JPS6314063Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンの吸気装置に係わり、詳しく
は１つの気筒に対して複数のキヤブレタが設けら
れ、これら複数のキヤブレタのうちいくつかが機
関の回転数に応じて休止される型式のエンジンの
吸気装置に関する。

自動二輪車等車両用内燃機関として、１つの気
筒の２個のキヤブレタをそれぞれ専用の吸入通路
を介して個別に接続し、機関が低、中速回転域に
あるとき前記キヤブレタのうち一方を休止させて
単独キヤブレタ運転とし、低・中回転域での高い
レスポンスを確保する一方、機関が高速回転域に
あるとき前記双方のキヤブレタをともに作動させ
て、高出力を確保するものが知られている。

しかしながら、このような型式のエンジンにあ
つては、単独キヤブレタ運転の場合に休止中であ
るセカンダリーキヤブレタ側の吸気ポートに既燃
焼ガスが滞留し、この滞留既燃焼ガスが混合気吸
入の際燃焼室内に吹き返す逆流現象が生じ、アイ
ドル回転が不安定になり、又低回転域での機関の
レスポンスもよくない場合があつた。

そこで、前述の不都合を回避するために、プラ
イマリ側およびセカンダリ側双方の吸気ポートを
連通路を介して連通させ、単独キヤブレタ運転中
において、混合気の一部を連通路を介してセカン
ダリ側吸気ポートに導き、この吸気ポートに既燃
焼ガスが滞留しないようにしたものが提案されて
いる。

ところが、このような構成のエンジンにあつて
は、シリンダヘツド内に両吸気ポートを連通させ
るための連通路を設ける必要があり、シリンダヘ
ツトの製作が煩雑になつてコスト高を招く等の欠
点があつた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、単
独キヤブレタ運転中において適正な吸入を行ない
得るのは勿論のこと、さらにシリンダヘツドに特
別な加工を施す必要がなくコストを無理なく低減
することができるエンジンの吸気装置を提供する
ことを目的とし、その特徴とするところは、キヤ
ブレタとシリンダヘツド間のインシユレータに、
プライマリキヤブレタに連通する連通路とセカン
ダリキヤブレタに連通する連通路とを相互に連通
させるためのバイパス通路を設けた点にあり、特
に、このバイパス通路を、インシユレータの吸気
ポートとの接続端部でかつこのインシユレータに
形成された各連通路の開口端下部間に、これらの
各連通路を結ぶ接線に沿つて形成した点にある。

以下、本考案を第１図〜第４図に示す一実施例
に基づいて説明する。

本考案に係る吸気装置は、第１図に示すように
１つの気筒１に対して、吸気バルブ２を有する吸
気ポート３および排気バルブ４を有する排気ポー
ト５が、それぞれ２個ずつ設けられ、かつこの気
筒１がおのおの独立して作動する両キヤブレタ
６，７に、前記両吸気ポート３と、キヤブレタ
６，７の下流側（ベンチユリー管以降）に形成さ
れるキヤブレタ連通路６ａ，７ａと、前記キヤブ
レタ６，７と前記気筒１の間に配設されるインシ
ユレータ８内に形成された両連通路９，１０とか
らなる複数の吸入通路１１，１２を介してそれぞ
れ個別に接続され、さらにインシユレータ８のシ
リンダーヘツド１３への当接面８ａには前記連通
路９，１０の開口端下部間を連通させるための凹
部（バイパス通路）１４が、各連通路を結ぶ接線
に沿つて設けられた基本構成となつている。

次いで、これらの詳細について説明すると、前
記キヤブレタ６，７は、リンク機構、スロツトル
ワイヤ（共に図示せず）等を介してスロツトルグ
リツプに接続され、スロツトルグリツプが所定量
回動されるまでは一方のキヤブレタ（プライマリ
ーキヤブレタ）６のみが作動され、スロツトルグ
リツプがそれ以上回動されるときは双方のキヤブ
レタ６，７がそれぞれ作動されるようになつてい
る。

また、前記インシユレータ８は、第３図および
第４図に示すように左右に間隔をあけて設けられ
た２つの孔１５，１６を有する金属製基板１７
に、ゴム等の弾性材料からなりかつ基端部外周が
連結された２本の管１８，１９が、それぞれ前記
孔１５，１６に連通された状態で焼付等により一
体に連結されてなるものである。そして、基板１
７のシリンダーヘツド１３への当接する面８ａに
は、孔１５，１６の下部を連通させる前記凹部１
４が設けられ、これにより管１８，１９と孔１
５，１６とによつて形成されるそれぞれの連通路
９，１０が、その開口端下部において接線方向に
沿つて相互に連通される。

なお、第２図を参照しながらエンジンについて
補足説明を加えると、２１はカムシヤフトで、こ
のカムシヤフト２１がクランク軸に同期して回転
されることにより、ロツカーアーム２２、サブロ
ツカーアーム２３を介して弁棒２ａ，４ａがそれ
ぞれ押圧され、この結果吸気バルブ２および排気
バルブ４がバルブスプリング２４の付勢力に抗し
て押下げられて、機関の回転に同期しながら、
吸、排気ポート３，５を開閉させる。また前記両
吸気ポート３は、外側開口部がシリンダーヘツド
１３の後面に面一となるように設けられており、
シール材２５を介して前記インシユレータ８と気
密に当接するようになつている。

