JPS6324098B2 - - Google Patents

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JPS6324098B2
JPS6324098B2 JP2912780A JP2912780A JPS6324098B2 JP S6324098 B2 JPS6324098 B2 JP S6324098B2 JP 2912780 A JP2912780 A JP 2912780A JP 2912780 A JP2912780 A JP 2912780A JP S6324098 B2 JPS6324098 B2 JP S6324098B2
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heat treatment
temperature
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false
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JP2912780A
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Takao Negishi
Teisuke Kojima
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Toray Industries Inc
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ポリエステル系マルチフイラメント
糸からなる縫製に適した特殊な糸の製造方法に関
する。
従来、縫製に供される合成繊維糸については各
種のものが知られており、紡績糸から成る糸や仮
撚捲縮加工されてなる糸がその顕著な例であろ
う。
しかしながら、このような従来から縫製に供せ
られていた糸には、実際の縫製に際して不適当な
点もあり具体的には不都合も多かつたものであ
る。例えば、紡績糸は太さ斑を本質的に保有して
いるため、糸強力の変動が大きく縫製時の糸切
れ、縫製品の美しさ等において劣りがちである。
一方、通常の仮撚捲縮加工糸の場合は、なぜか紡
績糸よりも縫いにくく、一般には、縫製に供され
る糸には毛羽がある方が良いとされている。
上記のような点に鑑み、本発明者らは種々検討
を重ねた結果、縫製に最も適した糸とは、実際上
縫いやすくかつ縫い上がりが美しい糸であり、ひ
いては縫製品の仕上がりを美しくするものであ
る、特に、縫いやすさに関しては、トルクが極め
て小さくかつ同時に集束していてさらに毛羽ない
しは毛羽様の突出繊維構造が存在する糸である、
との知見を得たものである。このような糸は根本
的に前述の如く、紡績糸使いでは実現し難く、ま
た通常の仮撚捲縮加工糸使いでもトルクの点や突
出繊維構造の点で不十分であり概して実現は至難
である。特に本発明者らの知見によれば、通常の
仮撚捲縮加工糸の保有するトルクは、縫製にとつ
ては不都合を招くばかりで全く不要であり、かつ
また場合によつては仮撚捲縮特性・構造自体も縫
製にとつては無意味・不要なものである。
本発明の目的は、上記のような点に鑑み、ポリ
エステル系マルチフイラメント糸を用い、基本的
なる機械的繊維加工方式としては仮撚加工を利用
してなるものであるが、従来技術では到底得るこ
とのできなかつた縫製に極めて適した特殊な糸を
簡便かつ合理的に製造する方法を提供せんとする
ものである。
かかる目的は、ポリエステル系マルチフイラメ
ント糸を、下記(a)式を満足する温度関係にて前熱
処理した後、加撚―加熱―解撚の仮撚加工および
流体噴射処理加工に供することにより糸軸方向に
沿つて間歇に構成フイラメント相互が交絡してい
るとともに糸軸から突出したフイラメント部分が
