４７で夫々巻取り可
能な巻上げワイヤー４８を介して撹拌用羽根２０
が軸支されている羽根支持アーム１６夫々を上方
に揺動できるように構成したものである。そし
て、この羽根揺動機構Ａ３は、撹拌用羽根２０に
よる畜糞Ｃの撹拌を行わないで移動撹拌体Ａを移
動させるときに作動させて、撹拌用羽根２０を上
方に揺動させておくようにする。

本考案は以上の如く構成されており、次に、そ
の使用について説明すると、先ず、畜糞Ｃを醗酵
槽Ｂ内にシヨベルカー等によつて適宜投入する。
そして、移動撹拌体Ａを移動機構Ａ２によつて適
宜スピードで移動させると同時に、撹拌機構Ａ１
によつて撹拌用羽根２０を回転させて畜糞Ｃを撹
拌させながら畜糞Ｃを移動撹拌体Ａの移動方向へ
と順次移送させる。この作業を適宜回数繰り返し
行うことで、畜糞Ｃの水分調整を行うと共に、醗
酵、乾燥を行う。

［考案の効果］ 従つて、本考案に係る畜糞醗酵撹拌装置は、醗
酵槽Ｂの左右側壁Ｂ１の上部に夫々配設されたレ
ールＢ２上を移動自在な移動撹拌体Ａを構成し、
この移動撹拌体Ａには、その移動方向に対して直
交し且つ水平に配設される回転軸により回転して
醗酵槽Ｂ内に投入されている畜糞Ｃを撹拌させる
撹拌用羽根２０を設け、この撹拌用羽根２０は、
略中空三角柱状に形成される基部と、長櫛片２１
ｂ、短櫛片２１ｃを適宜間隔で交互に配設してな
る櫛部とで構成され、櫛部は、基部の各周壁接合
部から一方の周壁を夫々延長したように突設さ
れ、この櫛部で畜糞Ｃの撹拌が行えるように形成
したので、畜糞Ｃを満遍なく撹拌できると共に、
畜糞Ｃを細かく破砕でき、適宜熱源装置を設けな
くても、撹拌用羽根２０による畜糞Ｃの撹拌だけ
でその水分調整が確実に行え、畜糞Ｃの好適な醗
酵、乾燥を促進できる。更に、装置自体の構成の
簡素化が図れ、故障等が発生し難くなり、しか
も、畜糞Ｃの醗酵槽Ｂ内への投入が容易となり、
畜糞Ｃの醗酵撹拌処理能力も高いものとなる。

特に、長櫛片２１ｂと短櫛片２１ｃとを適宜間
隔で交互に配設してなる櫛部で畜糞Ｃを撹拌する
ので、畜糞Ｃ内の水分量が多くて撹拌時の抵抗が
大きくても、櫛部自体にはそれほど撹拌時の抵抗
がかからず、強力な力を要さずに畜糞Ｃの撹拌が
行え、撹拌用モーター１０への負荷が少なくて済
む。しかも、堆積している畜糞Ｃは、長櫛片２１
ｂと短櫛片２１ｃとで抉り取られるようになり、
畜糞Ｃを細かく破砕できると共に、十分な撹拌が
行え、水分の蒸発を促進することができる。

更に、撹拌用羽根２０の基部を略中空三角柱状
としたので、畜糞Ｃの撹拌中に於ける基部での抵
抗が少くて済み、前述の櫛部の効果と相俟つて撹
拌用モーター１０への負荷が小さく、動力源の小
型化も可能となる。

また、長櫛片２１ｂと短櫛片２１ｃとで抉り取
られる畜糞Ｃは、その回転によつて飛散し、しか
も、長櫛片２１ｂで抉り取られる畜糞Ｃと短櫛片
２１ｃで抉り取られる畜糞Ｃとでは、その長さの
違いによつて飛散距離が異なり、醗酵槽Ｂ内全体
の畜糞Ｃが良く混り合い、均一な撹拌状態が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は移動
撹拌体の概略斜視図、第２図は全体装置の一部切
欠正面図、第３図は同じく縦断側面図、第４図は
移動撹拌体の概略平面図、第５図は要部の一部切
欠斜視図である。 Ａ……移動撹拌体、１……基台、Ａ１……撹拌
機構、１０……撹拌用モーター、１０ａ……スプ
ロケツトホイール、１１……チエーン、１２……
スプロケツトホイール、１３……シヤフト、１４
……スプロケツトホイール、１５……チエーン、
１６……羽根支持アーム、１６ａ……軸受、２０
……撹拌用羽根、２１……羽根用櫛板、２１ａ…
…基板、２１ｂ……長櫛片、２１ｃ……短櫛片、
２２……側板、２３……プツシユ、２４……スプ
ロケツトホイール、２５……シヤフト、Ａ２……
移動機構、３０……移動用モーター、３１……減
速手段、３２……ウオーム減速器、３２ａ……ス
プロケツトホイール、３３……チエーン、３４…
…シヤフト、３４ａ……スプロケツトホイール、
３４ｂ……スプロケツトホイール、３５……チエ
ーン、３６……スプロケツトホイール、３７……
車輪軸、３８……移動用駆動車輪、３９……移動
用車輪、Ａ３……羽根揺動機構、４０……揺動用
モーター、４０ａ……プーリー、４１……ベル
ト、４２……プーリ、４３……プーリ、４４……
シヤフト、４５……シヤフト、４６……ワイヤー
プーリー、４７……ワイヤープーリー、４８……
巻上げワイヤー、Ｂ……醗酵槽、Ｂ１……側壁、
Ｂ２……レール、Ｃ……畜糞。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 醗酵槽の左右側壁の上部に夫々配設されたレー
   ル上を移動自在な移動撹拌体を構成し、この移動
   撹拌体には、その移動方向に対して直交し且つ水
   平に配設される回転軸により回転して醗酵槽内に
   投入されている畜糞を撹拌させる撹拌用羽根を設
   け、この撹拌用羽根は、略中空三角柱状に形成さ
   れる基部と、長櫛片、短櫛片を適宜間隔で交互に
   配設してなる櫛部とで構成され、櫛部は、基部の
   各周壁接合部から一方の周壁を夫々延長したよう
   に突設され、この櫛部で畜糞の撹拌が行えるよう
   に形成したことを特徴とする畜糞醗酵撹拌装置。