JPH033030B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、体育館等の広い床面の室内に設置さ
れる伸縮移動式階段状観覧席における手摺装置の
改良に関する。

従来の技術とその問題点 従来、体育館等の広い床面を有する室内を多目
的使用を可能とすべく設置される伸縮移動式階段
状観覧席において、観客の安全性をはかるため
に、各段の移動床台の両側端部に手摺装置を備え
た構成のものは、例えば特開昭60−238576号公報
において公知である。

ところが、上記した従来公知のものは、各段の
移動床台の夫々の側端部に、前後支柱の下端を取
り付けることにより夫々前傾状態で、かつ、前支
柱よりも、後支柱を上記移動床台の端部から外方
に偏位した状態で立設し、その各段の前後支柱上
端に、前後部を支持することで、手摺杆を各々設
け、さらに、各段の前後支柱間に側壁パネルを張
設して成るので、以下に述べるような不都合を有
する。

即ち各移動床台に立設した前後支柱の関係は、
正面から見て垂直状態でかつ、前支柱が内側寄り
に、後支柱が外側にずれた位置関係にあり、その
前後支柱間に側壁パネルを張設することになるの
で、隣接する前後段における側壁パネルが、互い
に干渉しないように構成するためには、前記公知
例で示されるように、各々の下縁が、２段前の側
壁パネルの上縁より高い位置に来るように、か
つ、隣接する前後段における側壁パネル同士が交
互に支柱の内側と外側に偏位するように取り付け
る必要があり、そのため、各段の側壁パネルの下
縁と移動床台の床面との間に空間部が生じ、著し
く体裁を損なうばかりでなく、観覧席を昇降する
利用者に不安感を与える惧れがあると共に、手摺
装置の下方は、人間が歩行する場所となるので、
手摺装置から物が落下して、その下方を歩行する
者に傷害を与えるという危険性を有する。

発明の目的、実施例及び作用 そこで、本発明は、上記した従来のものの欠陥
を改善することを目的としたもので、以下その一
実施例を図面を参照して説明すると、１ａ，１
ｂ，１ｃ，１ｄ，１ｅは前後方向に階段状に順次
配列する横長平板状の移動床台で、これらは、従
来のものと同様に、左右方向の長さ及び前後方向
の巾寸法が全て等しいもので、順次高さの異なる
台車脚体２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ，２ｅ上に支持
されて、第１図に示す如く階段状に伸長したり、
第２図に示す如く、垂直棚状に短縮できるように
なされている。この台車脚体２ａ乃至２ｅは、
各々複数の小車輪３を有する前後方向に長い脚台
４と、この脚台４の一端部から上方へ立設された
支脚５とからなるＬ字状をなすもので、脚台４が
前段のものから順次食い違いとなるように配され
て、移動床台１ａ乃至１ｂを支持しており、各段
の移動床台１ａ乃至１ｂは各々の台車脚体２ａ乃
至２ｅと一体となつて、前段のものから順次前方
へ進出したり、各々の後段のものの下側に退入さ
れるようになされている。このように、階段状に
伸縮される各々の移動床台１ａ乃至１ｅには、取
り付けベース６を介して椅子７が起伏可能に取り
付けられており、各移動床台１ａ乃至１ｅの伸長
時には、適宜手段で起立保持されて観客が着座で
き、各移動床台１ａ乃至１ｅが後退移動する際に
は、前方へ倒伏して偏平状態となつて移動床台と
一体に後段の移動床台下側に侵入し得るようにな
つている。

このように構成される伸縮移動式階段状観覧席
の側部は歩行路となり、そのため、各移動床台１
ａ乃至１ｅの側端部に手摺枠８が備えられる。こ
の手摺枠８は、各段とも同様に構成されるので、
最前段の移動床台１ａに備えられるものについて
詳述する。