多数形成された糸構造となさしめ、次いで該糸に
下記(b)式を満足する温度関係にて不足連続供給に
よる乾熱緊張後熱処理を施すことを特徴とする縫
製に適した特殊な糸の製造方法とすることによつ
て達成される。
(前熱処理の温度(℃)) ≧(仮撚加工の加熱温度(℃)+20(℃))
………(a) (乾熱緊張後熱処理の温度(℃)) ≧(仮撚加工の加熱温度(℃)+15(℃))
………(b) 上記の方法で得られた糸は、適宜該糸の単糸の
状態で、あるいは実質的に同一の単糸複数本等の
糸使いで適宜撚り合わせた2子や3子などの合撚
糸等の状態で、縫製用の糸とされるものである。
以下、さらに詳しく本発明の縫製に適した特殊
な糸の製造方法について説明をする。
縫製に供せられる糸においてトルクが存在する
と、該糸が布を通過する際通過前の糸部分に該糸
自身が撚玉を作り縫いにくい、糸をたるませると
ビリが発生して縫いにくい、ミシン縫いでは特に
目飛びする、剣先による糸切れが増える、その他
パーツと糸のからみによる糸切れが増える等、数
多くの欠陥があるものである。
しかして、従来の技術においては、以下の(1)〜
(5)項に列記する如きトルクを減じさせる種々の方
策が仮撚加工糸の一般的な処理法としてとられて
いたものであるが、それぞれ工業的に一般的にみ
てもおよび縫製に供せられる糸としてみた場合に
もマイナスの面も多かつた。
すなわち、 (1) 互いのトルクを相殺さすべくS仮撚糸とZ仮
撚糸とを引揃えて交絡させ見かけ上単糸として
なる糸。この糸は、トルクを全く持たないもの
とし得ることができ優れているが、製造に際し
工程が著しく煩雑でかつ製造費用が高くつくと
いうマイナス面を避け得ない。
(2) 仮撚加工された糸を、乾燥や湿熱により再度
熱処理に供してトルクを減じてなる糸。一般的
にこの方式による加工糸はよく知られている
が、従来の上記再度熱処理においてはおのずか
らトルクを減少せしめるにも限界があり、通常
とられている条件範囲内では、いかように条件
設定しても縫製用糸としては不十分なものであ
つた。つまり、糸の強さ、糸の低張力時の伸び
にくさおよび繊維の捲縮等を同時に維持するこ
とも目的であつたから、仮撚加工後の高温熱処
理又は/及ひ緊張熱処理は考えられなかつた。
(3) 追撚方式による糸。この方法では、トルクを
見かけ上ある一つの状態下においてたとえば無
張力状態でゼロにすることは可能であるが、熱
処理をしたり、張力を付加したりさらにその張
力を解舒したりすると、トルクが発現し存まし
くはないものである。これは、仮撚のトルクと
実撚のトルクの特性が異なるためである。
(4) 双糸構造と特にする場合には、単糸にトルク
がない場合下撚と上撚をバランスさせて満足の
いくものを得る方法がとれるものである。した
がつて、上記(1)項の見かけ上の単糸を用いた双
糸であれば良いものが得られるわけであるが、
上記(1)項記載のマイナス面以上の、工程が複雑
なかつ製造費用の高くつくものとなる。また、
3子構造又はそれ以上あるいは下撚、中撚、上
撚を持つ構造等とした場合も同様である。
(5) 仮撚トルクを有する糸複数本の糸使いで該仮
撚トルクと下撚と上撚の3者をバランスさせる
方法も可能であるが、上記(3)項記載と同様の不
都合がある。
本発明者らは、ポリエステル系マルチフイラメ
ント糸を用い、加撚―加熱―解撚の仮撚加工工程
に加えて、該仮撚加工前において前熱処理工程を
特になすようにし、さらに該仮撚加工後の適宜な
時点で後熱処理をなすようにし、かつこれら処理
の条件をうまく組合わせてなすことにより、仮撚
加工された加工糸であるにもかかわらず、該糸の
旋回能が従来法における上記の如き複雑な処置等
を経なくとも大幅に減失された加工糸を得ること
に成功したものであり、さらに同時に該仮撚加工
と流体噴射処理とをうまく組合せることにより、
