JPS632376Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、トランクルーム内に、スペアタイヤ
を縦置きと横置きとに格納できるようにしてなる
自動車のスペアタイヤ格納装置に関するものであ
る。

（従来技術） 自動車のなかには、例えば実開昭57−67878号
公報に示すように、トランクルーム内にスペアタ
イヤを格納する際に、該スペアタイヤを、トラン
クルーム床面にそのサイドウオール部を当接させ
たいわゆる横置きの状態と、そのトレツド部をト
ランクルーム床面に当接させてシートバツクの直
背面側に位置させたいわゆる縦置きの状態との２
つの格納状態を選択的にとり得るようにしたもの
がある。

ところで、近時は、車室とトランクルームとを
仕切る仕切りパネルに対して、該車室とトランク
ルームとを連通させる開口部を形成したものがあ
る。すなわち、通常、上記仕切りパネルは、水平
状のパツケージトレイ部とシートバツクに沿つて
伸びる縦壁部とを有するが、この縦壁部に上記開
口部を形成して、該開口部を通して、車室内より
トランクルーム内にある荷物を出し入れできるよ
うにした自動車が増加しつつある。

しかしながら、上記開口部を有する自動車にあ
つては、スペアタイヤを縦置きの状態で格納した
際に、上記開口部が上下方向に大きな開口幅を有
すると、スペアタイヤのシートバツク側への動き
が規制されないこととなつてすなわちシートバツ
ク背面に直接当接した状態となり、シートバツク
を前方に倒した際にはこれに伴なつてスペアタイ
ヤも前方に倒れて車室内に突出してくる、という
ような好ましくない状態が生じてしまう。とりわ
け、最近は、スペアタイヤとして、スペースセー
バタイヤあるいはテンパタイヤと呼ばれるような
小径のタイヤが用いられることが多くなり、上記
のような好ましくない現象が生じやすいものとな
つている。

（考案の目的） 本考案は以上のような事情を勘案してなされた
もので、縦置きにされたスペアタイヤが、仕切り
パネルに形成した開口部を通して車室内に突出し
てこないようにした、自動車のスペアタイヤ格納
装置を提供することを目的とする。

（考案の構成） 前述の目的を達成するため、本考案にあつて
は、車室内とトランクルームとを仕切る仕切りパ
ネルの開口部上縁部に、ストツパ部材を回動自在
に取付けてある。そして、このストツパ部材は、
仕切りパネルのパツケージトレイ部裏面側に収納
される収納位置と、該仕切りパネルの開口部の上
側開口縁よりも下方に突出する突出位置とをとり
得るようにされて、縦置きにしたスペアタイヤの
上部を上記突出位置にあるストツパ部材に当接さ
せて、該スペアタイヤのシートバツク側への動き
を阻止するようにしてある。

（実施例） 第１図，第２図において、１は車両、２はトラ
ンクルームで、該両者１と２とは、シートバツク
３の後側に配置した仕切りパネル４によつて仕切
られている。この仕切りパネル４は、水平状に伸
びるパツケージトレイ部４ａと、該パツケージト
レイ部４ａの前端部より下方に伸びてシートバツ
ク３に沿う縦壁部４ｂとを有し、該縦壁部４ｂに
は、開口部５が形成されている。この開口部５
は、上記車室１とトランクルーム２とを連通する
もので、シートバツク３を第１図２点鎖線で示す
ように前方へ倒した際に、該開口部５を通して、
車室１内よりトランクルーム２内にある荷物を出
し入れできるようになつている。

前記トランクルーム２にはスペアタイヤ６が格
納されるが、このスペアタイヤ６は、トランクル
ーム２内へ収納する荷物の形状あるいは大きさに
応じて、第１図二点鎖線で示す横置き位置と、第
１図実線で示す縦置き位置との２つの格納位置の
うちいずれか任意の状態で格納できるようになつ
ている。例えば荷物が車両の前後方向に大きなも
のであれば、スペアタイヤ６を、そのサイドウオ
ール部がトランクルーム２の床面２ａに当接した
横置きの状態とし、また、荷物が上下方向に大き
なものであれば、スペアタイヤ６を、そのトレツ
ド部を上記床面２ａに当接させた縦置きの状態と
する、というようにその格納位置が自由に選択さ
れる。そして、前記開口部５は、前述した車室１
内からの荷物の出し入れが楽に行なえるように、
その上下方向長さすなわち上下方向の開口幅が大
きくなつており、該開口部５の上側開口縁５ａの
位置は、縦置き位置にあるスペアタイヤ６の上端
よりも上方に位置している。

