JPS631462B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はエンジンにおいて発生するノツキン
グを検出し、かつそのノツキングの程度に応じて
点火進角を最適に制御する点火進角制御装置に関
するものである。

通常のエンジンでは、軽微なノツキングが生ず
る程度に点火時期を進める（点火進角を大とす
る）と、燃費や出力特性の向上に有効である。し
かしながら、この最適な点火進角はエンジンの運
転条件等によつて変化するため、或運転条件下で
は最適であつても他の条件下では点火進角が大き
くなり過ぎ、強度のノツキングが生ずることにな
る。このような強度のノツキングはエンジンの耐
久性等に悪影響をおよぼすため、従来では所定強
度以上のノツキングを検出したときには点火進角
を減少させるようにした装置が提案されるに到つ
ている。

即ち、第１図に示すものは従来のこの種の装置
の一例である。図において、１はエンジンまたは
その近傍に取り付けて、主にノツキングの振動を
電気信号（第２図Ａ）として検出するノツキング
センサ、２はアンプまたはバツフア、３はノツキ
ングセンサ１の出力を半波整流した後平均化する
平均化回路、４は同じくノツキングセンサの出力
のピーク値を検出しこれを保持するピーク検出回
路、５はビーク値の分圧値を出力する回路、６は
前記平均値回路３の出力（第２図Ｂのａ）とピー
ク検出回路４の出力（第２図Ｂのｂ）とを比較
し、平均値よりピーク値の分圧値が大きくなつた
ときに出力（第２図Ｃ）する比較器、７はこの比
較器６からの出力に従つて点火進角を減少させる
ように作動する点火進角制御部である。尚、８は
点火毎または所定の時間単位でピーク値をリセツ
トするリセツト回路である。

この構成によれば、エンジンにノツキングが生
ずると、通常のノツキングが生じない時のノツキ
ングセンサ１の出力の平均よりはるかに大きい出
力がピーク値検出回路４に出力され、その分圧値
もその時の平均値よりも大きくなる。このため、
ノツキングが生ずる毎に比較器６から信号が出力
され、制御部７において点火進角をしばらくの間
減少させてノツキングの発生を防ぐようにしてい
るのである。

しかしながら、このような従来の装置では、所
定以上のノツキングを検出すれば直ちに点火進角
を所定量減少させる構成であるため、例えばノツ
キングの強さに差が生じていても、ノツキングの
起きる頻度が同程度ならば常に同じ制御をしてし
まい、弱いノツキングの時は進角を減少しすぎ、
強いノツキングの時は進角の減少が足りずにノツ
キングを防止できなくなる。従つて、必要以上に
進角を減少させることなどから、燃費の悪化、出
力特性の低下を余儀なくされている。

この発明は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、ノツキングセンサの出力をノ
ツキング部分とそれ以外の部分に分け、夫々を平
均化した上で両者の差を差動増巾器によつて出力
し、その出力電圧に応じて点火進角の制御を行な
うよう構成することにより、ノツキングの強弱に
応じて点火進角を変化させ、燃費や出力特性の低
下を防止した上でノツキングを回避することがで
きる点火進角制御装置を提供することを目的とし
ている。

以下、この発明を図面に基ずいて説明する。

第３図はこの発明の一実施例を示す図である。
図において、１は従来と同様のノツキングセン
サ、２はバツフアアンプである。９はアンプ２を
通つた出力信号をノツキング部と、それ以外のバ
ツクグラウンド部とに分割する信号分割器、１
０，１１はこの信号分割器９にて分割されたノツ
キング部信号とバツクグラウンド部信号を夫々個
別に整流平均化する整流平均化回路、１２はこれ
ら両回路１０，１１の出力電圧の差をとる差動増
幅器、１３はこの増巾器１２の出力電圧に応じて
進角を制御する回路である。

即ち、前記信号分割器９は、ノツキングの生じ
るタイミングがエンジン回転に依存することに鑑
み、例えばデイストリビユータ内にメカニカルな
スイツチを取り付けておき、エンジン回転に同期
させて信号取出を前記両整流平均化回路１０，１
１の間で切換えるようにする。また、ポイント信
号やフルトラのピツクアツプ信号等によつて電子
スイツチを作動させる構成としてもよい。前記両
整流平均化回路１０，１１は、分割器９からの信
号を夫々半波整流し、適宜な時定数にて平均化す
る。尚、時定数の設定は、小さすぎると進角がハ
ンチングし、大きすぎると応答が悪くなるため好
適な値に設定する。差動増巾器１２は、ノツキン
グ部整流平均化回路１０の電圧からバツクグラン
ド整流平均化回路１１の電圧を差し引き、これを
増巾して出力する構成となつている。そして、進
角制御部１３は、ポイント信号またはフルトラピ
ツクアツプ信号に基ずいて積分作用を行なう一方
で、前記差動増幅器１２の出力電圧に応じてスラ
イスレベルを制御することにより点火時期（進
角）を連続的に変化し得る構成となつているので
ある。