糸中に突出繊維構造が強固に形成・固定されてい
るとともに適度な集束性が付与されているという
極めて縫製に適した加工糸を得ることに成功した
ものであり、本発明は、旋回能が著しく小さい糸
を実現するという思想とともに、前述の如く縫製
に最も適した糸とは、集束していてさらに突出繊
維構造が存在する糸であるとの観点から、突出繊
維構造の形成機構自身には仮撚加工を旋されたフ
イラメントの保有する捲縮発現能・旋回能を利用
するのがよいとの特異な知見に基づいてなされた
ものである。
なおただし、本発明の方法において、突出繊維
構造の形成機構については、上記の如くの捲縮発
現能・旋回能を利用するものに必ずしも限定され
るものではない。
以下、さらに詳細に説明をすると、本発明の方
法はその最も好ましくかつ合理的な工程プロセス
例として、特殊な仮撚加工工程とそれに続く弛緩
処理によつて該仮撚加工にて付与されるフイラメ
ントの捲縮発現能・旋回能に基づき突出したフイ
ラメント部分を多数形成せしめ、さらに続いて流
体交絡処理により構成フイラメント相互が交絡し
ている糸部分と交絡していない糸部分とを糸軸方
向に沿つて交互に形成せしめ適度な集束性を付与
するものであるが、かかる工程に組合せて、仮撚
加工工程前において特別なる前熱処理と、仮撚加
工工程後において特別なる乾熱後熱処理のそれぞ
れを、該仮撚加工に際しての仮撚熱固定効果と特
殊な相対関係になる如き熱処理効果のもとで施す
ものである。
かかる製造プロセスの特徴点は、縫製に最適な
る糸として、突出繊維構造の形成機構を仮撚加工
によつて付与されるフイラメントの捲縮発現能・
旋回能に因るものとし、さらに上記の間歇交絡を
達する交絡処理にて該糸に集束性を与えると同時
に該交絡により突出フイラメント部分を束縛固定
するようにし、引続き、このようにして突出フイ
ラメント部分が糸中に強固に多数形成されてなる
糸に、強度の後熱処理を施すことによつて仮撚の
効果を実質上大幅にかつ容易に減失させることが
可能になるように、予め仮撚加工の前工程として
特別なる前熱処理を施しておくよう構成するとと
もに、かつそのように仮撚の効果を実質上大幅に
減失させ得る特別なる後熱処理を施すことによ
り、前記した通りの縫製に最適なる糸構造とする
ことにある。
本発明において、仮撚加工の加熱温度条件と該
仮撚加工の前工程たる前熱処理の温度条件、該仮
撚加工の後工程たる乾熱後熱処理の温度条件の3
者の条件の適切なる設定が重要であり、該前熱処
理は、後熱温度によつての仮撚効果の減失がより
なされやすくなるように、さらに、乾熱後熱処理
の条件は、該処理により仮撚効果が十分に減失さ
れ得るようにすることが必要であり、少なくとも
それぞれ、後工程たる仮撚加工工程の熱固定効果
よりも高い熱処理効果を有する強度の前熱処理、
前工程たる仮撚加工工程の熱固定効果よりも高い
熱処理効果を有する強度の乾熱後熱処理とするこ
とが必要であり、前記(a)式および(b)式の関係を少
なくとも満足することが必要であり、かつ該乾熱
後熱処理を不足連続供給(アンダーフイードの連
続供給)による緊張状態下で行なうようにする必
要があり、該後熱処理温度と仮撚加熱温度とは一
般にその差が大きいほど効果的である。
本発明において前熱処理は乾熱でなされるもの
であるが、糸の強力・伸びにくさや熱収縮等の熱
的性質を安定化せしめるに顕著な効果があり、後
工程たる仮撚加工工程にて糸に付与される仮撚加
工の効果、それも該前熱処理よりも低温で行なわ
れる仮撚加工の効果(トルクや捲縮)をより一層
一時的なものとして、後の熱処理により該仮撚加
工の効果を容易に減失可能になさしめるものであ
る。
前熱処理温度(℃)が仮撚加工の加熱温度
(℃)よりも20℃以上高くないものや、あるいは
両者の温度関係の大小が上記の関係と逆転してな
るものは上記の如き効果がほとんど期待できず好