前記仕切りパネル４には、縦置き位置にあるス
ペアタイヤ６がシートバツク３側へ倒れないよう
にするためのストツパ部材７が取付けられてい
る。すなわち、仕切りパネル４の裏面側には、第
３図，第４図に示すような取付けベース８が取付
けられ、該取付けベース８に対してストツパ部材
７が回動自在に保持されている。この点を詳述す
ると、取付けベース８は、例えば金属板を屈曲す
ることにより、縦壁部８ａと、該縦壁部８ａの上
端部中央よりほぼ90度屈曲されて水平状に伸びる
水平部８ｂとを有して、縦壁部８ａが仕切りパネ
ル４の縦壁部４ｂ裏面側に、また水平部８ｂが仕
切りパネル４のパツケージトレイ部４ａ裏面側
に、それぞれビス等を利用して固定されている。
そして、この取付けベース８は、その縦壁部８ａ
の左右上端部を筒状に屈曲することにより、左右
一対の軸受部８ｃ，８ｄが形成されている。

一方、前記ストツパ部材７は、金属丸棒を屈曲
することにより、大略コ字状とされた本体部７ａ
と、その両自由端部をそれぞれ90度屈曲された左
右一対の軸部７ｂ，７ｃとされている。そして、
一方の軸部７ｂが、取付けベース８の一方の軸受
部８ｃ内に回動自在に嵌合され、また他方の軸部
７ｃが、取付けベース８の他方の軸受部８ｄ内に
回動自在に嵌合されている。

前述したようなストツパ部材７は、その回動に
応じて、第１図二点鎖線で示すように、仕切りパ
ネル４のパツケージトレイ部４ａ裏面側に収納さ
れる収納位置と、第１図実線および第３図で示す
ように、その本体部７ａが、開口部５の上側開口
縁部５ａよりも下方へ突出した突出位置と、をと
り得るようになつている。そして、上記両位置を
安定してとり得るように、取付けベース８の一対
の軸受部(8)ｃ，８ｄの相対向する端面部分には、
前記収納位置と突出位置との間の回動位置部分に
おいて係止突部８ｅが形成されている。これによ
り、ストツパ部材７が上記収納位置あるいは突出
位置にある状態からは、車両走行中の振動等を受
けても、上記係止突部８ｅの作用によつて、該ス
トツパ部材７は収納位置あるいは突出位置を安定
して維持しつづけることになる。

以上のような構成において、スペアタイヤ６を
横置きに格納するときは、第１図二点鎖線あるい
は第２図実線で示すように、スペアタイヤ６をそ
のサイドウオール部がトランクルーム２の床面２
ａに当接するように格納した後、保持バンド９を
利用して該スペアタイヤ６が動かないようにすれ
ばよい。勿論、このときはストツパ部材７を使用
しないので、邪魔にならないように該ストツパ部
材７を第１図二点鎖線で示す収納位置にしておけ
ばよい。

また、スペアタイヤ６を縦置きに格納するとき
は、第１図実線、第２図二点鎖線あるいは第３図
に示すように、あらかじめストツパ部材７をその
突出位置とした後、スペアタイヤ６を、そのトレ
ツド部がトランクルーム２の床面２ａに当接しか
つ該スペアタイヤ６の上部がストツパ部材７に当
接した状態で、前記保持バンド９を利用して固定
すればよい。このとき、スペアタイヤ６は、スト
ツパ部材７（最終的には縦壁部４ｂ）により、シ
ートバツク３側への動きが阻止されることとな
る。勿論、ストツパ部材７は、その下方への突出
長さが十分に長くて、スペアタイヤ６が第３図二
点鎖線で示すような小径のスペースセーバタイヤ
であつても、その上部が当接するようにされてい
る。

なお、保持バンド９は、その一端がトランクル
ーム２の床面２ａに固定されており、その自由端
部に設けたフツク１０を、床面２ａに設けられた
ストライカ１１に引つ掛けることにより（横置き
の場合、第２図参照）、あるいは、該フツク１０
を仕切りパネル４のパツケージトレイ部４ａ裏面
側に設けたストライカ１２に引つ掛けることによ
り（縦置きの場合、第３図参照）、上記スペアタ
イヤ６の固定を行なえばよい。