次に作用を説明する。

ノツキングセンサ１が第４図Ａの様にエンジン
振動を検出すると、信号分割器９では第５図Ａ〜
Ｃに示すように出力信号をノツキング部Ｘとそれ
以外のバツクグランド部Ｙとに分割し、Ｂのノツ
キング信号Ｘをノツキング部整流平均化回路１０
に、Ｃのバツクグランド信号Ｙをバツクグランド
部整流平均化回路１１に夫々送出する。各回路１
０，１１では各信号の整流、平均化が行なわれ、
第４図Ｂに示すようなノツキング部平均化電圧
XE、バツクグランド部平均化電圧YEを差動増巾
器１２に入力させる。そして、差動増巾器１２に
おいて前記両信号の差をとり、これを増幅するこ
とにより第４図Ｃの信号となる。上記のように差
動増幅器１２の基準レベルとして、ノツキング部
Ｘを除いたバツクグランド部平均化電圧YEを用
いることによつて、その基準レベル自体がノツキ
ングの発生に影響されることがなく、上記両信号
の差は、ノツキングの強弱を精度良く示すことに
なる。更に、この第４図Ｃの信号を進角制御部１
３に入力することにより、第４図Ｄに示すように
ノツキングの強弱に応じて点火進角の減少度合を
変化させ、点火時期を好適に制御するのである。

尚、点火進角制御部１３の回路の一例を第６図
に示す。また、その制御作用は、第７図Ａ〜Ｄに
示すように、ポイントまたはフルトラピツクアツ
プからの信号（同図Ａ）をトリガとして積分を開
始し（同図Ｂのａ）次のトリガが加わるまで積分
を続ける。このとき、エンジンの回転が変化して
トリガの間隔が変化しても、帰還によつて積分の
高さは一定となつている。一方、差動増幅器１２
からの出力電圧に基ずいてスライスレベル（同図
Ｂのｂ）が制御され、これらによつて同図Ｃに示
すような点火励起信号が生成される。点火信号
は、同図Ｄに示すようにこの励起信号の終りに発
生するため、励起信号の時間巾、即ち、スライス
レベルに応じて点火時期が決定されることにな
り、更に言えば差動増幅器１２の出力によつて決
定されることになるのである。

以上説明してきたように、この発明によればノ
ツキングセンサの出力をノツキング部分とそれ以
外の部分に分け、夫々を平均化した上で両者の差
を差動増幅器によつて出力し、その出力電圧に応
じて点火進角の制御を行なうよう構成しているの
で、差動増幅器の基準レベルとして一定の電圧あ
るいは単にセンサ出力全体の平均化電圧を用いた
場合に比較して、ノツキングの強弱を精度良く検
出できると共に、このノツキングの強弱に応じて
略比例した点火進角制御を行なうことができ、ノ
ツキングを防止すると共に点火時期を好適な時期
に制御して燃費の向上や出力特性の向上を図るこ
とができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の構成図、第２図はその信号
図、第３図はこの発明の構成図、第４図及び第５
図は信号図、第６図は制御部の回路図、第７図は
その信号図である。 １……ノツキングセンサ、９……信号分割器、
１０……ノツキング部整流平均化回路、１１……
バツクグランド部整流平均化回路、１２……差動
増幅器、１３……点火進角制御部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エンジンに生じる振動を検出するノツキング
   センサと、このセンサの出力信号をノツキング部
   とそれ以外のバツクグランド部とに分割する信号
   分割回路と、分割された各信号を夫々整流平均化
   するノツキング部整流平均化回路及びバツクグラ
   ンド部整流平均化回路と、これら両平均化回路の
   出力信号の差をとる差動増幅器と、この差動増幅
   器の出力電圧の変化に応じて点火進角を制御する
   点火進角制御部とを備えたことを特徴とする点火
   進角制御装置。