ましくない。
緊張後熱処理の温度(℃)は、仮撚加工の加熱
温度(℃)+15(℃)の値以上とする必要があり、
このようにしないと仮撚加工効果の大幅な減失効
果は期待できない。また前熱処理、乾熱緊張後熱
処理は、より有効に仮撚加工効果の減失効果を発
揮するために、乾熱緊張後熱処理の温度(℃)≦
前熱処理の温度(℃)の関係を満足するように設
定することが望ましい。該前熱処理の温度は、一
般に210℃以上とするのがよく、また該仮撚加工
における加熱温度の下限については、一時的なも
ので十分なわけであるにしろフイラメントに少な
くとも効果的な捲縮発現能・旋回能を与える必要
があることから、本発明者らの知見によれば、少
なくとも150℃以上とするのがよく、実際の加工
に際しては該後熱処理温度・湿熱処理温度との組
合せで適宜該仮撚加工の加熱温度を定めればよ
い。
該乾熱後熱処理に際しては、熱処理効果の点で
は、捲縮を露顕せしめて熱処理する弛緩熱処理
と、捲縮を露顕せしめず熱処理する緊張熱処理の
いずれでもあまり差がないものではあるが、得ら
れる糸の強力や伸びにくさ等を実現せしめるため
にアンダーフイードによる緊張熱処理とすること
が重要であり、また該処理温度は210℃以上とす
るのが好ましい。
上記プロセス例について具体的に説明をすると
ポリエステル系マルチフイラメント糸を、前熱処
理後、加撚―加熱―解撚の仮撚加工し、次いで間
歇交絡作用を達する流体噴射交絡装置にて処理す
る。仮撚加工の加熱温度は、前述の如く前熱処理
の温度よりも20℃以上低く設定する。未延伸糸を
供給原糸として用い延伸加工の後、本発明の工程
に供せんとする場合には、上記前熱処理を該延伸
加工の後に連続してなすように構成するのが実用
的であり好ましい。
突出フイラメント部分は主に、該仮撚後、弛緩
すること、簡便には仮撚加工の引取後流体噴射交
絡装置へ高いオーバーフイードで供給し、該流体
噴射交絡装置の上流側で弛緩状態が形成せしめら
れることによつて、フイラメントの捲縮発現能・
旋回能によりフイラメント自ずから多数の突出フ
イラメント部分を形成し、その後の前述間歇交絡
処理によつて該突出フイラメント部分が束縛固定
されることによつて強固なものとして形成される
ものである。このようにして形成された突出フイ
ラメント部分は、フイラメントの切断端として形
成されてなるものではなく、基本的にはあくまで
も連続フイラメントにおける一部分として形成さ
れてなるものであり、前記の間歇交絡によつて、
糸中においてズルズルと移動等することのないよ
うに固定されることになる。該突出したフイラメ
ント部分の形状は、弓状、環状または撚られた形
状等の1種の形態であるかあるいはこれら複数種
混在の形態である。このようにして得られる加工
糸は、突出フイラメント部分を有しているにもか
かわらず全ての構成フイラメント繊維は本質的に
実質的には等長であり、このようにしたことによ
り、間歇交絡の効果に加えて更に一層突出フイラ
メント部分がシゴキ作用等の外的力によつてズル
ズルと移動することをほとんどなくすることがで
き、ネツプ等を発生することも少なく、かつ糸と
しても構成フイラメント強力利用率を著しく高い
ものとしている。
上記のプロセスにおいて、突出したフイラメン
ト部分を形成するフイラメントの捲縮発現能・旋
回能は仮撚加工の条件に左右されるが、主として
仮撚数の影響が大きいものである。仮撚数が少な
いと捲縮形態が大きくなり大きな突出フイラメン
ト部分を形成するが同時に捲縮発現能・旋回能が
弱まり、仮撚数がさらに少ないと突出フイラメン
ト部分をほとんど形成しなくなる。逆に、仮撚数
が多いと捲縮発現能が強まるが捲縮形態が細かく
なり、突出フイラメント部分が細かく形成され、
ひいては突出フイラメントと言える部分を全く形
成しなくなるのであり、通常のウーリー加工糸の
