JPS6320925B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 精紡機のボツトムローラ群は、通常、各スタツ
フ毎に連結され、全錘が一本に連ねられて一端の
ギヤエンドフレーム内に設けられた駆動機構から
直接駆動されるようになつている。この場合問題
になることは、部品交換、特にエプロンの交換に
際し、旧エプロンの取り外しはその切断により行
われるが、新エプロンの巻装についてはボツトム
ローラの１スタツフ分をローラスタンドより外
し、ボツトムエプロンをローラ長手方向へ寄せな
がら行わねばならず、極めて頻雑な作業となる。
また繊維通過部においてボツトムローラへの繊維
の巻き付きという事態に際しても、その除去には
非常に多くの手間を要する。すなわち巻き付き繊
維をローラ長手方向へ寄せて除去するなどという
ことは事実上できないため、時間をかけてほぐし
たり、切断したりしなければならない。さらには
発生風綿は特にエプロン内の狭隘部に入り込む
が、その除去に際しても、ボツトムローラが全錘
に連なつているため、除去手段の入り込む範囲に
制限があつて除去作業が行い難いという問題もあ
る。

最近、空気精紡機の一種である、空気仮撚ノズ
ルを用い結束糸を紡出する結束紡績装置が注目さ
れるようになつた。この結束紡績装置は、リング
精紡機の10倍以上という高生産も可能であるが、
それだけに高いドラフト作用も要求されるところ
から、ドラフト装置における、前述のような問題
が発生しやすく、実用化上の大きな障害となつて
いる。すなわちこの結束紡績装置のドラフト装置
では、高速回転できるところからエプロンの消耗
が著しく、また随伴気流の影響から繊維の巻き付
きも起こりやすく、さらには風綿も発生しやすい
のである。もちろん繊維の巻き付きや風綿の発生
についてはその発生防止策が講ぜられるが、万一
の発生時への対策、ならびにエプロン交換時への
対策が望まれている。

本発明者等は、ボツトムローラに相対するトツ
プローラにおけるエプロン交換や巻き付き繊維除
去に際しては、それらをローラの長手方向へ寄せ
るという作業で容易に行えることに着眼し、ボツ
トムローラについても２錘毎に分断し、各ボツト
ムローラについてそれぞれ端部を有するようにし
て、各錘毎にエプロン交換、巻き付き繊維除去、
風綿の除去という作業がボツトムローラ端部にお
いて容易に行えるようにしたものである。

具体的には、第１番目の発明は、ボツトムロー
ラを２錘単位で構成し、２錘間にそれらの被駆動
機構を設け、全錘共通のボツトムローラ駆動軸に
取付けられた駆動機構を、前記各単位における被
駆動機構に結合するようにした。

この第１番目の発明のようにボツトムローラの
２錘毎に被駆動機構を配置した結果、多い発生風
綿がこの被駆動機構内に入り込んでボツトムロー
ラの回転伝達を妨げる事態の発生が予想される。
前述したように従来の精紡機は全錘が１本に連結
され、機台端より駆動されるようになつているた
め、風綿による回転伝達への妨害という問題はな
かつたのである。

そこで第２番目の発明は、第１番目の発明に加
えて、２錘間の駆動機構、被駆動機構を、繊維通
過部であるボツトムローラに対してカバーで隔離
するようにした。

図面に示された、結束紡績に採用の３線式ドラ
フト装置の実施例について説明する。機台端（ギ
ヤエンドフレーム）の駆動源より回転伝達される
ボツトムローラ駆動軸１，２，３がバツクボツト
ムローラ４、ミドルボツトムローラ５、フロント
ボツトムローラ６にそれぞれ沿つて、全錘にわた
つて延びている。各ボツトムローラ４，５，６は
２錘単位で構成され、各単位のボツトムローラに
回転を伝達すべく、２錘間に被駆動機構が設けら
れるとともに、これに前記ボツトムローラ駆動軸
１，２，３に取付けられた駆動機構が結合する。

まずバツクボツトムローラについては、駆動軸
１のギヤ７が中間軸８のギヤ９に噛合い、軸８両
端のギヤ１０，１０がバツクボツトムローラ軸１
１，１１上のギヤ１２，１２に噛合つている。こ
の場合、左右両側のボツトムローラ４，４はその
軸１１，１１が分離されており、それぞれ２個づ
つの軸受１３，１４で支持されている。

