JPS6316782Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、主として体育館内等に設置される
伸縮式階段状観覧席の収納時における前方部域を
遮蔽するフロントパネルに関するものである。

近年体育館等においては内部を多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮移動式の
階段状観覧席を設置することが多くなつた。この
観覧席は、順に高さを増す観覧椅子付の複数段の
移動床台を相互に連結して、前後方向に伸縮によ
る移動が可能となるように形成されている。そし
てこの観覧席の使用時には最も低い最前段の移動
床台から順次に引き出して全体を雛壇状に伸張
し、これによつて各移動床台の椅子に多数の観客
が着座できる状態となる。また不使用時には、前
記とは逆に最前段の移動床台から順次に後段側の
移動床台下に戻すように後退移動させることによ
り、全体が最上段の移動床台下に垂直棚状に縮減
し、これによつて建物の壁側に収納保管できるよ
うに構成されている。

しかし従来の伸縮式階段状観覧席は、全体を最
上段の移動床台下に垂直棚状に縮減して収納した
場合、各段毎の移動床台間に空域帯が存在し、か
つその空域帯には前倒状に折りたたまれた椅子等
が露呈するため、この種観覧席の収納時における
外観が極めて悪かつた。またこの収納時には館内
を多目的に使用するが、その際上記の空域帯内に
競技中に使用しているソフトボールやピンポン球
或いはバトミントンの羽根等が飛び込むことが多
いが、この空域帯は人の腕が入る程度の間隔しか
ないことから、折りたたんだ椅子の周辺に入つて
しまうと、観覧席全体を引き出さない限り上記侵
入物の取り出しは不可能となつた。そのうえ競技
に夢中になつているとき、無意識に伸びた腕や肱
がこの空域帯内に入つてしまつてその状態で転倒
した場合には腕や肱の骨折り事故を起こす危険性
があつた。さらには競技によつて舞い上がつた塵
埃や競技者が不用意に捨てたゴミ等が上記の空域
帯から侵入して観覧席の使用時毎に大掛りな清掃
が必要になるという各問題点があつた。

この考案は上記の問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、各段
毎における移動床台の上部前端に収納時の空域帯
を遮蔽する手段を講じることにより、上記の空域
帯が遮蔽されて収納時の外観が向上し、競技用具
の飛び込みも阻止できるとともに、空域帯による
人身事故が解消され、かつ塵埃やゴミ等の侵入も
防止できて清掃の省力化が得られる伸縮式階段状
観覧席のフロントパネルを提供することにある。

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

まず構成を説明すると、第１図に一部をもつて
示すように、使用時には順に高さを増す手摺９を
含む観覧椅子８付の複数段の移動床台１を、相互
に連結した状態のもとで各ローラ６によるその段
毎の基台５と共に、上記基台５の一部に載置状に
配置した駆動装置７をもつて最も低い最前段側か
ら順次に引き出すことで全体が雛壇状に伸張し、
また不使用時には前記とは逆に最前段の移動床台
１から順次に後段側移動床台１の下に戻すように
して、後方の壁面部に垂直棚状の縮減状態に後退
移動させることにより全体の収納保管が可能とな
る伸縮式階段状観覧席において、各段毎における
移動床台１の上部前端には、この種観覧席の全体
を最上段の移動床台１下に垂直棚状に縮減した際
に移動床台１間に存在することになる各段毎の観
覧椅子（折りたたみ椅子）８の収納スペースにあ
たる空域帯を遮蔽する手段が講じられている。