この手摺枠８は、前後支柱１１，１２と、手摺
杆１３よりなるもので、移動床台１ａの側面の前
端部に、下部が稍内方に傾斜した前支柱１１を前
方に傾斜するようにその傾斜部１１′の下端を固
定し、また後部に、後支柱１２を垂直状から外方
に傾斜するように、その下端を固定して、この前
後支柱１１，１２の上端部間に、手摺杆１３を渡
架固着することにより構成される。手摺杆１３は
略Ｌ字状に屈曲された形状で、後支柱１２の上端
から移動床台１ａの側端縁と平行に前方へ延びる
直線部１３ａと、この直線部１３ａの前端から前
支柱１１の上端に至る直角状の屈曲線部１３ｂと
から成る。

このように構成した手摺枠８の後支柱１２と手
摺杆１３の直線部１３ａとによつて形成される外
方に傾斜する面をなす、側壁パネル１４が前後支
柱１１，１２間に取り付けられる。この側壁パネ
ル１４の取り付けは、後支柱１２側においてはア
ングル状の取付部材１５により、直接的に、また
前支柱１１側においては、前支柱１１と前記手摺
杆１３の前端屈曲線部１３ｂとによつて形成され
る略三角形状の面に位置する板状の支持部材１６
により間接的に取り付けられる。

次いで、前記側壁パネル１４の下縁と移動床台
との間の空隙を閉じるように、それらの間に、ア
ングル状の底板１７が取り付けられる。

このようにして、側壁パネル１４を取り付けた
手摺枠８を、他の各移動床台１ｂ乃至１ｅにも同
様に備える。

なお上記は、側壁パネル１４の下縁と移動床台
との間の空隙を閉じるように、それらの間に、底
板１７を取り付けた場合について例示したが、第
６，７図は、側壁パネル１４を下方に延長して、
その延長部１８の下縁を、移動床台側端面に止ネ
ジ１９などにより止着した場合を示しており、こ
の場合、取付部材１５はその向きを反対にして使
用される。

しかして、各移動床台１ａ乃至１ｅを後退移動
して短縮した場合、前支柱１１同志は、その前後
方向で重なり、また、後支柱１２が側面方向で重
なるので、手摺杆１３の直線部１３ａと後支柱１
２とによつて形成された面に配置される側壁パネ
ル１４は、隣接する各移動床台において、互いに
干渉することなく前段のものから順次後段のもの
の下側に退入して、第２図で示すように、垂直棚
状に短縮すると共に、手摺枠８が各々の後段のも
のの下側に納まるようになる。

また最下段の移動床台１ａを前方に移動すると
きは、これに連なる上段の移動床台１ｂ乃至１ｅ
が順次連動して前方に移動して第１図に示す状態
となる。

そしてこの構成において、若し、従来と同様
に、前傾した前支柱の上端が、移動床台の前端面
より前方に突出しないように、即ち第１図仮想線
で示すように前支柱の下端部を移動床台の前端よ
り後方に偏して取り付けるときは、前記前支柱の
取り付け位置から移動床台の前端部まで間隔部分
は、開放状態におかれ、この間隔部分における落
下物は、それより下段の移動床台の後部位置で受
け止められることになる。そのため、上段の移動
床台の前記間隔部分から例えば洋傘が落下して、
その下段の移動床台の後部位置で受け止められ、
上下段の移動床台に跨がつて介在したとき、この
状態から移動床台を退入すべく移動したとき、落
下物の介在によつて移動床台の移動動作に支障の
生じる惧れがあるが、本願においては、前支柱１
１の下端を移動床台の側面前端部に取り付けて成
るので、移動床台の前後幅にわたつて、移動床台
の側面と側壁パネルとの間の空隙を閉じることが
できて、移動床台の移動を安全に行うことができ
る。

なお、上記実施例では、手摺枠８が前後支柱１
１，１２の見かけ上の高さを等しくし、手摺杆１
３を水平に横架しているが、後支柱１２を高くし
て手摺杆１３を前下がりの傾斜状態で横架しても
よく、また側壁パネル１４の取り付けに際し、手
摺杆１３の直線部１３ａの下面及び後支柱１２の
前面に沿つて夫々スリツトを設け、このスリツト
に側壁パネル１４の上縁と後縁とを係挿したの
ち、支持部材１６により、装着してもよい。