つぎにミドルボツトムローラについては、駆動
軸２のギヤ１５がボツトムローラ軸１６上のギヤ
１７と噛合い、軸受１８による支持のもとにミド
ルボツトムローラ５，５を駆動するようになつて
いる。

フロントボツトムローラ６についての回転伝達
の構成は、上記ミドルボツトムローラ５のものと
同様である。

このような構成のもとに、ボツトムローラ駆動
軸１，２，３の回転がその駆動機構から被駆動機
構に伝えられるのであり、駆動機構としてギヤ
７，１５等が存在し、ギヤ９，１２，１７等が被
駆動機構に該当する。

この実施例は空気仮撚式の結束紡績装置への採
用例であり、ガイド１９より供給された繊維束は
バツクボツトムローラ４、ミドルボツトムローラ
５に巻装のエプロン２０、フロントボツトムロー
ラ６の各上部を通り、空気仮撚ノズル２１内に至
る。もちろん各ボツトムローラ４，５，６に相対
してトツプローラ（第１図には図示しない）が押
圧され、上下ローラ間で繊維束を挾持しつつドラ
フト作用を遂行する。

なお、２錘間毎に駆動機構を配設するようにし
たため、各錘毎の停止、起動も可能となり、図示
例のように、糸切れ時に繊維の供給を断つべく、
バツクボツトムローラ４に関する中間軸８上に２
つの電磁クラツチMC、MCを介在させるように
することもできる。

ところで２錘間毎に新たに駆動機構を配設した
ことにより、そこへの風綿の侵入を防ぐ必要があ
る。そのためにボツトムローラと駆動機構とをカ
バーで隔離すべく、第２図に明らかなように各ボ
ツトムローラ４，５，６下方に下部カバー２２を
設けるとともに、それに連なるように、駆動機構
の上方に上部カバー２３を設けるようにした。

第２図の例は両側部カバーを軸受２４，２４が
兼ねるようになつており、この軸受２４，２４は
駆動ギヤ２９に噛合う被動ギヤ３０を取付けたフ
ロントボツトムローラ軸３１を支持している。軸
受２４，２４の構造にもよるが、軸受の油洩れに
より風綿が付着し、さらに油洩れを誘発するとい
う懸念が考えられる場合は、第１図のように、両
側部カバー内に各ボツトムローラの軸受１３，１
８，２４を配置するようにする。

なお、第２図はフロントローラ６側からみた上
面図であり、トツプフロントローラ２５，２５を
支持するサドル２６を覆うカバー２７とサドル２
６との間に加圧部材２８が介在する。

本発明によれば、各ボツトムローラが２錘毎に
分断されたため、各ボツトムローラに端部が存在
するようになり、これによりエプロンの交換に際
してはローラ長手方向へ寄せる作業を行うことに
より、ローラ端部から容易にエプロンを取り外す
ことができるとともに、新しいエプロンも容易に
巻装することができる。ボツトムローラへ巻き付
きの繊維を除去する場合も、同様にしてローラ端
部から除去することができる。また各ローラ部へ
の推積風綿の除去も、ローラ端部から除去操作が
できるため、有利である。

さらには２錘間毎に配置された駆動機構、被駆
動機構は、繊維通過部であるボツトムローラとト
ツプローラとの押圧部に対して、カバーで隔離さ
れているため、風綿の侵入が防止され、ボツトム
ローラの円滑な駆動が保障される。

本発明の付随的効果としては、各ボツトムロー
ラは単体構造ないしはそれに近い構造で製作され
るため、振れの少ない高精度のローラを製作する
ことができることが挙げられ、これは紡出品質に
極めて好ましい影響を与えるものであり、見逃せ
ない効果となる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明装置の実施例を示し、第１図は斜視
図、第２図は他の実施例を示す上面図である。 １，２，３……ボツトムローラ駆動軸、４，
５，６……ボツトムローラ、２０……ボツトムエ
プロン、２２，２３……カバー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ボツトムローラを２錘単位で構成し、全錘共
   通のボツトムローラ駆動軸に取付けられた駆動機
   構を、前記各単位における２錘間に設けられた被
   駆動機構に結合したことを特徴とする精紡機にお
   けるドラフトローラ駆動装置。 ２ ボツトムローラを２錘単位で構成し、全錘共
   通のボツトムローラ駆動軸に取付けられた駆動機
   構を、前記各単位における２錘間に設けられた被
   駆動機構に結合するとともに、前記駆動機構、被
   駆動機構を、ボツトムローラに対してカバーで隔
   離したことを特徴とする精紡機におけるドラフト
   ローラ駆動装置。