しかして、前記構成の吸気装置によれば、連通
路９，１０を相互に連通させているから、単独キ
ヤブレタ運転中において第１図中矢印に示すよう
に、プライマリーキヤブレタ６から供給される混
合気の一部を、凹部１４を介してセカンダリー側
の吸気ポート３まで導き、このポート３を通過さ
せた後シリンダ１内に供給することができ、この
結果セカンダリー側の吸気ポート３に既燃焼ガス
が滞留するのを防止し得、ひいては機関のアイド
ル回転の安定と低速回転域からのレスポンスの向
上をなしえる適正な吸入を得ることできる。

また、インシユレータ８のシリンダーヘツド１
３への当接面８ａに凹部１４を設けてバイパス通
路となし、これにより連通路９，１０を連通させ
ているから、シリンダーヘツド１３に特別な加工
を加える必要がなく、またインシユレータ８の基
板１７に凹部１４を設ける加工は、ダイキヤスト
等により高精度で、かつ多量生産が可能であつ
て、しかもシリンダーヘツド１１に連通孔を設け
る加工に比べてはるかに容易であり、もつて加工
性の向上が図れ、コストを無理なく低減すること
ができる。

加えて、両連通路９，１０の下部を連通させて
いるから、始動時において混合気の流れとともに
特に吸入用のプライマリー側の連通路９にある多
少の液化滞留燃料によつて混合気自体をリツチ化
することができ、もつて始動性の向上を図ること
ができる。

また、凹部１４を連通路９，１０の接線方向に
沿つて形成してあることから、両連通路９，１０
をほぼ最短距離で連通して、吸気ポート３に連通
するデツドボリユームを最小限度に止どめ、これ
によつて急激な加減速運転に対する応答性が高め
られる。

さらに、凹部１４を前述したように接線に沿つ
て形成したことから、その形状が単純で流路抵抗
が低く抑えられ、この結果、セカンダリー側の吸
気ポート３を掃気する際の応答性が高められる。

一方、セカンダリーキヤブレタ７の急作動時等
において、セカンダリーキヤブレタ７が下方から
開き始めること、ならびに、混合気がセカンダリ
ーキヤブレタ７の絞り部の下部に設けられたノズ
ルの開口部から供給されること等により、前記セ
カンダリーキヤブレタ７から供給される混合気が
吸入通路のほぼ下部に沿つて供給されるが、前記
絞り部の下流側の流速は十分でなく、混合気の霧
化が十分に行われないことが想定される。

しかしながら、本実施例では、プライマリーキ
ヤブレタ６から供給される混合気の一部が、前記
凹部１４によつてセカンダリー側の混合気の流速
よりも速められた状態でセカンダリー側の吸入通
路へ供給されており、かつ、前記凹部１４が各連
通路９・１０の開口端下部に形成されて、セカン
ダリーキヤブレタ７から供給される混合気の流路
と一致させられていることから、セカンダリーキ
ヤブレタ７から供給される混合気の流れに、凹部
１４を介して流速の速い混合気が合流させられる
ことにより、セカンダリー側の混合気の霧化が促
進される。

以上説明したように本考案によれば、インシユ
レータにバイパス通路を一体に設け、これにより
インシユレータ内に形成される複数の連通路を相
互に連通させているから、単独キヤブレタ運転中
において、休止された側の吸気ポートに混合気を
導くことができ、この吸気ポートに既燃焼ガスが
滞留するのを防止し得、ひいては機関のアイドル
回転の安定と低速域からのレスポンスの向上をな
しえて適正な吸入を得ることができる。

またシリンダーヘツドに特別な加工を加える必
要がなく、高精度のバイパス通路を有するインシ
ユレータを容易にかつ多量に生産し得て加工性の
向上を図ることができ、もつてコストの低減を図
ることができる。

さらに、両連通路をほぼ最短距離で連通して、
吸気ポートに連通するデツドボリユームを最小限
度に止どめ、これによつて急激な加減速運転に対
する応答性を高めるとともに、バイパス通路の流
路抵抗を低く抑さえて、セカンダリー側の吸気ポ
ートを掃気する際の応答性を高め、かつ、セカン
ダリーキヤブレタの急作動時におけるセカンダリ
ーキヤブレタから供給される混合気の霧化を促進
することができる等の優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示し、第
１図は概略構成を示す平面図、第２図は一部を断
面した側面図、第３図はインシユレータの正面
図、第４図は第３図の−線に沿う断面図であ
る。 １……気筒、２……吸気バルブ、３……吸気ポ
ート、４……排気バルブ、５……排気ポート、
６，７……キヤブレタ、６ａ，７ａ……キヤブレ
タ連通路、８……インシユレータ、９，１０……
連通路、１１，１２……吸入通路、８ａ……当接
面、１４……凹部（バイパス通路）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １つの気筒に対して複数のキヤブレタが設けら
   れ、これら各キヤブレタは、前記１つの気筒に形
   成され連通される複数の吸気ポートと、前記キヤ
   ブレタの下流側に形成されるキヤブレタ連通路
   と、前記キヤブレタと１つの気筒の間に配設され
   るインシユレータに形成された複数の連通路とか
   らなる複数の吸入通路を介して、前記１つの気筒
   にそれぞれ個別に接続され、前記キヤブレタの下
   流に、前記複数の吸入通路を相互に連通するとと
   もにこれらの吸入通路より小なる断面積のバイパ
   ス通路を設けたエンジンの吸気装置において、前
   記バイパス通路を、前記インシユレータの吸気ポ
   ートとの接続端部でかつこのインシユレータに形
   成された各連通路の開口端下部間に、これらの各
   連通路を結ぶ接線に沿つて形成したことを特徴と
   するエンジンの吸気装置。