発明の効果 以上のように本発明によれば、側壁パネルと、
移動床台の側端面との間に空間部が生じないよう
に構成したので、伸長状態における体裁が非常に
良好であるばかりでなく、移動床台の側面から落
下する落下物によつて移動床台の移動に支障を与
える惧れもないなど、安全性に優れた観覧席の手
摺装置を提供することができる。

※図 第１図は本発明による観覧席の一例の伸長
状態時における一部截断した側面図、第２図は同
短縮状態時における一部截断した側面図、第３図
及び第６図は一部省略した部分拡大正面図、第４
図及び第７図は後支柱と移動床台との関係を示す
一部省略した部分拡大断面図、第５図は移動床台
に対する手摺と枠側壁パネルとの取り付け構造を
示す一部を分解した斜視図である。

図中１ａ乃至１ｅは移動床台、８は手摺枠、１
１は前支柱、１２は後支柱、１３は手摺杆、１４
は側壁パネル、１５，１６は取付部材、１７は底
板、１８は延長部である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 移動床台の側面前端部に、前支柱を前方に傾
   斜状態に、また移動床台の側面後部に後支柱を外
   方に傾斜状態にそれらの下端部を夫々取り付ける
   と共に、前記前後支柱の上端間に、後支柱の上端
   部から前方に前記移動床台の側端縁と平行に延
   び、その前端から内方へ屈曲して、その先端が前
   記前支柱の上端部に連結される手摺杆を横架し、
   さらに前後支柱間に、後支柱と、その上端部から
   前方に延びる前記手摺杆の直線部とによつて形成
   される面を構成する側壁パネルを、前記手摺杆の
   前端の屈曲線部と前支柱とによつて形成される面
   に位置して前支柱に取り付けられる支持部材を用
   いて取り付けると共に、該側壁パネルと、前記移
   動床台の側端面との間の空隙を閉じるように、そ
   れらの間に、底板を取り付けたことを特徴とする
   伸縮移動式階段状観覧席における手摺装置。 ２ 前支柱の下部が、内方に傾斜して成る特許請
   求の範囲第１項記載の伸縮移動式階段状観覧席に
   おける手摺装置。 ３ 前後支柱の上端位置を等しくして、それらの
   間に手摺杆を横架して成る特許請求の範囲第１項
   または第２項記載の伸縮移動式階段状観覧席にお
   ける手摺装置。 ４ 前支柱の上端よりも後支柱の上端を高くし
   て、それらの間に手摺杆を横架して成る特許請求
   の範囲第１項または第２項記載の伸縮移動式階段
   状観覧席における手摺装置。 ５ 移動床台の側面前端部に、前支柱を前方に傾
   斜状態に、また移動床台の側面後部に後支柱を外
   方に傾斜状態にそれらの下端部を夫々取り付ける
   と共に、前記前後支柱の上端間に、後支柱の上端
   部から前方に前記移動床台の側端縁と平行に延
   び、その前端から内方へ屈曲して、その先端が前
   記前支柱の上端部に連結される手摺杆を横架し、
   さらに前後支柱間に、後支柱と、その上端部から
   前方に延びる前記手摺杆の直線部とによつて形成
   される面を構成する側壁パネルを、前記手摺杆の
   前端の屈曲線部と前支柱とによつて形成される面
   に位置して前支柱に取り付けられる支持部材を用
   いて取り付けると共に、該側壁パネルと、前記移
   動床台の側端面との間の空隙を閉じるように、前
   記側壁パネルを下方に延長して、その延長部を、
   前記移動床台の側端面に止着したことを特徴とす
   る伸縮移動式階段状観覧席における手摺装置。 ６ 前支柱の下部が、内方に傾斜して成る特許請
   求の範囲第５記載の伸縮移動式階段状観覧席にお
   ける手摺装置。 ７ 前後支柱の上端位置を等しくして、それらの
   間に手摺杆を横架して成る特許請求の範囲第５項
   または第６項記載の伸縮移動式階段状観覧席にお
   ける手摺装置。 ８ 前支柱の上端よりも後支柱の上端を高くし
   て、それらの間に手摺杆を横架して成る特許請求
   の範囲第５項または６項記載の伸縮移動式階段状
   観覧席における手摺装置。