JPS6313546Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、トラクタの主変速レバーの構造に
関するものである。

従来、トラクタの主変速装置においては、主変
速レバーのロツク構造が構成されておらず、この
為に、主変速レバーをニユートラル（中立状態）
で作業者が作業を中止し運転席より乗り降りする
際にレバーに触れて機体が発進する等の危険があ
つた。

この考案では、主変速レバーの握り部に押しボ
タンを設け、同ボタンが横方向に押され、或は戻
されたときに同ボタンに連動連結すべく設けたロ
ツトが上下に動き、同ロツドの下端部に横方向に
突出して設けたロツクピンが上下動して、同ロツ
クピンがロツク部材に係合してロツク或は摺動自
在となるべく構成してなるトラクタの主変速レバ
ーの構造を提供せんとするものである。

本考案の実施例を図面に基づき詳説すれば、第
１図はトラクタの側面図である。トラクタＡには
機体ａの上部に原動機１を設け、同原動機１の前
部にフアン２及びラジエター３を配設している。
また、上部にはエアークリーナー４を、後部には
冷却用水のサブタンク５及び燃料タンク６を配設
している。７はハンドルであり、８は運転席であ
る。９はミツシヨンケースである。運転席８の側
方には主変速レバー１３が配設されミツシヨンケ
ース９内に変速機構に連動連結すべく構成してい
る。後車輪にはフエンダー１０が覆設されてお
り、同フエンダー１０には変速銘板１１が固設さ
れている。同変速銘板１１にはＨ型のガイド溝１
２が穿設されており、同ガイド溝１２には主変速
レバー１３を貫通して設けている。

第２図は本考案の詳細図である。主変速レバー
１３の上端部には握り部１４を設けている。ま
た、握り部１４の内側の左親指が当接する部分に
押し部１５を設けている。すなわち、握り部１４
の内部に横方向の片側貫通の横挿通孔S₁を穿設
し、中央部に縦方向に下方に貫通する縦挿通孔S₂
を穿設している。押し部１５の先端にはスプリン
グ１６を介設し、押し部１５の先端を右方向へ付
勢している。また、押し部１５の先端近傍の下面
側に開口する開口部１５−を構成し、斜面を有
する係合押し部材１７を縦挿通孔S₂の上部に位置
すべく設け、同係合押し部材１７を摺動押圧すべ
く構成した曲面状の係合突起１５−を開口部１
５−の右側下部に設けている。係合押し部材１
７は四角柱体に斜面を有する形状のものであり、
底面にはロツド１８を溶着して延設され、同ロツ
ド１８の下端部にはロツクピン１９がボス部を嵌
合してピン２０により固設されている。中途部に
はスプリング係止具２１が固設されており、スプ
リング２２が同係止具２１を介してロツド１８を
上方へ付勢すべく構成している。スプリング２２
の下端面を支持すべく主変速レバー１３の壁面は
内側へ折曲されている。

縦挿通孔S₂は主変速レバー１３の外径と同径に
構成し、上半分を通し穴に、下半分をタツプ切り
してネジ部を構成しており、摺動用管体２３を上
半分に嵌装して内壁面を係合押し部材１７の外壁
面が軽快に摺動し得る内径に構成する。２４は握
り部１４の固定具であり、主変速レバー１３の上
半分の外側壁に構成したネジ部に螺合すべく内径
側にネジ部を設けている。主変速レバー１３のネ
ジ部は握り部１４の下半分のネジ部に螺合すべく
構成しており、同ネジ部と摺動用管体２３との間
には、ロツド１８を挿通すべき穴部の開口された
ワツシヤー状のガイド板２５が摺動用管体２３の
下端面と主変速レバー１３の上端面に挾持される
べく設けられている。

ロツクピン１９はボス部をピン２０によつてロ
ツド１８に固設され、四角柱状の係合部を左側外
方に突設しており、突起状の同係合部をロツク部
材２６に係合すべく構成しているものであり、第
２図はスプリング２２により付勢されたロツクピ
ン１９がロツク部材２６の天井面により係止され
た状態を示す。２７は主変速レバー１３に溶着さ
れた取付ロツドの一部を示す。同ロツド２７は、
フオーク軸及びフオーク等に連動連結されている
ものである。

第３図は変速銘板１１の平面図である。同変速
銘板１１にはＨ型のガイド溝１２が穿設されてお
り、主変速レバー１３は同溝１２に沿つて前後左
右動すべく構成されているものである。ロツク部
材２６は変速銘板１１の左側方部に配設されてい
る。