まず上記手段のベースとなる移動床台１は次の
ように構成されている。すなわち第２図に示すよ
うに、移動床台１は、補助アーム１ａと押出型成
形体２および床板３とにより構成されている。そ
して移動床台１の要部となる押出型成形体２は、
上部側を床板３の載置が可能な水平面に形成し、
前部側は一様の垂直面に形成するとともに、この
前部側の垂直面を上方に延長し、その延長した前
部側垂直面と平行するようにして、床板３が載置
される上部水平面から前部側の垂直面と所定の間
隔をおいて上方へ向けた垂直面を延長状に設け、
この２体の平行垂直面の上端を上面部で連結する
ことにより、上部水平面の前端に内部が中空状の
所定厚みで、前述した空域帯を遮蔽するに足りる
大きさの一体成形したフロントパネル２ａが立設
されている。また上部側水平面と前部側垂直面か
らは内側方向に骨部材を突出して内部の交差位置
で一体化することで補強された構造とし、全体を
一様の押出成形をもつて内部を中空体にした所定
厚みのト字形に形成されている。この態様による
押出型材２は例えばアルミニウム等の金属材によ
り形成されている。上記の押出型成形体２は、各
段毎における補助アーム１ａの前端に載置して、
ポツプナツト４とボルトとにより固着されてい
る。

次に作用を説明する。

上記の構成により、観覧席の使用時には駆動装
置７をもつて最前段の移動床台１から順次に前方
側に引き出して全体を雛壇状に配置した場合、各
段毎の移動床台１の上部前端にはその位置毎に一
体成形されたフロントパネル２ａが立設されてい
るため、各段毎における観覧客の足元を遮蔽し、
かつ人体を保護することができる。

また観覧席の不使用時には各段毎の観覧椅子８
を前倒して、駆動装置７の逆操作により最前段の
移動床台１から順次に、その後方に隣接する移動
床台１の下方側に入れ子式に後退させ、これによ
つて全体を最上段の移動床台１下に垂直棚状の縮
減状態に収納すると、この収納時における各段毎
の空域帯を上記のフロントパネル２ａにより、上
位の次設移動床台１とは各段毎の移動床台１を伸
縮操作する際のスライドスペースとなる指１本程
度の隙間を残す以外を完全に遮蔽することができ
る。

上記により移動床台１の上部前端には縮減時に
おける空域帯とほぼ同じ大きさで、凹凸やネジ止
めのない下面と一様の垂直面の一体成形したフロ
ントパネル２ａが立設されて観覧席の前方部域を
ほぼ完全に遮蔽し、これによつて各内部位置の観
覧椅子（折りたたみ椅子）８等が露呈しないた
め、観覧席の収納時における外観美をさらに向上
することができる。また上記の収納時に広域化さ
れた館内で各種の競技をしても、競技中に使用し
ているソフトボールやピンポン球或いはバトミン
トンの羽根等が上記フロントパネル２ａにより各
段の内部に飛び込むのを阻止できるので、その飛
び込みに基因する競技の中断等を皆無にすること
ができる。さらに前記空域帯の遮蔽により、競技
に夢中になつて起こり勝ちな空域帯内への腕や肱
の挿入とその際の転倒による骨折り事故等を完全
に解消することができる。そのうえ競技中に舞い
上がつた塵埃や競技者が不用意に捨てたゴミ等の
侵入も容易に防止できるため、観覧席の使用時に
おける清掃も大幅に省力化することができる。

以上に説明したようにこの考案は、各移動床台
の上部前端に一体成形したフロントパネルを立設
して、観覧席の収納時における各段の空域帯を遮
蔽することにより、上記観覧席の外観美が向上さ
れてこれを設置した館内の美観に貢献することが
でき、また空域帯に基因する競技用品の飛び込み
や競技者の人身事故等のトラブルも解消されて館
内における競技中の安全性を高めることができる
うえ、清掃の大幅な省力化が得られて多目的使用
によるこの種体育館の経済効率をさらに高めるこ
とができる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるフロントパネルを各段
の前部に立設した伸縮式階段状観覧席を示す一部
側面図、第２図は同各段毎のフロントパネル位置
を示す縦断側面図、第３図は同フロントパネルを
一体成形した押出型成形体の要部斜視図である。 １……移動床台、２……押出型成形体、２ａ…
…フロントパネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移動床台の前部に配置されている押出型成形体
   の上部前端に、縮減状態時に存在する移動床台間
   の空域帯に合わせた大きさの一体成形したフロン
   トパネルを立設して収納時における観覧席の前記
   空域帯の前方を遮蔽するようにしたことを特徴と
   する伸縮式階段状観覧席のフロントパネル。