JPS6323564Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、エンジンの気化器としてフロート室
の上部に外気と連通するオープンベントと、これ
より分岐して気化器本体の吸気通路に連通するイ
ンナーベントとを備えた気化器における燃料蒸発
ガスの排出抑止装置に関するものである。

〔従来の技術〕

気化器のエアベントとして、インナーベントと
オープンベントとを併用したものが、例えば実開
昭56−25048号公報により提案されている。この
併用方式の気化器では、ジエツト口径を大き目に
して全回転領域での混合気空燃比のマツチングを
良好にし、オープンベントのフイルタが詰つた場
合でも、インナーベントによりフロート室とベン
チユリとの間に差圧を維持させて、空燃比の変動
は避けられないとしても燃料の吸出し不良に伴う
エンジンストツプを防ぐようにしている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、このようなインナーベントとオープ
ンベント併用の気化器の場合、エンジン停止中に
外気温等によつて気化器が熱せられると、そのフ
ロート室に発生した燃料蒸発ガスが、インナーベ
ントの側に流入し、インナーベントホールから吸
気通路内に放出される。そのため、再始動時に空
燃比が過濃になつて再始動性を損うという問題点
がある。

なおこの問題の対策として、従来、例えば特開
昭53−74636号公報に示すようにインナーベント
の通路中に電磁弁を設けてエンジン停止中の燃料
蒸発ガスが、インナーベント側に流入するのを阻
止するようにしたものがあるが、このような手段
によると構造が複雑化する等の不具合がある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、インナーベントとオープンベントを
併用した気化器における上述の問題点を課題とし
て、その問題点を簡単な構成で解消できるように
した燃料蒸発ガスの排出抑止装置を提供すること
を目的とするものである。

この目的のため、本考案は、上記の気化器の場
合にインナーベント通路が、オープンベント通路
より分岐して設けられる点に着目し、この分岐部
のオープンベント内部に、その内部通路を通路方
向に沿つて上下に２分割して下側の通路半分をフ
ロート室の側に、上側の通路半分をインナーベン
トの側に連通するよう区画する仕切板を設置する
と共に、且つオープンベントの先端に燃料蒸発ガ
スを貯留部に導くホースを急勾配の下向き角度で
接続してなることを特徴とする。

〔作用〕

このような構成では、エンジン停止中に外気温
等により気化器が熱せられてフロート室に燃料蒸
発ガスが発生した場合、その蒸発ガスは、オープ
ンベント内を上昇して仕切板で区画された通路内
を通る時、燃料蒸発ガスは空気より重く通路内で
はその下側に滞留して流通する性質を有すること
から、この性質により、燃料蒸発ガスが仕切板の
下側の通路半分を通つてオープンベントの先端か
ら下向きの貯留ホースの側へと導かれ、インナー
ベントの側には流れなくなるので、再始動時の空
燃比の過濃化に伴う不具合が解消できる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基いて具体的
に説明する。

図において、符号１はインナーベントとオープ
ンベントとを併用した気化器本体、２はフロート
室であり、このフロート室２より、燃料通路３を
介して吸気通路４のベンチユリ５に開口したメイ
ンノズル６にメイン系燃料が供給され、燃料通路
３にはメインジエツト７、メインエアブリード８
が設けられている。

またフロート室２の上部は、オープンベントパ
イプ９に連通し、これから分岐してインナーベン
ト通路１０が連通してあり、このインナーベント
通路１０は、インナーベントホール１１を介して
上記吸気通路４のベンチユリ５より上流側に連通
されている。

上記の構成において、本考案では、オープンベ
ントパイプ９の内部に、その通路方向に沿つて内
部を上下に２分割する仕切板１２が設置され、こ
の仕切板１２で区画された下側の通路半分はフロ
ート室２と連通し、上側の通路半分はインナーベ
ント通路１０と連通するようにしてあり、そして
上記のように区画構成されたオープンベントパイ
プ９の先端に、急勾配の下向き角度でホース１３
が接続され、このホース１３の先は図示していな
いが従来のようにフイルタを介して車体フレーム
（角パイプ状のフレーム）の中空部内に接続され
る。

このように構成されていると、エンジン停止中
に外気温等によつて気化器本体１が熱せられてフ
ロート室２に燃料蒸発ガスが発生した場合、その
燃料蒸発ガスは、上昇して仕切板１２に当り、そ
の仕切板１２により区画されたオープンベントパ
イプ９内の下側の通路半分を通つて貯留ホース１
３の側へと導かれる。

この場合、オープンベントパイプ９の先端に接
続されるホース１３はこれが急勾配の下向き角度
に接続されており、また燃料蒸発ガスは、空気よ
り重く、通路内では下側に滞留して流通する性質
を有することから、この性質によりオープンベン
トパイプ９から出た蒸発ガスは、下向きのホース
１３の側へと導かれ、仕切板１２の先端を迂回反
転して上側の通路半分からインナーベント通路１
０の側に逆流することが防止される。

かくして燃料蒸発ガスは、順次オープンベント
パイプ９より貯留ホース１３の側に導かれて前記
車体フレームの中空部内に貯留され、これに伴い
蒸発ガスがインナーベント通路１０の側を経て吸
気通路４に放出されることが抑制される。

〔考案の効果〕

本考案は、以上に説明したように、インナーベ
ントとオープンベントとを併用した気化器におい
て、エンジン停止中にフロート室に発生した燃料
蒸発ガスが、オープンベントパイプ９より貯留ホ
ース１３の側に導かれてインナーベント通路１０
の側には流れなくなるので、再始動時の空燃比の
過濃化に伴う不具合を解消できる。

また、その対策として、オープンベントパイプ
内に仕切板１２を設けて内部通路を通路方向に沿
つて２分割した簡単な構造であり、オープンベン
トパイプ９内では仕切板１２で２分割された各通
路が所定の通路断面積を確保しているので従来の
セツテイングに対する悪影響はほとんどなく、よ
つて簡単な構成でもつて前記インナーベントとオ
ープンベント併用気化器に派生する問題点を解消
できるという実用上の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案による装置の一実施例を示す断面
図である。 １……気化器本体、２……フロート室、３……
燃料通路、４……吸気通路、５……ベンチユリ、
６……メインノズル、７……メインジエツト、８
……メインエアブリード、９……オープンベント
パイプ、１０……インナーベント通路、１１……
インナーベントホール、１２……仕切板、１３…
…ホース。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フロート室上部がオープンベントを介して外気
   に連通すると共に、これより分岐したインナーベ
   ントを気化器本体の吸気通路に連通した気化器に
   おいて、 上記オープンベントの内部に、その内部通路を
   通路方向に沿つて上下に２分割して下側の通路半
   分をフロート室の側に、上側の通路半分をインナ
   ーベントの側に連通するよう区画する仕切板を設
   置し、 且つオープンベントの先端に、燃料蒸発ガスを
   貯留部に導くホースを急勾配の下向き角度で接続
   してなることを特徴とする燃料蒸発ガス排出抑止
   装置。