第４図はロツク部材２６の側面図である。中央
部及び、前部または後部に凸状部２６−，２６
−，２６−が設けられており、ロツクピン１
９が係合してロツクすべく構成している。また、
同凸状部２６−，２６−，及び２６−の間
はゆるやかな曲面に形成されている。

本考案の実施例は上記のように構成されている
ものであり、押し部１５を押すとスプリング１６
のバネ力に抗して同押し部１５は左方へ押され、
曲面状の係合突起１５−が係合押し部材１７の
斜面を摺動して押し、同係合押し部材１７は摺動
用管体２３の内壁面を軽く摺動しつつ、スプリン
グ２２のバネ力に抗してロツド１８を押す。この
際、ガイド板２５の貫通孔がロツド１８の案内を
しロツド１８等はガタつくことなく下方へ押され
る。また、ロツド１８の下端部に固着されたロツ
クピン１９を下方へ押す。ロツクピン１９は左右
側面を主変速レバー１３の切込み側面１３−に
より保護されているので回動しない。ロツクピン
１９が下方へ所要長さだけ押されると、ロツクピ
ン１９がロツク部材２６の凸状部２６−よりロ
ツク状態を解かれるので、ロツクピン１９はロツ
ク部材２６の凹状部前後動し得る状態となる。そ
こで、主変速レバー１３を前方あるいは後方へ押
すと、凸状部２６−或は２６−と係合し得る
状態となる。ここで、押し部１５より親指を離す
とスプリング１６の右方向への付勢力、及び、ス
プリング２２の上方への付勢力の合成によつて、
押し部１５は右方へ押される。すなわち、ロツク
ピン１９は上方へ付勢された状態であるので、凸
状部２６−或は２６−へロツクされた状態で
ある。

本考案によると、主変速レバーの握り部内部
に、押し部及び押し部材を構成し、更に、ロツ
ド，スプリング，ロツクピン等を連設してロツク
部材に係合すべく構成したから、主変速レバーの
握り部を握つたまま親指で押し部を押すとロツク
ピンがロツク状態より離れ、親指を離すとロツク
ピンがロツク状態となる。従つて、主変速レバー
の所定のシフト位置でのロツクが行え、とくにニ
ユートラル位置でのロツクが簡便に行なえ、また
主変速レバーのシフトパターンがＨ型であり、同
レバーを内側に操作した場合は、同レバーがロツ
クされず、押し部を操作しなくても、自在に変速
を行うことが可能であるから、同レバーを外側方
向に付勢し、かつ、Ｈ型シフトパターンの外側を
低速の一速、二速、内側を高速の三速、四速に設
定しておけば、運転者乗降の際の安定性と操作の
容易性とを両立させることができる。更に作業者
が一時運転者を離れるときでも、その都度、原動
機を停止する必要がない。また、従来のように運
転者の乗降の際、誤つてレバーに触れても、機体
が急発進する心配がないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はトラクタの側面図、第２図は本考案の
詳細図、第３図は変速銘板の平面図、第４図は係
合受け体の側面図。 １３……主変速レバー、１４……握り部、１５
……押し部、１６……スプリング、１７……係合
押し部材、１８……ロツド、１９……ロツクピ
ン、２１……スプリング係止具、２２……スプリ
ング、２３……摺動用管体、２４……固定具、２
５……ガイド板、２６……ロツク部材、２６−
，２６−，２６−……凸状部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トラクタの変速装置において、フエンダー１０
   の上面に突設した中空状の主変速レバー１３上端
   に、横方向及び縦方向に挿通孔S₁及びS₂を設けた
   握り部１４を連設し、縦挿通孔S₂と主変速レバー
   １３の中空部とを連通状態とし、横挿通孔S₁に押
   し部１５をスプリング係合により左右摺動自在に
   挿通し、同押し部１５の左右摺動により縦挿通孔
   S₂上部に設けた係合押し部材１７を介して同係合
   押し部材１７に連設したロツド１８をスプリング
   ２２等により上下動すべく構成し、同ロツド１８
   の上下動により同ロツド１８下端のロツクピン１
   ９が主変速レバー１３を、主変速レバー１３を挿
   通させた変速銘板１１に形成したＨ型のガイド溝
   １１の外側に設けたロツク部材２６に係合すべく
   構成してなるトラクタの主変速レバーの構造。