JPS6322387Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は回転部のシールに用いられる封液装置
に関するものである。

一般に、回転軸がケーシングに貫通した状態で
設けられたデイーゼルエンジン等の各種機械にあ
つては、回転軸のケーシングに対する貫通部に封
液装置を取付けて、ケーシング内の潤滑油等の液
体が外部に漏洩するのを防いでいる。この種の封
液装置としては、従来、オイルシールやメカニカ
ルシールなどのシール部材やラビリンスなどが用
いられている。ところが、オイルシールやメカニ
カルシールなどのシール部材は、回転摩耗部分を
有するため耐久性が悪く、早期の取替交換を要す
る上、回転軸の軸径や漏洩を封じるべき液体の物
性等を充分考慮する必要があるなどの面倒があ
り、また、ラビリンスのようなものは構造が複雑
であるとともに面倒な機械加工を要し、取付けが
大変であつた。

本考案は、回転軸に羽根部材を取付けることに
よりケーシングの外方から内方に向けて送風する
ようにして、上記従来の欠点を解消したもので、
封じるべき液体に直接浸らないような回転部分に
設けられて、はね上げられ飛散つてきた液体の外
部への漏洩を的確に阻止すると同時に、液体の性
質を特に考慮することなく、かつ回転軸の軸径が
異なつても容易に取付けることができ、しかも軸
や周辺部分を複雑に機械加工したりする必要もな
い封液装置を提供することを目的とする。

以下、本考案を図面に基づいて詳細に説明す
る。

第１図〜第３図は、本考案の封液装置の一実施
例を示すもので、図中１はデイーゼルエンジンの
回転軸である。この回転軸１は、図示しない駆動
機構により所定方向に回転せしめられるものであ
り、図示しない軸受により支承され、かつケーシ
ング２に形成された貫通孔２ａに、貫通孔２ａの
孔壁とは適宜間隔をあけて挿通せしめられてい
る。そして、上記ケーシング２には、その貫通孔
２ａの孔壁と上記回転軸１との離間間隔をほぼ閉
塞するオイルフライヤカバー３が、ボルト等の接
合手段４を介して取付けられており、このオイル
フライヤカバー３と回転軸１との間隙は外気が流
入する空気流入路ｍとなつている。また、ケーシ
ング２の内側下部には潤滑油が溜められており、
この潤滑油が各部を潤滑して油溜りに落ちてくる
際にケーシング２内がそのミストで充満せしめら
れる。

さらに、上記回転軸１には筒状の羽根部材５が
回転軸１と同心状に取付けられている。この羽根
部材５は、複数のベーン５ａが長手方向に所定ピ
ツチでかつ所定角度で斜めに設けられた比較的柔
軟な筒状部材５ｂを、そのベーン５ａを内周側に
向けて回転軸１に巻付けて筒状に形成したもので
あり、ベーン５ａの側面と回転軸１の外周面によ
り、両端が開口しかつ一端（第１図における右方
端）が他端より回転軸１の回転方向Ｒ側にくるよ
うに傾斜せしめられた複数の空気流通路ｎが画成
されている。また、羽根部材５は、その一方の側
端面５ｃが前記オイルフライヤカバー３の内側の
端面３ａと隙間を保つて対向せしめられ、かつそ
の外周から固定バンド６で締付けられて、上記回
転軸１に固定されている。なお、第３図において
Ａはクランク室側を示す。

次に本考案の作用について説明する。

本考案の封液装置にあつては、エンジンが始動
して回転軸１が所定方向に回転すると、羽根部材
５も同方向に回転するとともに、クランク室内の
潤滑油は、シリンダ内やカム軸受、タペツトなど
を潤滑した後油溜りに落ちるが、その一部は回転
軸１のケーシング２に対する貫通部にもミスト状
になつて飛散する。このとき、羽根部材５の回転
により外気がオイルフライヤカバー３と回転軸１
の間の空気流入路ｍおよび羽根部材５の空気流通
路ｎを通つてケーシング２内に流れ込む。この空
気の流れが上記飛散した潤滑油の外部への漏洩を
阻止する。この場合、空気が継続的に流通するた
めには、ケーシング２の内部の他の箇所がいずれ
かの部分において開口し、そこから空気が逃げる
ようにしておくことが必要であるが、この開口部
をケーシング２の上方に設けてミストの逸出を防
ぐか、または、この開口部にフイルタを設けてミ
ストを回収するようにしてもよい。また、このよ
うな開口部を設けない場合には、ケーシング２内
の空間の圧力が外部より一定の値だけ高くなつた
ところで空気の流入が止まり、羽根部材５のベー
ン５ａにより惹起した風は貫通孔２ａの周囲のケ
ーシング２の外壁に沿つて流れることになるが、
この場合にもケーシング２内部のミストの流出を
防止する作用があることは言うまでもない。

第４図は本考案の別の実施例を示すものであ
る。この実施例にあつては、羽根部材５は、その
ベーン５ａが外周側にくるようにして回転軸１に
巻付けられて筒状にされ、かつ各ベーン５ａの長
さを筒状部材５ｂの幅に対して短く形成すること
により、筒状部材５ｂのベーン５ａのない部分に
固定バンド６がかけられて、回転軸１に固定して
取付けられている。また、オイルフライヤカバー
３の端面３ａの回転軸１側の隅部には段部が形成
され、この段部の周壁３ｂと肩部３ｃとに隙間を
保つて対向して羽根部材５が配されるとともに、
該段部の周壁３ｂと羽根部材５の各ベーン５ａと
で空気流通路ｎが形成されている。この場合にお
いても、前記と同様に羽根部材５の回転により、
潤滑油の漏洩が阻止される。

ところで、前記において、羽根部材５は柔軟な
部材により形成され、これを筒状にして固定バン
ド６により回転軸１に取付けられているが、回転
軸１の所定部を羽根部材５ような形状に加工して
もよい。また、本考案の封液装置は、シールすべ
き回転部が直接潤滑油等の液体に浸らないような
装置であれば、いかなる装置に対しても適用する
ことができる。

以上のように、本考案の封液装置にあつては、
ケーシングの外方から内方に向けて送風して貫通
孔から外気を流入させるようになつているので、
飛散した潤滑油等の液体が貫通孔を通つて外部へ
漏洩することを的確に防止することができる。ま
た、羽根部材を柔軟性を有する素材を材料とし
て、筒状部材とこの筒状部材の内面または外面に
形成されたベーンから構成しこれを固定バンドで
回転軸に取付けるようにすると、回転軸の軸径の
大小にかかわりなく容易に取付けることができ
る。さらにまた、その取付けの際、回転軸を高い
精度で仕上げたり、複雑に機械加工したりする必
要がない上、オイルフライヤカバーも構造が簡単
で、容易に取付けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の封液装置の一実施例
を示すもので、第１図は断面図、第２図は第１図
の−線断面図、第３図は羽根部材におけるベ
ーンの形成状態を示す部分図である。また、第４
図は本考案の別の実施例を示す断面図である。 １……回転軸、２……ケーシング、５……羽根
部材、５ａ……ベーン、５ｂ……筒状部材、６…
…固定バンド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングに対する回転軸の貫通部に配され、
   ケーシング内の潤滑油等の漏洩を阻止する封液装
   置において、上記回転軸には、回転軸とともに回
   転してケーシングの外方から内方へ向けて送風す
   る羽根部材が取り付けられ、この羽根部材は、柔
   軟性を有する素材を材料として、上記回転軸に外
   嵌されて固定された筒状部材とこの筒状部材の内
   面または外面に形成されたベーンから構成されて
   いることを特徴とする封液装置。