製造において適用されるような仮撚数がこの突出
フイラメントと言える部分を形成し得ない範囲の
仮撚数に一般に該当する。したがつて、仮撚数は
通常のウーリー加工糸の製造における仮撚数より
も若干低めに設定をするとよい。本発明者らの知
見によれば、突出フイラメント部分は好ましく形
成する仮撚数T(回/m)の範囲は、 2000<T・(D/ρ)1/4<7000 の範囲のようであり、ここでDは仮撚加工される
ポリエステル系マルチフイラメント系のデニール
数、ρは繊維の比重である。また、突出フイラメ
ント部分を現出させるための弛緩状態は、弛緩率
にして、前記の如く仮撚加工の引取後流体噴射交
絡装置へ高いオーバーフイードで供給し簡便に行
なわんとする態様では、 4<{(V1/V2)−1}×100<20 で表わされる範囲内とするのがよいようであり、
ここでV1は仮撚加工の引取速度、V2は交絡処理
の引取速度である。仮撚加工後、弛緩状態を形成
するゾーンを、流体交絡処理ゾーンと引取りロー
ラで区分するときには、該弛緩状態ゾーンでは上
記の式に準じて4%及至20%のオーバーフイード
とするようにすればよい。これら以外の工程系に
て弛緩状態ゾーンを形成せしめる場合にも基本的
には上記の弛緩率ないしはオーバーフイード率の
範囲に準じて構成をするとよい。
またなお、上記プロセスにおいて仮撚付与後、
流体処理前・中・後等の適宜の時点においてドラ
フトをして糸の緊張を与えることもでき、このよ
うな緊張作用を与えることによつても突出フイラ
メント部分の発生個数、大きさ等を調整すること
ができる。たとえば、仮撚付与後かつ弛緩前にい
つたん緊張を施す場合には、形成される突出フイ
ラメント部分の数は、該緊張をしない場合に比べ
て多数かつ細かくすることができる。また、流体
交絡処理中や該処理下流直後に糸がドラフト作用
を受けるようにした場合には、突出フイラメント
部分のうちでも弱いものは消え、強いものが選択
されて残ることになり、特に抗張力性の高いもの
とすることができる。
上記のような工程を経ることにより突出フイラ
メント部分が形成・固定されてなる加工糸は、本
発明のうちでも他の方式、例えば構成単糸を2本
のマルチフイラメント糸で形成し、そのうち1本
をオーバーフイードとし適宜、仮撚加工や流体交
絡処理加に供し、該オーバーフイード側のフイラ
メントにより突出フイラメント部分を形成せしめ
る如き方式よる糸よりもネツプの点や構成フイラ
メントの強力利用率の点ですぐれたものである。
本発明において突出フイラメント部分の形成機
構としていずれの方式によるものであるにしろ、
本発明者らの知見によれば、突出フイラメント部
分が糸1m当たり200個程度以上数えることので
きるものにすれば効果的である。該多数の突出フ
イラメント部分は、対縫針、対ガイド等の対金属
その他物質との摩擦係数を少なくし可縫性を著し
く向上せしめ、結局、フイラメントからなる本発
明により得られる糸に紡績糸の性能と外観を供与
することになる。
また、交絡部分の数は、40個/m程度以上とす
るのがよく、交絡していない部分の長さは約15mm
以下程度とするのがよいようである。
上述したような工程で得られる糸軸方向に沿つ
て間歇に構成イラメント相互が交絡しているとと
もに糸軸から突出したフイラメント部分が多数形
成されてなる加工糸は、既に述べた通りの乾熱に
よる後熱処理を施される。
このような乾熱後熱処理により前工程たる仮撚
加工の効果は実質上大幅に減失せしめられる。上
記の如く仮撚の効果(特に仮撚によつて付与され
たトルク)が大幅に減失せしめられた糸は、該糸
を単糸とし同一単糸複数本を撚り合わせて2子
撚、3子撚等の合撚子とする場合においても縫糸
として優れたものとすることができる。本発明に
おいては、かかる合撚糸となす場合でも、特にS
仮撚糸とZ仮撚糸とを適宜組合わせて該合撚糸と