第５図は、本考案の他の実施例を示すものであ
る。本実施例においては、前記実施例におけるス
トツパ部材７が板状のストツパ部材１３とされる
一方、前記実施例における取付けベース８が、水
平部分のみを有する取付けベース１４とされ、該
両者１３と１４とは、１本の軸部材１５を利用し
て互いに回動自在に連結されている。すなわち、
ストツパ部材１３の左右上端部は円筒状に屈曲さ
れた軸受部１３ａ，１３ｂとされて、該両軸受部
１３ａ，１３ｂが上記軸部材１５に対して嵌合さ
れ、また、取付けベース１４は、その前端部が円
筒状に屈曲された軸受部１４ａとされて、該軸受
部１４ａが軸部材１５の中央部分において嵌合さ
れている。そして、取付けベース１４は、仕切り
パネル４のパツケージトレイ部４ａの裏面側に例
えばビス等により固定されるようになつている。
また本実施例においては、ストツパ部材１３がそ
の収納位置（第５図二点鎖線で示す）と突出位置
（第５図実線で示す）とを安定してとり得るよう
にするため、取付けベース１４に下方へ屈曲する
アーム部１４ｂが形成される一方、ストツパ部材
１３の左右方向一端部に後方へ屈曲されたアーム
部１３ｃが形成され、該両アーム部１４ｂと１３
ｃとの間に、スプリング１６を介装してある。こ
のスプリング１６は、第５図二点鎖線で示す線Ａ
を境にしていわゆる思案点を有して、ストツパ部
材１３がその収納位置と突出位置とを安定してと
り得るようになつている。なお、本実施例におけ
る作用は前記実施例の場合と実質的に同様なの
で、その説明は省略する。

（考案の効果） 本考案は以上述べたことから明らかなように、
仕切りパネルに形成された開口部を大きく特にそ
の上下方向開口幅を大きくしたような場合、ある
いはスペアタイヤが小径であつても、スペアタイ
ヤを縦置きに格納する際に、ストッパ部材を利用
してスペアタイヤの上部を支えて該スペアタイヤ
がシートバツク側へ倒れるのを確実に防止するこ
とができる。この結果、車室内にいる乗客がスペ
アタイヤが縦置きにされていることを知らないで
シートバツクを前方へ倒した場合に該スペアタイ
ヤが車室内へ倒れてくるというような事態を確実
に防止でき、また、スペアタイヤが直接シートバ
ツクの背面に触れるのをストツパ部材によつて極
力防止することができて、スペアタイヤに付着し
ている泥がシートバツク背面し付着してこれを汚
してしまう、というようなことも防止できる。

勿論、ストツパ部材は、仕切りパネルの水平状
とされたパツケージトレイ部裏面側へ収納できる
ので、スペアタイヤを横置きに格納する場合に該
ストツパ部材が邪魔になるというようなこともな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す側面断面
図。第２図は、スペアタイヤの格納位置を示す後
方斜視図。第３図は、縦置き位置にあるスペアタ
イヤの格納状態を示す側面断面図。第４図は、ス
トツパ部材とその取付けベースの一例を示す斜視
図。第５図は、本考案の他の実施例におけるスト
ツパ部材とその取付けベースとを示す斜視図。 １……車室、２……トランクルーム、３……シ
ートバツク、４……仕切りパネル、４ａ……パツ
ケージトレイ部、４ｂ……縦壁部、５……開口
部、５ａ……上側開口縁、６……スペアタイヤ、
７……ストツパ部材、１３……ストツパ部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 トランクルーム内に、スペアタイヤを横置きと
   縦置きとに選択的に格納できるようにした自動車
   において、 シートバツクの後側に、車室とトランクルーム
   とを仕切る仕切りパネルが配置されて、該仕切り
   パネルは、水平状のパツケージトレイ部、及びそ
   の縦壁部に形成されて前記車室と前記トランクル
   ームとを連通する開口部を有し、 前記仕切りパネルの前記開口部上縁部には、ス
   トツパ部材が回動自在に取付けられて、該ストツ
   パ部材は、前記パツケージトレイ部の裏面側に収
   納される収納位置と前記開口部の上側開口縁より
   も下方に突出する突出位置とをとり得るようにさ
   れ、 前記ストツパ部材は、前記突出位置にあるとき
   に、縦置きに格納されるスペアタイヤの上部に当
   接して該スペアタイヤの前記シートバツク側への
   動きを阻止する、 ことを特徴とする自動車のスペアタイヤ格納装
   置。