する等の配慮は特には不要であり、実質的に同等
の加工糸単糸をそのまま複数本用いて合撚糸とす
ればそれでよいものであり、かかる点も本発明の
特徴の一つと言える。
本発明者らの知見によれば、該後熱処理を施さ
れた糸は、単糸において又は合撚糸とした後にお
いて縫糸が断続的な張力を受ける縫製過程におい
て無張力状態で縫糸の旋回能が高いと不都合が起
こるとの観点から、 糸を周長1mの一重の輪として、該糸と同じ
糸でつるした状態(モデル図を第1図Aに示し
た。1が周長1mの一重の輪をなす試料糸であ
り、2が該輪をつるす試料糸と同じ糸であ
る。)、 さらに該輪に対して、糸のデニール数×2グ
ラム=W(グラム)で算出される荷重Wをかけ
た状態(モデル図を第1図Bに示した。3がW
の荷重であり、該荷重も試料糸と同じ糸2′を
用いてかけられる。)、 さらに引続いて、該Wの荷重を除去した状態
(モデル図を第1図Cに示した。)、 の試験過程における無張力状態(第1図A)と荷
重除去後の無張力状態(第1図C)の2つの状態
において、該輪の自由静止撚数(旋回回転する
数)が概してほぼ4回以下という極めて小さい旋
回能を示す。本発明者らの知見によれば、このよ
うな糸は、従来のいかなる糸に比較しても縫製に
際し極めて優れた糸と言えるものであり、かつコ
スト的にみても製造工程的にみても大幅な増大等
招くことのない極めて合理的なものである。
上記〜に記載した試験過程において、、
のいずれか一方の状態下でも、大きな自由静止
撚数を示すものは縫製に適しているとは概して言
い難い。
上記した通りの本発明の方法により得られた糸
は、適宜必要に応じて仕上処理等を施され縫製に
供される。特に合撚糸としてなるものは仕上熱処
理を施すのがよい。
以上述べた通りの本発明方法による糸は、従来
知られているいかなる糸に比較しても、縫製用の
糸として優れた特徴を有効に発揮するものであ
る。特に本発明における、前熱処理と乾熱緊張後
熱処理を加えたことによる格別な効果としては、
糸の太さ変化が少なく、また突出フイラメント部
分が均一に形成されかつ安定して固定される点に
あ。
なお、本発明の方法は、突出フイラメントの形
成機構としてフイラメント自身の旋回能・捲縮発
現能に因る方式だけに特には限定されるものでは
なく、少なくとも仮撚加工および流体噴射処理加
工を用いた組合せにより、糸軸方向に沿つて間歇
に構成フイラメント相互が交絡しているとともに
糸軸から突出したフイラメント部分が多数形成さ
れてなる加工糸とする如き工程系(たとえば特公
昭53−11585号記載の加工工程系など)のほとん
ど全てにおいて有効に効果を発揮し得るものであ
ることは言うまでもない。
以下、実施例により本発明の縫製に適した特殊
な糸の製造方法の具体的構成・効果について説明
をする。
実施例 ポリエチレンテレフタレート未延伸繊維のマル
チフイラメント未延伸糸から延伸糸を製造する延
伸工適に続いて前熱処理(0.6%のオーバーフイ
ードを与えつつ230℃の熱板に接触走行させる乾
熱処理)を施し、太さ100デニール、フイラメン
ト数36本のマルチフイラメント糸を作つた。
次いで200℃、S1500T/mの仮撚加工を施し、
続いて13.6%弛緩しつつ流体噴射間歇交絡装置に
て交絡処理をし、更に続いて後熱処理(6%のア
ンダーフイード下で230℃の乾熱処理)を施した。
このようにして得られた糸を単糸とする3子撚
糸(下撚S750T/m、上撚Z500T/m)を作り、
次いでチーズ染色機にて、130℃の湿熱処理を施
して縫糸とした。
この縫糸は前記2態様の旋回能がそれぞれS1.0
回/50cm、S2.8回/50cmであり、多数の突出繊維
部分を有しているものであつた。また、縫製に供
したところ優れたものであつた。
比較例 下記するA,B,C3種の糸をそれぞれの単糸
とする3子撚糸(上記実施例と同じく、下撚
S750T/m、上撚Z500T/m)3種をそれぞれ作
り、130℃のチーズ染色による湿熱処理を施して
比較した。
A:ポリエチレンテレフタレート繊維のマルチフ
イラメント延伸糸(100デニール、36フイ
ラメント)(上記実施例の前熱処理を施す
前の延伸糸) B:Aを仮撚加工した糸(215℃、S3000T/mの
仮撚加工条件) C:Bの再熱セツト糸(205℃、18%オーバーフ
イードの再熱セツト条件) Aの糸からなる3子撚糸の旋回能は0回/50cm
であり、Bの糸からなる3子撚糸とCの糸からな
る3子撚糸の旋回能はそれぞれ極めて大きかつ
た。
この結果から上記実施例での撚構成は、下撚と
上撚とのトルクが極めて良くバランスしており、
仮撚加工のトルクがほとんど減失していることが
わかる。
更にB,Cのそれぞれの3子撚糸において、下
撚数と上撚数を種々変更して、仮撚トルク、下撚
トルク、上撚トルクの3者をバランスさせるべく
試みたが、前記2態様の旋回能の両者を小さくす
ることはできなかつた。
【図面の簡単な説明】
第1図A,B,Cは、それぞれ本発明の方法で
得られる糸の有する旋回能に関して説明するモデ
ル図であり、該旋回能を調べる試験方法を示した
ものである。 1:周長1mの一重の輪をなす試料糸、2:試
料糸からなる輪をつるすために用いる試料糸と同
じ糸、2′:Wの荷重をつるすために用いる試料
糸と同じ糸、3:Wの荷重。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ポリエステル系マルチフイラメント糸を、下
    記(a)式を満足する温度関係にて前熱処理した後、
    加撚―加熱―解撚の仮撚加工および流体噴射処理
    加工に供することにより糸軸方向に沿つて間歇に
    構成フイラメント相互が交絡しているとともに糸
    軸から突出したフイラメント部分が多数形成され
    た糸構造となさしめ、次いで該糸に下記(b)式を満
    足する温度関係にて不足連続供給による乾熱緊張
    後熱処理を施すことを特徴とする縫製に適した特
    殊な糸の製造方法。 (前熱処理の温度(℃)) ≧(仮撚加工の加熱温度(℃)+20(℃))
    ………(a) (乾熱緊張後熱処理の温度(℃)) ≧(仮撚加工の加熱温度(℃)+15(℃))
    ………(b) 2 前熱処理が、ポリエステル系マルチフイラメ
    ント糸の延伸加工の後連続してなされることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の縫製に適し
    た特殊な糸の製造方法。 3 乾熱緊張後熱処理の温度(℃)が前熱処理の
    温度(℃)以下であることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項あるいは第2項記載の縫製に適した
    特殊な糸の製造方法。 4 前熱処理の温度が210℃以上であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項、第2項あるいは
    第3項記載の縫製に適した特殊な糸の製造方法。 5 乾熱緊張後熱処理の温度が210℃以上である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2
    項、第3項あるいは第4項記載の縫製に適した特
    殊な糸の製造方法。 6 仮撚加工の加熱温度が150℃以上であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項、第2項、第
    3項、第4項あるいは第5項記載の縫製に適した
    特殊な糸の製造方法。
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